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表紙の顔に惚れました。短編が7話あります。
表紙の顔面ピアスの彼は「兄の忠告」「兄の告白」
「マイホーム」に出てくる弟、ツヅキでした。
他の作品を読んだ後にこちらのデビューコミックに戻ってきてまず思うことは、朝田先生は1作目から描きたい方向性が決まっていたんだなぁ〜という事です。
どのお話も必要以上に見せない、語らない。ここまでは案内しますから、この先はご自分でどうぞ。というスタンスで結末をあっけなく感じる作品もありますが何故か癖になります。
恋人になる。ナニを何する。というのではなく、人が人に兄弟、友人以上の気持ちを抱く。その儚い淡い思いを満喫出来ました。
本当に申し訳ないことに本編より同時収録の「毛虫」に無性に心奪われてしまいまして。
この短編「毛虫」、学生ラブなんですが
ガクラン男子なダイくんXちょっと英国上流社会風学生(?)なショウくんのカップルで、できあがってるところからスタートしまして
「これは真実の愛だろう」…っておてて繋いでいちゃこいてたら魔女に呪いを翔けられて、ダイくんの目にはショウくんが全身毛玉(毛虫らしいですが虫っぽくはなくなんか抱き枕チックなので苦手なひともだいじょぶ)に見えるようになってしまうんです。
毛抱き枕と呼ぶことにしましょう。
毛抱き枕になってから、それでも好きだよってやるんですがそこから体臭に気付いたり。「可愛らしさを思い出せよ」って頑張るけどショウくんが辛くなってしまってもう別れようって言われてしまい。
(中略)←?
毛抱き枕を姫抱っこがグッときて。
ダイくんは「見た目だけじゃないんだ!」って言うわけです。
それに対してショウくんは「ダイの中で綺麗なままでいるほうがいい」と返すのです。
いろんな自分の欠点を言うわけです。
「嫌われたくなくてずっと必死に隠してきたんだ」「もう限界だとおもって」「呪いが解けたら僕のいろんなとこが嫌になるよ」「将来こんなふうになっちゃうよ」
ねえ!
これ!これ尊い。そう思いません?
見た目が可愛い受けの子が、でもその可愛いの下は隠してるけど欠点だらけで、将来はザビエルハゲになっちゃうよお父さんもそうだもん、みたいに言うわけですよ
それで、攻めのダイが「酸っぱい匂いしててもヒゲモジャでも胸毛ボーボーでもハゲちらかしても好きだよ」って言うわけでして
話しながら毛がぽろぽろ抜けて本当の姿に戻っていくの
なんだこれ感動かよ!!ってなって
もう大好きですよ。
手を握って告白シーンの背景がまた白くて、その白さがきれいなんだ。
DAISUKI
短編が5作、それぞれ2割程度で収録されています。
短いお話なのに映画を見たかのようなボリュームと内容。
エロ一切なし。
「マイリトルインフェルノ」から甘さやBLっぽさを引いた感じです。
萌えはしないけど面白い。
【兄の忠告】
生き別れの兄と再会するお話。
【THE SWERVE】
中堅失業者同士が、すれ違いから強盗をしようと企むお話で構成が秀逸でした。
こんなにも短いのにオチまで超しっかり。
【毛虫】
ビジュのいい受けがある日突然、毛虫に見えてしまうお話。
「外見ではなく中身で人を愛せるのか」がテーマになっているような、高校生の純愛ものです。
【Life in the Park】
桃太郎をオマージュしているようなお話で、ホームレスを守るガキ大将のような攻めと真面目な市役所員がバチバチします。
【波の音がきこえる】
失恋してこそ筆が乗る小説家と、その担当編集者のお話。
攻め受け表記がありますが受けとは結局別れ、最初から最後まで登場した編集者といい感じになるようなラスト描写がすごく良かったです。
デビュー作なんですね!の短編集。
私は個人的に、デビュー作に作者その人のエッセンスが現れるものだと思ってるんだけど。
一冊読んでまず浮かんだのが、星新一。
短い話でもそれぞれの異世界を見せてくれる。異世界を旅させてくれる。
「兄の忠告」
主人公のツヅキは半グレ。一方音信不通だった兄はまるでエリートリーマン。
だけど、お母さんが言ってた「兄貴みたいにはなるな」っていうのがやっぱり的を得てたんだな。
ツヅキはグレてるけど純なところがある。けど兄の方は。
遵法の観点では最早淡々とアッチ側にいるよう。
「THE SWERVE」
2人の中年男性のあぁ勘違い。と言っても色恋絡みじゃなくて転身の天啓というか?
「毛虫」
童話の「カエル王子」を思い出しました。
ストーリーはまあ寓話的。それより友人の言葉がズバリ人と人とのフシギを言い当てる。いわく「人ってのは似た者同士つるむんだよ」。
「Life in the Park」
桃太郎と鬼ヶ島。
この場合、桃太郎は区役所の職員さんで鬼はホームレスを支援してる人。
BL感は薄いけど、桃太郎と鬼が協力するようになるラスト。
「波の音がきこえる」
恋多き小説家。しかし、彼の文才が炸裂するのは失恋した時だけ。
わかりやすい小説家さんに対して、編集さんは何を考えてるのか謎。失恋してしまえなのか幸せになって下さいなのか。
そして、本当のLOVEはどこからどこに向かっているのか。
波の間に間に……
「兄の告白」
「マイホーム」
表題作のその後。
危うい兄x弟の近親系。ニオイはプンプン、実態は⁇
想像におまかせ!
私の想像は。
弟は兄の、室内飼いの飼い猫になる、って事。猫といえども即「ネコ」ではなくて。ね。
今ならば、これってどれも
深夜枠のテレビドラマとかになりそうな短編集。
『毛虫』もね!
(あれを映像化する勇者が居てくれたら嬉しい!)
これはどのお話も、
簡単にBLという枠に
くくってしまってはいけないような気がします。
反対に言えば、
BLっぽい萌えは無いかなと。
色っぽいところもないし!!
(でもキャラクターはめっちゃ色っぽい♥)
それでも、
どれも魅力的なお話ばかり!
出てくるキャラクターも皆個性的!
朝田さん、
デビューからこれだったのねという感想♥
評価は、神寄りなんだけど、
BLとしてみると「萌×2」で!