恋文で 人生が狂う

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表題作マッチ売り

廣瀬清,高,大学生 
花城青司,出版社社長,燐寸売り

同時収録作品やぎさん郵便

澤陣一郎,花城の部下
有原岑生,大学生

その他の収録作品

  • あとがき
  • カバー下、社長の椅子

あらすじ

返って来た本のページにまぎれていた恋文。宛名があるはずの1枚目は無い。文末の署名は本を貸した友人の名。その友人は急に東京を去るという。それは渡せなかった手紙の所為か。手紙を返そうと友人を待つ学生、廣瀬清高。トンネルの向かいにはヤミのマッチ売り、花城青司が立つ。煙草を吸うため花城から燐寸を貰い、待ちぼうけのいきさつを話す。「何一つお前のせいじゃねえよ」と、お人好しの廣瀬に惹かれはじめた花城は――。 恋文で人生を狂わされた男たちが絡み合う人間関係と感情の中で選ぶ運命の相手とは。
草間さかえの長期連載「マッチ売り」~「やぎさん郵便」が描き下ろしを含みファン待望のコミックス化!他では読めないTHE草間さかえワールドをお届けします!
(出版社より)

作品情報

作品名
マッチ売り
著者
草間さかえ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
シトロンコミックス
シリーズ
マッチ売り
発売日
ISBN
9784862638564
4.2

(248)

(140)

萌々

(59)

(30)

中立

(9)

趣味じゃない

(10)

レビュー数
39
得点
1035
評価数
248
平均
4.2 / 5
神率
56.5%

レビュー投稿数39

恋文をめぐる、幾通りもの恋。

すごく好き!!
世界観が好き!!
草間ワールドにググ~っと引きこまれます。
草間さかえさんって、こういう大正~昭和初期の時代設定がすごく合いますね。
和です、すごくかっこいい…!
今までの草間作品でもかなり上位に入ります!!

大学生・廣瀬が持つ、友人の書いた恋文。
それが全ての始まりでした。
廣瀬は友人・有原が書いた宛名のない恋文を、有原に返すため毎日トンネルで待っていた。
そこで出会った燐寸売り・花城と出会い…。
男娼まがいの社長・花城と、純朴大学生・廣瀬。花城に恋する歪みまくった部下・澤と、廣瀬に想いを寄せる痛くされたがりの大学生・有原。
4人の恋は、有原の恋文のせいでこんがらがって…。

“物語は、廣瀬と花城の恋がメインで進みます。
純粋で素直な廣瀬に惹かれ始める花城は、無理やり廣瀬と身体を繋げます。
廣瀬も、花城に惹かれていきます。
男娼などしていた花城ですが、廣瀬には本気で惚れているようで、
時には頬を染めてみたり、時には女王様面で誘ってみたり。
いい大人で相当遊んできただろうに、廣瀬の言動に一喜一憂している様がとても可愛らしいです。
そしてエロいです。エロスです!!
しかしそんな花城も、辛い過去がありました。
それはある“恋文”に関することで…?
花城はすごくビッチなイメージですが、この過去の恋が根底にあり、すごく脆いような印象を受けます。

廣瀬は、年下ワンコのお手本のようなキャラです。
花城に対する気持ちは恋なのか、それとも性欲に流されてるだけなのかわかりませんが。
周りのキャラが強烈すぎて印象は薄めですが、彼が唯一のこの作品の癒し系だと思いますw

また、花城の部下であり仕事のパートナー・澤。
彼は花城に恋をしていましたが、花城には伝わっておらず、廣瀬と花城の関係を目の当たりにすることになります。
普段クールな彼が、時折見せる、狂おしいほどの花城への激情にはゾクゾクしてしまいます。
そんな彼が新しい下宿屋で出会ったのが、廣瀬の例の恋文の差出人・有原。
有原の恋文の相手が誰だか悟った澤は、有原を脅しながら肉体関係を結びます。
好きな相手がいながらも、他の男にひどく扱われてきた有原。
繊細で、とても脆い有原は、ちょっと花城と似ている部分がありますよね。
痛々しいけれど、そんなところがさらにエロくも見えたりします。

有原の恋文を彼のもとに返すことができず、苦悩する廣瀬。
有原の恋文を読み嫉妬し、また過去にある恋文のせいで苦い恋を味わった花城。
有原の恋文を手に入れ、有原を脅しつつも、やるせない澤。
そして恋文を書いたけれども、好きな相手には想いを伝えられない有原。
こんがらがる思いの中、どんな結末が待っているのでしょう。
もうとりあえずこの作品の世界観と言うか空気感がたまらなくって…。
うまく言葉に表せないのがもったいないです、誰か代弁してください!!
続きが早く読みたいぞー!!

