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一歩進んだ2巻、3巻では二歩下がりかけましたが、進みました!
この2人にしてはかなり進んだ方ですよコレは!
蓉一の周りには昔から蓉一を甘やかす大人しか居なかったから、言葉にしないでも分かってくれたんですよね。必要な事とか、困ってる事とか。
蓉一が同世代の子達と違って、何か欠けてると感じるのはそのせいだったんだなと遅ればせながら理解しました。
ピュア、言い換えれば無知な蓉一を自分の感情のままに扱って、先の見えないような関係にはなりたくないという桜井の考え方が、素晴らしく大人。
だからじれったいのですが、そこが良いです。
意外と蓉一の方が思い切りが良かったな、と感じました。
ちゃんと言葉にして伝えられたし、どうしたいかも分かっている。
この巻で、一気に成長したなぁ。
気がかりは転勤話…。
桜井(広告代理店勤務ワーカーホリック気味)×蓉一(美大生)
くっつくのに時間がかかる CPだと記憶してたら、もう3巻でイチャコラしてた笑
敵に塩を送る藤本(蓉一と同じ大学に通う美大生)。藤本が塩を送り続ける一冊です。割といい奴なのに、負け戦に挑んでしまったから…
食堂に一緒に行くだけで喜ぶ藤本は可愛いし、好きな相手にすぐに好意をみせるのも、鬱陶しいかもしれないけど可愛い。
玄関でのキスの後の桜井、やっぱり蓉一の言葉が欲しいわけで。うまく言えないからって言葉にすることから逃げてたら結局は伝わらないぞ!ってとこを蓉一が克服していく物語なんだなー。
しかし今まで仕事は出来るけど、若者に振り回されてる印象だった桜井が、モテオーラ出してきて「この人かっこいいわ」と気付かされる。玄関にしろソファの蓉一への「目 閉じて」にしろ今まで女と遊び倒した37歳広告代理店マンの雄って感じがエロい。
蓉一の父親の蓉介。魅力ある人物でみんな蓉介のことが大好き。菖一(蓉介の兄、菖太の父)も結構損な役回り担ってきたんでしょうけど、浮気と子どもは別問題ですよ。しかしなんだかんだ蓉一のことも、みんな大好きだと思うんだよな。蓉介を通して見れてたとしても。
蓉一の可愛らしさが高まってきましたね。1巻の序盤でなぜ桜井に対してあんなに突っかかるような物言いだったのか不思議なほど、本当に年齢相応、むしろ実年齢より少し幼いくらいの純情さが垣間見れるようになってきました。桜井がついつい付け込んでしまいたくなるのも分かるなぁ。藤本も桜井のライバルポジションとして依然存在感は主張してきますが、肝心の蓉一にとってはほとんど眼中にないという感じで気の毒に思うほどでした(笑)。でも、藤本はメンタルも強そうですし、これから他にいくらでも恋愛できるような気がするので、憎めない奴として豪胆に生きていって欲しいですね。
蓉一と桜井の恋愛面以外にも、水川家の大人達と子供達との間にある確執や、それぞれの進路のことなども描かれ、いろんな要素が複雑に絡み合う展開となっていました。日高先生はこういうお家騒動みたいなのを取り入れるのがお好きなんでしょうか? いつも犠牲になるのは子供ばかりでなんともやりきれない気持ちになりますが、身勝手な大人達と正面から向き合ってぶつかることで、少しでも子供達の成長に繋がって彼らが今後の人生を豊かなものにできるよう祈るばかりです。菖太と竹生も伸び伸びと生きられるようになって欲しいな。
…そうは言っても。やっぱり桜井さんは大人で。手練れだとも思うし。(主に女性に)モテて来たんだろうなぁ、っていうのが分かる。意外にもだから怖い、恐れてもいて。この先のこと、年が離れていて、とか、もちろん男同士だとか。そして、真っさらの『蓉一の無知が怖いんだ。』。
何度もキスをしていて、衝動的に、もぅここはキスするとこ‼︎っていうのが、大人の桜井さんには分かりすぎる程に分かっていて。衝動的な筈なんだけど、桜井さんは冷静で。蓉一が『うまく息継ぎできてないとか。』分かってて。そう言えば、この先に進むのはもちっと後なんですが、思ってたより、この巻はチュッチュッしてて、驚きました‼︎ そ、そんなにしてましたっけ⁈っていう。そういうタイミングを逃さないところが、もぅ‼︎ 桜井さんのニクいところです。この男は‼︎(モテる筈だよ‼︎だってカッコいいもん。)
