イラスト入り
雪人は学生の頃に自覚し始めたが、その時に恋に落ちたのがバーで演奏するチェロ奏者の男だった。。。
偶然、出会った二人は懐かしむような会話だったが、宝坂が放った言葉で雪人は愕然とする。。。。
その失恋?でダメージを受けた雪人は実家に帰り警察官となる。その際に家族へカムアウトするもの同じ警察官の父親には絶縁されてしまう。
そんな折、異動になった雪人の上司が宝坂で…
そっからはもう。究極の両片思いのお話でした。雪人がかわいそうで、切なくて、胃がキリキリするようなやり取り。もう読んでるこっちは「こんちくしょう、小鳩め!!」って思いながら読んでました。
嫉妬から、ってことになってるけど、遅刻ギリギリだとか、書類を丸一日かけて書き直すとか、そもそも社会人的にイケてないやつよね?ましてや取り調べでの失敗は自分のミスなのに逆恨みじゃないのか?!
上司にゲロっちゃうとかも、普通ならもっと恐縮するよ〜
最後はハッピーエンドだと知りつつも、何?このすれ違いは!って思いながらヤキモキ。
後半で、思いが通じてからは、なぜか変態プレイがお好きな宝坂。原因は従兄弟の名演技にあったんですね(笑)さらに、普段は理知的な話し方なのに、最後はめっちゃ砕けた口調の宝坂にも笑えました。
ホント、良かったね、雪人!って言ってあげたいくらい。
そっからは速攻で指輪の交換もするし、親にも挨拶行くしで、宝坂の本気度もみれて感無量。
無理のない関西弁で進行するのも、京都が舞台だけあって(京都っぽくない部分もあち、こりゃ大阪弁では?とか)目先がかわってて面白かったです。もう途中はしんどかったですが、思いが通じてからはラブラブ?も見れたしスッキリした〜
電子書籍で読了。挿絵あり。あとがきなし。特別ss付き(初出は不明。ペーパーだと思うのですが、出来ればこういうの、書いて欲しいですね)。あと、カバー折り返しの部分の『作者近況』が入っていました。
いや、鳥谷さんらしいのです。しっかりと『変態紳士』だし。
前半部分の『嫉妬でドロドロ』という所も、大好きです。
でもね、非常に数少ない私の『地雷』が埋まっていたのです。ちゅどーん!
穏便にすませようとする上司の意向を無視して部下の不正を監察に報告した結果、椎名雪人は公安から生活安全部少年捜査課に左遷されてしまいました。そこで出会った課長の宝坂眞は、8年前、必死の思いで告白した雪人を「気色悪い」と侮蔑的な言葉で手ひどく振った男でした。雪人は学生時代、友人達と入ったゲイバーでチェロを弾いていた宝坂に一目惚れしたのですがオーナーの恋人と噂される宝坂に声をかけることも出来ず、ただバーに通っては同じ曲をリクエストすることを繰り返していました。社会人一年目にCDショップで偶然再会し、運命を感じて告白したのに……彼に会うことを避けるため、財務省を辞めて出生地の京都府警に再就職するほどのショックを受けながら、雪人は宝坂以外の人に恋をすることも出来ずに8年間を過ごしてきました。宝坂はそのことを覚えており「あの当時は自分のことしか考えられない愚かな子供だった」と謝罪してきます。当時、家出をしていた宝坂はバーのオーナーに関係を強要され、それを拒んだら監禁されてしまったという事情があったのだ、と。雪人に対して実に紳士的にふるまい、何かと気にかけてくれる宝坂ですが、彼の左手に輝く婚約指輪を見る度に、また、雪人の部下に目をかける様子を聞く度に、雪人の心はどす黒い嫉妬心で一杯になります。耐えられなくなった雪人は、恋人と同居するので京都府警を辞職すると宝坂に告げ、従兄弟を偽の恋人に仕立て上げるのですが……
いや、良くできたお話だと思うのです。