13

ご飯は30回噛むと甘味が出てくる

という表現が、草間作品にはよく合う。
何度でも読み返すほどに味わい深く、新しい発見をしたりもするのです。
この本もまた一見シンプルなのに、「恋文」を通して何人もの人間が交錯した関係を見せて、実に奥が深いなぁと思わせるのです。

ノスタルジックな雰囲気を持つ草間絵には、終戦後という時代設定は実によく合う。
題名の『マッチ売り』隠語で、身体を売る人のことだ。
トンネルでヤミでマッチ売りをしている青司は、何と社長!
春画とか今でいうところのポルノと呼ばれるものを出版している会社のようです。
そんな彼が出会ったのが、大学生の廣瀬。
友人にもらった本に挟まれていた恋文を返そうとその友人を待っていたのでした。

ちょっと鈍感で真っ直ぐな廣瀬を思わず押し倒して、大勢に弄られないとイけない青司が、廣瀬でイくことができ。
それ以来、青司と仲よくしてしょっちゅう会っていることにヤキモチを妬き嫌味を言う、青司の部下(同僚?)の澤。

その澤の下宿に忘れ物を取りに来たのが、廣瀬が待っていた友人・有原。
澤はその恋文の1枚目を見てしまい有原を襲ってしまう。

この気持ちの一方通行が実に面白い!
青司を思う澤、廣瀬を思う有原。
でも青司は廣瀬を、廣瀬は青司を。
青司の常連客のロシア語の教授も少し絡んで、シンプルなんだけど気持ちの糸は絡んでこんがらがって。
これが実に味わい深いのです。
”白ヤギさんからお手紙ついた、黒ヤギさんたら知らずに食べた”思わず口ずさんでいるようなお話。
本人達の意図としない方向へ流れ出す、たった一通の恋文のせいでw

それぞれのキャラも充分に魅力的であり、ワンコ、ツンデレ、天の邪鬼、ヘタレ、腹黒、オヤジ、、、バラエティに富んで奥行きが実に深いのです♪
自分的に報われなくてひねくれている澤がお気に入りですv

表紙カバーをはずすと・・・爆笑!
廣瀬はふんどしなのかーーーーwww

9

恋文に翻弄される四人のお話

自分がたてた「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#ans_71862
でおすすめ頂いたこちらの作品。

一言で言えば、もっと早くに読めば良かった!!!です。

読み始めて最初に私のテンションを上げてくれたのが攻めの廣瀬。
途中から私の大好物である年下ワンコ・しかも言葉使いが丁寧で人柄も好ましい良質ワンコであることが判明して、ワンコきたぁ〜♪と思わず顔がニヤついてしまう程でした。
年下ワンコ攻めの話だとは知らなかったので、ほんとお得感150%増し。

しかしですね、予想もしていなかったまさかの事態が!
いつもだったらワンコに照準定めて読み進めていくのに、ワンコよりも周りの登場人物のキャラが濃くて、ついつい視線をそっちに注いでしまう。

まずは受けの花城。
トンネル下に佇んで、マッチと称して春を売っている。
ただの男娼かと思いきや、出版社の社長をやっている。
クールビューティーだと思ったら頰を染めてみたり、廣瀬と一晩を過ごした以降は、廣瀬に対して言う言葉がいちいち可愛いし必死だし、どうあがいても廣瀬のことが好きなんだなぁって良く伝わってくる。

二人で一晩過ごした後の別れ際のシーンがとても綺麗でした。
雪のちらつく中、振り返って佇んでいる花城。
こういうことをする人物だとは思っていなかっただけに印象深く残りました。

この二人は紆余曲折はそれなりにあるとしても、このままラストまで安定していそう。片方はワンコだしね。

この先全く読めないのが花城の右腕として働いている澤と廣瀬の同級生である有原の二人。
澤はちょっと鬼畜入っていて、現時点では好感度ゼロ。
花城に接してくる廣瀬を敵対視しているくせに、有原とは強引にやっちゃうし・・。

また有原も訳ありで実に幸薄そうな男・・・。
現時点では思い人である廣瀬に渡すはずだった恋文の片割れをネタに澤の相手をさせられたりとただひたすら可哀想。
ほんとこれから先どうなることやら・・・。

