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表題作閉じ込める男

藤井智貴 同じ施設育ちの幼馴染で自動車工場勤務20
広沢春胤 小説家志望の駆け出しライター 20

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「お前は家にいて、小説を書いてさえいればいい」
同じ施設で育った幼なじみの智貴(ともき)と暮らす、小説家志望の春胤(はるかず)。寡黙だけれど、春胤から常に目を離さない智貴は、外出先や携帯も管理して世話を焼く。ところがある日、春胤に連載コラムの仕事が決まった途端、智貴の態度が豹変‼︎「お前を誰にも見せたくない」と激情のまま押し倒して⁉︎奪われるならいっそ壊したいーー
狂気を孕む束縛愛‼︎

作品情報

作品名
閉じ込める男
著者
秀香穂里 
イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199007224
3.2

(25)

(3)

萌々

(3)

(17)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
6
得点
79
評価数
25
平均
3.2 / 5
神率
12%

レビュー投稿数6

独占欲の塊

 嫉妬激しめ独占欲丸出し執着攻め、危機感なしの素直受け。
 当て馬っぽい立ち位置の行平とのやり取りがよい。優男かと思いきや、拒否したり抵抗するような男を徹底的に虐げるのが好きな男。
 両手を縛ったハルの口元にペニスを押し付けて、その写真を撮り智貴に送る鬼畜の所業が最高だった。
 最後の電話越しのやり取りに、気づいたらニヤついてました。

1

怖いくらい甘い愛情

秀香穂里先生お得意の?執着系!楽しみ!と手に取りましたが、あらすじにある「狂気を孕む束縛愛」というよりも、私にはもっともっと優しい愛情が感じられましたよ。
というのも、主人公2人は小さな頃から同じ施設育ちの孤独な境遇で、ずっとずっとお互いで支えあって生きてきたのです。
短絡的にただ「かわいそう…」という感想を抱くのには罪悪感もあるけど、小さなハルのさびしい心を思うと胸が張り裂けそう。そんなハルに寄り添ったのが智貴で、無口だけどいつもハルを守ってくれて。智貴がハルを自分だけのものでいてほしい、外に出したくない、っていう風になるのは凄く納得できちゃうんですよね。
一方ハルの方は色恋に疎くて、智貴の持つ恋愛感情やそこからくる独占欲に気付かない。そして智貴が仕事に口出ししてくる事に反発して喧嘩になって、すると智貴が残業と称して帰宅時間が遅くなってくる…智貴が嘘をついていると知って言い争いになった夜、激情に駆られた智貴がハルに襲いかかって!
襲いかかって、と書きましたが、もっと切羽詰まった何か、繋ぎとめておくためにはこれしかない、と思ってしまう鬼気迫る感情の迸り、そんな感じです。
現実にはレイプだけど、ハルは気持ち悪いとも、もう智貴といられないとも思わないのです。逆に自分の方も智貴が1人で何をしているのかがどうしても気になって、執着の逆転が起こります。
そしてある事件が起きて事態が動くのですが、ハルの危機に駆けつける智貴がいくらなんでも早すぎる…!いえ、それでこそ智貴なんですけどね。ここではハルも守られるだけの弱い子ではありません。機転と覚悟を持って敵に立ち向かう強さをしっかり見せてくれます。
ラストはお互い気持ちを確かめ合ってのハッピーエンド。
Hシーンは一貫して受けのハル視点。初めての時の痛み、続いての智貴の甘さを感じ取る躰の中、そしてすべて無防備に晒すことのできる幸福感…この書き分けもさすがです。

0

共依存のお話

幼い頃から施設で一緒だった二人。
片方は恋愛感情を抱き始めているのに、もう片方は全く気付いていないというパターン。
あるきっかけで無理矢理関係を持ち、今までの関係が揺らぐのですが……というお話。
地味で淡々としたお話なのかな?と思いきや、いきなり犯罪に巻き込まれて、無事逃げ出してハッピーエンド…………なのですが、そんなに甘い犯罪組織でいいのかというのが最後まで気になって。
これ、普通だったら二人が消されるレベルですよね。
犯罪なんてどでかい事ではなくて、当て馬が出てきてかき回すレベルでよかったのではないでしょうか。
そこらがちぐはぐな感じを受けて、色々残念。

しかし、関係が変わる前から携帯を毎日チェックする男は、矢張りかなり嫌ですよねえ。

2

寂しさと共に育った執着が萌えです

執着愛!いいですね~素敵ですね、萌えます!
同じ施設で育った二人、共に寂しく愛されることを願った二人が互いの存在で
癒され、一生傍にいることを子供ながらに強く求め強く誓う。
そして二人は施設を出て自立する。
もちろん、二人で暮らす為に施設にいた頃から二人でお金をコツコツ貯めての自立。

