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表題作災厄を運ぶ男

大学同期で金貸し業 戸田和志・33歳
実家の町工場の再建に苦労する 里見秀一・33歳

あらすじ

倒産寸前の父の町工場を継ぎ、多額の借金を背負った秀一。金策に悩む秀一の前に現れたのは、大学で同期だった戸田。ヤクザまがいの金貸しを営む戸田は「無期限で金を貸そうか」と囁いてくる。悪魔のような美貌の笑み。
疎遠だった十年を埋めるかのように近づいてくる戸田に破格の条件を提示され、とうとうその手を取ってしまう秀一だが・・・!?
情欲の焔を隠し持つ男と堕ちる宿命的な恋!!

作品情報

作品名
災厄を運ぶ男
著者
水原とほる 
イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199005688
2.7

(11)

(0)

萌々

(1)

(7)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
7
得点
27
評価数
11
平均
2.7 / 5
神率
0%

レビュー投稿数7

え?こういう話?

一言で言うと、
「執着攻めxロックオンされて雁字搦めの可哀想受け」。

主人公の秀一は既婚者子持ち。
で、一貫してずっと家族想いで妻と子供を大切に大切にしている。
なら何故BLが成立する?
そこに秀一の落ちた罠というか、不幸な偶然の積み重ねというか?

秀一は元々大手商社勤務のリーマン。
取引先の受付嬢だった美幸と恋愛結婚し、娘も産まれた。平凡だが幸せな家庭。
しかし実家は町工場で、現在経営が傾いている。
妻・美幸の理解で商社を辞め、実家を手伝うことに。
はじめは良かったのだが、父親が悪徳金融から黙って借りた借金を苦に急に自殺してしまい…
…という流れで、秀一の人生は急降下です。
そこに「偶然」現れる大学時代の知人・戸田。
戸田は金融会社を経営していて(バックは暴力団?)、破格の条件で融資してくれるという。
もうおわかりですね。
そう。戸田は秀一を狙ってるんです。
初めっから怪しいから秀一も話も聞かないんだけど、背に腹はかえられぬ、おカネを用立ててもらうしかない。
この辺、お金の問題で追い詰められていく秀一の描写はキツいです。
と同時にジワジワ戸田は魔の手を…一緒に飲みに行って一服盛ってカラダをまさぐったり(当然写真も撮る)、工場に押しかけて無理やりキスしたり、部屋に呼びつけて遂に強姦したり。
カネと脅しで既に動きが取れないのに、更にダメ押し。なんとモデルガンを改造しろという要求までしてくる戸田!
やらなければ戸田がヤクザに消される?と思って承諾する秀一。
どこまでお人好しなんだ、秀一…
もうこれは犯罪。ここまで来たらもう妻子に顔向けできるわけないよ?
…と思ったら本当に。
ラスト、秀一は戸田を選ぶ。これは驚いたわ〜…
「選ぶ」というか、もう見捨てることができなくなったというか。情が湧いちゃったのかな。その上自分も犯罪に片足突っ込んじゃった負い目なのかな。
しかし、妻と子はどうなる?まだ愛はあるのよ。
これでいいのか?いいわけないぞ。
こんなに「え〜っ⁉︎」となる作品はある意味久々。「萌」で。

1

ラストがちょっと…

帯『逆らっても無駄なんだよ
諦めて俺と一緒に闇へ堕ちろ―』

リーマンだった秀一〔受〕は傾きかけた実家の工場を手伝う為に地元へと戻ります。
しかし不況の波はハンパなものではなく、父親は裏で借金をしていてそれを苦に自殺。
秀一の元には工場と1600万円もの借金が残され、とりあえず彼は妻子を彼女の実家へとやって、居酒屋のバイトと工場とで必死に働きますが焼け石に水。
そんな秀一の前に現れたのが、大学時代の知り合い戸田〔攻〕
戸田には悪い噂があり、また大学時代に戸田と特に仲良くもなかった秀一は彼の借金一本化を拒むのですが、ついに妻子の元にも借金取りが現れ、秀一は戸田に頼る事となります。
戸田は噂通り、カタギの仕事以外に裏の仕事もしていて、それに秀一は巻き込まれて行く。

面白かったんですが、個人的には妻子を捨てて秀一が戸田と一緒に行くのが奥さんと娘さんが可哀想でした。
だって凄く出来た奥さんと可愛い娘さんなんですよーーー。
本当に離れていいのか!秀一!!って気分になりました。

ただまあ秀一と戸田のコンビはおもろかったですけどねー

3

ああ~やっぱりダメ・・・

真面目なリーマンだった受け様が実家の経営難の工場を継ぎ       実父の死をきっかけに思った以上の負債を抱えてしまい
奔走している時に大学時代の同窓生に偶然出会う。
大学時代にさほど付き合いも無かった攻め様から
突然好条件の融資を持ちかけられ、最終的に融資を受けてしまう。
でもそれは攻め様なりの思惑があっての事で・・・・

