• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作夜明けには優しいキスを

池上公平、25歳(フリーター)
西塔要、27歳(フリーター)

あらすじ

バイト先で理不尽な扱いを受けた要をかばってくれたのは、新人の公平だった。以来公平はかまってくるが、要は拒否し続ける。実は要には恋人がおり、しかも他人には言えない秘密を抱えていた…!?
出版社より

作品情報

作品名
夜明けには優しいキスを
著者
凪良ゆう 
イラスト
高階佑 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫black
シリーズ
夜明けには優しいキスを
発売日
ISBN
9784592850526
3.4

(108)

(26)

萌々

(31)

(25)

中立

(14)

趣味じゃない

(12)

レビュー数
27
得点
343
評価数
108
平均
3.4 / 5
神率
24.1%

レビュー投稿数27

光の攻めに救われる

痛い事、苦しい事てんこ盛りな作品でしたが、それでも読み続けられてしまうのは凪良先生の作品だからなんでしょうか。
1人で不幸を背負い込んでしまったような要と、DV男の加瀬の話だったら挫折していたと思います。
結構終盤まで要が加瀬と付き合いつづけるので、ヒヤヒヤしてしまいました。
まさか共依存カップルのお話だったか⁉︎と心配しちゃいました。

個人的にはやはり不幸受けは光属性の攻めに救われなければダメなんだよなぁ。
よく一途に待っていてくれたなぁ公平。ありがたい気持ちでいっぱいでした。
もっと早く強引にでも要を連れ去ってくれ、と何度も思いましたがね。

幸せになってからのお話がもう少し長かったらなぁ。
不幸な受けがぐっずぐずに甘やかされるシーンはなんぼあってもいいと思う!

0

罪悪感に対する救いの手

電子セールしてたので購入したのですが、かなり昔の作品ですね。

タイトルに「優しい」と入っていたのでレビューやあらすじをちゃんと読まずに読み始めたら全然優しくない!
めちゃくちゃ厳しいお話でした。

主人公の要は過去に大きなトラウマ(罪悪感による)を抱えて、彼氏の理不尽な暴力や、職場のパワハラも全部「過去に犯した罪の償い」として受け入れています。
そんなかんじがらめになってしまっている要にバイト先の明るい青年、公平から救いの手が差し伸べられるのですが、なかなかその手を取ろうとしないんですよね。。。
「自分は幸せになっちゃいけない」って思い込んでる。。。読んでて号泣。。。

読んでいてかなり凹む辛いお話でしたが、続きが気になってページをめくる手が止まりませんでした。

途中まではかなり重たいのですが、要が過去と向き合ってからは一気にすべてが解決に向かいます。ちょっと後半はご都合主義かなと思ったのですが、後味は悪くないので良かったです。

1

主人公がビミョーすぎる。

少し辛めの評価かもしれません。
辛めの理由→ズバリ攻めの公平も受けの要にも、なんの魅力も感じなかった。
公平の押し付けがましい優しさ、自分から不幸を選んでる受けの要はまさに「お涙頂戴」の構ってちゃんにしか思えなかった。
この作品を際立たせたのは、要のDV彼氏の加瀬。加瀬の存在がなければ間違いなくしゅみじゃない評価でした。DVはダメ、どんな過去があったとしても人を殴ったり蹴ったりするのは間違ってるけれど、それでも加瀬の苦しさや優しさがじわじわと胸に沁みてくる。
好きなのに優しくしたいのに暴力ふるっちゃうくせして、相手を思って自殺未遂しちゃったり、最終的には要を公平に送り出すことができる。
公平と要がカップルになるのにあたり、加瀬の存在は必然だったんじゃないかな。
公平のお陰で夜が明けたようなストーリーですが、私には加瀬のお陰で夜が明けたような気がしました。夜明けに優しいキスをしてほしかったのは加瀬じゃないの?(←酷いことしたから仕方ないけれど…)
加瀬にも幸せに訪れて欲しいと願いつつ!加瀬がメインの「お菓子の家」を読もうと思います!

0

ちょっと合わない

内容は他の方が書いて下さっているので。

この方の作品は合うものと合わないものがあります。
合わない作品はとことん合わないというか・・・

内容が薄暗くじっとりとしていて救いようがありません。
私には夜明けがあまり感じられませんでした。
暗い割にはテーマが深いわけでもなく、読後感があまりよくない作品でした。
ちょっと残念。

2

順番通りに読んだ方が良いかも。

積み本ってあまりしない方だと自負していますが、この作品は買ったままなかなか手が出せなかった。先に『お菓子の家』を読んでしまったからだと思います。加瀬くんがとても好きなキャラだったので、加瀬くんの恋が成就しないとわかっている『夜明けには~』を読む気になれなかったんです。が、本棚を整理していていて買ったまま放置しておくのもなあ、と思って読んでみました。

