君を…そういう意味で好きだと思ったことはないよ

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表題作リセット 上

高平尚徳,28歳,幼馴染/倉橋祥吾,24歳,義弟
橘高一真,28歳,PTSDの警視庁キャリア

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

橘田の心を埋めようとした親友の高平と、義弟の倉橋。
とある事件によって再会した三人が行き着く先とは――

一九八九年、とあるマンションの一室で起きた放火殺人。当時十三歳だった橘田と高平は事件に巻き込まれて以来、互いしか知りえぬ思いを共有する。しかし橘田の心の空隙は次第に二人の関係を歪ませ始めていた――。大学進学後、高平との関係を断ち切り、一人事件の悪夢にうなされ続ける橘田の前に現れたのは、義弟の倉橋だった。倉橋もまた橘田の苦しみを知り、心を砕くようになるのだが…。時を経て起きた新たな事件が、それぞれの道を歩んでいたはずの三人の男たちを呼び寄せる。そこに待つのは悲劇か、過去との決別か。
(出版社より)

作品情報

作品名
リセット 上
著者
谷崎泉 
イラスト
奈良千春 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
リセット
発売日
ISBN
9784576110509
4.1

(39)

(16)

萌々

(17)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
7
得点
160
評価数
39
平均
4.1 / 5
神率
41%

レビュー投稿数7

萌ではなく神

萌、、、という表現では判定できない作品でした。萌えどころは無いけど神です!上下巻の感想になります。

のっけから、恋愛では無い関係が攻めである高平と受けの橘田で表現されます。お互いでお互いを縛り合うというか、後ろめたさ、罪悪感に絡め取られています。
それでも高平の方は、肉体的に重症を負ったことと、事件で亡くなった警察官がいたことで、警察官を目指すことになります。ある意味、もとから強い、乗り越えられるタイプだったのかな。

対して受けの方は、危機感から話せなかった人と話すことができるようになり、乗り越えられたかと思いきや、実は過度にストレスを受けてでも攻めに気を使わせたくなかったという無理をしていた訳で。

抱き合うことで橘田はちゃんと寝られるようになりますが、その行為に愛情や恋心があるか?と言われると無かったのでしょうね。情、は確かにお互い持ってたとは思うんですが。

そんな関係を断ち切るために橘田は京都の大学へ進学し、二人は離れます。
橘田の父が再婚したことにより義弟(倉橋)が出来るのですが、進学のために彼の家庭教師を引き受けることから関係が始まります。
しかし、倉橋とも大学卒業を機に離れます。

それぞれがそれぞれの道を歩んでいたのですが、事件が起こります。この事件がキッカケで三人が顔をあわせ、倉橋の知らなかった橘田の過去を知ることになり、橘田は倉橋と再び出会うことで、否定できない自分の思いを自覚します。
事件の解決とともに、過去の事件も犯人か特定されますが、事項成立後であったため、逮捕には至りませんでした。けれど、二人には気持ちの整理がついたのだろうな。

で、橘田と倉橋はどうなったのか?私の読み込みではわからないままでした(苦笑)
橘田は「君無しでは生きていけない」と言ったものの、恋愛関係に発展していくのかなぁ〜。甲斐甲斐しい倉橋は作中にあったし、君は嫁か?!と思うくらいてしたけど、そんな感じで二人で生きていくのかな。
その後が読みたい。

1

神評価に限りなく近い…

ちるちるユーザーの方のオススメで気になって上下巻セットで購入しました。購入して正解でした。

全体的にハードボイルドなタッチで淡々と物語が進み、前半は始終感情を出さない中心人物の橘田の風変わりで重い半生が、第三者(二人の少年)の視点を通して純文学風に描かれました。橘田がとてもミステリアスな存在である事も手伝って、先が気になって一気に読みました。予想より斜め上の展開で面白かったです。途中からは橘田の就いた職業に関係し、橘田視点の本格的な刑事ものになります。こういう硬質系な文章は好きです。文庫本なのに文章量や情報量は多くて詰まっているので、ボリュームはあるように感じられます。

橘田と高平の関係も直接的な想いの描写が描かれないだけに、余計に想いの深さを感じて萌えました。ラブラブなのもいいけれど、こういう距離感があるBLもお互いの感情を想像する余地があっていいな。最後は役者も揃い、とても気になる所で終わったので、下巻を続けて読みます。
下巻では、過去の事件の真相も分かるんでしょうか。右斜め上の展開でこのままいって欲しいです。

個人的に萌2評価は、面白くて楽しめたけれど、プラスαがあればなお良し…と思う時に使う事が多いですが、この上巻は物足りなさがなく、神評価に限りなく近い萌2評価です。

奈良千春先生の表紙イラストがこの物語の展開を暗示しているような印象的なイラストでとても良いです。何回も見返してしまいました。中のイラストもハードボイルドな世界観に合っていてページを捲る楽しみが増えました。

