愛した男に憎まれる…苦しみの恋情!

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表題作傷痕に囚われて

三條繁晴,30歳,個人病院の跡取り,B大の外科医
堀河司,30歳,医療雑誌の編集

その他の収録作品

  • あとがき
  • その後

あらすじ

医療雑誌の編集をしている司は、執筆依頼をするために訪れた大学の医学部で、偶然かつての恋人・繁晴と再会する。司の裏切りが原因で終わった二人の関係。司を憎み軽蔑している繁晴は、司が隠している別れの真相を知らず、司を冷たくあしらい傷つける。そんな時、外科医になった繁晴の医療ミスを疑う遺族が、彼を訴えると騒ぎ出した。司は繁晴を信じ真相を調べるうちに、彼への変わらぬ思いが今も自分の中にあると気づき……。

(出版社より)

作品情報

作品名
傷痕に囚われて
著者
義月粧子 
イラスト
周防佑未 
媒体
小説
出版社
アスキー・メディアワークス(角川グループパブリッシング)
レーベル
B-PRINCE文庫
シリーズ
傷痕に囚われて
発売日
ISBN
9784048861625
3.5

(35)

(8)

萌々

(8)

(14)

中立

(5)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
11
得点
119
評価数
35
平均
3.5 / 5
神率
22.9%

レビュー投稿数11

健気で潔い男前受け

愛し合っていたけれど、とある事情があって身を引かざるえなくなった。
そこで他の男と浮気しているかのように見せつけ、攻めから見切りをつけてもらう形で別れた。
攻めに幸せになって欲しいからこそ、自分に未練を一切残さないような形で別れるんですね。

「愛した男に憎まれる…」とあるように、攻めのことを愛するがゆえに、あえて憎まれ役になり身を引く‥‥。
ツラぁ……って感じの切なさ満載で楽しめました。

八年後、仕事で偶然再会するんだけど、攻めからは嫌悪&警戒されてて、自分とヨリを戻したいからあえてツテのある教授を頼って自分に近づいたんだろう?と邪推されてしまう。
それを聞いた受けは、あくまで偶然であり、教授の推薦の中に貴方の名前があったからでその推薦を誇りに思うべきだと、きっぱりと言い返すんです。
ここが凄く良かった。

受けが一方的に言われっぱなしで否定もしない男だったら、きっと読んでてストレスマックスになっていたと思う。
なんで、そこで、言わないんだっっ………!!!と。

だけど、仕事に関しての誤解は毅然と訂正できる人なんです。
なのに、自分の過去の行動に関しては、一切の言い訳をしない。
そこがとても清いというか潔いというか、男前な受けだと思いました。
そして攻めがピンチに陥った時には、見返りを求めずに動く。

そんな受けの苦しみを知らずに、一方的にただ憎む攻め。
仕方ないな……って感じではあるし、真実を知った時に真摯に謝っていたので、まぁ許せます。

元凶である攻め母も、やべーな……って感じではあるものの、胸糞感が低いのは何故だろう?
受け自身が、そんな行動に走ってしまった攻め母の心情を理解して許してるからかもしれないな。

5

健気な人魚姫の恋が成就するまで

誤解から攻めに憎まれ別れたのち再会し誤解が解け後悔して溺愛される受けと言う展開は好きなパターンです。

この作品では、攻めの将来を考えて別れる決意をした受けが気持ちを残さないために徹底的に嫌われて別れることを画策し別れてもなお思い続けるのです。
自分が汚れ役を引き受けることによって、蔑まされようとも好きな人の幸せを願って傷だらけになって守り通す健気で深い愛です。

攻めが窮地に追い込まれた時に自分の仕事をおろそかにしても助けたのに、別の人のおかげだと思われ仲良くしている姿を見た時に虚しい想いに押しつぶされそうになった受けの描写を読んでまるで人魚姫?と思ったらまさにそれが狙いだったとあとがきで知りました。
不憫な人魚姫が幸せになってよかったです。

しかし相手のためを思って何も言わずに身を引くと言うのはどうしても納得できない、と言うか許せないことの一つです。
結果オーライでその時の行動があったからこそみんなが幸せになれたんだとしても、相手の気持ちを無視して自分だけの考えでつながりを断ち切る行為は独りよがりな恋愛だと思うから。
とはいえ健気&不憫ないい子ならではの行動なんですけどね。

2

今どき珍しい大和撫子

6年前の作品なのですが、読んだ感じはとてもクラシカルでした。
6年前ってこんな感じだったかしら?むしろ『昭和』を感じてしまったりしたんですけれども。悪い意味ではなく、何て言ったら良いのかな?大和撫子?

司は大好きだったからこそじっと耐えていたんだろうと思うのですが、単純な私は「なんで言わないっ!」と思っちゃう質なので、この展開にはかなりジレジレいたしました。
結果は大団円なのですが、それも司や繁春が自分で行動して得たものではなく、見かねた周りが動いた結果、収まる所に収まったというのがちょっと残念。

でも、秋の夜長にはこの手のしっとりしたお話も似合っている様に思います。
メロドラマが読みたい時にお薦めです。

2

仕事モノ好きにはたまりません!

「傷に沁みる毒のような蜜」と対になる作品とのことです。あちらは手酷くフラれた方、こちらは好きな相手のことを思いフッた方が主人公の話です。先生のあとがきを読んでから、敦史のイラストを見たら、確かにあっちの作品の攻めも似ている?って気が付きました。こういう出版社を超えてのリンクも楽しくて好きです。

司(受)が心ならずもふらざるをえなかった繁晴(攻)と8年後に再会。繁晴の医療訴訟になるかも、という危機を司が尽力し、司の雑誌WEB移行化への危機へ繁晴が協力するという、仕事モノ好きには堪らない展開でした。ストーリー上で登場人物がその職業の必要性が感じられる作品が好きです。

義月先生の作品にしては、攻めが横暴じゃないので、とっつきやすいのではないかと思います。司は8年前の言い訳をしようとしませんし、繁晴は嫉妬や誤解でそっけなく、最後までよりを戻さないのですが、そのじれったさも私は楽しかったです。

5

再会もの

タイトルの傷痕が象徴するように、一時分かれて心に傷を負った恋人同士が再会し、近づいていくお話し。
舞台は大学病院で、CPは攻めの傲岸医者と受けの医療関係編集者。人名に京都の地名がふんだんに使われています。で、受けが堀河で攻めは三條。
お仕事ものまではいかないけど、堀河が扱う医師のエッセーに三條の上司が寄稿した縁で再会、医療ミスをテーマに、遺族から責められた三條の窮地を堀河が救う、というストーリー。

三條は病院の跡取り息子。勉強スポーツ万能で傲岸、彼女はとっかえひっかえというキャラ。でもまがったことはきらい。そんな男っぽい三條を好きになってしまった堀河。美人だけどツンでなく健気キャラ。うじうじした健気受けは苦手ですが、まあそこまでだめな奴じゃなかったのでOKでした。

二人は大学時代から恋人だったのですが、三條家の反対にあったため堀河は身を引きます。分かれるために一芝居うったことで、事情をしらない三條は再会しても堀河のことを嫌っている様子。しかし三條のピンチを堀河が救ったことから自体は展開し。。。

最後はおでこがつーんとしそうなくらいのあまあまに。
それ程お仕事が絡んでこなかったのと、あんまり攻めキャラに萌えなかったのと、健気受けがどうも苦手なのでこの評価に。

2

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