まあ、長い間一方的に妻子もある受け様に
好意を持ちつづけていた攻め様が長年のストーカー並みの
しつこさで偶然を装い近づいて受け様を自分のものにと
暗躍する内容です。
借金のカタにって訳でもないからあくどくは無いかな
でも、ヤクザとも繋がりのある攻め様は受け様を
違法行為の片棒を担がせるのでやっぱりサイアク。
結局受け様が攻め様にほだされる形でくっつくんですよね。
そして受け様は妻子を捨てて攻め様と破滅の道です。

う~ん、やっぱりこの先生の感性とどうも合わないと
最近ようやく気が付きました。。。
結構読んでるのに気が付くのが遅いです(笑)
ファンの方には大変申し訳ないです。
重いとか暗い以前にすっきり感がいつも無くて
個人的にもやっとする傾向が多いのです。
白黒はっきりが好き&ハッピー好きには評価低いかもです。

   

0

こういう水原とほるが好きなのだ!

やっぱ愛すべきろくでなしを描かせたら上手いなぁと思わされた作品。
「いい人」を描く水原とほるさんも良いのですが、ろくでなしを描いてる水原とほるさんが一番好きです。
最初は無茶苦茶なんだけど、いや、後半も無茶苦茶なんだけど、その無茶苦茶さを「ハイハイ、分かった分かった」って感じで受けが受け流すようになってからがイイ。ひたすら可愛い。
二人旅を続ける中で逆転していく二人の関係がめちゃくちゃ面白かった。
受けが主導権を握るのは、「無軌道な旦那を賢い嫁がコントロールする」構図に似てて、萌えるものがあります。

最後の受けの決断が唐突だったように感じた方が多かったようですが、私は、多額の借金があること、ヤクザ絡みの銃の改造に関わりを持ってしまったこと(またヤクザに所在を知られていること)、これらがしっかり伏線になってたと思います。とくに後者は犯罪絡みだから決定的。
同じく水原とほる作品で妻子を捨てる『迷い恋』という話があって、こちらには説得力を感じなかったんだけど。

3

終盤にスピードダウン?

いつもの水原先生は、暴力や理屈っぽさが飛び交っていて、どちらかというとねちっこいと思います。文章も割りと多めですし、私としては読むのに時間が掛かる作家さんだなぁという印象なのです。ですが、今回は今までに無いほどのテンポが良くキャラの心の動きも小気味よかったなぁと感じました。

まず、秀一の転落人生 (と言っていいのでしょうか) の可哀相具合がひしひしと感じられて良かった!
水原先生作品の主人公て、どうも自分がカワイイという考えがちらちらしていて苦手だなと思うのですが、今回の主人公は 「借金がある、だから頑張る」 、それだけだったのですごく気持ちが良かったです。
そもそも最初は良き妻と可愛い娘に恵まれて一家の大黒柱だった人ですし、借金に溺れてもイジイジすることがないし、戸田に好かれても自分が魔性だなどとは思っていないし、ほんとう…珍しいほどに、水原先生の主人公なのに一瞬もイラッとしなかったんですよ…! ←

一流企業を退職し、傾けるだけ傾いた小さな父の会社を手伝うようになった秀一。でも会社はもはやどうにもならないところまで来てしまい、社長であった父は首を吊って自殺してしまう…。
このあたりの…実の父親が亡くなったというときの内容がやたら薄かったのは気になりましたが、それからの秀一の苦労と、秀一にとって変形版・紫のバラの人である戸田との掛け合いがとてもおもしろかった!
戸田はね…、終盤でプチストーカーだったことが判明するのですが、そこを含めて鑑みても、なかなか一途で可愛い奴なんじゃないかなと思いました。愛情は歪みきっているのですが、自作自演を繰り返してでも秀一に近付こうとする姿が健気だとすら思えた。途中、調子に乗った罰としてちょっと痛い目も見ているのですが、その辺りはご愛嬌です。「チクショー」 が口癖の戸田、もしかして水原先生作品で一番好きかもしれません!

…ただちょっとだけ難を付けるとしたら、“すごく頭が切れる” わりには落ち着きが無いことでしょうか。
いわゆる天才として、会社もヤクザも秀一も手の平で転がしているかのような展開を見せていますが、彼の言動には冷静さや知性があまり感じられません。お話の流れだけではなくて、そうした個人としての仕草等にも設定の説得力がほしかったな…。

終盤までは、伏線の張り方や人物の気持ちの動きにだいぶ心を奪われていました。
が!
最後の秀一の決断がひっかかってしまいます~…。
そんな大事なことをそんな一瞬のような時間で決めてしまっていいのか?それも自分ひとりではなく、自分が愛した人と自分が血を分けた人とのことなのに?BL的なハッピーエンドにするためには必要な決断だったかとは思いますが、家族的な意味では最悪の決断だったのではないでしょうか…。否、BL的なエンドとしてもサラッとしすぎている気がします。執着愛を見せた戸田が相手なのに、そんなにアッサリと決めちゃっていいのでしょうか?

珍しく不倫愛を楽しんで読めていたのですが、ラストに引っ掛かりを覚えてしまいました…。やはり鬼門なのかな…!?

3

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