艶に惑うは、仮初めの妻。

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表題作そして蝶は花と燃ゆ

雨柳道風,若頭補佐
鳳城桐弥,鳳城組組長の息子

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

鳳城組組長の息子・桐弥は、カタギの高校生でありながら、天才的な博徒だった。若頭補佐・雨柳の仮初めの妻として、女装して賭博の女胴師を演じる桐弥。だが、極道見習いの水無月にほのかな恋心を抱く彼を、雨柳は許さなかった。「俺が極道である限り、お前を放しはしない」幼少の頃から兄のように慕っていた雨柳が、危うい色香を放つ桐弥に、修羅の如き執着と情欲の焔を燃え上がらせる。さらに組長襲撃事件が起こり、跡目争いも勃発する中、その独占欲と愛欲に惑う桐弥は――?
出版社より

作品情報

作品名
そして蝶は花と燃ゆ
著者
犬飼のの 
イラスト
Ciel 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829624463
3.1

(17)

(2)

萌々

(5)

(5)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
6
得点
48
評価数
17
平均
3.1 / 5
神率
11.8%

レビュー投稿数6

読み応えあり

再読。これが商業デビューとのこと。なかなかに読み応えがありました。

博徒の家に生まれ、胴師としての才を受け継いだ桐弥。博徒としての誇りを大切にする若頭補佐の雨柳。
カタギと胴師の間で揺れ、心が定まらない桐弥が、修羅場をくぐり抜け、一人前の胴師として覚悟を決める成長物語。一方、桐弥に惚れた雨柳。言葉が足りないが、博徒としての組の経営と、桐弥のことを常に大切にしている。

当初、桐弥は、世話役の水無月に恋していた。爽やかでまっすぐな水無月。そして水無月もまた、桐弥を好いていた。

カタギになる道を残すため、女装して雨柳の妻としてサイを振る桐弥だが、他の組に行った雨柳の弟分に賭場で正体を見破られた上に、挑戦をうけ、胴師として勝負は渡せないと本気になる。

そんな時、桐弥の両親が殺害される。極道に反対していた母が亡くなり、失うものがなくなった桐弥は、雨柳を助け、組を支える姐さんとしての道を進む覚悟を決める。
同時に、雨柳の本当の妻になろうとする。

雨柳が仕事が出来るので説得力はありますが、水無月を諦めて雨柳の元に行ってから、雨柳を好きになるまでが早すぎて拙速でしたかね。

また、雨柳が桐弥に拒絶されて姿をくらますあたり、責任感どうなの、とか、クラブで呑んだくれていて、桐弥が迎えに行った時もカタギになったと駄々をこねるも、親であった先代のことを持ち出すとすぐに態度を変えるなど、やや安易な展開がありました。

2

強きもの、弱きもの。

大好物です、極道もの。

暴力、殺し…と、この作品を包むものは暗いものばかり。
だけどどこか凛としていて、桐弥も雨柳も痛く愛おしい。

強くあろうとする雨柳、だけど大きすぎる存在の死によって弱い部分を隠せなくなってしまう。
そんなときに叱咤したのは、桐弥だった。

ほのかな恋心を抱く桐弥、それを許せず執着する雨柳。
親の死によりその道を選ばざるをえない桐弥は、カタギにはならず極道に染まる覚悟を決めた。
桐弥のその強さがまぶしかったです。

一見桐弥のほうが弱く見えるけれど、芯が強いのは雨柳よりも桐弥なのかもしれない。
だって雨柳さん、ヘタレだし(笑)
尻に敷かれてしまえばいい。←

あぁぁぁぁっ。Cielさん、素敵です。
桐弥色っぽい…雨柳おっとこまえ!緋牡丹が美しい…。

3

いいなぁ、シリアス博徒モノ…。

受けの心情が、しっとり艶やかに描かれていて萌えました。
淡く切ない初恋、博徒としての運命を受け入れるまでの葛藤…。

強いようで脆い部分もある、攻めの苦しみも良かったです。

殺し・刃傷沙汰・凌辱シーンがあって、暗いトーンですが、
そのうえにキラめくような恋情・執着の数々。

受けは高校生ですが、すごく大人だと思いました。
普通の高校生として生きたいのに、親を殺されて、待ったなしで決断・行動しなければならない。

やわらかい心を持っていて、色々感じたり考えたりするんだけど、
熱い博徒の血も持っていて、すごい行動力もある。
初恋を昇華させて極道になおるまでの葛藤が良かったです。

