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表題作Punch↑ 4

牧志青,31歳,設計士
大木浩太,19歳,型枠工

その他の収録作品

  • 俺の志青がこんなに××なわけがない
  • ××記念日
  • お買い物に行こう。

あらすじ

恋人同士──の彼らがただの同居人となったのは浩太が記憶喪失になってしまったから。
15歳から19歳の間の記憶を失った浩太は「手を出しそうで自分が恐い」と牧に思わせてしまうほど、幼い。
ゲームを夢中でやったり、動物園デートをしたりと、もう一度「出会う」2人だが…感動のクライマックス! 大量描き下ろし収録で幸せ満載v
(出版社より)

作品情報

作品名
Punch↑ 4
著者
鹿乃しうこ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックス~BE×BOYCOMICS~
シリーズ
Punch↑
発売日
ISBN
9784862639103
4.6

(211)

(165)

萌々

(28)

(11)

中立

(3)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
28
得点
973
評価数
211
平均
4.6 / 5
神率
78.2%

レビュー投稿数28

フレンチトーストはすべてを丸ごと愛している証

 牧も浩太も何が正解なのかたくさん悩んでいて、本当に辛い時期だったけれど。でも、15歳に戻ってしまった浩太が過ごした日々は、きっといろいろなことを確かめられた有意義な日々でもあったと思います。事故が起きて良かったとは言わない。ただ、既に起きてしまったことを、どう2人の関係の糧に変えていくか、それを考えるのは大切なことだと思います。牧が好きなのは深津に初恋も初体験も捧げた浩太、でも記憶を失って気持ちが若返った浩太だって本命の浩太の延長戦上には間違いないのだし、19歳の浩太が好きだからといって、15歳になった浩太は好きじゃないということにはならない。

 浩太自身は以前の自分と今の自分がなかなか結び付かず、別人格としてしか受け入れられませんが、牧にとってはどちらもかけがえのない愛しい恋人なのです。記憶が戻ったらそれを失くしていた頃の浩太は消える、そんなことはありえない。記憶が戻った浩太も、もちろん牧も、15歳に戻っていた浩太を思い出し慈しむ余裕は持ち合わせているはず。実際記憶が戻った瞬間の浩太の表情は、本当に大切なものにやっと気付いたという感じで、記憶を失くす前も後も牧に愛されて幸せだったことが分かりやすいほど表れているような気がしました。そう簡単に、大切にしていたものは消えない。とても満たされた気持ちになる読後感でした。

0

過去も今もこれからも

◾︎牧志青(建築士 31歳)×浩太(大工 19歳)
記憶喪失の展開は王道ながらも、王道だからこそそれぞれの作家さんがどう落とすか苦慮されるのでしょうね。

2巻の感想にも描きましたが、中学生の浩太がとっても可愛かったので、15歳の中身に19歳の身体はかなり萌えました。しっかりした身体付きなのにピュアな浩太…牧もよく耐えたよ。

耐えても、耐えずに初めての人を牧で上塗りしても、持って行き方によってはどちらでも納得させられるところをこの展開というのが、牧をそういう男にしたかったんだなぁとしみじみ。
久々に1巻から連続で読みました。牧は随分といい恋人になりましたね。シリアス展開だったので変態度が控えめで、このままでは牧が日の打ちどころがない人になってしまう!笑

0

『友達で家族で、初恋の人。世界で一番愛してる人』何度でも感涙。

6巻も出て、今なお物語は続いておりますが、当時はここで感動の完結編!だったのですよね。今更ながら通して読むにつけ、やはりこの温かくも優しいエンドに涙してしまいます。というか、もはや嗚咽‼︎
何度読んでも温かな涙。そして記憶を無くしても、何度でも恋をする。2人はきっと、永遠の恋人達なんだと思います。『友達で家族で、2番目の初恋の人。世界で一番俺を愛してくれる人。』
彼等の間にはきっともう、誰も割り込めないと。

