金のために抱かれるって屈辱だろ?

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作傷に沁みる毒のような蜜

佐久間弘樹 投資会社の重役
阿川聡史 研究職の大学教員

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

学生時代、研究以外の日常に何の興味もなかった聡史は自信に満ちた存在感のある男・弘樹と出逢う。「あんたの知らないもう一人のあんたを教えてあげるよ」と、恋の甘さや胸苦しさ、身体の快楽までも仕込まれて……無垢なまま弘樹に溺れ、そして玩具みたいに捨てられた。――心の傷が癒えぬまま七年が経つ。だが、偶然すれ違った声は忘れられない彼のもので!? 過去など無かったかのような弘樹に、聡史の封じてきた想いは揺るがされ……。.
(出版社より)

作品情報

作品名
傷に沁みる毒のような蜜
著者
義月粧子 
イラスト
しおべり由生 
媒体
小説
出版社
ブライト出版
レーベル
ローズキーノベルズ
シリーズ
傷痕に囚われて
発売日
ISBN
9784861232091
3.5

(12)

(3)

萌々

(3)

(4)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
41
評価数
12
平均
3.5 / 5
神率
25%

レビュー投稿数4

寒いまでに俺様な攻めを楽しみましょう。

攻めの弘樹は自分に落とせない人間はいない、と思ってるような自信満々な態度やナルシズムさが鼻につく男。
研究一筋で恋愛に縁のなかった聡史を落とすなんて、赤子の手をひねるよりも……って感じ。

色恋に免疫のない聡史は、弘樹にのめり込み弘樹さえいてくれれば他はいらないとばかりに、勉学を疎かにし始め留年決定……。
なんていうか「遊んでこなかった真面目な人ほど、遊びや浮気にハマりやすい」みたいなのを地でいく感じっていうんでしょうか。

そして弘樹から頼まれて100万円を貸した後、弘樹と連絡がつかなくなり、ようやく会えた弘樹からこっぴどく振られる。

なんていうか、あまりにも聡史が恋するおバカさんに成り果ててしまってるので、弘樹も理由あって別れを告げたんだろうなぁっていうのは、読んでてわかるんですね。
それにしては容赦ない振り方なんだけど。(そこも理由があったけど)

義月作品でいいなと思うのは、仕事に矜持を持ってて芯のある受けの登場率が凄く高いところ。
前半は、恋に溺れ切って研究もそっちのけなので、あれれ?だったけど、振られてからの聡史は良かった。
七年後に再会した後も、昔の事は忘れたかのように近づいてくる弘樹に対して、揺れる心は必死に隠して強気&素っ気ない態度をとります。
そして「仕事に関しては、いくら弘樹が相手でも譲れないところがある」と思う姿に、これよ!これ!と。

それと、攻めが単なる傲慢クソ野郎かと思いきや、実は……となり、しゃーないな、それなら許す!!っていう転換点があるので、ついつい読んでしまうんですよね、義月作品。
ほんのちょい攻めザマァもあるし。

冒頭で、「攻めは自分に落とせない人間はいない、と思ってるような自信満々な態度やナルシズムさが鼻につく男。」と書きましたが、あとがき読んで納得。
「世の中は自分のためにある、くらいにさぶい男」を目指したらしい。

実は前半まで、なんか弘樹の俺様っぷりが寒いわ……と思ってたんですね。
あえて「さぶい男」を描いたのですね、義月先生!!と、めちゃ納得。

弘樹は「傷痕に囚われて」にも出てるとのことなので、はぁ?そんなやついたっけ?と読み返したら、いましたよ。
事情あって攻めとの別れを決意した受けの、偽の浮気相手として協力してました。
本当は好きなのにあえて別れた受けに「経験者の立場から云わせてもらうと、本気になれる相手が現れるまではずっと引き摺るぞ」とアドバイスしてた。
そして「あんたには現れたの?」と聞かれて「まだ引き摺ってる」と答えてました。

時系列で言えば、この作品の別れを告げた後の頃の弘樹でしょうかね。
ふふふ、ざまーみろ。


2

攻めは他の作品にもちょこっと出てます

「傷痕に囚われて」と対になる作品とのことです。あちらは好きな相手のためにフッた方、こちらはフられた方が主人公です。先生のあとがきを読んで、あちらの作品でナオキ(弘樹の偽名)が言っていた「まだ引き摺っている」の意味が分かってスッキリしました。