凪良さんって個人的にあまりはずれのない作家さまなのですが、これはちょっとツボに入らなかったなあ…。

加瀬くんに感情移入しすぎていたのもあると思う。彼の過去や孤独を知ってしまっているから、とにかく加瀬くんが気の毒に思えちゃって。

でも、主要キャラの二人が好きになれなかったことが一番大きな要因かと。

要(受け)の贖罪の気持ちは理解できる。でも、その気持ちを加瀬くんに払わせてどうすんだ、と。加瀬くんに酷い事をされることで自分の罪を軽くしようとするのはちょっと違うんではないかな。

そして攻めの公平も。
要の気持ちを尊重しているようで、実はいつでも自分のやりたいように行動しているように思いました。もちろん恋心を抱いている相手が、恋人に暴力を振るわれていると思ったら助けてあげたいと思う気持ちは分かるのですが、「要のため」というよりは自分の恋心が優先しているようにしか思えず。
そして、彼の「デモ行為」がなんとも偽善者っぽい。自分の主義主張をそういう形でしか表現できないのはあまりにお子さまなんじゃないかなって思うんですよね。

二人に共感できなかったので、終盤の、加瀬くんの要への最後の愛情とやさしさに思わずウルっとしました。うん、やっぱり加瀬くんが好きなんだな、私。

ここで要と別れたから、阿木さんと出会えたわけだし結果オーライなんですが。
描き下ろしの優しい雰囲気はとても良かった。『お菓子の家』とリンクしていて。

面白くなかったわけではないのですが、もう一声欲しいな、というのが正直な感想です。『夜明けの~』を読んでから『お菓子の家』を読んでいたら感想はまた違ったかも。

スピンオフモノを読むときは順番通りに読むのが大事だね、と痛感したワタクシでした。

1

夜が明けました

最初はとにかく痛いし、先も気になるしでモヤモヤと。最後は夜が明けほっこりと。

スピンオフ『お菓子の家』を読むとまた違う視点がみれますよ。

2

攻めが・・・

お菓子の家は未読です。
充分読み応えはあったし、トラウマの背景もきちんとしていて、凪良さんお得意の絶望→更生のわかりやすい話の運びだったのに、どうにも話に入り込めませんでした。恐らくキャラの影響です。

公平の、まっすぐ正しいことをまくし立てる感じがどうにも説教くさくて受け入れられなかったし、こんなに努力をしているのに何故フリーターなのか?と疑問に思いました。
デモなどのワードが受け入れ難ったので、その辺りに過敏な方には彼のキャラは合わないかと思いました。
要も、ラストまでひたすら優しさ一辺倒で、そこまで魅力的な人物に感じられなかったのが私の中に入ってこなかったのだと思います。いい話ではあったけれど、合わなかった。そんな印象でした。

6

一人と二人、それぞれの夜明け

読み終えて、タイトルと表紙絵が秀逸だなぁと改めて思いました。この本を読んだ頃、「男→←男」ではなく1/3ずつの重みで「男→←男→←男」(not 3P)という構図のお話がちょうどマイブームだったので、この作品はピッタリでした。愛情あふれる甘々な展開はほぼありません。主人公・要とその恋人・加瀬の愛憎とも言える描写や要の過去にまつわる部分はきっちりと重いのですが、そのぶん切なさがあり、一方で公平はまさに夜明けをもたらす存在として描かれています。

読んだ印象としては(たぶん実際の文字数も)、公平より加瀬のほうが重要なキャラクターになっていると思います。公平は、真っ直ぐすぎて青くさくて、ウザいワンコと紙一重の青年ですが、要とのバランスを考えると彼ぐらいの強引さが必要という気もしました。

夜明け前が一番暗いとよく言いますが、要の”夜”は本当に長く、性格が変わってしまうほどに寂しいものだったのかなと想像しました。そして、要も、加瀬も、あのままずっと夜の中で傷つけ合って生きることもできたのに、そうしなかった二人にそれぞれエールを送りたい気持ちになりました。

「お菓子の家」はこの作品の加瀬が主人公なのですね。今の今まで知りませんでした…。こちらもぜひ読もうと思います。

2

二人の設定に納得できれば……

明るくタフなフリーター兼労働運動家の公平×色々と抱えた痛々しい非正規労働者、要

まず、この二人の設定に納得できるか、彼らの心の動きに共感できるかどうかで評価が変わる作品だと思います。
私はできなかったタイプです。

そうなるだけの事情があるとはいえ、全身傷だらけでガリガリに痩せ、陰鬱な雰囲気を醸す要に好感………までいなくともプラスの興味を持つものでしょうか。
彼にはDV癖のある恋人がいるのですが、その人との付き合い方もあまり腑におちるものではありません。

