狂気の執着愛。ついに文庫化!

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表題作あの日、校舎の階段で

遠藤圭介 28歳
笠井亨 28歳

その他の収録作品

  • アクアリウム
  • プラネタリウム
  • 週末は甘い病気
  • あとがき

あらすじ

高校時代、親友だった笠井亨と遠藤圭祐。遠藤がゲイの友人を不登校に追い込んだことで仲違いした二人だが、同窓会で十年ぶりに再会し、また付き合いが始まる。だが笠井は偶然、遠藤が自分をずっと好きだったことを知ってしまった。友達でいいと言う遠藤を切り捨てられず一度は受け入れた笠井は、しかし自分に向けられる執着と欲望に耐えきれず、遠藤の前から姿を消すが――。衝撃作、ノベルス未収録作と書下ろしを加え文庫化!

作品情報

作品名
あの日、校舎の階段で
著者
佐田三季 
イラスト
麻生ミツ晃 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778115265
4

(126)

(74)

萌々

(21)

(7)

中立

(9)

趣味じゃない

(15)

レビュー数
21
得点
484
評価数
126
平均
4 / 5
神率
58.7%

レビュー投稿数21

”執着攻め愛”への扉を開いてくれた作品

もう間違いなく、私の小説沼堕ち・執着攻めへの目覚めのきっかけになった作品と言えます。

BLといえば、漫画ばかり読み漁っていたのですが…ちるちるさんの掲示板でたまたまこちらの小説の紹介を見かけ、なんの気無しに読んでみたら、もう。。

読み進める手が止まらず、読んだ後もしばし放心していました。

受けの笠井と一緒に、最初は私自身も嫌悪感と恐怖を感じて攻めの遠藤を見ていたのですが、あら不思議…

読み進めるうちに、どんどんどんどん、「いいぞ(?)遠藤!がんばれ遠藤…!」と、応援してしまっている自分が。

黙って引っ越した笠井の住所を知るため、会社から後をつけて突き止める、
スペアキーを勝手にもぎ取り勝手に家に上がる、嫌がる笠井を無理矢理襲う、
その際の写真をネタに脅し、自分から離れられないようにする‥等々、やっていることはストーカーですし、もはや犯罪なんです。

でも。それでも、笠井のことを想うあまり…どうしても手に入れたくて、離れたくなくて…酷いことだと分かっていながら、心の奥では笠井の心が手に入らないことに絶望していながらの一連の行動なのだ、ということが、作者様の文章から痛いほど伝わってくるんです。

恋って、落ちてしまうものだもんね…。
コントロールできる気持ちであれば、誰も苦しまないもんね…

無理やり体を繋ぎながら、耳元で洗脳するかのように「好きだ、好き、好き…」と
呟く遠藤が哀れで、切なくて。。

そして、遠藤→笠井への愛(というより執着か)の大きさが果てしないため、遠藤にフォーカスしてしまいがちなのですが、実は受けの笠井の”覚悟の大きさ”の描写こそが、私が涙ぐんでしまった理由なのだろうと思います。

実父が男性と付き合っていたことから、幼い頃、実家が嫌がらせを受け、学校でも教師たちから異質なものを見る目で見られていた笠井。

”人の目が、怖い。自分を嘲る目が、怖い。”と言い、「妻がいて、子供がいて…誰にも咎められたりしない普通の家庭を持つこと」が望みだった笠井。

それを失うことと引き換えに、遠藤を選んだ笠井の覚悟に、心の中で大号泣でした。

初めて読んだのは1週間ほど前なのですが、それからもう毎日、何度も何度も読み返してしまうほど好きでたまらない作品です。

執着攻めが好きな方にはもちろん、小説には手を出したことがない、という方にも、ぜひ一度読んでみていただきたいなと思います。


3

怖い、でも神だわ

これまた衝撃的な作品でした。
リアリティがありすぎて、ストーカーの枠からもはみ出る。読んだのは旧版なので書き下ろしは読めてません。

高校時代に笠井に告白した及川を気持ち悪いと陰湿にいじめた遠藤は実は自分も笠井に思いを寄せていたゲイだった…
そこから狂う歯車。10年経って再会してからの二人の関係が、いわゆる執着とかじゃないのに恐ろしくもあり、当事者笠井のの逃げきれない、切り離しきれない気持ちと相まって先へ先へと読み進めちゃいました。
何気に長沼がいい味を出してくれてたのが、この暗いストーリーに救いを与えてくれています。笠井が倒れたのが長沼の前だったっていうのも必然なんだろうなぁ。

私には笠井の心情は理解できない(何故に一回やったら気が済むだろう、なんて事を思うんだ?そもそもノンケなのにヤらせても良いかと思う時点で遠藤に気持ちがあったんでは?とか思っちゃいました)ので、他人の色恋に口出すつもりは無いけどね、って引き気味に見てる感じになりましたが、当事者じゃないからこそ興味深く読めたのかもしれないな。。。

小説としての完成度というか描き方、見せ方が秀逸でした。
他の作品も読んでみたくなるくらいに。

3

再会した攻めの執着がヤバいことになってた


2010年版と本文は一緒です。
ですが、2013年発売のこちらには番外編の「プラネタリウム」「週末は甘い病気」が収録されてます。
購入するならこちらを強くオススメします!!

