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明日、俺は父親に呪いをかけた
親子ものだけど、倫理観ぶっとばして、じーんと胸打たれる気持ちが上回りました。
ガチ親子は地雷ではないので、元々大丈夫ではあるんだけど、
こちらは爽やか!タイムスリップものだからか、親子感が薄いからか…
一番の要因は父親・果が可愛くてほっとけないとこでしょうか。
お互いを思う気持ちが切なくてぎゅっときました。
Xサイドに入ってるお話も、葛藤中のところとその後が読めて良かったです。
世間の幸せと自分の幸せは一緒じゃなくて良いよね。
二人が幸せそうだとほんわかする。ちょっと優しい気持ちにもなれるお話でした。
「≠ ノットイコール」のタイトル。どういうシナリオなんだろう??
「いとこ同士は鴨の味」 従弟同志のカップルの情愛の深さが「鴨の味」なら、
親子の場合は・・なんの味?きっともっと美味いものなんでしょうね。
涼の母は、涼が生まれてすぐに離婚している。母より6才年下の父。
父の名は、末次果
その庭にはいわく因縁があって、庭のある場所に立つと次元の壁が開いてタイプスリップしてしまう。そうと知らずに庭にたって、昭和62年の14才の頃の実の父と会って恋に落ちる話。丁度父方祖母の葬儀の後。母は祖母の家が嫌いでさっさと横浜に一人で戻る。そこへ、未来から息子の涼君が庭に出現する。
無一文で過去にトリップしても、涼君は生活力逞しい。一晩泣いたら、翌日お祭りの屋台でバイトして稼いでしまう。
生活力ある涼君に驚く、果は、人付き合いが苦手。
全然似ていない父と子。
そんな若い頃の父を見て、「どうして母ちゃんと別れたのか?」と不思議に思う涼君。
本物の正之が家を訪問して、現代に戻り、父と再会する涼君。
「こんなの酷いじゃないか」と泣く父。
・・父は、事情が全て呑み込めていたみたい。息子と知らずに恋をしていたなんて、惨い話です。
次号に続く。
タイムスリップもので父子相姦要素がありますが、この巻では時間を遡ったおかげで父の方が年が若くなっていますから、あまり禁忌を犯している雰囲気は感じませんでした。少年に戻ってしまった父・果は、とてもあどけない顔立ちで可愛らしいですね。現代の果も、過去に、未来からやって来た息子の涼と過ごした濃密な記憶を持っているから、微妙な態度で接していたということなんでしょうか。逆に涼は、その思い出を完全に忘れていたんでしょうかね。涼に残された幼い果が、この後どう人生を歩んだのかも気になります。
池玲文さんが好きで、未読なのは残すところこの一冊なんだけど、私の地雷が「ガチ親子」なのでなかなか読む勇気が出ませんでした。
だけど、ふと池さんの作品なら読めるような気がして読んでみました。
池さんの「No.99:人間玩具」に収録されている超短編【肉は嗜好品】の世界といい、HP掲載のカニバリズムの絵といい、タブーってなに?肉欲って何?とか生理的嫌悪感ってなに?みたいな事をきっと池さんは普段からツラツラ考えていらして、一般的に禁忌とされている領域に関してあえて触れて読者に問いかけている作品だと思いましたし、二巻最後まで目が離せませんでした。
私はてっきり、お互いに父子であることを知らずに恋に落ちて、あとで真実を知り苦悩するという流れだと思い込んでいたのですが、違いました。
17歳の息子がタイムスリップして、14歳の時の父に出会い、若い時の父であると知りながら息子が恋に落ち、思い通じ合い寝てしまう。
若き日の父は、相手が息子だとは知るよしもないので自然と惹かれて恋に落ちるのはわかるのだけど、息子が父だと知りながら……という点に、最初読んだ時、おぅ〜!と思ったのは事実。
だけど、もともと父子の結びつきが非常に希薄なんです。
生まれてまもない頃に別々になり、会ったのも10年前に一度のみ。
これが生まれてからずっと一つ屋根の下で時々怒られたり一緒に遊んだりしながら暮らして、思春期やら反抗期やらを経験し「親父、うぜぇ」みたいな17歳だったら、いくら14歳の父親がものすごく可愛くても恋に落ちることはなかったと思う。
血は確かにつながっているけど、銅版画家として活躍する姿を切り抜きを通して知ってるだけという遠い存在なので、息子にとって父親感がものすごーーーーーーく薄いのだと思う。
父親からの愛情に飢えていて、自分を見て欲しいと思っていた息子が、14歳の父親に愛を求めるのもわかるような気がする。
親子としての愛情を築く前に、恋人同士としての感情が湧いてしまったという不幸。
そして元の世界に戻らず14歳の父親がいる世界にとどまって、この時代でこの場所で一緒に歳を取りたい、母親なんかと寝させないと覚悟する姿が胸にきます。
冒頭でガチ親子が地雷だと言ったけど、描き方、取り上げ方だなとつくづく思いました。
親子でやるのって背徳的でエロい、とか、息子の息子がかわいくて仕方ない親父……など意味もないエロだと、思わず鳥肌が立つくらい気持ち悪くてザワザワくるのだけど、池さんのこちらの作品にそういう嫌悪感を抱かなかったのは、真面目に誠実に「タブーとは何か?」ということに取り組まれているからだと思います。
池玲文さんの既刊の中で、萌えとは違う部分で一番大好きで大事にしている作品です。
あまりに好き過ぎてレビューが書けなかったので評価だけ入れてそっとしまっていたのですが、先日恋煩シビトさんの新刊(パンデモニウムより愛をこめて)を読んだ時にこの作品のことがずっと頭に浮かんでいて、やっぱりなんか書こう!と思いました。
タイムスリップで逆年の差になった父と子が恋に落ちる。
もはやいくつの地雷が埋まっているのか分からないようなトンデモなラブストーリーなのですが、食わず嫌いでスルーしてしまうのは勿体無い作品・・・なんだけど、そうは言っても埋まっている地雷はダメな人には本当にダメな類いのものばかりだと思うから気軽に必読だよとも薦められない、そんなジレンマの神作品です。
だけどやっぱり一人でも多くの人に読まれると良いなと、私自身は読み返すたびに強く思い続けています。
本作を一言で言うなら、親子という禁忌ネタを使って読者に揺さぶりをかけてくれている作品、でしょうか。
あなたが縛られているそのルールは本当に縛られなければならないものなのか?と、そんなことを読者に問いかけてくれている作品。
「倫理観には常に懐疑的であれ」という思いを、作者なりの表現で父親と息子というインモラルな形のラブストーリーに落とし込んで、作者なりのアンサーを最後に提示されています。
(この部分をもう少しくわしく書きたいのですが、ネタバレし過ぎになる気がするので2巻の方に分けます。)
初めて読んだ時、この池さんの達観のような諦観のような考え方に私本当に心の底からやられてしまって、以来ふとした時に思い出しては読み返して溜まったモヤモヤを溶かしてもらっています。
何度も何度も読み返せる本当に大好きな作品です。
一番人気の「媚」シリーズとはだいぶん趣の異なる作品ですが、池玲文さんという作家さんがどういう思考で生きてらっしゃる方なのかが本作で少し分かる気がします。