攻めはかなり強引で暴力的な行いをしますが、病んでは無いと思います。
組の親の大恩に対する責任感と、受けへの強い思い。
大人としての色気があって、強さと脆さのコントラストにぐっときました。

殺しの犯人には「えっ」とびっくりしました。

1

選んだもの。

 鳳城組組長の息子・桐弥は、カタギの高校生として学校に通いながらも、天才的な博徒だった。
 その才能を買われて、若頭補佐・雨柳の仮初めの妻として、女装をして賭博の女胴師を演じる桐弥。
 けれど、桐弥は極道見習いの水無月に、ほのかな恋心を抱いていた。
 もちろん、そんな桐弥を雨柳が許すはずもなく、修羅の如き執着と情欲の炎を燃え上がらせる。
 そんなさなか、組長襲撃事件が起こり、桐弥の父でもある組長と母親が命を落としてしまう。
 突然の出来事に、ちゃんとした遺言さえもなく、跡目争いも勃発するが、桐弥は組を守るため、博徒としての誇りを守るために、ある一つの決断を下す。
 その決断を下すことは、後戻りのできない道へと歩み始めることで……

 という話でした。
 桐弥は淡い恋心を、まっすぐに自分の道を定める水無月に抱いているものの、その優しい想い想われる静かな日々ではなく。
 自分が博徒として生きるために、胴師として生きるために、雨柳と生きることを選び取る……

 そんな感じで、中途半端な自分を恥じていた桐弥が決断を下し、無理やりな関係が、気持ちの伴った対等な関係になるまでの話。
 表紙の絵のとおり、かなり艶やかな世界だったように思います。
 濃い目のBLが好きな方にはぜひ、オススメします。

3

若頭補佐×組長息子

ヤクザと極道の違いは?博打うちって?
そんな事がちょっと詳しくなる1冊でした^^

主人公は、古き良き「博打うち」鳳城組の嫡男・桐弥(18才)。
博打の技を仕込まれ家業に納得しながらも、カタギにも未練がある。
そして、美貌も丹も才もある若頭補佐の雨柳。
下っ端ながら、朗らかで気が利く桐弥付きの水無月。
この鳳城組は、指定広域暴力団には組せず、清水の次郎長親分とこみたいな感じ。
今まで大事無く過ごしてきたのに、体を壊している組長から雨柳が次代指名を受けた時から、大暗転・・・!(↓もこさん参照)

文章がソツなく過不足無く、いい感じです!
その人の悩みや立ち場で引く所出る所の辻褄がちゃんとあっています。
キャラもそれぞれ立っていて、誰と言わずに誰だと分るのは気持ち良い!
橘、もう嬉しくて早い読みでございました!
はい・・・3/4までは確かに・・・!

途中、あの濃い彼が出てこないので心配していたのですが、やっとここからの登場は何故?
今までの順調な話の流れを留めたように感じました。
彼の雨柳への執着を、小さくても良いからもう1~2エピソードがあって読者に印象付けておいて~なら分るんですが。
それらが無かったから、それまでの怒濤の展開や頭の切れる雨柳のキャラを霞ませてしまったと思います。
取ってつけたような「転」だから、彼の理由付けが説明で終わってしまって、それが薄っぺらくて気持ち良くない。
彼の偏執狂の部分、雨柳の悔悟の部分が充実してこそ、それらを赦す桐弥の成長をもっと伝えられたのでは?と、惜しさが残りました。

既読【蝶よりも 華よりも】でも感じましたが、話の枝葉がうまく繋がって「すごく好みだ~」と喜んだ後、説明不足や盛った部分が勝ち過ぎと思うところもある。
読んだ2作品は作者の早い時期での作品だし、折角の文章なので、次作次々作と期待して読んでみます^^

3

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