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表題作孤独な犬たち

大川組若頭・加納
爆破事件で兄を失った高校生・美山香介・17歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

なぜ兄は死ななければならなかったのか――。謎の爆破事件で唯一の肉親の兄を失った香介(きょうすけ)。茫然自失の香介の前に、大川(おおかわ)組若頭の加納(かのう)と名乗る男が現れる。「お前の兄を殺したのは俺だ」――闇夜を背負ったような黒ずくめの姿と表情のない冷たい瞳――兄はヤクザとかかわって殺された…!? 真相を突き止めるため大川組に潜り込む香介。ところが加納に「俺の女にする」と目をつけられてしまい!?

作品情報

作品名
孤独な犬たち
著者
愁堂れな 
イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199007170
3

(22)

(1)

萌々

(8)

(7)

中立

(4)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
10
得点
62
評価数
22
平均
3 / 5
神率
4.5%

レビュー投稿数10

いつもの愁堂れな劇場

電子書籍を購入。
挿し絵あり、あとがきあり。

いつもの、愁堂れな劇場。
二時間ドラマ。
安定の満足感。

強いて言えば、
今回はヒネリが少なく、話が見え見えだったかな。
あと、攻めがどの段階で受けを好きになったのか、わかりにくかったです。
関わりの深かったお兄ちゃんではなく、ほとんど接点のない受けに惹かれた理由が薄かったような。。。
もう少し、何かエピーソードがあったら良かったのだけど。

でも、まぁ、挿し絵が美しく、
全体的にみれば、まずまず満足の
「萌え×2」です。

3

にいちゃーん、もうちょっと何とかならんかったんかい。

私も葛西先生の挿絵狙いで購入。
表紙も素敵ですが、カラー口絵が素晴らしい!!!
葛西先生ってなんで、こういう せつない、はかなげな、
泣きたくなるような絵を描くのが驚異的に上手いんだろう・・
(受け兄と攻めが描いてあります)

お話は、お気軽はぴはぴ読み物ではないです。お兄ちゃん健気話。

受け:兄の事件に巻き込まれ、大けが。2年ほどリハビリ。
   中2時に両親相次いで病死し兄と二人で生活してた。可愛らしい容姿。
佐橋:警視。34歳。イケメン。1年前から兄の事件担当。
   受けの後見人的役目を果たしている。
   父代議士、等一族全てハイスペック(すげー)。
受け兄:2年前、帰宅直後に手製の爆弾を部屋に投げ込まれ死亡。
    受けの5歳上。見とれるほどの美人。
攻め:ヤさん若頭。第一印象 ガタイのいい「死神」(by受けさん)
   5年前組に入り、汚れ仕事をいっぱいやって のし上がり。

兄は働いていると言っていたが、勤務先不明であることが死亡後に判明。
ショックのあまり、受けさんもともと重症だったけど、
もう生きててもしょがない状態に。
そんな時に攻めさんが来て、俺が受け兄を始末しろと指示した 
と告げたもんだから
兄ラブの弟、必死にリハビリ開始、兄はどうして殺された調査を開始 
てな話。

お話は、うーん、おいおい、そんなんでええんかい 
という気がとてもして、すいません、中立。。。
葛西先生の挿絵を全部制覇したい!という方には
オススメです!(すいません・・)

最後の兄の語りで、うーん、ちょっと救われるかも。

1

気になる黒光り

初読み作家さんです。
葛西さんが大好きなので、挿絵目当てで購入。

絵と兄弟物という情報だけで購入したのですがしまった!!
何より不得手な893物だった!(がぼーん)
それでも読み続けましたが、兄弟物だと思っていたら、…………いきなり兄が亡くなりました。ええー!?※これはあらすじ読まない、私が悪い。
もしかして加納が兄なんじゃないの?と思いましたが、死体がありましたやね(汗)
更によく見たら、カラー口絵の美しい御方はお兄様でした。名前がかいてありました。ううう。
そうなのです、読み終わっても矢張り兄が好きだったので、何とも報われない話でした。

話の展開もですが、色々行き当たりばったりというか無理のあるものが多くて、何となく入り込めないまま終わってしまいました。
受けが医者になりたいくらい頭のいい子だったら、もっと綿密に計画練りますよね。いきなり逃げ出して、いきなり歌舞伎町行って、なりゆきで組に入って…………無謀過ぎる(汗)あほのこ設定ならばよかったのですが。
あと、加納があの見舞だけで実は惚れてました!というのも無理があるような。
お兄さんが本当哀れで、結局その上で弟は幸せになりましたというのが、なんとももやもやと。

