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表題作ヘブンノウズ

渋澤征武,34歳,人気ミステリー作家
千野旭,21歳,イラストレーター志望のフリーター

あらすじ

「私はね、君の絵に恋をしたんだ」
ベストセラー作家の渋澤征武と知り合ったその日、旭はそう告げられた。半年前にある事件で母を亡くし、ショックから言葉を失った幼い弟と暮らしている旭は、もしあの日、もしあの時…… そんな後悔に囚われて毎日を送っていた。けれど、渋澤に会った日から、すべてが変わり始めた! 恋人は作らない主義と宣言する渋澤、男女問わず恋をする薫、執事の宇喜田を始め、個性豊かな渋澤邸の住人たちに、最初は反感を覚えた旭だったけれども!?

(出版社より)

作品情報

作品名
ヘブンノウズ
著者
英田サキ 
イラスト
奈良千春 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
ヘブンノウズ
発売日
ISBN
9784813012474
4

(95)

(39)

萌々

(31)

(19)

中立

(1)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
18
得点
377
評価数
95
平均
4 / 5
神率
41.1%

レビュー投稿数18

スコシフシギな日常話?

表紙に惹かれて。人物以外の描写が細かいイラストは、勝手に期待を煽られる。

本編は始まりからかなり長い間、何を軸にしたストーリーなのか分からなかった。緘黙のミツルのことかと思いきや、個性的な人物たちがあれよあれよと増えていき、気付けば幽霊まで登場している。小さな事件有りのオカルトをまぶした日常話かな。
主人公の旭含め、キャラは全員理解の範疇外にいるタイプ。これは何の話だろう……と思い、人物への共感もないのに、読み進めるのを止められない。自分が面白いと感じているかすら分からなかったが、一気に最後まで読んでいた。

旭は不満を内側に溜め込むタイプらしいが、心理描写から窺える性格はかなりキツめ。たまに毒親と評される母のような発言をし、相手を追い詰める言い方で質問攻めをする。甲高い声で言うと感情的だと批判されるだろう内容で、正直たまらんな(溜息)……と思った。読んでいて何度も女性かと錯覚する思考回路。
幽霊を頑なに否定する理由も、ただ頑固に見えるだけだった。
徐々に変わっていってくれたが、まだ彼への苦手意識は残っている。辛い過去から、同情方向の感情バイアスをかけて見なければ好意的に捉えらえないところが特に。渋澤は旭に自己評価が低すぎると言っていたが、私は普通に図太いと思って読んでいた。

渋澤の人間性は、まあ分からなくてもいいんだろうと思う。まだ一巻なので、今後明かされていくのかな。渋澤の屁理屈はツッコミどころアリアリなのに、旭が流されてしまうので消化不良。嫉妬かな?というシーンはちょこちょこあっても、はっきりしない。彼の魅力もまだ伝わってこず、おあずけっぽい。

ストーリーは一体何が言いたかったのか。シリーズの導入として、人物と各能力の紹介?
一文目の旭の後悔が嫌いという主張と不倫スタッフ殺人事件は大してリンクしてないし、旭に幽霊の存在を信じさせるためのエピソードなんだろうか。日常モノの域を出ない話の中に入れ込まれる、メイン枠外の殺人事件は異質だった。
渋澤の能力で解決するミステリ作品として読むのは無理。中途半端すぎて困る。

ラストは旭が渋澤への気持ちを自覚したところで終わる。ゆっくりじっくり流れたようであり、その一線だけわりとあっさりだったようでもあり。
どうにもモヤモヤして、作品への好感度はプラマイゼロって感じなのに、絶対次巻も読まねばと思っている。
とりあえず素敵な老齢執事様が大好きだ。

0

不思議なホームドラマ

2012年刊。
まだ物語の1巻目だが、幽霊が見えるかどうか、登場人物達の明かされていない過去の匂わせ?を感じる中で、自分なりに捉えた感覚ではこれから"不思議なホームドラマ"になっていくのかな?だった。

