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表題作獣の月隠り

銀色の人狼のアルファ 月貴
月貴のパートナーの人狼 睦月

同時収録作品獣の伽人

高位種の人狼 朋
猟獣研究施設の研究員 甲斐

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「獣」シリーズ続編登場!! 同じ人狼の月貴を一途に想い続けている睦月。その月貴に「俺を好きになって」と睦月は告げられ…。
(出版社より)

作品情報

作品名
獣の月隠り
著者
沙野風結子 
イラスト
実相寺紫子 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
獣の妻乞い
発売日
ISBN
9784344820357
4

(54)

(26)

萌々

(14)

(9)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
11
得点
216
評価数
54
平均
4 / 5
神率
48.1%

レビュー投稿数11

スピンオフというよりは、続編!

前作『獣の妻乞い』の二人は
殆ど出て来ませんが、
ストーリー的には
スピンオフというよりはその続きという感じ。

さらに、本編のみではモヤモヤが残る!
……ので、SS最後まで読んでやっと完結!

本編を読み終わった時点では、
えっ?! これで終わり⁉
……と、モヤモヤが大残り!
なので、SSが続いていて本当に良かったです!
あぁ、すっきりv

今回の本編も、とにかく切なくて、
きゅんきゅんさせられますv
そして月貴ではないけれど、
睦月が可愛いのですv

何人か出てくる【猟獣】達の運命が
それぞれ描かれています。

評価は、
実は睦月以外になかなか共感できず、
でもストーリーはきゅん読み出来たので、
「萌×2」で!

0

いろんな角度から楽しめる作品

月貴と睦月が好きなので、”妻乞い”よりこっちのほうが好きでした。
ですが、もしまだ本シリーズ未読の方は、”妻乞い”から読んだほうがいいと思います!

睦月が初めて銀色の狼姿の月貴に出会う森のなかのシーンが、とても美しくて印象的なんですよね。この二人のその後を想像してワクワクするくらい、強烈に運命的なものを感じる場面でした。睦月の可愛さ健気さは一貫していてわかりやすいんですけど、たらしの王子に見える月貴が意外と睦月に対して純愛だったところ、堕ちた睦月に対しての献身に心打たれました。

朋と甲斐のお話は、あんまり攻受のキャラに個人的な萌えどころがなかったのですけれど、与野と甲斐のお兄さんの関係に思いを馳せて間接的に萌えました。朋が、創造主であり、育てた親でもある甲斐を愛するというのは、共依存とも違うし、なんとも不思議な関係性ですよね。

それにしてもやはり、”猟獣”という設定があまりにも切ないですわー。堕ちた睦月を人間に戻そうとする甲斐に対して、朋の”狼同士だってちゃんと幸せだろ””人型にするのが幸せって傲慢”というさりげな~く深遠なるお言葉で読者を”はっ”とさせる、さすが沙野先生!と思いました。

1

おにショタ&疑似親子

ノベルス版の電子版、表紙絵あり挿絵なし。本編の他に朋×甲斐のストーリー「獣の伽人」、月貴×睦月のSSが二篇収録されていました。

前作「獣の妻乞い」の脇CP、月貴と睦月のお話は、エリートの月貴に憧れる幼い睦月の淡い想いがすごく可愛かった。年齢と能力に差がありすぎて、月貴は睦月を可愛いとは思っていても、なかなか恋愛対象とはなれず。なんとか追いつこうとする睦月が健気でたまらない。「好き」と思っても、幼さゆえそれを表現する方法がわからず、湖で捕まえた魚を差し出すシーンが、なんともいじらしくて切なくてキュン死しそう。
最終的に睦月は青年にまで成長しますが、おにショタ属性のある方にはたまらない内容なのでは。