公平は………そも、これだけの行動力とコミュニケーション能力のある人がなんで大卒フリーターなのかという……
デモや座り込みをやるためにフリーターしてるのか?
そのスペックなのに正社員目指さないの?
と、彼に関してはその設定に対する疑問の方が自分の中で印象的になってしまいました。

しかし、後半、自分の過去に決着をつけた要が顔をあげ、未来へと歩き始める展開はまさに「夜明け」という感じで結構カタルシスがあります。肝心の恋愛要素に関しては、主人公二人に魅力を感じないためフニャッとした感触に終わってしまいました。

4

語りたい系BL

語りたい系BLでした。
なぜかというと、登場する人物を悪役や善人などの型に押し込んでいないからです。
そのように人物をカテゴリにあてはめることは気持ちがよいし読んでいる方も楽ですが、人を人として見ることが不可能になってしまうのですよね。
なかなか難しいけど…

この作品は人を善悪ではなく痛みとか弱さから捉えています。
それは誰もが持ちうるものだし、良い悪いとはまた別次元のことだと思います。
もちろん、やってはいけないことを肯定しているわけでもないし、時にはその弱さこそ許せないと思う時もありますが、
自分がこの人の立場に立った時にどうだろうって考えると一刀両断できませんでした。
こんな風にいろいろ考えてしまう作品は読んでいて決して楽ではないけど、貴重でもあると思います。
現実の世界では一番見えにくく、疎かにしてしまいがちな部分だと思うからです。

そういう意味では、攻めの公平の正義感には少々うんざりしました。
でも6年も前に進めなかった要にとっては無理やり扉をこじ開けることが必要だったんだなと思います。
それに、「この人の役にたちたい」という純粋な気持ちは間違いなく人を救うのだと思いました。
その連鎖が公平から始まって人から人に伝わっていく様にとても感動しました。

しかし私は加瀬に心を残しまくりだったので、そっちでどうぞお幸せに!って感じでしたw
限りなく神に近いですが、萌え萌えになったのはそこのところです。
あとがきで加瀬のスピンオフがあると知って、いち早く読みたい気持ちでいっぱいです。
しかも受け…?!

6

キャラの心情の移ろいに矛盾がない

 「お菓子の家」の前作にあたる作品。これは良かった。要と加瀬の心情の移ろいに矛盾がなかった。
 
 この作品のすごいところは、何といっても加瀬の存在。男同士の三角関係である点もすごいけど。3人のうち1人はDV男で、1人は「幸せになる権利、放棄しました」男。共依存がかなり進んでいるこの2人の間に、もう一人、公平というさわやか青年が入ってくれるから、まだましになった。しかし、公平が要にちょっかいをかければかけるほど、加瀬の執着が強まり、要は夜ごとぼこぼこにされるという・・・いたいいたい!!

 それでも要は公平のことが好きだと自覚し、公平の助けを借りて過去と加瀬に向き合う。自分と逃げずに向き合ってくれる要に、加瀬もだんだん変化していく。このあたりがもう、すごくよかった。一時期、どうしようもないほどこじれることがあったけれど、最終的には3人ともが納得できる結論に至れてよかったよかった。
 
 決して特別ではない、日常の風景を二人で重ねて、これからも二人で幸せになってくださいと願う。
 また、「お菓子の家」が読みたくなった。

5

かなり重いですが・・・

DVや自殺、虐待など、かなり重めな内容が軸となっているので
どことなくBLとは少し離れているような感じを受けそうですが
主人公がDVで苦しむのも、また新しい恋を切り開くのも
同性の彼なので、辛いSEXも幸せなSEXも両方が存在するストーリー。

ひどく辛い過去を持ち世の中にも人間にも、何も信用できず
恋人に乱暴をしながらも離れられないでいる加瀬と
その加瀬を愛してもいないのに、自分の過去を引きずりながら
痛めつけられることで、過去の自分に目をつぶりつづける要。
その要をなんとか助けたいと一途に思い続け
優しく支え続けようとする、バイト先の公平。

誰にも忘れてしまいたい過去や、消してしまいたい記憶があり
その自分と闘いながら、時には逃げたり立ち止まったりする加瀬と要。
要に乱暴する要は自己中心的で本当に嫌な奴なんだけど
それまでの彼の人生を振り返ると、性格がひねくれても仕方がないのか、
と思うほど、壮絶なもので苦しみは本人しかわからないもので・・・
要を乱暴に抱いたり、殴る蹴るの暴行を加える加瀬は最低だけど
ふと我に返って許しを請う加瀬もまた同じ人間で・・・
要も要で、高校生の少女の自殺により自分に非はなくても
彼女を助けられなかった事実と、周りから浴びせられた非難の声に
自分を追い込む日々を送り・・・
二人共に、人間の弱さのようなものが浮き彫りになり
BL以前に、考えさせられるものがありました。