雪人の家族が京都府警では『伝説の一族』であるのに、カムアウトしたために父と絶縁状態であるとか、チャラい部下の小鳩が「部長と飲んだ」という話を自慢げにしまくる事の小憎らしさとか、時折訪れる宝坂の美しい婚約者の話とか。上手いのですよ。色々なエピソードの振りまき方が。
あとね、雪人は従兄弟の貴文と話す時は京都弁になるのですが、これがまたはんなりしていて彼の美人ぶりにピッタリなんです(方言萌え全開!)。
何がダメだったかというと『性被害』なんです。
そのことと、後半の『変態紳士』ぶりがどうもミスマッチっぽく感じられて、乗りきれなかった。変態ぶりに磨きがかかるほど、頭の中で「いやー、そりゃ無いだろう」という声が響き渡りまして……
経験は少ないのですけれど、地雷というのは怖いものですねぇ。
大丈夫な方は、大変面白く読めるんじゃないかと思います。
半分あたりまでは受けの嫉妬が本当につらく苦しくなんとかしてーって感じです。
そこを乗り越えて読み進めるとやっと展開してなんだか都合良すぎでは?な両片思い発覚です。
とにかく丸くおさまって良かった。最後までくじけずに読めて良かった。
最高の作品が来ました。橘紅緒さんの『唇で壊される』に並んで、
私のなかで文句なしの神小説となりました。
***以下ネタバレあり***
攻めの宝坂と受けの椎名は、まだお互いが社会人になる前に
とあるバーでチェロ弾きと客として出会っているんです。
出会いの時点でふたりは一目惚れのような恋に落ちている。
が、とある事情から、宝坂はゲイである椎名を冷たく拒絶します。
椎名は心に傷を負い、
自分のセクシュアリティに対してトラウマを負ってしまった。
そんなふたりが、数年のときを経て、同じ警察署で再会することになるんです。
(岩本薫さんの『捕獲者ーロッセリーニ家の息子』を彷彿とさせるような
再会モノBLでもあります)
攻めの拒絶にも事情はあって、ふたりの誤解は早々に解けるんですが、
そこからすんなり「じゃあ付き合いましょう」とはなりません。
自分だけが相手を好きなんだと思い込みながら、
でも、それを直接相手には伝えられないから、
椎名は 宝坂に可愛がられている後輩刑事に八つ当たりをしてみたり、
宝坂は 宝坂で、椎名(の恋人のフリをした色男)の従兄弟にバチバチ静かなる牽制をしかけたり‥‥
起承転結がはげしい恋愛ドラマ‥‥昼ドラのような濃さ!
椎名の従兄弟がね、また良い。
彼が恋人のフリをしてくれたおかげで、(すでに一度こっぴどく傷つけられている)椎名が、惨めなキャラクターにならずに済んだ。
蓮川愛さんの美麗な挿絵で、この濃いストーリーが読めたことに
感謝いたします‥‥!
以上。
勇気を出して攻め様である宝坂に告白したら、暴言を吐かれて拒否られた受け様の雪人。
そのショックとそれでも忘れられない気持ちを引きずったまま8年後、異動になった警察署で雪人は宝坂と再開する。
お互いが恋人や婚約者がいると嘘をついているので、距離をとりあぐねて遠回りした挙句、辞表を提出した雪人に8年前の言い訳をさせて欲しいと自宅に呼んで、想いを確かめ合う。
この時えちシーンになるのですが、雪人がインランでどMだと誤解してる宝坂は、初めからけっこう変態ちっくな攻め方。
誤解をこじらせて宝坂の言葉を信じられない雪人の目の前で虫除け婚約指輪を捨てるのですが、ここから今まで紳士的な話し方を崩さなかった宝坂が、急に乱暴なオス全開の話し方になるんです。
このギャップがいい!!そう、その調子でがんがん攻めちゃってー。
紳士の仮面をはずして野獣モードになる、これが一番の萌え所でした。
雪人の自分の気持ちにふりまわされてるとことか、部下の言動とか、えっ?と思うところもありましたが、私の萌え所が随所にちりばめられていて、にやにやがとまらない一冊です。