後半のお話は、なにかと睦月に絡んできた高位種の朋と、ブリーダーの甲斐のお話。「獣の妻乞い」にも登場した甲斐がまさか受けになるとは予想しておらず、こちらはちょっぴり微妙な気持ちに…。自分を生み出した甲斐に対する朋の想いは、父を慕う気持ちを超えてしまっていて。時々怖さも感じるような立派な執着攻めに成長してしまった朋に対して、父親気分だった甲斐の戸惑いがありありと伝わってくる。

ラスト二篇のSSでは、月貴&睦月の二人がきちんと救済されるので、読後感は決して悪くない。
ただ、私はこの作品の非人道的な「猟獣」というシステムが、どうにもつらくて。システムをぶっ壊すようなところまでいってくれるかと思いきや、そうではなかったので、そこはかとない哀しさ、やりきれなさはどうしても残ってしまいました。

2

スピンオフのこれも読んで物語が完成する

電子書籍版を購入。
文庫版かなとおもったのですが、発行年月日と表紙の文字の配置でこちらと判断して、記載します。
表題作の「獣の隠り」、研究者の甲斐と高位種(ニュータイプ)の朋の話の「獣の伽人」、表題作の2年後の月貴と睦月を描いたSS「獣の魔法」、その少し後の月貴と睦月を描いたSS「獣のおとぎ話」が収録されていました。
あとがき、挿絵なしです。
収録のラインナップ的には、文庫版と同じだと思われます。

「神」評価です。
皆さんとの評価の違いはSSの分かもしれません。
最後の二つのSSがなければ評価は低かったと思います。
これらがあって、ようやくラブの部分が満たされます。

『獣の妻乞い』のスピンオフ。
『獣の妻乞い』に収録されているSSの「いつか来る約束の日」が途中で含まれます。
つまり、表題作の途中のあるシーンを切り取ったのが上記のSSです。
なので、このSSを先に読まなくても全くOK!
※『獣の妻乞い』も読まなくても大丈夫ですが、読んでからの方が世界観はわかりやすいかもしれません。

『獣の妻乞い』と同時に購入。
せつなさで言えば、『獣の妻乞い』より、こちらの方が上かな。
『獣の妻乞い』のメインカップルが好きで、睦月のツンツン具合も、月貴の世渡り上手なキャラも苦手で、こちらのカップルには正直萌えませんでした。
購入したし、ついでに読むか……ってのりで読みはじめたのですが………
いやいや、なかなかいいじゃないですか!!

月貴と睦月。
『獣の妻乞い』での印象と全然違います。
特に睦月は、別人物。
あのツンツンでやさぐれている子が、こちらでは健気で一途な可愛い子。
『獣の妻乞い』での睦月は、尚季目線なので印象の違いがあるのでしょうね。

『獣の妻乞い』では触れられなかった研究者の葛藤や、猟獣の過酷な環境、そして彼らの人間に対する感情や自分達の境遇に対する戸惑いがこれでもかってくらいに描かれています。
読むのが辛いほどに。
それだけに最後のSSで、救いがあって良かった!と心から思えました。
『獣の妻乞い』だけで終わらせないで、こちらも読んでほしい。
両方読んでようやく、物語が完成するのだと思います。

2

ラブだけなら・・・

『獣の妻乞い』のスピンオフです。
前作は悪くなかったんですが、こちらはちょっと・・・

別CPで2編構成。

1編目は表題作です。
前作に脇で出ていた(そして、ラストのSSで描かれていた)猟獣同士の月貴(攻)と睦月(受)ですね。

ラブ面に限れば決してキライじゃないんですよ。
それどころか、キャラクターも魅力的でよかったんです。もともと人外は好みですから。

ただ、それ以外の『猟獣』部分があまりにも暗過ぎ・陰気過ぎて気が滅入りました。

基本的な設定にはなるべく目を瞑ってやり過ごして(?)ラブに集中しようにも、前作でラブの結果は提示されているので、謂わばラストシーンを先に見せられてから読んでるような気がしてしまいました。