辛いことから目を背けないことを、前に進むことを教えてくれた
自分の背中を押してくれた公平を、あえて選ぶことなく
加瀬を支えた要を、最初は「なんで?」と思いましたが
読み進めるうちに、気持ちの切り替えができたことで
加瀬の要への態度も変わってくることに安心しながら
最後には「ちょっと加瀬、何?いいやつ?」とあまりに急な展開に驚きました。

悲しいことばかりが続く話だったので
最後に、公平と要が幸せになり
加瀬にもちょっとだけ、幸せの兆しが見え始めたところで
このお話は終わりますが、その乱暴者の加瀬が幸せになれるか・・・
というスピンオフ「お菓子の家」も続けてぜひ読んでほしいです。
「お菓子の家」を読むと、加瀬の見方がちょっと変わるかも・・・



4

読後感がわりとすっきり

どこかで「お菓子の家」のレビューを見て気になってたらこちらが先のようなのでこちらから読み始めた。
重い、重すぎる。
だけど読了感はわりとすっきり。
DV男なのに加瀬に心惹かれた。

要を信じて庇ったご両親に泣きそうだった。
凪良さんの本はこれが初めてなんだけど、この本はBLだけに収まりきらないようなものもあってすごく好き。

3

つらたんです

読む順番が違っていたら、感想も違うことが言えたのかもしれません。
しかしながら、どうもお菓子の家を先に読んでしまったためか
主人公でなく加瀬ににしか思いを寄せられませんでした。

もちろん主人公の境遇は不幸だと思うし
同情もするのですが
いまいち共感できなかったというのが本当なところ。

DVを庇護するわけではないのですが
殴ってる加瀬が一番つらそうで話に身が入らなかったです…

そしてこれを読んだ後に今一度お菓子の家を読むと
なお一層加瀬に愛が沸きます。

残念ながら自身にはお菓子の家の当て馬作品になってしまいました。

2

痛みを抱えて、前へ進む

「お菓子の家」既読。
表紙の美しさとタイトルに反して痛い話であることも、知って読んだ。

今月書き下ろしつきの新装版が出るのは分かりながら、ずっと探していたこの作品、
出会ったときが読むべき時と読んでみた。

こちらを先に読んだとしたら、また違った感想なのだろうか?とも思うが、
主役の二人ではなく、加瀬に感情移入して読んでしまった。
(勿論、私はDV女ではありません……念のため。)

要と加瀬、それぞれ暗く痛ましい過去がある。
己を罰するように生きる要、愛を乞い続ける加瀬。

加瀬に暴力を振るわれしがみつかれながら、明るい公平に惹かれていく要。
その経緯の中で、自分の過去と向かい合って
人生を自分で選び直していくところが、物語の肝だと思う。
お互い思いあっているのに、要が公平を選ばずに加瀬に寄り添うことを決めた後、
加瀬が性の匂いなく後ろから要を抱きしめて眠るシーンが、心に残る。

その後の加瀬の行動は、あまりに出来過ぎでリアリティとしてはどうか?と思うが、
余計に加瀬が不憫でいじらしく、正直主人公二人は背景に霞んでしまった
感想でした。
勿論二人には幸あれと願わずにはいられませんが……


6

人を傷つけずに生きることができるのか・・・

「お菓子の家」以前の話と聞いてこちらから先に読むことにしました。
花丸文庫BLACKということでちょっと覚悟して読みはじめましたが、良い意味で裏切られました。
辛い話だけれど読み始めてすぐ結末がみえる(こあたりBL作家さんは幸せなエンディングを求められているので大変だな~と思いました)のでけっこう安心して読んでいました。
命は重いですね。
生きているからいつかは必ず死が訪れるわけですが、できれば人の心に傷を残さないようにその時がくるまでは生き続けたいと思いました。

0

まばたきを三回 を未読の方もネタバレに注意してください

はじめに申し上げておきますが凪良先生の作品は好きです。よい意味で泣かせどころの上手な方だとも思います。

この作品も読ませる力はぐいぐいあります。 

要の精神的にも肉体的にも自虐的な方向に自分を追い込んでしまうという悪循環も、とても説得力があり涙なしには読めません。

無責任に人を責める世間の風潮も的を射ていると思います。

私が納得できなかったのは少女のお母様の行動ですね。悲しみの腹いせにしろ、数ヶ月ならともかく6年間も真実を隠し黙っているのはいくらなんでも無しでしょう。娘可愛さとはいえ、ここまで長期に渡って、前途ある若者の未来を台無しにしていられる神経がわかりません。そして、夫婦そろって異常ならともかく、お父様が極々常識的であることも不思議です。