と、いうわけで。ものすごい勢いで牽制かまして来る藤本。牽制になっていないけれども。蓉一を見ているから、蓉一の変化に気づく藤本は、結構ガツガツ蓉一にも踏み込んで来るし、桜井さんにも正面から言いたいことを言う。そして、蓉一と一緒に学食行くってだけで、上がるのだ。ちょっと、だいぶ可愛い。年の離れた大人より、俺‼︎って、思ってるけど、後半、大人たちの間に入って行けない俺、っていうのも自覚していて。恋としては一方通行なんだけど、いい感じで外側に感情を出し始めた蓉一の、きっかけにはなってきているのだ。
大人に翻弄されている子供たちの話しと言えば。ここに来て菖太の父、菖一さんが登場する。この男は水川本家の当主で、蓉一の父、蓉介と竹生の母の長兄に当たる。菖太は当主の愛人の子なので、一族からおそらく疎まれている。本来なら長男の息子なのに。中学生の頃から蓉一の家で下宿して、バイトを沢山して、早く家からも独立したいと考えている。竹生や蓉一は菖太に無理をさせたくないし、とっても大事に思っていて。菖太もそれを痛いほど分かっている。ここ、泣いてしまった。感情を滅多に出さない蓉一が初めて菖太を庇って、大声で立ちはだかるのだが、所詮は子供の言うこと、と一蹴される。怒って家を飛び出した菖太を追うのは竹生。竹生もまた、自分の進路については悩んでいる。けれど、菖太には今無理をするより、大学へ進んで欲しいと願っているのだ。割と無愛想だけど、几帳面で綺麗好きで優しい竹生が私は好きだ。日高先生が、どうして竹生を幸せにしてくれないのか、意味がわからない‼︎ ぷんぷん。
菖太がバイトをしているなりに考えていて、物流の仕事に興味を持っている事が分かる。それなら、と竹生は優しく言うのだ、進学を考えてみろよ、と。
一方で同じ頃、部屋を飛び出した蓉一を追うのは桜井さん。蓉一の無知に踏み込むのは怖い、と思い少し距離を置こうと考えていたので、関西支社への栄転を受け入れていた。ところが、蓉一はきちんと言葉にしてその想いを伝える。「あなたが好きです。」と。
『言葉を交わすだけで、世界が変わるような気がした。』
「言わなくていい」と言ってまたキスをする桜井さん。きゃー‼︎ キザ過ぎる‼︎
「…言えって言ったり、言わなくていい、って言ったり、…桜井さんってワガママですよね。」って、いっぱいいっぱいになりながら言う蓉一が可愛い♡ あんなにキスでトロトロになっちゃってるのに。蓉一の精一杯の可愛い反撃。たまらん! もちろん桜井さんもたまらない。関西への転勤を受け入れたことをここで少し後悔している。次に桜井さんの家に行く時には替えの下着を持って行く、という蓉一には腰砕けだよ。うははー。
ところで、家の管理人をしてくれている強面だが、心配症で優しい吉富さんや、柏木さん。長兄の菖一さんに至るまで。亡くなった蓉一の父、蓉介が周りの人たちに物凄く影響を与えていたことが分かる。彼らの人生や進路にまで。そして、彼らにとても愛されていた事も。偉大な父の影響がそこに今も厳然とあることが、残された蓉一や彼ら全ての人たちに今も影響している。
あとがきの蓉一7歳、菖太5歳、竹生9歳、がとっても可愛い。(大人しそう過ぎるけどね。)
桜井さん、26歳…これはダメ‼︎ こんなんめっちゃモテてるでしょー‼︎カッコ良すぎる‼︎
何度も読み返している大好きな作品の一つです。
少しずつ、自然に2人が恋に近づいていく様子が丁寧に描かれていて、サブキャラ達も皆魅力的で、年齢層も幅広くて、本当に読みごたえのある素敵な作品です。
また、日高先生の絵もとても私は大好きで・・・
とりわけ私は桜井さんの仕事で疲れた~という感じの中から出てくる何とも言えない色気にノックアウトです。あと、桜井さんのストライプのシャツ姿が好きです。
1,2巻は、恋かもしれない・・・という感情に戸惑ったり・・・な桜井さん視点での展開という印象だったのが、この巻になって、蓉ちゃん視点もばんばんててくるようになって、ようやく2人が向かい合い、それから前を向いて恋に向かって歩き出したんだな・・・という感じになっています。
それまでの桜井さんは(なんだかんだ中身は案外子供っぽいのですが)大人なので、大人ならではのずるさもあって自分の気持ちから逃げようとし、蓉ちゃんは生まれたての雛のような純粋な子どもっぽさゆえの真っ直ぐさがあって、でもその分桜井さんに対する気持ちが何なのかまだ理解していなくて・・・
でもこの巻で、桜井さんも遂に自分の本当の気持ちから逃げるのはやめよう・・・と決め、蓉ちゃんも色々ちゃんと考えるようになり・・・。
そんな中、桜井さんの転勤話が(蓉ちゃんから離れようと思い桜井さんが受けてしまっていた)・・・という感じで次巻に続きます。