最初に目を惹くのはベストセラー作家・渋澤の結構な変わり者キャラぶりだ。
理屈を捏ねて人を煙にまくのに長けていて押しが強く、多分他者の意見には安易に流されないタイプっぽい。
偏屈かと思えば困っている人には優しく、ワケ有りな友人親戚に手を差し伸べて彼の住む屋敷に同居を許している。
そんな渋澤は、自身の児童書のイラストレーターに見つけた旭と、母親を亡くした事件のショックで話せなくなり引きこもりになってしまった幼い弟・ミツル兄弟にも優しい。
そして渋澤に一目置く一面は、初対面から心を閉ざしていたミツルが即座に懐いて子供らしい感情を見せているところだ。

登場人物中、唯一の現実主義者で幽霊を否定している旭だが、そこを柔軟に考えていかないと幽霊が見えるミツルとは距離が縮まらないし、心を開いてくれないといったジレンマに陥る。
旭が度々自己嫌悪に落ち込んだり、あの時母親に素直に謝れば…と後悔を抱えている様子は切ない。
彼だって母親を急に亡くし幼い弟の面倒を見る一方で、大学を辞めてバイトしながら生活を支えていて心身共に休む暇がないのだもの。
確かにね、渋澤が言う通りミツルと共に旭も救われないとね…

そんな旭がこれから渋澤とどうやって恋愛関係を育んでいくかを追っていく訳だが、渋澤曰く「恋人は作らない主義だ」と明言しているだけにどうなる事やら…
おまけに旭は、同居人となった占い師・薫に「必ずしも幸せとは言い難く辛い想いをする」なんて言われちゃって…
これから渋澤の恋愛観や感情にどう振り回されるかが、"神のみぞ知る"なのだろうかね。

1

英田先生入門にぜひ

再読です。
英田先生といえば、シリアス・ハードボイルド寄りの骨太作品が多い印象を受けますが、こちらの作品は比較的ほのぼのとした雰囲気となっておりますので、英田先生作品入門作としてもおすすめの1冊です。
ジャンルとしては、今のところオカルト・サスペンス色が濃いかな?という感じ。
とは言え、そこまで小難しい描写が多い訳でもなく、読者を飽きさせない展開がさり気なく散りばめられていてとても読みやすい。
さすが英田先生…と、うなってしまいますね。
心霊系が苦手な方でも読める作品だと思います。

ある事がきっかけで口が聞けなくなり引きこもってしまうようになった歳の離れた6歳の弟・ミツルを育てながら、懸命に働きつつ趣味でイラストを描いて暮らしている青年・旭。
ひょんな事から、旭がインターネット上で公開していたイラストに一目惚れをしてしまったという有名ミステリー作家・渋澤の新作児童書の挿絵を担当する事に。
担当編集者と、珍しく自ら外へ出たがったミツルと共に渋澤の家へ向かい、出会った事から物語・そして旭の世界が変化し始めます。

今作の登場人物達はとてもユニークなキャラクターが多く、とにかく全員の個性が強くてやり取りが楽しい。
それぞれ内に抱えているものやバックボーンが重たかったり悲しかったりもするのですが、彼らのあっけらかんとした物言いに上手く紛れ込んでいて重さや暗さを感じさせません。
霊が見える事が当たり前な渋澤につられてか、まあ彼がそう言うなら居るんだろうと、幽霊までもを歓迎してしまうようなどこか風変わりな渋澤邸の住人達の雰囲気が優しくも暖かい。

そんな暖かな雰囲気の中に散りばめられた謎と心霊現象。
1巻にあたる今作では、旭のアルバイト先の同僚が行方不明となっています。
彼女は一体どこへ行ってしまったのか、何故ミツルは話せなくなってしまったのか等、この辺りが見所でしょうか。
優しさと少しの不穏さ、まだ残されている謎。
これらのバランスが絶妙です。
読み終えた時にはきっと続きが読みたくなる、そんな作品です。