幼い時から共にいて、攻めになる智貴は子供の頃の大好きから次第に全てが欲しいと
思う愛欲込の思いが育つのはもう、流れですよね。
でも、受けになる春胤はやはり受け資質なのでしょう、ウブがちな奥手です。
だから、相手に対する思いが恋愛の意味で好きなのかを自覚するのが遅れます。
互いに相愛でも早く気づいた者と遅れた者とではズレが生じますから、
些細な感情の行き違いですれ違ってしまうのはお約束。

読みはじめはかなり病んでいるくらい相手に干渉して過保護に執着する智貴が
タイトルの男に当てはまるけれど、それは相手の春胤の気持ちが育っていないから。
自覚し始めてからは春胤の行動も負けていない気がします。
互いに執着し合う溺愛型の執着萌えが楽しめる作品で、危険なトラブルに巻き込まれ
あわやと言うこともありますが、悲劇的なラストになることなく終わり、
胸をなで下ろしながら幸せの中にいる二人に良かったねと楽しませて頂きました。

2

怖いくらいの執着依存

互いに親から捨てられたり、亡くしたりして施設で育った二人が見せる愛の形。
ずっとずっと一緒だから気がつかなかったモノが、転機の訪れと共に変化する時。
そんな場面を描いた作品は、攻めの激しい執着に病的なものを感じるのではありますが、彼等の年齢設定が20歳ということで、これから彼等が新たな関係を築いていく為の物語でもあるのだな、と感じるのです。

両親の心中で親戚をたらい回しされた挙句施設に連れて来られ、泣いている春胤に「一緒にいるよ」と欲しい言葉を掛けてきてくれた同じ施設の子供の智貴。
それから彼等は高校を卒業して一緒に暮らしています。
春胤はフリーライターを目指してバイトをしながら、智貴は自動車工場で働きながら。
智貴は春胤を心配して送り迎えをする程の、バイトを決める時も彼がOKを出さなければ決められない程の過保護ぶり。
そんな彼等の均衡が崩れるのが、春胤にライターの仕事が回って決まりそうという報告をした時。
その原稿のネタが毎晩智貴に聴かせている創作ファンタジーの話しだと聞いた途端、辞めろ、外へ出るな、ここにいろと激昂して春胤にキスをしてきたのです。
それから、今まで定時に上がってきたはずの智貴の残業が増え、帰宅時間が遅くなることが続き春胤は不安を感じるのですが…

智貴の「失うこと」への不安が執着を呼んでいるような気がします。
結局最後近辺になって彼が施設へ来た理由が解るのですが、智貴によって春胤は守られてきましたが、智貴は春胤を守ることで自己の不安を打ち消していたような。
それが長年の積もり積もった感情とあいまって、自分で「好き」とか「愛してる」という感情だとわかっているのかいないのか、自分のものとして閉じ込めておきたいという歪んだ執着になってしまっているのです。
ここで、彼がそれを恋愛感情だと認識すればまた違った展開になったのでしょうね。

春胤は、智貴の過保護は彼がピンチに陥った時必ず救ってくれたという経験から、またずっと一緒だったことで当たり前になってしまっていて、気がつきにくくなっていたようです。
いつも一緒にお風呂に入っているのに、有る時に感じたちょっとした違和感。
初めて工場に行った時に見た智貴の働く肉体の美しさ。
意識するきっかけはあったのですが、智貴のスピードと春胤のスピードが違う為に起きるすれ違い。
ずっと守られてきたから、自分でも何とかして自立したいと望むのは、それは智貴と一緒という前提なのに、智貴には自分から離れて行ってしまうこととしか捉えられない。
多分、20歳という年齢設定もあり、春胤の方が若干大人で、智貴のほうが子供だったのかもしれないです。

バイト先で出会って声を掛けてきた行平という男が途中で絡んできて、それが春胤にピンチを招きますが、その辺りはどうでしょうかね~?小物の主人公達ですから、もうこれ以上の何かがないことを願うばかりです。

佐治という同じ施設出の智貴の同僚が彼等を助けてくれるいい奴で、ちょっぴり気になります。彼は大丈夫なのかな?(ちょっと心配)
余談ですが、今回春胤が仕事をもらえることになった雑誌の出版社は会社名が出て来なかったですが、まさかあの出版社では・・・とか、思った人もあるでしょうか?w

3

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