でも、それはあくまでも『ラブ面』のオチであって、ストーリーは読むまでもないってことじゃないんです。

むしろこちらが本題かというくらいに『猟獣』面は読み応えありました。
それが私の好みに合わなかっただけです。←設定やストーリー展開そのものではなく、単に程度の問題です。

決して『つまらなかった』とも『読むまでもなかった』とも思っていません。
それでも、個人的に『ラブストーリー』にここまでのハード・ダークさはいらないんですよ。

しかも、そのわりに決着が甘いのがどうにも・・・
『最後までハードに!』という意味ではもちろんなく、こんなあっさりカタつけるんなら、あの延々と続く陰鬱な描写はなんだったのさ、とシラケてしまいました。


2編目『獣の伽人』
猟獣を造り出し管理する『ブリーダー』と呼ばれる研究者と、彼が造った新種(高位)の猟獣CP。

う~ん、こちらは設定がどうこう以前に、すべてがまったく好みじゃないです。特に、キャラクターに一切魅力を感じません。
なんというか、私のものすごく苦手な『病んでる執着』の気配だけでもうダメでした。

申し訳ありませんが、それこそ読まなきゃよかったし読みたくなかったです。
こちら単独では『しゅみじゃない』でしかないですね。


あとがき後のSSで、表題作CPの救済策が書かれています。

別にこのあたりはハッキリさせなくてもよかったとは思うんですが(猟獣同士だから、前作CPとは違って人型にこだわる必要はないんじゃないかと)、それでもこれはこれでハッピーエンドのひとつの形としてよかったです。

シリーズ中では、結局前作CPがいちばん個人的好みとしてはマシでしたね。

そして、やっぱりイラストが綺麗で素敵でした。

1

いけすかない猟獣とア、アノ人が…!

「獣の妻乞い」のスピンオフ、銀髪の美しい狼とかわいいチビ狼編。
ハードな筆致の沙野先生に似合わず、序盤はとっても愛らしい描写です(驚)
チビ狼が野の花に話しかけるシーンはなんともいえない愛くるしさ!

「獣の妻乞い」でチビ狼の睦月は上から目線の
やなガキなんですが、こちらでは大変一途であどけない。

「獣の月隠り」は沙野先生、どうやら悩んだらしい痕跡があります。
沙野先生の持ち味はダークさと硬質な描写だろうと思いますが、
ときどき、集中力が途切れるとでもいうのか、リズムが悪くなる箇所がありまして。
ダークな部分を大幅に削っちゃったのかしら?
前作とちがい、暴力的なシーンがまったくといっていいほど、ない。
仕事とはいえ人を殺めることと、愛する人と一緒にいたいという
相反する気持ちへの葛藤が薄いです。
ラストには妙な生ぬるさを感じて物足りない。
…前作の社会派っぽさよかったのに。BLらしいといえばそうなのか。
ってことで☆3つ。

本作、月貴と睦月編、ヤンキーみたいな朋と甲斐編、ふたつございますが、
好きなのは圧倒的に「朋×甲斐」のほうですね。こちらのほうが沙野先生らしくもあるし。
まるで報告書のように淡々とした文体と、
思考回路はまるで5歳の子供のような朋の描写、この対比にドキッとする。
Hシーンでは沙野節炸裂!忘れかけてたころにドドーンとななめ上のHきますよー!

ちなみに、甲斐がどうも好きになれないという方もいらっしゃいますが…うん、それすごくよーくわかる、でも不器用で研究バカで、長いものに巻かれる日和見な甲斐が自分的には
一番親近感かんじて好きな人物です。

3

ァオオーーーーン! 遠吠えも切なく

「獣の妻乞い」のスピンオフ、脇役だった(&SS)月貴と睦月のお話。

もう一話、睦月と同期の新種の猟獣と猟獣施設の研究員の話も入っている。
どちらも猟獣の研究施設が主な舞台となっており、
前作ではあまり触れられなかった、猟獣の育つ過程や飼育施設内の様子が詳しく描写される。