実を言うと、この1冊だけならこういう異常な行動をとる人もいるだろうと思える範囲なのですが、’まばたきを3回’ も全く同じパターンだったのでがっかり感がひとしおです。

あちらも母親が勢いでついた嘘のせいで、主人公が要らぬ苦しみを余儀なくされます。良作だっただけに、余計に本作品との類似が惜しまれます。

母親という立場の中年女性の全てが、このように分別がなく理不尽というわけではないと思うのです。

どちらか、1冊だけ読むのなら全く問題はないのですが、両方読んでしまうと中年女性は自己中心的かつ感情的な言動をすると類型化されてしまっているようで、残念な気持ちになりました。
しかも、母親ならそれでも仕方がない、我が子を愛するが故の行動だからということで肯定しているふしも感じられたのが余計に腹が立ちました。

4

それぞれの過去と葛藤

過去の事件を一人で抱え込み、人生を諦めてしまっている要。
大学時代にボランティアで関わった登校拒否の少女の自殺が、自分の責任だと思っている。
そしてその少女の家族や要と関わってきた人達ばかりではなく、
事件をニュースで知った関わりのない世間の人々も皆、
要が少女を弄んで自殺に追いやったと、要はもちろん要の家族まで攻めている。
ものすごく極端な設定だと思いますが、
(実際だったら、要に味方してくれる人が家族以外にも必ず居るはず)
自分を責め続ける要があまりにも痛々しく、涙なしでは読めませんでした。

確かに当時の要の行動は、少し自信過剰で行きすぎていたのかもしれません。
少女を自分が助ける事が出来ると思い込んでいたのは、若気の至りだったと言えるでしょう。
でも、真剣に相手を思いやっていたのは本当だし、
セクシャルな事は全くなかったのも事実です。
自殺してしまった少女は可哀そうだと思います。
いじめなんて卑劣な行為はあってはならないと思うし。
だけど、要に対する世間の仕打ちと心の深い傷を思うと、
「要さんに捨てられました」などと遺書を書いて自殺した少女は、
やはり自分本位だったと思わずにはいられません。

そして加瀬。これまた強烈に痛い人物。
要に対するDVは目に余るものがありますが、
あまりにも要に対する依存が強くて哀れです。悲しい位に痛々しい・・・
加瀬の過去にも少し触れてますが、
幼いころに虐待を受けた人は大人になって自分も同じことをする事が多いといわれてます。
だけど、皆が皆そうなるわけではないし、
加瀬の要に対する仕打ちが肯定される訳ではないですが・・・
それでも、加瀬が要に暴力を振いながらそれ以上に自分も傷ついている様が、
なんとか自分自身を変えたいと思ってあがいているところが、
ただ要に愛され大切にされたい、でもその人として当然の方法を知らない哀れさが、
もう、胸が痛くなるほどの切なさです。
最後に、要にプレゼントされた包装の包みを、
チラチラと盗み見ている子供の様な姿には、思わず涙が出てしまいました。

公平に関しては少し微妙。私は余り好きではありません。
基本的に、自分の権利ばかり主張すタイプは嫌いです。
社会の中での権利とは、その人が社会生活の中で果たすべき義務を、
ちゃんと果たして上で初めて発生するものであって、
その義務を果たして無い人には、それこそ「権利を主張する権利」は無いと思うので。
自身の果たすべき義務さえ知らず、何もしてない人に限って権利ばかり主張するものです。
公平も私から見たらそんな感じ。
それでも、要にとっては、事件の後初めての光だった事は事実だし、
要や加瀬のように重すぎる過去を抱えた人達には、
公平の様なタイプが関わる事は良かったのだと思います。

重たい過去や複雑な過去などが絡み合う、ドロ臭い話は大好物です。
一歩間違ったら辛気臭く感じるような、グルグル悩んじゃってる話とか(笑)
でも、もちろんそれを乗り越えてのハッピーエンドが大前提ですが。

私は公平より加瀬の方が好きだったので、
今度は加瀬にも幸せになってほしいです。

6

普通

筋書き的には、色々あって傷ついてた受けが攻めに出会って、立ち直りっていうお話ですよね。序盤の話の作りはうまくて取りこまれたのですが、途中から「うーん」って感じに。

まず、女子高生の件は、あそこまでひどい事になるのか?っていう疑問が。知り合い程度の人はともかくとして、親しい友人とか要を擁護してくれる人がいてもいいはずです。普段の行動や評判をかんがみれば、そんな事する人かどうかわかるような。まぁ、相手の親が狂ってた、名指しされていた、否定できなかったという点はありますが。現実の世の中では、少年事件で逮捕されていても、保釈後普通に大学生とかになってる犯罪者なんてザラにいますから、疑惑程度の要があそこまで責められるというのも考えにくいです。フリーターになるという設定上仕方なったのですが、過剰演出な気も。傷つけたことがトラウマだけで話は通じるかと。

