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新聞社シリーズ、どれもいいのですがこれも再会もの。
25歳の時に知り合った二人が企業の内部告発者とスクープした新聞記者という立場になり、会ったことさえ隠さなくてはならなくなり、本当に連絡が途切れます。
そのまま時間が経って気にかかったまま、互いの仕事を続けて、17年後に再会することになるのですが、大人の男たちのお仕事小説でもあり恋愛小説でもあり。
現代もの社会人BLが好きな方に刺さる、とても萌えるストーリーでした。
シリーズものというのを知らず(ここを見てたら良かったんですが)、図書館にあったのを手に取りました。
期待せずに読み始めたのですが、イイ!
なんとも25歳からその17年後という時間の流れがイイ!
42歳になっているわけですよ。ちゃんと結ばれるまで。
それだけの間、お互いの思いをちゃんと確かめた訳でもなく、理由があって離てしまう、離ざるを得ない、そんな二人の気持ちが切なくて。
オヤジンスキーなのでたまらないですね。
新聞社の人たちの立ち位置が前作を読んでないので読みきれないところがありましたが、この作品だけ読んでも大きな問題はありませんでした。きっと読んでいたら、冬悟の周辺に深みが出たのかもなって思うので、これから読み始めたいと思います。
明光新聞社のシリーズ4冊目。
今回のメインキャラは読みながらどうも二人とも掴み所がなくて、入り込めないなあイマイチかもなあとぼんやり思っていたのですが、中盤の事件が大変な事態で、(私の)目が一気に覚め、そこから貪るように読みました。
再会物とはいえ、こんなに間が開くのもすごい。17年です。
「is in you」の再会も13年で長期と思ったけれど、「アンフォーゲタブル」の方は事情も事情だし、わくわくという感情とは無縁の状態で二人を見守りました。
やはり、ここまで拗れてしまうと、(本人達の感情ではなく事態の大きさが拗れた原因) 普通にはまとまらず、ここでは未帆ちゃんという無垢な存在がキューピッド的な役割を果たしているのですが、そういうキャラを登場させないと難しかったのかと。
個人的にはそこが残念なポイントでした。
新聞社シリーズ第4作目。
3作目で予想していたカプは大外れ。まだまだ修行が足りませんね笑
ぐいぐいと引き込まれるストーリー展開だったし、文章もとても好みなんですが…、BL的にはもう、笑えるくらいわたしには向いてないみたいです、このシリーズ。
明光新聞の社員、和久井視点です。
和久井がスピード証明写真の撮影中、酔っ払ってブースに乱入してきた有村と出会い、離れ、17年後に再会する長尺ラブストーリー。
二人が出会った時、和久井も有村も25才の同い年。前作『ステノグラフィカ』のメイン、西口の3年後輩にあたるので、西口たちもまだ20代だった頃に遡ります。
正直、ここまでストーリーが面白いと、BL要素はなくても…と思いました。BLにキャラ萌えとエロを求めている読者としては、受け攻めにハマれなかったら、ストーリーやエロがどんなに素晴らしくても読後は微妙なんですよね。
有村はシリーズの中で最も苦手な受けでした。思春期にゲイだと自覚して、初恋の先輩を追って同じ製薬会社に入社。和久井のことを利用して内部告発を成功させ、一度だけ和久井とセックスして姿を消します。
和久井も有村もお互いが忘れられなくて、17年後に偶然再会。有村の方から会いに行ったようなものですが…、その後は二人で幸せになることを許される…。
有村の望みが全て叶えられているのは、ひとえに和久井が彼に惚れていたからだけれど、わたしには有村の魅力が全くわかりませんでした。
有村が好きだった生駒先輩の妻もしたたかな女性で、逞しすぎて少しだけ引きました。有村と妻の感覚は頭では理解はできても、気持ちがついていかなくて。けれど皮肉にもラブストーリーを成就させるためには必要な過程だったんですよね。有村って悲劇のヒロインに見えながら、しっかりと地に足をつけて強く生きていたんだなぁと思いました。
最後の方、和久井が有村の好きなところを告げるセリフがあるけれど、このシーンはなんだかずるいです。有村の方が先に自分はずるい人間だと言っちゃうんですよね。その、そんなことないよ〜待ちのスタンス、相手のツッコミを封じるための女子の必殺技ですから笑
なにはともあれ、和久井は有村にメロメロなのでした。彼の方は17年間、海外の国々でどんな生活を送っていたのか知りたかったな。それに伴う作家様のオタク並み知識を読んでみたかったです。
新聞社シリーズでキャラにハマったのは2作目の佐伯密だけでした。他は受けが男性を装った大和撫子みたいで…。エロも毎回ブレるというか安定感がなくて、作者独自のクセがあるわけでもないので、個人的にBLとしての満足度は低めでした。
ですが、しっかりとしたストーリーや素敵なエピソード、豊富な比喩表現を楽しませてもらっているので、両者のバランスが好みだったらなァと、読後は毎回モヤモヤします。
一穂さんの新聞社シリーズ4作目。社会の巨悪に立ち向かったために、受けと攻めが長い年月にわたり引き離されてしまうところが、これまでの3作と大きく異なっています。恋よりも人としての正義を選ばなくてはならなかった二人。その葛藤に胸を揺さぶられました。
新聞社勤めの冬梧(攻)と製薬会社の社員・望(受)。
二人が知り合った場所が、証明写真ボックスというのは、ちょっとファンタジー過ぎない?と思いましたが、その後の内部告発に巻き込まれた二人がたどった道が過酷で、ファンタジー感は吹き飛んでしまいました。
新聞の影響力というのは、とてつもなく大きい。そして、会社の犯人探しもまた強烈で、個人の力は本当に小さい。
望が、自死した先輩が遺した内部告発資料を冬梧に託す前に、抱いてほしいと頼んだ気持ちが分かるような気がします。好きだと告げずに抱いてもらうのはずるいけれど、記事が書かれれば、もう会えない。勇気が出るような思い出が欲しかったのでしょう。恋よりも会社の不正を告発する道を選んだ望が切なくて、でもその生き方に感動してしまいました。
覚悟を決めて関係を絶った望よりも、冬梧の方が気持ちの行き場がなくて、辛かっただろうと思います。社会部に復帰して一面記事を書きたいという夢を、望と引き換えにかなえて、心と体は疲れ切って海外に異動。仕事の合間、かりそめの女性関係を重ねますが、望のことを忘れることはできなくて。
17年の後、二人は再会します。望は、毎日、新聞に冬梧の署名記事を探し、消息を追い続けていました。彼等を引き離したのも、細くつなぎ続けたのも、新聞だったことが、とても印象に残りました。
私は新聞が好きで、一面記事だけでなく、読者の投稿欄や家庭欄をよく読みます。市井の人の声に、励ましや慰めをもらうこともあります。新聞社シリーズを読んでいると、社会部が花形で、その中でも一面記事を署名入りで書くのがトップ、と感じられるのが、少し残念でした。社会への影響力から考えれば、仕方ないのかもしれないですが。
この作品を読んで以来、記事の署名に目がいくようになりました。署名は責任と覚悟の証なのですね。
物語はとても面白かったのですが、男同士の恋愛のドキドキより、新聞の存在感の方が大きくて、萌え×1になりました。