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電子書籍で購入。
挿絵なし、あとがきあり。
久しぶりに読み応えのある人間ドラマを読ませていただきました。
「神」評価です。
なんでしょう。
初出2000年ということなので20年前の作品。
古さなどは、気にならずに読み進めることができましたが、やはり、ここ数年のBLトレンドとは違いますね。
じっくりと読ませる作品です。
最近、軽く楽しめるものばかり読んでいましたが、私、こういった雰囲気が好きだったんだなとしみじみ思い出しました。
最後の顛末まで書いてもらいたい気がしましたが、あの終わり方でいいのかもしれません。
意味深な表紙にそそられました。うっかり執着攻をイメージしてしまいましたが、たしかに、検事という仕事は事件に執着してなんぼ!だから間違ってなかったと思います。はい、検事のお仕事ものとしての読み応えがあって、旧作ならではのよさ、その時代にしか描けない作品の味わいというものも堪能させていただきました。平成11年設定なのでスマホはありません。いまよりちょっとゆるやかだったあの頃を思い出しながら楽しみました。
攻受は大学の後輩・先輩です。7年前に亡くなった親友(幼なじみ)にずっと心を囚われて生きている受さん、転勤によって再会した大学の後輩・攻さん(シェパード犬)によって徐々にその気持ちを癒されていきます。ストイックすぎる受さんの葛藤には、きっと乗り越えるんだろうな~と思いつつも切なさを禁じえません。実際、俺が俺らしく生きるのが一番となかなか言えなかった時代が長くあったと思います。だからこそ、そこから生まれる秘めやかな葛藤や苦しみというものに美しさを感じてしまいます。
やっぱり、かわい先生の描く男同士(とくに同じ職業意識を持つもの同士)の胸アツは、めちゃくちゃいいなと思いました。野々宮が伊能に特捜に異動になったことを報告する場面は特にじーんとしてしまいました。直接的ではないけれど、言外ににじみ出る雰囲気、相手の意図を汲んで多くを語らない彼らの様子に、くぅぅ~っと喉の奥で唸りました。
エロはあんまりありません。だからこそ、後輩・シェパード検事が先輩に求める”…もっと可愛がってください”には爆萌えしました。
といわけで、次巻いってきます。
かわい先生に飢えて、よく調べもせずに買ったら「下巻!」だったので、慌てて当本をkindleさんで購入(カラー口絵も挿絵もなかった(涙))。2000年ごろに書かれたお話を改稿・改題され「光の雨-贖罪ー」との2冊で完結というお話にされたとのこと。ごっついどっしりお仕事(検察官)話で甘さは微塵も感じませんがめちゃくちゃ良かったです。普段「好きだな」と思うBLの評価は「甘い、楽しい、癒される」を基準にしていて、それとはまったく違っているのですが、むちゃ好きだったので萌2にします。人様にもめっちゃ薦めます。平河寮シリーズ読んでる方だったら好きだと思います。本編+あとがき。
お話は、まっすぐ正義の味方的検察官の野々宮(黒ワンコ)が、伊能のいる大阪地検に転属されてくるところから。二人の共通の知人だった渡瀬は交通事故で7年前に亡くなっていて、それ以来ぶりの再会。あの頃と変わらずまっすぐな攻めさんを手助けしたり、食事をしたりと交流している間に、自分の中にあるどうしようもなかった想いが表面化してきて・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は(多い)
黒木(美人♀、攻めの立会事務官)、立石(大阪地検特捜部部長、しぶいーーーーー)、渡瀬(故人、攻め受け共通の知人)、榛原(黒木の夫、同僚の検察官)、原口(インテリヤクザ)、佐竹(同僚検事)、原口関係のヤさん複数 等々。多いですが混乱はないです。
+良かったところ
黒わんこ攻めさんの優秀な働きぶりに引き込まれます。保険金目当ての殺人事件が一つ出てくるのですが、「まさかそんな風になるとは」でした。その場にいるかのように読んでいるこちらがドキドキです。
恋愛方面の方は。受けさんがクソがつく真面目さんでして、冒頭は本当に重め。大丈夫かこの受けと思っていたら、7年持ちこたえていたのに昔の知り合いと再会したことによりぷっつん切れてしまったようで、本当に危ないところでした。
そこからの救われ度合い、心が軽くなっていく様子が、良かったです。前半重かっただけに余計にそう感じるのかもしれません。
心が軽くなって下巻へと続きます。
かわい有美子さんは『透過性恋愛装置』を読んで以来好きになったので、たまに古い作品も読んでみるのですが、文庫化などで新装で出版されたものは読んだことはありませんでした。
今作は3巻のうち2巻出版されたた後10年完結さてないままだったと旧版のレビューで知りました。
面白いと思った作品が途中のいいところでお預けになってしまったとは何とも残酷な焦らしプレイでしたね。
先日は『空色スピカ』を読んだばかりで余韻のあるうちだったので、違う人の作品のようでした。
それが10年以上も前の作風ということでしょうか。
実は少し前に購入したのですが、なんだか重くて小難しそうな感じがしてなかなか手に取れず積んでいました。
『空色スピカ』に背中を押してもらって読み始めましたが、思ったとおり時間がかかってしまいました。
亡き人に囚われたままの優等生検事とそれから解放してくれる年下の検事の再会から始まる恋愛でした。
と言っても恋愛ものというよりは事件捜査が中心で検事が活躍する事件ものとして読んだら楽しめると思いますがBL小説の萌はあまり感じられませんでした。
挿絵は好みじゃなかったです。
カバー絵は雰囲気があっていいと思ったのですが、中の挿絵がのっぺりとして表情がない顔とかやたらと小顔で手足が長いところとか。
旧作の石原理さんのカバー絵を読んだ後で見たら、イメージ通りだったので新装刊で石原さんでなくなったのは残念でした。
かなり前の三冊予定だった『いのせんと・わーるど』を二冊にして新たに出された物ですが、古臭い感じはまったくしませんしとにかく読ませます!
タイトルもこちらの方がしっくりきます。
かわいさんの硬い系作品がお好きな方は、『贖罪』との二冊同時購入がお勧めです。
まるで一般小説のようでした。
読むのは大変で再読はしばらく無理ですが、かわいさんのすごさを再認識した作品でした。
受けの伊能は七年前に事故で亡くした親友・渡瀬への想いをずっと抱えている、大阪地検の検事。
『落としの伊能』と呼ばれる程仕事は出来るが、渡瀬の死を自分の責任と感じ熱さを失っている。
攻めの野々宮も検事で、以前の赴任先でのトラブルで大阪地検へと移動してきた、亡くなった父親も元検事だった男。
渡瀬に学生時代可愛がられいたせいで、伊能とも知り合いだった。
渡瀬の死からずっと疎遠になっていたふたりが、野々宮の移動で再会する。
伊能は野々宮が目の前にいることで否応なく渡瀬を思い出してしまうし、野々宮は渡瀬に囚われた伊能を楽にしてやりたいと考える。
ネタバレなし設定なので詳しくは書きませんが、伊能の心が擦り切れてそれを野々宮が救うシーン。
ここが『原罪』のキモかな。
はじめ小さな事件かと考えられ終了されてしまった野々宮担当の事件が実は大きな絵の一部であったという展開や、それに関わってくる刑事や裏社会の男がとても良く読み応えがあります。
視点も複数人の中で変わるので、事件を理解しやすいです。
BLの直接描写は今の本の過激さと比べものにならないくらい薄いですが、感情の機微が細かく描かれるのでかえってこのくらいの方があいました。