身体が小さく、施設内の過酷な競争に勝ち残れないと思われていた睦月。
そんな彼が生き残って現場に出るまでになった原動力は、ただ月貴の近くにいたいという
一途な想いだった。

施設内にいた頃から、月貴と睦月は性的な関係があったが、
狼の番の結びつきの強さ危惧する組織によって、肛門性交は固く禁じられているので
(って、挿れさえしなければ結びつきは生まれないのか~?と疑問ありw)
一線を越えて本当に交尾することができない。

現場に出られるようになった睦月と相棒になっても、外で頻繁に人間の女と関係を持つ月貴。
そのアリバイ工作を引き受けける睦月。
嫉妬に心を引き裂かれながらも耐える睦月も、そうせずにはいられない月貴の想いも切ない。

そして月貴より一日でも長く生きて、彼を殺してやりたいと願う睦月のけなげさ。
しかし彼の願いも虚しく、何者かによってばらまかれたウイルスによって
人型に戻ることが難しくなった睦月は廃棄寸前に追い込まれる。
月貴が睦月を救出し逃亡、やっと本当の番になることができるのだが…

後半は、新型の猟獣・朋と、朋を生みだした研究者・甲斐が主人公。
ウイルスがばらまかれた後の日々が描かれる。
旧型の猟獣よりも変身が容易で、身体能力に優れ、殺人に対する良心の呵責を持たない朋。
好きにはなれないキャラであったが、むしろこういう方が狼らしいと思う。

読みながら結構不思議だったのは、良心というものの描かれ方。
人間であれば自ずと備わる良心と、狼としての本能がせめぎ合うように書かれているが
いや、こんな妙な育てられ方したら、オール人間だって良心に問題が起きるでしょうに(苦笑)。

それはともかく、朋の「睦月を人間に戻すって傲慢。彼らは獣同志でも幸せ」
という台詞は含蓄がある。
あとがき後のSSは、多少蛇足の感があるその睦月達の話。


ところで。
狼ちゃんとはいえ、そしてお相手も人間で言えばせいぜいティーンエイジャーとはいえ
最初の方の睦月は、どう考えてもロリでしょう?
私は基本ロリはNGなんですが、これは切なさ健気さが立って嫌悪感がなかったなぁ。
獣ちゃんだと思うせいかしら~w?
森の中の湖のほとり、まだ幼かった狼姿の睦月と人の姿の月貴の扉絵が、とても美しい。

7

人狼同士の切ない物語

読み終えてから結構日にちが経ってしまったのですが、何とか思い出しながらレビューします。

「獣の月隠り」…前作「獣の妻乞い」にも登場していた月貴と睦月の物語です。前作ほど大号泣することはなかったのですが、精神的にきついのは本作でしたね。
同じ施設で育った仲間同士で戦わされ弱い者は廃棄処分。日に何度も注射を打たれ、激痛を伴う人体実験の被験体にされる子供たち。最初の数ページでゾッとしましたよ。
そんな過酷な生活の中で、月貴の存在を唯一の生きる希望とする睦月。睦月の健気な姿に何度も涙が出そうになりました。

そして更に辛いことに、人狼同士では性交することが禁じられています。その為、月貴はアルファになっても睦月とすることが出来ないのです。
愛し合っているのに性交することが出来ず、なおかつ女の元へ出かける月貴を見送る事しか出来ない睦月。その時の睦月の心情がまた切なくて!胸が締め付けられます。
ただ、辛いシーンばかりじゃありません。月貴が睦月を溺愛してるのは一目瞭然ですからね。
本編では先の見えないラストになっていますが、これはこれでハッピーエンド。でも本当のラストは「獣の伽人」の後の「獣の魔法」へ繋がります。

「獣の伽人」…まず、このお話が好きな方には申し訳ないのですが、実は私はこの話はあまり好きではありません。どうしても研究員の甲斐が好きになれませんでした。
この男は自分の兄を正当化し尊敬しているようですが、兄もこの人体実験を行っていたんですよね。堕ちた人狼に噛み殺された?自業自得ではないかと思ってしまいました。

