仔犬が恋したのは、冷酷非道の蛇だった。

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表題作片恋の唇

 橘孝祐,37歳,黒木組No.2の金庫番
夏目要,16歳,ヤクザの使い走りから拾われた

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「無邪気な顔で、大人を煽るのはやめなさい」
暴力団の使いっ走りの夏目は、組長に片思いをしていた。だが、その思いとは裏腹に、組長の側近・橘の元で働くことに。冷酷で蛇のような男は、夏目に常に厳しかった。ある日、組長と情人の激しい性行為を見た夏目は、身体の疼きを抑えられず、橘の手で達かされてしまう。昂ぶるたびにされる淫らな行為――橘は決して最後まではしなかった。言葉は少ないけれど、触れる手から伝わる優しさに、夏目は橘を意識し、次第に彼の傍にいたいと思うようになって……。
(出版社より)

作品情報

作品名
片恋の唇
著者
高尾理一 
イラスト
緒田涼歌 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
シリーズ
愛咬の掟
発売日
ISBN
9784773085174
3.6

(23)

(7)

萌々

(4)

(9)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
80
評価数
23
平均
3.6 / 5
神率
30.4%

レビュー投稿数5

猫に対して子犬

「愛咬の鎖」のスピンオフです。
この作品でも、後半は夕志が良い役割をしてくれています。お兄ちゃんのような。

組に入る前の夏目を橘が貰い受け、更生?させようとします。
ところが、永瀬に依頼された仕事で夕志の面倒を見ることになり、さらに長瀬と夕志のセックスシーンを見せられてしまいます。
童貞の夏目には刺激が強く…それを緩和するために?橘は夏目に快楽を教えます。
でも、、、抱くわけじゃない。

永瀬に憧れていた夏目でしたが、橘に惹かれていくようになります。
何とか側にいたいと思うのに、橘は夏目を遠ざけようとする。汚い世界から離れてふつうに暮らしていってほしいという思いで。
でも、夏目は納得できずに、というわかりやすいストーリーですが、夕志が“猫“なのに対して、夏目は“子犬“扱いです。
上手い対比だなって思いました。

でも、猫派の私には前作の方が良かったかな。
橘というキャラクタは魅力あるんですけどねー

0

この本のすべてが性癖

BL小説を読み始めたばかりの時に読み、性癖に刺さりすぎて、その後のBLの読書傾向を決定づけてしまった一冊。久々に読み返したけど、年上眼鏡の敬語攻めはやはりドツボ。

改めてあらすじ見てると、攻め様が冷酷非道なドSみたいに書かれてるけどちょっと違うんだよな。確かに、受け以外にはそうなのだけど…。
受けの夏目くんは不憫な境遇で、チンピラのパシリをするしかなかった子。そこを橘に拾われる訳だけど、最初はスピンオフ元「愛咬の掟」の攻めである永瀬に憧れを抱いてる。
で、なんやかんやあって生活の面倒を見てくれている橘に下半身の面倒まで見てもらう羽目になるわけだけど、橘は夏目の永瀬への想いに気づいているし、保護者的な責任がある。
なにより夏目を本気で更正させたいと思ってるので、大人の自分が抱いてモノにするのは違うんじゃないか、と考えて、夏目のことはたっぷり性的に可愛がってあげても、キスはしないし、自分の欲望をそこで発散させたりはしない。

そこから生じるふたりのすれ違う気持ちが、切なくていい。
夏目はその頃には橘が本当は優しい人だとわかっていて、永瀬への想いとの違いも自覚している。自分が子どもだから、ヤクザな大人の世界に踏み込めず寂しい、でも橘に認めてもらいたいし、もっとそばにいたい。夏目が大切だからこそ、巻き込みたくないという橘と対立してしまい、溝は深まるばかり。
その上、橘にはつらい過去があり、自分の手を汚しすぎているので無垢な夏目にはふさわしくないと思ってる。
ベタと言えばベタなんだけど、やっぱこういうの好きでキュンキュンくる。
そこからの、「一度私のものになったら、一生そうなんですよ」は、もうね!  萌えすぎて本持ったまま、プルプルしちゃって読めなくなるレベル。ほんとこんな顔して、ベタベタに溺愛してるんだよなあ、この人は。