そして、なにより攻めの公平がイマイチかな。なんか、自殺をした人に対する意見があまり説得力がないのです。ゲイであることを悩んでいたのは認めますが、イジメで精神不安定な人と児童虐待の被害者では比べ物にならないのでは。それを偉そうに「自分で選んだんだ」というのは随分若い意見だなーと。なんていうか、軽い。

要がひとまず加瀬とヨリを戻すのは良かったのですが、ああいう状態なら加瀬だって決して嬉しくはないですから、離れざるを得ない気がします。もう少し時間かけてもいい気がしましたが、ぱっぱっぱと物語は終盤に。

たぶん、もう少し公平という人間に説得力があれば、要が立ち直ったことを納得出来るのですが、あの程度のことで解決してしまう悩みなら、それはそもそも大した悩みでなかったんではと、つっこみたくなりました。あまりに設定が重すぎて、バランスを取るのが難しくなってしまったのかも。盛り込みすぎって気もします。DVシーンとか、その辺の心理描写はすごかったのですが。惜しいです。

6

凪良さん容赦ないなぁ

まずは、さすが凪良さん。かなぁ。
正直「痛そうだなー」って敬遠してたんですよ、この本。
でも凪良さんだし。凪良さんはコンプしたいし。よし、凪良さんだから読んでみよう!
と思って読んでみました♪

いやー、痛かったですwww
コレ「凪良さんだから」という、一種信用貸し?みたいなものがなかったら途中で投げてましたネ。
コメディも好きなんですケド、私は落花流水のズルズル落ちてく感じが好きだったから、
要の辛いほうへ辛いほうへの思考がけっこうグッときました。
加瀬が茫然自失で部屋を出て行った時は「あ、これはこうクルなー、凪良さん痛いトコ持ってくなー容赦ないなー」と期待しまくり。
やっぱりなの展開でしたが、これ某痛い系の先生だったら取り返しのつかない状況にしちゃうトコですよね。
でもちゃんと救いを残してるとこが凪良さん(*´ー`*人*´ー`*)スキスキ♪
要が加瀬を選んだ瞬間、おおお!と思わずコブシを握りました。
どうなんのかなーって最後までドキドキさせてくれましたッ!
加瀬との共依存も、自分で経験があるわけじゃないのに要の気持ちになって理解できちゃうトコがすごい!すごい筆力だなぁと思います。

でも私的にはちょっとラブがもの足りないんですよネ。。。。
スッゴク切ないですよ?好きな気持ちが溢れてます。ちゃんとBLです。
でも甘さがうっすーい。人間ドラマ的だったかな。
あとがきであったほのぼのラブ読みたかったなぁ。
あと加瀬のストーリー求む!
これみなさんおっしゃってますが気になりますよね?
絶対いいストーリーだと思うんでぜひ!お願いします!

5

花丸Blackで、こう来るとは

重かった
痛かった
くさかった

登場キャラも、
自己陶酔、
DV
押しつけがましい、

でも、ガッツリ泣かされちゃいました。

この表紙、このタイトル、この帯だと切ない系かなあと思って
でも、レーベル的にハードエロ方向でガッツリ系だし…???
よもや、ハードなエロじゃなく、ヘビーな過去でBlack認定されていたとは。

公平のキャラが絶妙です。
下手すると、善意を押しつけるうざいキャラで嫌いってなりそうなキャラなのに、バランス感覚がとってもよくて、引くべきポイントと、押すべきポイントが完璧。
DV男・加瀬にもちゃんと救いがあってよかった。

これ、続きがあるとしたら、加瀬編が読みたいです。



5

地雷だらけなのに読んでしまう

凪良ゆうさんの初読み作品がこれでした。
正直、地雷だらけでした。
まず主要登場人物三人が三人とも、私の地雷。
攻めの押し付けがましい正義感にイラつく。
受けの自虐やマイナス思考っぷりにイラつく。
DV男は言うまでもなくムカつく。

ストーリー的にも色々と地雷でした。
なんだこの「愛は地球を救う!」的なストーリーのもっていきかた…と思いました。

でも、そう思いながら泣いてたんですよ。
号泣に近い。
思考を涙腺が裏切っているというワケワカメな状態。

さらに、再読率が高いんです。
何度となく読み返してしまっている。
同じ場所でイラつきながら読んでいる。

よく分かんないけど、私はこの作品がとても好きみたいです。
地雷なのに好きなんです。

9

めずらしくDV男に心惹かれた。

主人公の西塔は、過酷な労働に自分を置き
DV男の暴力のもとに自分を置き
自分に罰を与えているんですよ。

そんな西塔に手を差し伸べる
同じくフリーターの公平という年下の男の話なのですが
私は公平よりもDV男の加瀬にどうしようもなく
心を持っていかれてしまいました。
自分の心の弱さを暴力でしか外に出せない人間は最低だと思うのですが
加瀬の気持ちもすごくよくわかってしまって
最後の最後に加瀬の優しさがでたときは涙が止らなかったです。
ああ、私だったらこんな加瀬を放っておけないのになぁ・・・。
なんだろう・・・高階佑さんのイラストのせいもあるけど
加瀬のことが好きで仕方ありませんw