以前から気になってはいたものの「マッチ売り」に続いて「やぎさん郵便」も含めると、計四冊読まなくてはいけないというのがためらう原因でしたが、四人の登場人物をきちんと描こうとするとこの冊数は当然であると納得できました。

そして全体を貫く暗めのざらざらとした雰囲気がたまりません。

6

画面から香る、時代の色気

昭和、戦後、夜、文学、恋文、春画、秘密、嫉妬…。
様々な色気が畳み込まれるように、読み手に襲い掛かってくるような感覚。
そしてなんと言っても草間先生の素晴らしいのは「間」と「視点」だと思います。
文章の行間のように、画面や言葉の間が上手い!
映画のように、画面の視点が美しい!
物事を語る視点もまた、独特の色気があって素晴らしいです!

実は「マッチ売り」は、春にCDから買いました。
その頃調度バタバタした時期で、一回しか聞いてなくて。
音源からだと、よくわからなかった印象でした。
その後ある方にお勧め頂いて、少し前に原作のこの本を読みました。
うわぁ~、やられた…。
こりゃ原作読んでからCDを聞くべき!
CDもすごく良いのに、やはりこの世界観は音源だけじゃ表せないと痛感しました。


「マッチ売り」は前後編のみで、その後「やきさん郵便」の連載へと続きます。
「マッチ売り」は花城社長の視点を中心に、「やぎさん郵便」は澤(花城の部下)の視点を中心に描かれています。
主な登場人物は以下の四人です。

花城青司は、女性のように美しい外見の男。
飄々とした流れるまま生きている雰囲気ですが、暗い一面も持ち合わせています。
澤陣一郎は、一見、真面目でインテリ風の眼鏡男。
生い立ちが複雑な分要領よく生きる術をわきまえていますが、実は嫉妬深い面もあり。
廣瀬清高は、育ちの良い穢れをしらないお坊ちゃま。
彼のまとう純粋さは周囲の心を惑わせる程ですが、本人は自分に自信がありません。
有原岑生は、黒子の印象的な色気のある元大学生。
彼の書いた恋文は、一枚目と二枚目がバラバラになって別々の人が持っています。
この手紙が、様々な思惑と恋と混乱の原因になります。

恋文と、花城の仕事の品物が、この物語のキーアイテム。
主な四人以外にも登場する人々は、それぞれにとても癖があってとても面白い。
過去の人間関係なども交差して、人と人の繋がりが複雑に絡み合います。


黒子の有原が気になって買った本でしたが、私は完全に花城の色気にノックアウトされました。
ノンけが彼にメロメロにになるの、すごくわかります!
この本で一番お気に入りのシーンは、花城と廣瀬がお風呂に入っているシーン。
花城の足先が、廣瀬の足を少しずつ上がっていくのが妙にエロいです。
他にもおススメシーンが多くて書ききれません☆

5

狂うのが合うのか。

全ての元は有原岑生が廣瀬清高に当てた恋文であって。
しかしこの話の妙はその2人が一緒に居るシーンや会話するシーンが少なくともこの一冊には無いという事。
そして2人はそれぞれ別の人間と体や情を持ち寄ったり寄らなかったりしていて、
でもその別の人間、花城と澤の2人も例の恋文に覚えがあって、結果振り回されている。

見えない所で繋がっていたり絡み合ったりする人間関係が面白いです。
それに伴う感情は、4人の人物それぞれに違って
でもそれぞれの気持ちが読み込めて理解できる描き方が素晴らしく。
無機質だったり人間臭かったり、時々で巡る感情があって。私が思うにいちばん感情が刺さる人間臭いのは澤だな…。
花城は有原の恋文で廣瀬という、今度こそ本当に惚れた人間に出会ったんだから、早くソコに気付いて欲しい。もどかしい。でも皮肉い。笑
詰まりはそういう複雑に重なる人の妙、という上をBLで描いているという感があります。なのでまずはそこから楽しんだという事です。
でもこの設定で背景で、草間さんが描くからこそ萌えるなぁvv
帯について、狂ったその後にぴたりと合う結末を望んでいます。
カバー下について、ふんどしにブーツは萌だと発覚しました。←

時代設定は特有の理解し辛い表現や単語が少なくて苦にはならないです。
草間さんの絵と独特の空気感を楽しめばいいかと思います。
何回も読んだらいいと思います。w

4

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