4

ミステリーBL

「ファーストエッグ」で読み応えを感じた谷崎さん。
ミステリーとお仕事BLが好きでこちらを購入していましたが積ん読でした。

こちらはBL小説の中ではかなり本格派ミステリーというべきでしょう。
ただしカプの萌えが作者さんといつも全然違うので、ラブ方面はいつもイライラする!(すみません、でもホントなんです。。)
この作品はかなりラブ要素がおまけ的に付け加えられている印象(シャレードだし絶対いれなきゃだよねって入れた感じ)なので、やっぱり自分の推しカプと違うカプがくっつくのですが、あんまり気にせず読めました。

トラウマのある少年たちが、大人になり、警察という組織の中で同業者として再会し、という設定。
若い頃に体を重ねた二人だが、現在では心の傷を癒やす行為だったと冷静に受け止めていて、それよりも心の友として対峙するようになります。しかし、私はこの二人が恋愛でも絆を深めてくれればよいと思っていたのでちょっとがっかり。

上巻は、少年時代から大人になって再会するまで。
二人が離ればなれになった大学時代、義弟として仲良くなった倉橋が受けの橘田に関わってきて、やはり体を重ねますが、橘田は一方的に去り、今後は仕事がらみで再び会うことになりそう、というところで終わります。

それにしても奈良さんの挿絵がいいですねー。
高校時代の二人のベッドシーンがあるのですが、窓越しにのぞいている感じと、密やかな、そしてせっぱつまった二人の感じが、全くエロくないんですがいいです。
うなりました。

3

まだBL要素は少ない

サスペンスものの上巻です。
現在から始まり→過去の回想→そして現在と話が展開しています。

心に疵をかかえた橘高と幼馴染の尚徳、義弟の倉橋の3名が登場します(三角関係?)が、上巻ではまだBL展開まで進んでいません。

過去のトラウマが結構重たい内容で、暗いトーンの作品となっていました。
なのでシリアスものが好きな人には読み応えがあると思います。

3人それぞれの心情がはっきりしていないので、下巻を早く読みたいです。
過去の事件の真相も気になります。(下巻で明らかになるのかわかりませんが)

3

人間愛

谷崎さんの本を、キチンと読むのは始めてだったと思います。
ひゃー、びっくり!というのが感想でしょうか。
確かにBL、でも内容はBLの枠から飛び出して空中で一回転してる感じです。
でも、読んでいて救いがあったのは、攻め二人がどんな形であれ受けを愛しいと思っていたからかな。


受けの橘田は優しげな容貌でありながら、子供の頃の母の死をきっかけに笑顔を見せることはなくなりました。
現在は警察庁へ入庁し、警視庁捜査一課管理官。

攻めは高平と倉橋。
高平は、橘田が小〜高校までずっと共に刻を過ごした存在。
現在は所轄刑事課の刑事。
倉橋は、橘田の父親が再婚したことで出会った義弟。
現在はフリーライターです。


小五からカウンセリングを受ける橘田に付き添い、高平は彼がなるべく静かに過ごせるよう心を砕いてきました。
しかし、中学に入学した夏のカウンセリングで、殺人放火事件に見舞われ大火傷を負った高平。
その後、不眠となった橘田を高平が抱き、そんな関係を続けてきたものの、火事、そして幼い頃に起きた橘田の母親の事故死、それらすべての責任は自分にあり高平は関係ないのだと橘田は彼から離れます。

その後、京都で大学に通い、父の再婚をきっかけに倉橋に出会います。
倉橋は橘田に勉強を見てもらっている過程で彼が苦しんでいることを察し、欲望と庇護欲がないまぜになった勢いで関係を結んでしまう。
受け入れてはもらえていないと気づいていながらも、橘田から離れられない倉橋に橘田は、高平への別離と同様の行動で彼と別れを告げました。

この辺りまでで、一冊の2/3ほど使っています。
この間は火事や殺人についての明確な表記はほとんどありません。
舞台が2004年に進み、始めて動く感じですね。
この年にはふたりが中学時代に遭遇した殺人放火事件は、時効となりましたが、心には真実を知りたいという思いをお互い抱えていて、これが下巻でどう動くのか気になるところです。
わたしは自分に文体があうかわからなかったので下巻を買わずに読み始めてしまったのですが、警察物の硬いBLがお好みの方は、上下揃えてから読み出した方が良いと思いますよ。
同様の作品を上げるならば、かわい有美子さんの『光の雨』かな。

イラストは奈良千春さんです。
奈良さんのイラスト嫌いではないのですが、今回はちょっと違和感がありました。
高校生のふたりはまるでオヤジのようです…オヤジの濡れ場に見えてちょっとひいてしまいました。
レーターさんの個性は大事だとは思いますが、もう少し作品のキャラクターの年齢設定を重要視して欲しいなと思いました。

9

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