それとイチモツの描写で「太くて黒光りする」っていうのが二度も。何故か大黒柱を思い出してしまい、最後まで大黒柱を思い出したまま終わってしまいました。う、うーん。何で、そこにそんな描写したのか。

お名前はよく見かけるので、他の本を読んでみて合うか合わないか判断しようと思います。


1

すべてが哀しく愛おしい。

切なくもどこか愛に満ちたこのお話。
読み終わったあと、本を眺めて放心してしまいました。


プロローグから話は始まり、そこでは誰かが『愛』を語っている。
「たとえこの身が滅びようとも、この愛を貫くことができるだけで僕は幸せなのだと──。」
そんな言葉があり、本編へと入っていった。

両親はすでに他界し、兄弟二人で寄り添い生活をしていた日々が、あっけなく終わった。
アパートを爆破され、兄は即死。
また弟である香介も命は助かったものの重傷を負い、生きることを諦めていた。
そんなとき、お前の兄を殺したのは俺だ、と告げるひとりの人物が現れる。
その男は大川組の若頭、加納。
香介は復讐するために生きることを望んだ。

話の展開が中盤までは全然よめず、香介と同じように加納を憎み、戸惑い、そして…泣いた。

一番最後、エピローグ。
この文字を見るまで、わたしはプロローグのことなんてすっかり頭から抜け落ちていた。
だけどこの文字を見た瞬間、あのエピローグは一体誰の言葉だったのか、という疑問と同時に、理解してしまった。

読んでいくうちにゾゾゾっと体が震え、そしてもう一度、エピローグを読んだ。
読んでいくうちに涙が溢れ、彼の『愛』がいとおしいと感じた。


切なく、哀しく、そして救いがあるこのお話。
しっとりと泣きたいときに、どうぞ。

1

弟想いの兄の悲しく切ない結末と弟の復讐

葛西リカコさんのカバー絵に惹かれました。

重くて暗いトーンの話でした。

愁堂れなさんの作品でよくみられる手法で、最初に語り手の不明ないわくありげな語りで始まります。(これ結構好きです)
それが最後に誰の気持ちなのか分かるとそれを語ったときの心情を思うと胸に迫るような哀しみが伝わってきて、どうしようもなかったのかもしれないけれどどうにかできなかったのかと苦しい気持ちになります。

住んでいたアパートごと爆弾で吹き飛ばされ兄は即死し自身も重傷を負い、生きる気力を失っていた香介の元に、「自分が殺した」というヤクザの若頭をしている加納という男がやってきた。
それから、加納への復讐という目的をもって精力的にリハビリに励むことになる。
しかし、復讐や真相究明どころか行動すればするほど事態は悪化。
香介は頭悪いわけじゃないのに、考えなしにヤクザになりたい若者を装い大川組に入り込むのはどうかと思う。
せめて金髪にヤンキースタイルにでも変装するくらいして欲しかった。
復讐も計画的に。

香介の兄が、弟の安全のため悲惨な扱いを受ける中で加納に出会うことで心に小さな光が灯ったことがその後の運命を決めてしまったことことが皮肉で哀しかった。
そして後戻りできないところまで来たとき、道を踏み外してしまったけれど正義のために役立てることを最後の生き甲斐としたことが切なかったです。

自分が殺したという嘘は復讐につながると考えないほうがおかしい。確かに目的ができてリハビリにも頑張り歩けるようにもなったけれども加納の判断ミスだと思う。

加納は香介の兄の死に責任を感じ、贖罪にひとり残された香介の治療費用や学費の負担までして影ながら見守っていたとは健気。

表だって香介の面倒を見て面会に来て励ましていたキャリアの刑事は、事件の真相も知っていたのですが、もしかしたら実は彼がヤクザに身を売ったスパイで監視役かと疑っていました。ほんとにいい人でよかった。

香介の方は加納と出会えて幸せになりそうですが、兄の人生を思うと悲しすぎる。
苦労ばかりで最後は悪辣なヤクザに目をつけられ殺され、淡い恋の相手は弟のものになるとは報われない。
せめて来世いは、幸せにしてあげたいと思わせる哀しいお話でした。

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