甲斐には朋を大事に想う心もあり、人狼全てを憎む与野とは違う事も分かっています。それでも、月貴と睦月の話を読んだ後だと、どうしてもこの研究員である甲斐が許せないのです。
それでもラストの部分では、少しだけ好きになれたかもしれないです。朋とのやり取りが良かった。「傲慢」という言葉は大分効いたんじゃないかな。

「獣の魔法」…月貴と睦月を幸せにしてくれた沙野さんに感謝の気持ちでいっぱいです。この数ページで気持ちが救われました。

そして今回も素敵なイラストに悶えました。中でもやはり口絵は最高。というか本編のこのシーンが大好きなんです。睦月の愛らしさに萌えまくりでした。

前作より評価は下がっていますが、それでもかなりイチ押しの作品です。動物ものが好きな方はハマること間違いなし!

3

獣の妻乞いのスピンアウト

前作が大好きだったのでうきうきしながら手に取ったスピンアウト。
月貴×睦月編と朋×甲斐編。

月貴編。
王子様×ツン少年だと思っていた彼らにこんな辛い過去があったとは。
重い運命の中での純愛が本当に切ない。
前半の月貴の色気が半端なくて、そりゃ睦月もメロメロになるわと思っていたらあの後半。
余裕がなくなっていく月貴にはやられました。
扉絵のシーンのちっちゃい睦月(オオカミ姿)から月貴(人間)にお魚を捕って求愛するっていうエピソードが大好きです。

中盤以降に出てくる飛月カップルがややバカップル状態ですが、二人が幸せそうなのでまあいっか。前回とのギャップにはびっくりですが。

朋編――高位種猟獣の朋×研究員の甲斐。ある意味で子×父。相変わらず朋は無茶苦茶ですが、その感情のほとんどが甲斐に向けられているのを見ると、他の話であれだけ憎まれ役の朋が意外とかわいく見えてきてびっくりした。
ちょっと壊れ系お子様、か?甲斐は苦労しそうですが、責任取って面倒をみてください。

あとがき後の書き下ろし(後日談)はうれしいけれど、物語的にはやっぱりなくてもいいのかなという気はします。


2

切なくも美しい

二段組でがっつり世界観を堪能しました。
人狼同士カップルと、研究者と人狼カップルの2作収録されてます。
自分は人狼同士の月貴と睦月との話の方が好み。

人狼といっても、この作品の彼等は人工的に作り出されたキメラでその存在はあまりにも過酷で厳しくて悲しい生き物。
研究所の中で人狼達は時に闘わされ、レベルを付けられて規格外の人狼は処分されてしまう。
睦月[受]は小柄で気も弱く、本来ならレベル外になりそうな少年なのですがそんな彼に月貴[攻]は目をかけてやり自分を好きになる事で生き延びる気力と目的を持たせます。
睦月がむっちゃかわいくて、月貴と一緒に出掛けた先で思わず狼の姿で本能的に魚を捕って月貴に捧げちゃうんですよ、か、可愛いくて健気!
そしてその努力の甲斐あって、睦月は何とか生き延び外で月貴と組んで任務を行う事となります。
そしてまた人狼達には悲しいルールがあって、彼等は人狼同士でセックスしてはいけない。
それは狼の番関係の強さが原因なのですが、ともかくそのルールで愛し合っているのだけれどセックスする事は出来ない。
もう人間酷いよーー!!と読んでて身勝手な人間側にムカついてました。
「落ちる」状態が近いのか店先で肉をガツガツ食べたり、コップの水を上手く飲めなくなる睦月と、それを見ている月貴とのシーンは切なくて心がぎゅっとなります。
彼等のラストは切なさを含んで終るのですが、何とあとがき後にオマケ小説があるんですよーーありがとう!沙野さん!!
これがあってどんなに嬉しかったか!やっと2人は幸せに生きていく事が出来るのかもって思いました。ホント嬉しい補足小説でした!