聡史(受)視点なので、彼は手酷くフッたくせにいけしゃあしゃあと自分に声を掛けてくる弘樹(攻)に戸惑って動揺する自分に自己嫌悪してしまうのですが、大学院時代から弘樹が聡史に好意を持っているシーンが多くあるので読者としては安心して読んでいました。

傲慢でモテる男と、そんな男に振り回される真面目な受けという義月先生の作品がお好きな方にはオススメな1冊だと思います。私は表紙イラストの束縛されている感じも好きです。

2

こんな傲慢な攻めは嫌だー!の一人ですw

傲慢俺様な攻めに翻弄され続ける受け。
こんな傲慢男のどこがいいんだろう?と思うほどの傲慢さと、一見自信がなさそうな言葉を吐いたりもするが、ほんとうは自分本意で自分勝手な傲慢さでそれを隠しているのだとも思えるほどの傲慢すぎ。
こんな男に惚れたあんたは、まったくもう!と受けに怒りながら、
一体どこがいいんだよーと思える攻め。
今年b-プリで出た『傷痕に囚われて』のスピンオフというか、それより先にできた話しだそうなんですが、一体誰がリンクしているのか、その本をひっくり返さないとわからないという(汗、)
えっ、ひょっとして主人公が恋人を振るのに手伝ったセフレの男?
それしか思い浮かばないんだけど、佐久間って名前だったっけ?違う人だっけ?
それとも違う場面で出てきた人だっけ?
というくらいなので、出版社も違うし、単品で全然OKです。

研究一筋で来た主人公が初めて目を奪われてそして体を繋げて、
初めての恋にのめり込んで肝心の研究がおろそかになって担当教授にも見放されかけた頃、青天の霹靂のように恋人から受ける酷いしうち。
それから7年。
もう一度研究者としてやり直して大学に戻れた主人公と、その恋人は再会する。

あれだけ酷い事をして、そして再会した時も傲慢な態度で、こんな男嫌だよー!と思うのは自分もだけど、主人公もやっぱり同じで。
義月さんは時々、とてつもなく酷い攻めを書くので覚悟はしてるんですが、
過去のそれらに比べれば、まだ甘いほうだとは思うんですけど。
そのまだ甘い方というのが自分には逆に働いちゃったかも。
主人公が研究バカで世俗に疎いとはいえ、さすがに30歳でこの選択はと思うと共に、受けの魅力が攻めの酷さに比べて今一つ訴えるものがない点と、物語が傲慢俺様に振り回されているような彼に全ての決定権があって進んでるような気がするのが
自分にはマイナス要素だった部分かもしれませんね。

4

初めての恋に溺れ過ぎて・・・

冴えない研究オタクの学生だった受け様が出会ったのは誰からも目を奪うような
存在感のある男前、偶然隣り合っただけなのに、直ぐに偶然のように再会し
強引に誘いを受ける様になって、真面目だけが取り柄のような受け様は
今まで知らなかった世界に引き込まれ、攻め様に求められるまま関係を結び
初めての恋に心も身体も溺れていくんです。

研究熱心だったはずの受け様は攻め様と付き合うようになってからは
大学にも行かない日が続き、攻め様からの呼び出しに一喜一憂するように
どんどん攻め様に傾倒して攻め様以外は目に入らないように溺れてしまうのです。
でも、攻め様は男女の区別なく遊びで食い散らかすような遊び人でそれを証明するように
受け様の前でも女を連れているように・・・・
そして、受け様は最悪な形で攻め様に捨てられてしまうのです。

そして忘れたくても忘れられなかった攻め様と研究者と投資会社の重役として
7年ぶりに再会する事になった受け様は、動揺を押し殺しそ知らぬふりをしようとするが
昔と変らぬ強引さで再び受け様を振り回すようになるんです。
そして受け様は攻め様から頼まれた事を引き受けて、それがまた利用されたと知り
自分の未練がましさに自嘲し、二度とかかわらないと・・・

しかし、受け様の気持ちをあざ笑うかのように再び運命が重なり合うんですよね。
受け様は、大学から研究費を削られ、研究を続ける為に攻め様から身体と引き換えに
寄付をすると持ちかけられ、でも遊ばれているのが分かり、受け様は拒絶
しかし、攻め様はそんな受け様を無理やり犯してしまうのです。
今度こそ二度と会わないと逃げ出してきた受け様・・・・

過去のすれ違って傷つけあった出来事が、7年後の再会で明かされる時
二人の思いが通じ合うそんなハッピーエンドです。
それにしても・・・結構ダメダメな攻め様で最悪な男なんですが憎めないキャラでした。
捨て身で向かっていける受け様の方が案外男らしいのかもなんて思いましたね。

6

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP