ヤマシタトモコ、3年ぶりのBLコミックス

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表題作ストロボスコープ

池田連司,26歳
和,さびれた喫茶店の店主

同時収録作品good morning,bad day

大学生,同居人
同じ大学の同級生,同居人

同時収録作品Chain gang / pulling the chain!

同時収録作品Devil's thoroughbred / 〃(おまけまんが) / go to the devil !

ドSの狂犬 破崎
まわりから一目おかれている 鬼永

その他の収録作品

  • postscript
  • エッセイ

あらすじ

さびれた喫茶店の店主・和は、ふいに転がり込んできた年下の男・レンジと暮らすうち、他人の肌への飢えに気づく。
とうに諦めていた恋愛への渇望は、和をシクシクと苦しめて…。

読み応えの長編に、コミカルなショート、おふざけ満載のエッセイなど、著者の魅力を凝縮した1冊。

収録作品
「ストロボスコープ」
「Chain gang」
「good morning,bad day」
「Devil's thoroughbred」+エッセイ32本

(出版社より)

作品情報

作品名
ストロボスコープ
著者
ヤマシタトモコ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックス~BE×BOYCOMICS~
発売日
ISBN
9784799712399
3.6

(54)

(11)

萌々

(22)

(14)

中立

(6)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
16
得点
191
評価数
54
平均
3.6 / 5
神率
20.4%

レビュー投稿数16

辮髪は万人の知る単語ではないのね

◾️ストロボスコープ
なしなし言ってる時点でアリっていうか、土俵に乗っけちゃってるのは自分というか。
まぁ、ふたまわりも若い美青年に甘い雰囲気出されて土俵にあげないのが無理ってもんです。この妙におっさんのドリーム入ってる感じがちょっと気持ち悪かったり(嫌いじゃない)。

◾️good morning, bad day
相手の感情は推しはかってくださいというタイプのひとりがたり。先生こういうの好きな〜

◾️chain gang
おもらしがテーマのアンソロジー…!
剥奪…剥奪っすか。繋がれてないただのギャングやん。

◾️悪魔のサラブレッド
デビュー当時っぽい雰囲気。大好きです。これだけなら神つけたい。鬼永くんがどこまでもこういう男だから好きになっちゃったんだろうな〜〜〜〜男が惚れる男。破崎に限らず皆んなが惚れてるあたり、本気でモテる感がバシバシに伝わる。
でもそりゃ「出てって二人共」だわさ。

後半はエッセイ?です。BL小噺みたいな。文字の量多め。帯でこう煽っておいて半分は漫画ではないのか…というのはちょっとある。
最近は40代はBLじゃないなんて誰も言わなくなりましたね。

萌〜萌2

0

エッセイでもピンポイントで萌えさせるのはさすが

◆ストロボスコープ(表題作)
 やっぱりこの作品が一番お気に入りかな。人に期待すること、自分が満たされることを完全に諦めてしまっている、顔に皺も刻まれた草臥れた喫茶店店主の和が、本当に同情を誘うんですよね。尾ひれを付けた噂がすぐに蔓延する田舎で長年過ごしてきた彼は、今更客に何を言われようが微塵も響かなくて。それは果たして生きていると言えるのでしょうか? 死にたいけれど死ぬ勇気もないから、ただ仕方なく生きている和。そんな彼に、最初は同情だったかもしれないけれど、年下のレンジは強気に、真っ直ぐな好意を携えて迫る。怖いままでいい、不安を抱えたままでもいい。それでも最終的には、目の前の1人の人間を信じて受け入れてみようと一歩踏み出した和の勇気、蘇った生命力に胸が熱くなりました。

◆good morning, bad day
 流されやすさを極めたような受けが、可愛かったです。自分が流されているのは十分に分かっている、でも、攻めの瞳に射竦められると怖くて逃げることなどとてもできない。ノリで迫ったように見えて、実はかなり受けに執着しているらしい攻めにも萌えました。

0

物語は半分だけ。残りはマンガエッセイ

短編集。
でも、作品は半分までで、残り半分がギャグ色の強いエッセイが収録されています。
今までの作品とは少し色合いが違う…というか、もしかして収録できる短編が足りなくなったのかもね⁇

「ストロボスコープ」
「泣けるBL」が初出とのことで、確かに不憫な男が主人公。
男は喫茶店の店主・和(かず)。
人間関係が狭い地域で、過去自殺をしかけたんだけど、そのことでゲイバレ、その他色々バレ、毎日恥の中で生きている。
そこになぜか住み着いた若いイケメン・レンジが、その淀みきった空気感にショック療法。
レンジは弱った人が好物で、生きたまま死んでるような和が好きになって、誰からも愛を得られなかった和の恋人になる…!
淋しい男の可哀想な話が一転、甘いハッピーエンドになります。
とりあえず良かったねぇ。

「good morning, bad day」
同居人とHする間柄。それは嬉し恥ずかしなの?それともいつか失う恐怖込みなの?
短編で心境の掘り下げが無く、オチがないようなお話。

「Chain gang」
おもらしアンソロ用の短編だそうで、内容もおもらしのみ。ビール飲み過ぎの友達の膀胱を押さえつける話。

「Devil's thoroughbred」
2005年の同人作品だそうです。絵も少し違うし、かなり暴力的。
「イルミナシオン」に収録のデビュー作「神の名は夜」とテイストや匂いが同じだと思います。
レイプで愛をごまかす男と、そんな相手にも愛の芽を見つける男。

