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好きです、斑目さん。……出会えて、本当に、よかった……
シリーズ完結のこの巻は、二人が将来のために歩き出すというシーンで終わります。
先に双葉が息子との将来を目標に卒業したわけですが、斑目は「いつか先生と診療所をやる」という目標のために島へ旅立ちます。
先生の方も色んな問題や自分の家族のことも好転し、いつか斑目と診療所をやっていくために頑張っています。
大団円、なんですけど…実は「じゃぁ、なんで今からでも一緒に働かないの??」と疑問に思ってしまって。島の診療所から請われているのは理解できるけどなぁ。
一旦は、後継者を育てるためにだけど、そもそも行かない選択肢もあったわけで。ドヤ街でも医者への復帰は出来たんじゃないかと思うとモヤっと感。
ということです萌になってます。
ドヤ街で、日雇い労働者と医師が恋をする。いよいよ完結です。
内容は前作「愛に終わりはないけれど」の続きで、貧困ビジネス叩きから生活保護そのものを叩く風潮、そして坂下が生活保護を斡旋している悪徳医師だと誹謗中傷されて、診療所の存続の危機、という展開に。
診療所がそんな状態で、斑目は離島に行ってしまうのか。
行かないで、いつまでも側にいて。
言葉にするとなんとも弱々しく、ただ斑目に寄りかかっているだけに見える坂下だけれど、決してそうではありません。
それは酸いも甘いも噛み分けた懐の深い斑目の方もまた。
どこにも行かねえよ、ちゃんと側にいてやる…
でも、お互いがここまで欲しあっていて、その事で2人がどの道を進んでいくべきなのかをお互いが悟るのです。
この辺りの「情」のほとばしる筆致は中原一也先生の独壇場だなぁ…
最近中原先生は動物系のお話を多く書かれていますが、山本周五郎みたいな時代物書いて欲しいなぁ。
「情」に泣きたいお年頃です…
2人で選んだそれぞれの道も見事。
BLでは珍しく、遠距離を選ぶ、という展開にオトナを見ました。2人は目先の恋よりも、もっと先の2人で生きていく人生を見据えて選択をする。
グッとくるなぁ。
2人の未来に「神」を送ります。
生活が不安定な日雇い労働者達の為に診療所を開設して切り盛りしている青年医師・坂下の奮闘記、最終巻。
実は表紙を捲った後の口絵が思いっきりネタばれしているので、自身でラストを確かめたい人はその部分を見ないように気を付けてほしい。
坂下の努力が実りつつあって街の労働者達も彼に打ち解けていくようになったが、前巻の”夢の絆”事件の影響でまた逆境に追い込まれる。
斑目を社会復帰の道に送り出す決心が付かないばかりか、週刊誌に悪質なでっち上げ記事を書かれて、心無い人からの非難を浴びただけでなく診療所を荒らされて、ついに坂下の心が折れてしまった。
どん底に落ち込む程辛い状況に追い込まれた坂下だが、その後に土壇場で胸が熱くなる展開が待っているなんて、やられたな…
前巻を読んだ後に、何となくこんなラストになるんだろうなという予想は先に口絵を見てほぼ確信したようなものだが、うん、それで良かったんだよ。
一時の感情に流されずに、お互いを想うからこそ将来を見据える決断ができて良かった…
最終巻に辿り着くまでに次々と沸き起こった問題に揉まれながら、経験不足で青さがあった坂下も確実に成長した。
恋愛ムードを楽しむよりも社会派BLの色合いが濃いシリーズだった。
斑目が坂下の気を引こうといろいろ仕掛けてきても、読んでいるこちら側は色気を味わう余裕はなかったのに、ここで坂下と斑目の心の結び付きをはっきりと感じた途端に一気にほだされてしまった。
踏ん切りが付いたラストになってようやく濃厚なラブラブっぷりを堪能できた。
坂下の考えに難色を示す彼の家族や、斑目が大芝居を打ってまで振り切った過去の男・北村まで最終巻で顔を見せるとは想像できなかったけれどね。
そうして終わりよければ全て良し!な大団円に是非拍手を送りたい。
すべてが解決して納得の行く形で終わるとこが素晴らしい。
読み終えてから表紙を眺めるとまた一段と感動が。
奥の方におっちゃんたちや喧嘩してるジジババに猫が逆毛立ててたり、双葉親子が魚釣りしてたり坂下のポッケに手折った桜が挿されてたり。
俺のMt.富士を先生の世界遺産にしてくれなんて言う斑目エロオヤジに会えなくなるのは寂しいけど、きっとまた中原さんの作品に似たようなオヤジが出てくるだろうと期待して待ちます。
ペーパーの双葉の話には涙。坂下似の園の長瀬先生も気になるとこだけど、もう続きは・・・ないんだよね(ToT)
「愛してないと云ってくれ」シリーズの最終巻です。
初期からほっこりさせられる人間ドラマがありましたが
中盤以降は登場人物に情が湧いたせいもあり、
皆が歩み出す人生の岐路一つ一つに
胸を熱くさせられました。
いわゆる万人受けする王道BLとは完成に畑違い(笑)
のような作品ですが、味のあるオヤジはやはり絶品です。
主役格の斑目さんもただの汚いオヤジじゃありません、
酸いも甘いも知り尽くした大人の男です!
まだまだヒヨッ子医師の坂下先生をおちょくりながらも
半歩後ろからいつもガッツリ守り続ける斑目さんの
お陰で、いつも本当に読後感が良い作品でした。
一作目だけだとピンと来ないかもしれませんが、
巻を重ねるにつれ、熱い人間ドラマに少しずつ感情移入
していき、最後は皆と離れがたくなること必至です。
また斑目さんと坂下先生のお話…読みたいです!!