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電子書籍版が新しく出たので、早速手に取りました。四部作の前半2作は今回、残りの後半2作も1ヶ月後くらいに電子化との事ですので楽しみです。
表題作の他に、表題作の少しあとの凪斗視点「あたたかな輪」、その数年後の凪斗視点「月光虹」が収録されています。
あとがきも今回のために新たに書かれています。
今回、「萌×2」評価です。
面白かった!
神でもよかったのですが、まだまだ序章ということもあり、この評価にさせていただきました。
凪斗がどのように成長するのか早く続きが読みたいです。
随分前の作品ですが、テンポもよく好きな感じ。
久しぶりに夢中になりました。
電子化されなければ手に取ることはなかったと思います。
出版社が前半と後半で分かれるようですが、色々と調整して頂いての電子化に感謝です。
ヤクザの息子(しかし婚外子)が平凡な美大生として暮らしていたのに、実子がアホだったために円城凪斗はヤクザの四代目組長になるべく、教育係&護衛が付くことに。それが元SPの角能。
アホ兄に襲われたりと危険な目に遭いながら、角能に守られ、そしていつしか凪斗は角能への気持ちに気づく。角能の方も、SP時代の辛い思いからもう誰も信用せず期待せずと世捨て人的に生きてきたが、凪斗と暮らすうちに本心から守りたいと思うようになる。四代目を継ぐのなら「角能をお前にやる」と言われてぐらついていたが、凪斗は角能が撃たれたために、離れようとする。。。しかし、アホ兄に拉致られ、知らない男たちに犯されたことにより、組長になるもならないもどちらでももう過去の平凡な生活には戻れないとさとる。最後に組長に凪斗が出した答えは「角能を下さい」だった。
いやぁ、小蛇ちゃんの誕生までのストーリーになっていますが、角能がカワイイ。早いとこお役御免になって自由になりたいとか言いながら、実はみう気持ちが凪斗に行っちゃってますよね。
なんだかんだで、返せない盃を交わしちゃうのも角能の策かな。
作中に出てくる刺青は本当に凪斗に似合ってるんだろうなぁ。カラーで見たい!
沙野先生のねちっこいエロが大好きで、毎回のエロテーマを楽しんでいる読者です。
本作品は、実際には縛りはありません。ありませんが、幼少から受けちゃんは、やくざ組長の父親から受け継いだ激しさと、その父を魅了しつつきっぱり絶縁した母から受け継いだ違う激しさを、自主的に念入りに抑制して堅気の生活を守ってきました。誰も近寄らせず、平凡な若者として日常に溶けこんで、唯一、日本画を描くときだけ、自分の内面の求めるままに任せます。
そんな受けちゃんの内面に渦巻く力が一際打ち込まれた作品が出来たとき、その絵のあまりの迫力が受けちゃんを世に知らしめて、運命が動きます。
跡目襲名騒動に巻き込まれて平穏な日常が崩れると同時に、自分が必死に留めてきた内面を力ずくで暴く男に出会います。「初恋」と呼ぶにはハードで生々しくいきなり実弾戦です。
そしてこのあたりずっと闇の中でのように暗めの雰囲気で話が進みます。その闇の中で受けちゃんは必死に恋をして、妖艶に脱皮していきます。
絵心がある受けちゃん目線で語られる攻めの肉体のかっこよさ。
場数踏んでるはずの攻めが、受けの肉体に嵌まっていく描写もエロいです。惹かれつつ、ほだされつつ、(エロだけでなく)がっつりやることはやる攻め様、むっつりとエロいです。
圧倒的強さと人望でスパダリ感のある攻めですが、癒えていない傷があります。が、受けちゃんの想いによって、終盤でその克服も含めて再生していきます。
このあたりから話全体が明るくトーンがかわり、最後は甘々も楽しめます。
とにかく刺青の辛さとエロを絡めて細かくかかれているので、お好きな方オススメです。
また実際には緊縛ありませんが、受けちゃんが強引に暴かれて抑制から放たれるインパクトには、SM作品の緊縛に似た萌えがあり、その趣味が満たされたのは予想外の満足でした。
個人的に、モブ姦紛いの設定にも、沙野先生ならではの細かく丁寧なエロスを感じられ、さすがです!となりました。
ー凪斗(受)が敵の首元に匕首突き立て「俺に角能さん(攻)ください」ー
ーそれを聞いた角能は、凪斗に己の全てを捧げる決意を固めるー
終盤のこのシーンにもうどれだけハゲ萌え転げたことか!!
凪斗はヤクザの組長の隠し子でありながら、一般人の母親の元で、裏社会とは無縁の平穏な人生を送ってきました。
しかし跡目を狙う異母兄からたびたび脅迫を受けてきたため、巻き込んでしまうことを恐れて恋人も親友も作らず、寂しさを抱えて生きてきたのです。
そんな凪斗が唯一気持ちを吐露する手段だったのが絵を描くこと。しかしその絵が父である組長の目にとまり、凪斗のうちに秘めた気性を見抜かれ、後継に望まれてしまいます。
平穏な生活を望んでいた凪斗が、ボディーガード兼組長になるための教育係についた角能との共同生活の中で恋に落ち、極道の家を継ぐ決意をするまでのストーリーが紡がれていくのですが、この過程がなんとも切なく淫美で堪能させられました。
凪斗が最後まで家を継ぐことに抗い、角能や入院中の祖母を守ろうと独りで足掻いていたのがとても良かったです。
恋心を自覚していても、告げずに墓場まで持っていこうと決め、その思いとともに刺青を入れることを承知するというのも本当に切なくて切なくて・・・
角能の方も、最初は傲岸不遜な振る舞いをしていましたが、凪斗の内に秘めた素質に気付いた時から惹かれていきます。
でも角能の方にも、凪斗との関係に深入りできない理由があるのです・・・
互いに惹かれ合いながらも、気持ちを伝えられないまま体だけ重ねていく、その焦燥感を伴う二人の生活と、刺青入れる描写が切なくてエロくて素敵でした。
そして紆余曲折を経て冒頭で述べたシーンに繋がるのです。
いや〜本当に面白い作品でした。久しぶりに夢中になって読み耽ったと思います。
二人が「愛してる」と口にすることは最後までありませんでしたが、それでも互いをなくてはならない存在として固く結ばれたのは充分に伝わってくるので、すっきりと読み終えることができました。
沙野先生のエロチャレンジみたいな?シーンもあって面白かったですし。(後書き読んで、そこかー!と唸ってしまいました(笑))
続編があるようなので、楽しみに読みたいと思います!
ところで。
初版はもう十数年も前の作品のようで、本を探すのが大変でした。
できれば電子化か増刷をぜひお願いしたいです!
やくざの血を抑え込み、人との深いつながりを避けて生きてきた凪人。
そんなの中にず凪人の中にずかずかと踏み込んできた角能。
忌み嫌っているやくざの父親からまわされたボディーガードと知って拒絶ずる凪人でしたが、彼の姿に惹かれ目が離せなくなります。
意外に強気に抵抗する凪人が可愛かったです。
そして凪人を4代目組長にするために刺青をいれさせた角能も凪人の中に隠れている妖艶な力強さに心を奪われます。
とにかく凪人の豹変っぷりがすごかったです。
体に流れる血が目覚めた感じでしょうか。
匕首を義母兄に突き付けている姿にはしびれました。
すごく面白かったです。続編が早く読みたいです!
ちなみに八十島SSの折原もいいキャラで癒されました。