公平も、すごくいい奴かもしれないけど
私にはちょっとうっとおしい感じにうつりました。
アメリカナイズされた自己主張とポジティブ精神
それを育むまでにはきっと公平にもいろんな過去があったようですが。
実際、これっくらいずうずうしくなければ
西塔みたいなタイプの心の扉をこじあけるのは無理なのはわかるんだけど
加瀬を選んだんだったら、加瀬を見てあげてよーっ!

加瀬の暴力は許しがたいが、とにかく加瀬に涙した。
欲しいものを奪われていく、誰も自分を受け入れてくれない
子供みたいに「欲しい欲しい」から
やっと加瀬の心が大人になって
自分から西塔に“与える”ことができたんだな。
それがさよならなんて悲しすぎて泣いた。

好きな人に何かをあげるって、何かを持っているという自覚がなければ
できないことなんですよね。
それぐらい加瀬は何も持ってないって思った子供だったんですよ。
「どうぞ」→「ありがとう」→「自分もうれしい」っていうことを
覚える時期に奪われるばかりだったんだろうね。
もうほんとにそれ考えたら悲しくて悲しくて

あとがきにて、書き下ろしで西塔と公平のラブラブっぷりを
書く予定だったとか。
それなくてよかったかも!
書くなら加瀬編をプリーズ!!

12

重いけど優しい

萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
眩しいくらいポジティブな公平→無気力で投げやりな訳あり美人・要←要の恋人でトラウマもちのDV男・加瀬。
ドロドロ三角関係を予想していたのですが、蓋を開けてみればタイトルが示すように、トラウマに苦しみ続けた暗い夜からの脱却、という非常にシリアスなお話でした。
どっかーんとトラウマものです!

主要人物は3人。
まずは主人公の要、彼は過去のある出来事から決して自分は幸せになってはいけないと頑に思い込んでいます。
自分に罰を与えるために働き詰め、同じ理由で好きでもない恋人からの暴力を甘んじて受けています。
そんな要の様子に最初は苛立ち、そして関わる内に惹かれていくのが年下の元バイト仲間の公平。
視野が広く、自分の権利をしっかり主張できる公平は要にとっては太陽のような存在です。
そしてある意味で最も同情してしまったのは、要の恋人の加瀬かも。
悲惨な生い立ちからの暴力性に本人も苦しめられていても、心底好きなのに恋人の要を殴られずにはいられないDV男です。
要が自分をことを好きではないと知りつつも、人生で初めて自分を受け入れてくれた要に強い執着心をもっていて、暴力に関しては同情の余地はありませんがこの男が一番痛々しく映りました。

どんな風に決着をつけるのか、ラストまで目が離せません。
要の過去、加瀬という男、三角関係、それぞれでお話が一本書けるくらいこれらの重い題材に真正面から作者さんが取り組んでいらっしゃるのが伺えました。
登場人物の役割は分かりやすいくらいハッキリしていて、ストーリー展開も実は少し都合がいいようにも思えます。
終盤がちと急ぎ足すぎかな、とも。
でもそれを差し引いても、作者さんの誠実さが滲むような作風は好ましく感じました。
特に公平から要、要から加瀬へ、そして加瀬から要へ愛情は繋がる、というシーン。
「愛情や幸せは順番に廻る」という一文が沁み入りました。じい~ん。

ダメ男が好きな(あくまでBLだけ)わたしとしては、公平抜きの要と加瀬っちとマンツーマンのお話がよかったなあと妄想していたんですが、この愛情の連鎖が作者さんは描きたかったからこその三つ巴なんだなあと納得。
負の連鎖から愛情の連鎖へ…見事な着地でした。

でも毎回、やっぱりエッチシーンで「え?もうすんの?」と思っちゃう。

5

現実問題にそくしたリアルな物語

最初読み始めたとき、やっちゃったかな~と思ってしまいました。
救われるに違いないとわかっていても、現実にありそうなシチュエーションと出来事に、あまりに暗くて痛くて。
痛い系得意のはずの自分でも、重かったデス。