そしてそして、渋澤と旭の関係は今後どうなるのか。
まだまだシリーズの序盤なのでラブ度は低めですが、彼らがどうなるのかも神のみぞ知る…
という事で、私も引き続き次巻を読み進めたいと思います。

1

若者の苦悩と大人の助言

なぜか読んだような気がしたけれど未読だったシリーズです。

母親を殺害され残された幼い弟と二人精一杯生きている旭。

母親が殺される場面を目撃したうえ殺されそうになった弟(ミツル)はその日から口をきかず表情もない。
そんなミツルを守りながら大学をやめて働き二人の生活費を稼ぐ旭。

それなのになぜかミツルが渋澤にすぐに懐いて、楽しげにして笑顔まで見せるシーンで旭が泣く場面が切なかった。
一生懸命しているのに懐かないし一向に回復しないことへの苛立ちと将来への不安を抱え、それでも自分だけしかいないと頑張っているのに、ひょこっと出てきた他人(澁澤)にあっという間になつき外にも出られるようになったんですから、自分の今までの努力はなんだったのか、自分の無力さや小ささを実感して悲しくなりますよね。
二十歳そこそこで大き過ぎる試練だと思います。
そして大人の渋澤は、人に甘えるのもいいと言いながらミツルではなく自分の気持ちを優先しているときつく言われてると無力感に苛まれるというものです。

一癖も二癖もありそうな住人や、澁澤のセフレの編集者など登場人物たちがこの先どう動いていくのか楽しみです。

そんな旭の事情や環境の変化を横糸に描きながら、旭のバイト先の友人の失踪事件を縦糸に織り込まれていきます。
失踪事件をの経緯と結末は読んでいて割とすぐに察せられるのですが、それが、旭とミツルそして澁澤との距離を縮めるきっかけになるエピソードとして絡んでいきます。

LOVEに関してはまだまだ遠いです。
旭はちょっと気になってしまったり、渋澤のセフレの存在が気に食わないと感じたり腕の中が心地よく思ったりする感情をまだよくわかっていません。

純真で奥手な若者をちょっこっと騙していいことしちゃったって感じの渋澤先生でした。
こんな悪い大人に騙されちゃいけません。
旭、冷静になれと言いたい。

2

珍しく「はよ手だせ、このおっさん!」と思った

英田先生のを読みたいなあと購入。
読んでるうちに、「え、終わらんやん、謎はとけてないで、
どうするんどうするん??????」と思ってたら
終わってしまった。続き物だったんですね・・・恥。
いろんなキャラクターが登場するし、攻め(予定?)が
渋めな誑しおっさんでいい感じだったので萌2.

そんなにエロシーンに興味はある方ではないのですが
珍しく、受けにいつ手を出すのか と、じれじれしながら読んでました。
結局当巻ではくっつかず。早く2巻以降手に入れなきゃととても楽しみです。

当巻での登場人物は
攻め:人気小説家。華族の末裔らしく、すんごい家に住んでる。
   新しく出す本の絵師に受けさんを指名。
受け:素人のイラストレータ。レストランでバイトしつつ年の離れた弟を養っている。
その他攻めさんの同居人に、女装占い師のイケメンや、プリン(犬)、
エリザベス(猫)、超渋い執事、スイーツも作れちゃう料理人などが
出てきます。1冊に1事件あるのかな?
当巻の事件関係者としてレストラン勤務者が少々。
どの人物もちゃんとキャラがたってて楽しい。

そういえば、お化け話でしたが怖がりの私でも
全然セーフでした。そんなにたっぷり怖いシーンがなかったからか?
1か所金縛りもので 怖めなものがあったので
苦手な方はご注意ください。

あー早く続き読みたいなあ。。

0

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