事故で記憶退行し、15歳までの記憶しか認識していない浩太を見守ると決めた牧さん。
段々と打ち解けて行きながらも、幼ない浩太を前にして、戸惑いは隠せない。
浩太も、牧さんを好きになりかけているけれども、少しずつ辿る記憶には、牧さんの恋人は19歳の浩太であって、自分では無いという現実に不安に駆られる。牧さんが見ているのは、誰か知らない19歳の男。
牧さんも、浩太が素直に懐いてくれるのは、愛情そのものに飢えているだけで、恋では無いのだと臆病になってしまう。
記憶喪失というよりは、これはまるで多重人格者の苦しみの様な切なさなんですよね。実際、浩太は記憶が薄っすらと戻りかけていくにつれて、自分が消えてしまうと怖れ慄き、泣きじゃくって抗おうとする。牧さんに自分を選んで欲しいと懇願すらしてしまう。その不安ごと抱きしめる牧さんもまた切なくて、涙。
浩太の「初めての男」裕也には、互いにこだわっていたのだけれど。
それがあるから。今の浩太がいる。だから、それごと俺は愛しているんだよ、という牧さんの愛情にもまた涙。
浩太の不安と苦しみ、愛する牧さんに全てを捧げたいと想う気持ちから、多重人格者の様な症状を生み出したんだとは思うけれど。それはそのまま、事故の前にも抱いていた浩太の不安。そして牧さんの不安でもあって。
牧さんが出した答えとメッセージがあのフレンチトーストだったんだな、と思うとまた涙。
浩太にとって、やはり牧さんが「初めて」居場所をくれた人。
もう大丈夫。何があっても2人は揺るがないよね、って安心させてくれるんだけど。
シリアスにカッコよくて優しい牧さんと、素直に言葉にする可愛い浩太をもっと見たい欲には駆られてしまいます。ヘンタイは牧さんのテレ隠しだってば!そうそうボカスカ殴らないでよ〜って。

そして勿論、2人を見守る和久井さんが素敵過ぎて、また涙。
ラスト周辺で。外で牧さんを待っている浩太を見ただけで、何もかも察した和久井さんが、「んじゃ、俺は事務所閉めてくるわ」と、牧さんの背を軽く叩いてそっと立ち去る。それだけで、もう涙。涙です!なんていい男なんだろう‼︎‼︎彼の活躍には今後も期待します。

ところで、当時、これを読むにつけフレンチトーストを食べたくなったものだったわ。と、思い出し。またぞろ作りたくなって来ました。甘くて優しくて、そしていい匂いの。焼き加減が絶妙に難しい、フレンチトースト。これを選ぶ、しうこ先生のセンスにもまた痺れます。

0

Punch↑4巻

第4巻。

この「Punch↑」という作品は、ごく真っ当な正統恋愛物語(年の差と格差恋愛)に、インテリなのにヘンタイでおバカな牧のキャラクターで抜け感を作っていた物語だと思うんです。
でも段々とシリアス展開が増してきて、ついに3巻で浩太が怪我をして記憶障害になる。さて、牧と浩太の関係はどうなる?という4巻です。
「記憶喪失」という最強のドラマチック展開や、よくある「輪廻の方法論」(また恋をする、っていうアレ)を使いながらも、この作品は無理やあざとさが無く、静かに、でも説得力を持ってクライマックスに進んでいきます。
作者・鹿乃しうこ先生の視点の素晴らしさは、15才になっている浩太が19才の浩太に戻ってきてほしくない、と怯えている描写。
みんなが待ってるのは俺じゃないっ…と涙する浩太。
そして少しずつ19才の記憶が脳裏に閃くようになって、今度は15才の自分が消えてしまう、今の自分を抱いて欲しいと牧にすがる…
消えたくない、なのにアイツは俺の知らないあんたを見せるんだ…

…この視点は秀逸だと思った。
「この浩太」の存在感、「この浩太」の涙があるから、記憶障害が直って元の浩太に戻った時のカタルシスがより深まるのです。
読んでる私も涙…
「神」しかないなぁ…と脱帽です。

巻末のおまけは、お約束のヘンタイ牧のコミカルな日常。



さて、「Punch↑」はここで感動の終了か、と思いきや、2017.10月に第5巻が発表されました(すでにレビュー済)。
牧の過去に関わって、何やら不穏な空気が…とまだまだ「Punch↑」の世界は続いています。

4

帰るべき場所にやっと戻れた2人

4巻まで一気読みしたので、全体の感想を。
記憶喪失ってお手軽な感じがして好きじゃないのですが、
2人が愛を確かめあうのに必要なプロセスだったんだなと思った。
浩太の記憶喪失って、めちゃくちゃ暗くて重い話になるのを、
愛すべき変態・牧が、ちょいちょい笑いを提供して、重くなりすぎず。
シリアスとギャグとエロの割合が絶妙だった。
記憶が戻った浩太が「志青は初めて俺に居場所をくれた人だよ」のセリフに涙した後、
2人のセックスに安堵し、「祝ドライ」に大爆笑させていただきました。

本編では触れられてなかったけど、浩太の15~19歳って苦労の連続だったのは、想像に難くない。
かたくなになっていた浩太が、変態とはいえ懐の深い牧と出会い、
最後は居場所(ニャンコ2匹付き)を見つけることができて、
やっと幸せになって、本当によかったねと思う。

BLに限らず、名作のテーマの一つに、
「さまよえる魂と魂の邂逅」というのがあると思うのですが、
PUNCHはまさにドンピシャでした。
読み始めた時は、こんなに心揺さぶられると思いませんでした。
しうこ先生、ありがとう。BLって本当にいいですね。

4

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