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表題作ふったらどしゃぶり When it rains, it pours

萩原一顕,恋人と同棲中の会社員 
半井整,総務課の同期社員

同時収録作品ふったらびしょぬれ

萩原一顕,会社員
半井整,同期社員

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

(フルール文庫 ブルーライン)

同棲中の恋人とのセックスレスに悩む萩原一顕。
報われないと知りながら、一緒に暮らす幼馴染を想い続ける半井整。
ある日、一顕が送信したメールが手違いで整に届いたことから、互いの正体を知らぬまま、ふたりの奇妙な交流が始まった。
好きだから触れてほしい、抱き合いたい――互いに満たされない愛を抱えながら近づいていくふたりの距離。降り続く雨はやがて大きな流れとなってふたりを飲み込んでいく――。

作品情報

作品名
ふったらどしゃぶり When it rains, it pours
著者
一穂ミチ 
イラスト
竹美家らら 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA(メディアファクトリー)
レーベル
フルール文庫ブルーライン
シリーズ
ふったらどしゃぶり When it rains, it pours
発売日
ISBN
9784040670249
4.1

(477)

(293)

萌々

(73)

(43)

中立

(23)

趣味じゃない

(45)

レビュー数
47
得点
1909
評価数
477
平均
4.1 / 5
神率
61.4%

レビュー投稿数47

平気な男と絶対無理な男

◾️一顕(かずあき,彼女持ち,営業)×整(総務,会社の同期)
女の静かなファイトシーンが一番興奮しました。彩子さん病院行くかな。「本当に家じゃ役に立たない人ね」に感じる毒の強さ。ヒヤヒヤしちゃう。
一穂先生って割と女性へのフォローがないというか、辛辣な印象がある。女性に対してか男女関係に対してか…考察できるほど一穂先生の本は読んでないけど。

ただ今作については男も、「男性がセックス以外に考えていること」の本が真っ白なように、脳内がセックスにまみれた書き方で、まぁまぁ偏ってるのかもしれない。それが真実か、人によるか、誤りか、私は男ではないから知らないけれど。
登場人物誰にも共感できないし、誰にも愛着が湧かなかったのに面白い作品が割に好きで、今回はソレ。本文中にも「俺だって他人の性欲なんか「汚い」って思ってるじゃん」とか「猿」とか出てくるけど、この本にまぁまぁ近しい感情を抱く。そうはいいつつ、宿泊の延長をお願いする一顕に口笛鳴らしたくもなる。

なんせ登場人物に愛着は湧いてませんから、このままこの男女全員が散り散りになって、別々の人生を歩んでも好きでした。でも、一穂先生はそういう作家さんではないよね。

萌〜萌2

1

BLでこのテーマはいろんな意味ですごい

一穂ミチさんは名前隠して本文のみでも作家名を言い当てられる、数少ない作家だと思う。クセの強い独特の言い回しを抜きにしても、人物の浮き上がらせ方が上手い。描き方が一般とラノベ(BL含む)のいいとこ取りみたいな印象だった。

内容はとにかくテーマがすごい。女が出るだけで嫌悪するBL読者もいる中で、よくここまでファンタジー感を強めずに書いてあるなあと。

一顕は最初から最後までずっと悩み続けていて、自然と幸せを願えるキャラクター。たまに示される誠実さがBLキャラとしても魅力的。整はちょっとつかみどころがないと思った。
整視点でのみ語られる和章は、まるで整が作り上げた亡霊のように実体のない人間に見えた。心情を吐露した後も、結局和章を形成するものは一体なんだったんだろうと空虚さが残る。その後が語られないせいか、彼について考えてしまう割合が一番多かったかもしれない。
かおりは好きでも嫌いでもないが、彼女に辛辣なレビューは読みたくないと思うので、他の人の感想が気になっても読めないジレンマが発生して困っている。

ストーリー前半はこの設定の醍醐味といえる、いつバレるのか?のドキドキがあるし、バレ方もなかなか面白い。だが後半に衝撃の展開が怒涛のようにくるせいで、全てが吹っ飛ぶ。読後に思い出すとメールのほのぼのやりとりなんか遠い昔のように思えるという、キャラの追体験ができた。
お互いの相手と別れても、すぐくっつかないところも良かった。勢いのままくっついてしまうより、お互い冷静になっても気持ちが相手にあることを確認してからの方が安心して読める。

登場人物たちが抱える問題は、そこらへんに転がっているある種身近なもので、一つでも人生の中で大きな転換点になりそう。そんな問題がいくつも出てくるため読後の疲労感がすごい。幸い客観視して読める点は助かった。
BLキャラとして理想をスパイス程度に添加されているため、現実のどこかにいそうでいない感じが絶妙。この作品世界の中では確かに生きていて、人物造形に強固な輪郭があり、この作品世界の中でのリアリティを持たされている。思考に整合性があり読みやすいのも良い。
入り込んだり共感したりというよりは、終始世界を覗き見させてもらっている感覚だった。

印象をどうにか文章で表現してみたかったが、上手く言えてないかも。ただ「神」てだけでいいかもしれない。

2

よかったです

あまりBLの小説は読まないのですが、この作品はすごく良かったです。
知らない相手とメールor手紙をやりとりする間に惹かれていくという展開自体はありがちですが、メールがご送信された理由やその後の展開にひねりがあり最後まで楽しんで読めました。また一顕と一顕の彼女の関係がなんとなくリアリティーあってよかったです。BLにおける女性キャラクターの描写は本当に重要で、変に悪役にされるのも妙に理解がある過ぎるのも不自然に感じるのですがかおりさんはちょうどいいバランスでした。
ただ終盤の和章は罪悪感から整に手を出せなかった………みたいな展開は少々強引というか唐突に感じました。あと半ば強引に整に手を出すのもなんだかなあ、エロシーン入れたかったのかなと思ってしまいました。
ただ文章の雰囲気がさっぱりしているため性描写も気軽に読めました。
ハッピーエンドで読後感が良かったです。

0

感情移入はできないかも

感情移入してしながら読むタイプなのですが今回の作品では第三者目線で読みました。
すごい大人、というかリアルというか…
二人にはそれぞれ帰る場所があったけど色々あって不倫?みたいになってしまう
こんな恋愛の形もあるんだなぁと。
雨が降っているとこちらの作品をふっと思い出します

0

BLだけど…

BLだけど個人的には一顕とかおりの異性愛関係の描き方がとてもよかった。二人はきっとまともにお互い好きで、それでいて将来を想像できて、気持ちに多少のすれ違いははるけれどそんなカップル(あるいは夫婦)など世の中掃いて捨てるほどいるだろう。一顕のかおりを求める気持ちもよくわかるが、P304で吐露されたかおりの気持ちだってよくわかる。そういったすれ違いに折り合いをつけて付き合いあるいは結婚することは決して間違ってはいないし、むしろありふれたことだと思う。一顕もかおりもお互い器用な人間ではあるので、子供を作るためのセックスをして、家庭ができたとしたらなんだかんだまともな家庭を築くのでは…と思う。一顕の言う、大人の一級、二級…と進級していくような。そんなある意味利口で器用な関係性が、突然降り出した土砂降りのような恋によって閉ざされたこと、とても切なくそれでいてロマンチックに感じられた。
ありふれているけれど繊細で、切なくて…そんなリアルな人間関係がとてもよく描かれていてとてもよかったです。

2

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