そんでもってハピエン後のSSが、ほんっとあまあまで。もうこれだけでも、何十回読んだことか。
橘は、じっくり時間をかけて仕込む系のエッチをする人なので、夏目は恋人になって日が経つのに、未だフェラをさせてもらえない。
で、考えた作戦が橘より早起きして、寝てる隙に跨がってしちゃえばいいんじゃね?っていう安直なやつw
当然橘が何枚も上手なため失敗するんだけど、この時の夏目が可愛いすぎるわ、橘の反応がツボすぎるわで萌え転がってしまう。これからも何度も読み返すと思う、お気に入りの神作品。

1

あなたは猫派ですか?それとも犬派?

犬派な方はこちらの作品。
本編の『愛咬の掟』のスピンで、本編の受様のあそこにゴムをつけさせられていた
あの子が今回は主役の受様です。
この仔犬のごとき小さくて可愛くて、世間知らずで頭がちょっと弱い感じの受様を
こよなく愛するのが、本編の攻様の側近でNo.2の方です。
本編の受様が蛇のようで恐いと、びくびくしてしまうこの方も仔犬の前ではメロメロです。
こちらの攻様はボスと違って言葉使いが妙にいいです。
37歳と16歳という年の差カプでもありますし、こちらの方が好き!とい方も多々おられるのでは
ないかと思います。
No.2はとにかく仔犬を気持ちよくされることに熱心です。自分のなんてとてもじゃないけど
突っ込んだりしません。
もとはヤクザさんじゃないので、子供相手に大人がとんでもないことをしてはいけないと
まるで親のような懐の広さで受様を教育していきます。
そんな、受様の将来なんかも考えて、途中ぐるぐるしたりする攻様を横目に
攻様のことが好きなんだと自覚した仔犬はですね、とにかくつながりたいと。
それがかなうとあれ、舐めたい!あれ、舐めたい!と困ったちゃんでして・・・
なんせ、自分の目の前で本編の受様の口淫を見せられて、しかも気持ち良さそうだった!
となれば自分も舐めてみたいと。
純真無垢な仔犬はどこまでも突き進むのでした・・・・
(でも、させてもらえないんですけどね。時期がきたら嫌というほどされられる運命みたいですが)

0

可愛い主人公のピリッとした「ヤクザモノ」

主人公は、16才の薄倖の美少年「夏目」。
最低な家庭環境から勉強もできず手下キャラが板に付いて、おぼこさ・頼りなさ・諦め感100%な憐れな子。
“かわいがって”と書かれた段ボールも無く、台風の中すべり台の着地点あたりで震えていそうな全くの「迷い仔犬」でした!(泣)
あ~それなのに、周りは自分勝手で傲慢な大人ばかりで、夏目の将来に夢や希望は想像すらできない!

きっと優しい皆様は、紙の中の夏目の直ぐ先のハラハラ、手を差し伸べたくなるでしょう。
だけどね、黒木組の蛇「橘」が、この夏目の痣だらけの上半身をご覧になってから何でかご執心で、夏目には誰も近付けさせないのです!
夏目自身も、橘を怖い怖いと恐れながらも、橘の行き届いた奉仕に気付いてくる、この展開はもう大好物♪

可愛い夏目の話ながら、ヤクザものなので相当な修羅場(やんわり隠されていますが)はあります。
夏目に触っただけで“魚のエサ”にされてしまった悪モブさん達には、警察に捕まった方がどんだけ良かったかとお気の毒さま。
夏目が、自分の為に橘の手を汚させてしまった事への罪悪感や、ヤクザのケジメや手管を受け入れられるかどうかが、恋する橘とのスタートになるのです。

2面性を持つ橘の片方のヤクザは「蛇」で納得。
夏目だけを悦ばせていたもう片っぽの優しい(?)上司の面は何?
夏目が橘を受け入れた途端に、死んだふりをしていた「蛇」が鎌首を擡げ~っ!やっぱり蛇でした!
この先も拝見したいような,怖いような→あ、よだれが!