「獣の伽人」
高位種でタカビーで嫌なヤツとして登場してた朋[攻]と研究者甲斐[受]との下克上。
朋はタカビーなのは相変わらずだけどこちらの話の方では精神年齢が子供っぽいイメージでそこはちょっと可愛げが出てました。
セックスしてる途中で獣化するシーンで登場する瘤はやはり人狼モノならでは!ペニスに瘤ってエロいなあ。

ともかく月貴と睦月が救われて良かった!感情移入度はダントツにこのカップルの方ですね。睦月の健気っぷりがたまらんです。

3

ちょっと希望の光が見えるお話

『獣の妻乞い』に登場した銀色の狼・月貴と、そのパートナー・睦月のお話がメインに、もう一編、新しく登場した猟獣の上位種の朋と研究員の甲斐の話があります。
彼等猟獣には、前作でも出てきた人間に戻れない「堕ちる」という状態がつきまとい、それが彼等の救いようのない悲しい運命を予感させて、切なさを誘うのですが、この本によって多少なりとも希望の光が見えたようなきがします。
しかし・・・月貴と睦月は切ない!!!

前作でも月貴と睦月の関係は綴られていましたが、互いがどんなに好きでも同種で番うことは赦されておらず、それが愛する二人にはとても苦しいのです。
睦月が小さい頃から月貴は目をかけ(月貴は小さくてかわいい子が好きだったようですww)
睦月がまだ発情期を迎える前から疑似行為をしていたという、まるで紫の上と光源氏のような?
でも現実はとてもシビアで、あらがえない掟があり。
他より身体も小さい睦月は月貴と一緒にいるために努力をするのです。
それは人間の尚季を求めた飛月の方法をまねたもので、それで月貴とパートナーを組むことができるようになるのです。
しかし、睦月が伝染性のウイルスに感染し、ひょっとして堕ちてしまうかもしれないというとき、月貴は睦月と運命を共にすることを決めるのです。
人でも獣でもない、猟獣という存在である為に二人が恋人として一緒にいるためには障害が大きすぎて、救いようがない、という
そのエンドに悲しさを感じるのですが・・・あとがき後のSSで救われましたー!!

そして『獣の伽人』において研究員の甲斐と甲斐によって作られた高位種の朋の話に。
朋は効率的に仕事を行うために開発された、人間と獣の変容がスムーズに行く、新種のタイプ。
ですから手だけ、足だけ、牙だけとか部分変位が可能なんですが・・・
びっくりしたのが、あの~~~アソコだけ獣化させるのもできるんですよ!!
前作の時獣姦でぶっとびましたが、あそこだけ獣っていうのは、お初(?)で超びっくりです!!!
話はそれましたが、
自分が作りだした猟獣だから朋の事がどんなに粗暴であろうと自分にはかわいい。
朋も、甲斐にしか懐かないような感じなのであるが、身体は青年でも心は6歳の子供なんです。
そんな不安定さを子供のように愛する甲斐と、甲斐をお父さんでもあり恋人として愛する朋。
ちょっと普通の恋人の愛しているとは違うけれど、これも愛の一つの形なんでしょうね。
ここで、睦月が感染したウイルス、他の猟獣たちも感染し、沢山の猟獣が堕ちたそれは、陰謀だったことがわかるのです。
そこで登場してくるのが、前作でも飛月を消そうとした獣医師の与野!
かれは、前作・今作を通しても悪い人でした。

最初、月貴と睦月の話というのを見て、彼等は救われないんじゃないか、と不安でしたが本当の最後の最後ですくってくれてありがとう、と言う気持ちになりました。
口絵のカラーの月貴に求愛の獲物を捧げる狼・睦月の絵がかわいい♪♪
二段組みでボリュームありますが、結構軽くあっという間に読めてしまいますよ。

3

この作品が収納されている本棚

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