こっそりアレを嗅いじゃうとか…。
私のド性癖が詰め込まれていたので、これがなかったら私は神評価にしていないかもしれません。


内容は学生時代、親友だったのに喧嘩別れしてしまって疎遠になり、社会人になって再会モノのお話です。

攻め、遠藤は親友の笠井が好きだけど関係が壊れるのを恐れます。
そこへ別の友人が笠井に告白しているのを見て「俺は何もできないのに、どうしてお前は告白できるんだ」と八つ当たりのように、その友人をいじめてしまします。

笠井はそれを知り、遠藤と縁を切ります。

そして大人になって再会し、昔、告白も何もできなかったことを取り返すような強引さで笠井にアタックします。

笠井の近くに引っ越しちゃうし、ストーカーするし。
(私的には高ポイントですが。)

そんな遠藤に恐れて避ける笠井。
どうしても、どうしても諦めきれない遠藤。

終盤以外は受け視点なのですが、笠井の気持ちも、遠藤の気持ちも痛いくらいに伝わってくる描写がすごいです。
どちらも辛そうで、痛々しく、胸がギュッと締め付けられます。

笠井は容赦ない言葉で突き放し、そ、そこまで言うか…?
と思うのですが実際、笠井の立場だったら…と考えるとどうしようもないのかな…と、どこかで納得してしまいます。
遠藤もすごい追い詰めるしね。

考えながら読むので、ドラマを見ているようでした。

また、遠藤の両親もキーパーソンです。
どうしてこんなにも遠藤は拒み続けるのか?は、ここに隠されていると思います。

さあ、この二人が最後はどういう選択を選ぶのか。

気になる方は、ぜひ読んでみてください。

8

受けの心変わりにどうしても疑問…

ゲイ×ノンケ。
攻めの遠藤の笠井への愛が重くてやばいです。

決して受け入れてもらえることはないと分かっていても気持ちを伝えるだけでなく身近にいることを望み熱い視線で笠井を追いつめていく。

限界ぎりぎりな笠井は一度きりの肉体関係を条件に縁を切ろうと思いますがうまくいくわけもなく…。
それをきっかけに遠藤も我慢がきかなくなり脅迫のネタにするわ家に居座るわ嘘も吐くわ執着凄すぎるわで酷くなっていくんですけど、特に恐怖は感じませんでした。
笠井への好きがメーター振り切っていますが、人間らしいどうにもならない気持ちが爆発しているようで、読んでいて結構楽しめました。


それよりも私は笠井の変化が納得いきませんでした。
胃に穴があくほど辛い何もかもの元凶=遠藤を拒みきれないどころか友達ではいたいだって???!!??

仲が良かったことは分かりますがこんなどえれぇ目にあっても尚友達関係は維持したいなんて正気か!?としか思えなかった。
そこをこえる遠藤の愛まみれの執着の粘り勝ちだったら分かるんですけど、この時点で遠藤は身を引こうとしていましたからね…。

二人の関係が別のものに変わったところがどうにも噛み合った気がしなくて納得できなかったため、晴れて恋人となってもどうにもモヤモヤを消せませんでした。

2

海よりも深い怖すぎるほどの愛

執着攻めの最高峰作品。
最右翼、金字塔、なんと言っていいかわからないくらい頂点。

この作品の攻め・遠藤が受けの笠井にしでかす行動は、もはや犯罪と言えると思います。
高校時代の喧嘩が元で親友関係が壊れずっと音信不通だった2人が、もう1人の親友のお節介で再会し…
そこから笠井の悪夢が始まります。
視点が笠井ということもあって、待ち伏せや入り浸り、家も近所に引っ越してきて熱く湿った目つきで見つめてくる…その気持ち悪さ、恐怖感。
どうしても離れていかない遠藤に、笠井は一度寝たら満足してくれるのでは?と追い詰められて、取引としてお前と寝る、と言ってしまうのです。
遠藤はここまでは常に笠井の顔色を伺う感じで卑屈だったけれど、ここで急に笠井に対して高圧的になり、行為を撮って笠井を脅して強引に同居するようになる…
逃げ道のない笠井はついに吐血し…(このシーンは本当に恐怖!)
ここまできてしまってやっと遠藤が笠井を追い詰めすぎたことを後悔して手離してくれるんだけど、ここでどんでん返しが来るのですよね。
正直。
私は笠井の変化が今だによくわからないんです。なんで?なんでやっと別れられるのに自分から?
吐血の意識不明の時に見えた星空って臨死体験?そこで高校時代親友だった遠藤の姿を探してしまったから?遠藤が暴走したのは自分が間違えたせいと思ったから?
ここで完全に絶縁したら本当に終わってしまう、それは嫌だというのが本心だから?

「アクアリウム」
「プラネタリウム」
笠井は遠藤を恋人として受け入れています。
「アクアリウム」は遠藤視点。「プラネタリウム」は笠井視点。
遠藤は以前にも増して執着。いつも好き好き言って、嫉妬深くて、ベタベタして。
笠井は遠藤と恋人でいるのはいいけれど、非常にクローゼットなのです。他人には絶対に知られたくない、ひとの目が怖い…
だから時々誤解やすれ違いがあって、それがセックスの行き違いにもなってしまう。
そんな時、以前遠藤が脅しに使っていた画像をまだ持っていることを笠井が気づき…!
ノンケの笠井を信じきれない遠藤。どうすれば遠藤に気持ちが通じるのかわからない笠井。
なんで笠井がそこまで遠藤を好きになっているのかわからない私…

「週末は甘い病気」
笠井の脱いだパンツの匂いを嗅ぐ遠藤、という衝撃の名シーン。
合コンに誘われて断らない笠井に怒り、電車内で痴漢をしてくるクレイジー遠藤。


笠井の変心の肝心な部分は理解を超えているけれど、本作の凄さは本物。
笠井は逃げられずに泥舟に乗ったのか、それとも2人だけの幸福を見つけた恋人たちなのか、どちらにも取れる。心の不思議を深く描く傑作。

6

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