前作『愛咬の掟』では、夏目がお世話係をしていた穂積(前カプの受け)との絡みも多いし、夏目視点の橘×夏目の本作も同時系列なので、2冊は纏めて読むのが絶対良いです。
緒田涼歌イラスト、夏目はまん丸おめめで愛らしく、他の大人達は釣り目細目って、その差もなかなか乙。
初めての高尾作品、読み易くってキャラもストーリーも満足♪面白かった~♪

3

夏目くんの初めて物語

前作『愛咬の掟』のスピンオフで、その作品に登場した二人のお話。
前作は多分ハードな感じの(でも甘い)ものだったのかな?と想像するのですが、こちらは受けちゃんが16歳の少年なんでちょっと甘い作りかも?
でも、背景にヤクザ世界が存在するので、受けちゃんの直接関わらないところでは、ものすごく容赦ない制裁とかあったりするんで、そのギャップに驚かされました!!
前作の恋人は猫なら、今回のは仔犬・・・
蛇に飼われた仔犬って、、、変な組み合わせ、とも思いながらとても楽しめました。

アル中でDVで母親は家を出てという悲惨な家庭で育った夏目は高校へも行けず、そんなで唯一接してくれた先輩がヤクザの三下になったので、それにくっついてパシリをやっていたのですが、ある日、その組の№2の橘に呼ばれて、彼が趣味でやっている会社で働くことになるのです。
それは、いままでまともに生活してこなかった夏目に一般的な普通の社会生活を教育するようなものでした。
そんな時、組長・永瀬がネコを飼ったからそれの世話をしろということで連れて行かれると、ネコはネコでも人間のネコ・・・夕志だったのです。
そこで、激しい性交を見せられて勃起してしまう夏目。
帰りの車の中でも始まったその交わりにイってしまい、バツ悪くしていると、橘が抜いてくれて、、、それまで怖いと思っていた橘がとても気になるようになるのです。

橘が冷たい蛇のような人だと夏目は敬遠しているのですが、気になりだし、彼の優しさに気がつく時、「人間の皮を被った蛇じゃなくて、蛇の皮を被った人間だ」という感想を夏目が漏らすのですが、この表現が的確すぎておもわず、ナイス!と言ってしまったです。
夏目もムけたばかりで、やりたい盛りの青少年なんで、橘がヌきたくなったらいつでも連絡しなさい(おおー!独占欲v)って言われるのですが、毎日したくて、でも言えなくて、そんな部分がヘヘヘ、、、とニンマリしてみたりww
橘も、ちょっとお仕置き風に言葉責めの風をていしていたり、決して橘は最後までやらずに服は着たまま、夏目をイかすだけなんで、彼はよっぽど苦しかったと思いますよ。
そんな生殺しだから夏目にも逆効果ですよね、、どんどん気持ちが募っていってしまう。
短くて30分、長くて3時間って、、、おいおい、3時間も何するんだー!!とニヤけてしまう自分はエロオヤジ気分。

そんなおいしい部分も満載ですが、夏目と同じ会社で働く女性が橘に懸想していて、夏目に嫉妬したあまり陥れようとするのがクライマックス。
ここで前作、この作中にも出てきた永瀬の恋人になった夕志が出てきて結構イイ活躍をするのです。
監禁・調教のシーンも含め、前作とうまいリンク具合だな~と感心しました。
橘の冷徹な残酷な面も見せながら、それを受け入れてしまう夏目もダテにヤクザのパシリをしていなかったっていうか、ただの少年でなかったからなんでしょうね。

16歳と37歳の、実に歳の差21歳の親子ほどの歳の差カプですが、橘が夏目を可愛がっているのがまるわかりで、(ただ決め手には弱い)そこがおいしいです。
夏目はある意味童貞ですから、高尾作品の童貞モノが好きな自分にはこの童貞モノも特殊ではあるけれど愉しませてもらいましたv

3

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