そして各話の笑いでサゲるSSがあって、カラーイラストがあって、面白エッセイへ突入。
エッセイの内容は「なにがでるかな辞書アンルーレット」というタイトルで、辞書を開いて偶然出た単語3つをBLに絡めてなんかやります、という4ページマンガ。これが12回分。
続いて、お題があってそれに関しての2ページのマンガエッセイ。これが13回分。
最後に、攻め属性や受け属性の考察。これは2ページで6回分。
私的には、このエッセイ部分は何度か吹き出しつつ楽しく読みました。

0

短編が面白いヤマシタさん

短編集半分、エッセイ半分という変わった構成。リブレはアンソロのまとめ単行本が多いですがこれもその雰囲気がひしひし。うちいくつかは、祥伝社のonBLUEからの収録作品のようです。

ヤマシタトモコさんは個人的にはまるはまらないがはっきり別れる作家さんですが、これは非常に面白かった。カフェノワールも面白かった印象で、思うにヤマシタさんは短編の名手では。(逆にぐっときた長編が思い出せない)

タイトル作は単行本の最初に入っていますが、これを読んだとき、ヨネダコウさんの「囀る~」5巻をこの短編1作でやってしまったな、と思いました。囀る~は、だんだん八代が乙女になっていく課程が描かれていて、5巻まできて引いて見ると割とそれっぽいBLの構図だなと。それが、このストロボスコープで見事に凝縮されている。恋をしたことがない無気力なおじさんと、まっすぐな青年。ぐいぐいくる青年にたじろぎ引いてしまうおじさんDT(正確にはDTではないけど精神的に)。う~んとうなってしまいました。

他の短編も秀逸。唯一、同人作品だという悪魔のサラブレッドは、割と萌えそのままだな、という分かりやすい作品でした。

いつも思いますが、巻末(このほんの場合は短編集の直後)の描き下ろし1Pその後編が面白い。本編と全く違うヤマシタさんのユーモアが炸裂。

後半のエッセイは、やはりエッセイで、雑誌の片隅にあるのをちょこっと読むのがよくて、こうやって大量にまとめられると読んでて疲れますね。

でも短編集がよかったので萌2です。

0

もっと執着して下さい

短篇集 + エッセイ? で構成されています。

表題作が一番心に残ったので、
そこのところだけのレビューってことで。

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何気ない日常を淡々と生きてきた50歳ぐらい?の
喫茶店のマスター・和(受け)の話でした。
(ホントは、何歳なんだろ…?)

小さな町の一軒きりの喫茶店で、何事もない日常の中、
いつのまにか26歳の男性・連司(攻め)が
喫茶店に住み込みはじめて何日か目……というところから
物語は始まります。

なんというか和(受け)は、何事にも執着せず投げやりで、
情熱も何もなく、無表情で、枯れ果てたような印象がありました。
見てて哀しいです。

そこに突然住み込み始め、世話を焼きだした連司(攻め)。
だんだん和(受け)は連司(攻め)を意識しだしますが、
そのたびに頭のなかで否定します。
歳の差が邪魔してるのかな? 
素直に気持ちを認めればいいのに……とか思いました。

「嬉しいも悲しいも
 恋しいも寂しいも
 ない
 愛情的な意味で言えば、
 生まれてこの方
 ない」

このくだり、悲しかったですね。
主人公・和の投げやりで執着のない淡々とした生き様
そのものに思えて、切なかったです。
連司が和の過去の自殺未遂の話を聞き、
声を荒らげても、和はただ他人の話のように淡々と自殺未遂について語る…
なんて悲しく、寂しい人生だろうと思いました。
和は、このままここで朽ちていってほしくないとも思いました。
「もっと生きることに執着しろ!!」って
怒鳴ってやりたいぐらいでした。


そして、連司は和の気持ちに気づき、それに応えようとします。
しかし、和は「ひとから好きだなんて言われるのははじめてだ」と
それを拒否しようとします。
もう、ここのシーンがね。
和が可愛くて可愛くて仕方がなかったですね。
連司が時間をかけて、優しい言葉をかけて
ゆっくり
ゆっくり
和の心を溶かしていくようで
本当に嬉しくてたまらなかったです。


エッチシーン。
和が事前に言っていたとおり、
ジェルを使っても指しか入らなかったわけですが(笑)、
それでも、エッチシーンは、
ひたすらに「愛おしい」という感情が
溢れ出ていて、見ていて暖かい気持ちになりました。
エッチシーンで暖かい気持ちになれたのなんて、
初めてかもしれません。

これから和には、連司とふたり、
小さな町の喫茶店で、淡々としながらも
連司に少しでも執着しながら、好きになりながら、
愛おしいと想いながら、生きていってほしいと思いました。

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あとは、いくつかの短編とエッセイがあったのですが、
そちらの短編の方は、はっきり言って
表題作より全く印象に残らなかったです。

エッセイはエッセイで面白かったんですが、
なんせ長い!!!
ひたすら長い!!
一冊の半分を占めるエッセイってなんですか。

というか、途中からだんだん意味不明になってきて、
エッセイの方は最後まで読めなかったです。
スンマセン。

-------------------

評価の方は、表題作のみの評価ってことで
お願いします。

エッセイまで入れちゃったら、
「シュミじゃない」になってしまうので……

2

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