主人公要は自分のせいで人を死なせたことをいつまでも背負い、自分を罰するように、悲惨な環境へ、より悲惨な環境へと身をおくのです。
要の恋人の加瀬も、愛情を十分に与えられず虐待さえされて育った過去の為愛する者を失いたくない、自分の手元におきたいばかりにDVでしか接することができません。
現実社会のDV問題でも負のスパイラルといいますか、DVとそこから抜けられない被害者の姿勢も問題があるのですが、このストーリーの設定もうまくそこを突いているように思います。
要がバイト先で理不尽な目にあっていると、それをかばい正論をかざす同じバイトの公平が現れます。
この公平が要を引き上げて、愛しても、愛されてもいいということを教えてくれるのですが、いまどきに珍しい真っ直ぐでデモ活動なんかしている青年なんです。
普通であれば、ネガティブどん底の要なんて捨てておきたいところですが、生きるって何か?なんて大学やめて海外へでちゃう人ですから、生きることを放棄して生きている要が捨てておけなかったのでしょうね。
この彼によって、要も前を向くことができ、DVの加瀬の生き方へも影響していくのですから、それが本当救いです。
初めてのエチがDVと同じだった要だから、これから公平に愛されて今までの分取り返してほしいですね。
後書きにもありましたが、ラブラブ短編ほしかったな~
あと、DV加瀬が立ち直って新しい恋人を見つけるお話も読みたい気がします!

4

重い。痛い。切ない。

重い。とにかく重い。
要はある過去の出来事のせいで自分は幸せになってはいけないと思って暮らしています。
なので毎日のように繰り返される恋人・加瀬からの暴力に抵抗することなく、むしろ自分は罰を受けるべきだと暴力を受け続けます。
DVものですね。DV言えば水原とほるさんの『青水無月』が思い浮かびますが、こっちの方が酷かったです。ほんと殴る殴るでしたからね。でも「捨てないでくれ」って縋ったり。典型的なDVです。

暴力を受け、バイト先の理不尽なやり方に文句も言わずただ耐え続ける要を心配するのが攻め・公平。
公平は同じバイトで年下。彼がいいキャラだった!というかこの重い話の唯一の癒しですw
年下わんこで、自分の意志をしっかり持っているため間違ったことはちゃんと口に出して言います。
なので要がいつも黙って耐えているのがわからないといった感じで、要を気にし始めます。

要の過去がまたね・・・。切ないというか苦しい。要が自分を痛めつけるのもわかる気がします。
公平がいてくれて本当によかった。
要が誰とも関わりたくないと思っていても、無理矢理にでも要に心を開いてほしいと何度も電話したり。公平の一生懸命さが要を救ったんだと思います。
あと公平が真っ直ぐに要を好きなことですかね。いい年下攻めだった!
そのおかげで要は自分の過去とも加瀬とも向き合うことができたわけで。
最後はちょっと泣いてしまいました(;_;)もちろんハッピーエンドです*
エロもありましたよー加瀬には何も感じなかったのに公平だと感じまくってる要とか、ちょっと意地悪する公平が良かったw

ただ加瀬のことがね・・・。
彼もただのDV男ってわけじゃなくて悲しい過去を持っています。
加瀬もちょっと可哀想でした。ずっと寂しかったんだろうなあと。
加瀬の話も読みたいですねー加瀬にも愛する人ができて幸せになってほしい。

痛い系や切ない系好きな方にはおすすめです!

10

痛いのと甘いのと

 表紙の青が綺麗で買ってしまう初読み作家の作品第3弾!(第1弾「雨上がりの10年目」 第2弾「夜中に台所で」)
 あらすじが好みの設定だったので、表紙の青もさることながら衝動買いしました。

 過去のトラウマがあって、そのトラウマを払拭してくれそうな人と出会って、人間的に成長してラブになる。
 これが大好きな設定なのですが、満足するものに出会えるのが難しい設定でもあります。
 この作品は満足度は80%くらいかなぁ。

 主人公の要は過去に犯した罪が原因で、恋人からの酷いDVも受け入れ、バイトのめちゃくちゃな労働条件にも従い、自分を痛めつけています。だけど、公平に出会うことで耐えていたものが崩れ、本音があふれてきます。

 切なくもなったし、最後のエロもよかったし、重要視する労働部分にも大満足なのですが、そんなにうまくいくものかな……と思ってしまいました。ひねくれた性格だから、そう思ってしまうのでしょうか。(そのへん、他の人の感想が聞きたいところ)
 それでも、依存的関係から要もDV加瀬も自立できたのはよかったです。

 あとがきで当初、短編を入れる予定とありました。ほのぼのラブも読んでみたかった! それが残念です。

 
 全く関係ないですが、初めて買ったこのレーベル……。本文の紙、悪くないですか? その割にお値段が高いような。文庫でこの値段だと、手が出にくいですよね~。買いましたけれど。
 

6

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP