ボタンを押すと即立ち読みできます!
物語のスタートが中々にヘビーだったので受けの救済ものかなぁと思いつつ読み進めていくとどうもそうとも言い切れない、そんな作品でした。
確かに母親の暴力からの救済的な側面はありましたがそれは早々に解決するし、でも千紘の根本的な簡単に諦めてしまう考え方は中々変わらないし、だからと言って由一がすごく奮闘するわけでもないし、結局のところ歪にはじまった2人が徐々に心を寄せ合って(あとはあっちへの興味が深め)必要になって普通の恋人になっていく、そんな普通な男の子たちの話だったのではないかと読後思いました。
どことなく飄々とした雰囲気で、でも2人の距離が縮まっていくのを見守るのがとても心地よくすごく好きな雰囲気の作品でした。
「真夜中を煙に巻いて」が結構ハッピーなお話だったのですが、こちらはkanipanさんの本領発揮というべきか、シリアスな作品になっていました。
といっても、読んでて深刻になるようなシリアスではなく、基本的には二人の愛の物語で、かわいかったりクスっとさせるようなシーンもあり、最後にはカタルシスのある作品です。
ずっと好きだった、と言って学校に来なくなってしまった千紘。幼なじみの二人はよくいっしょにいたけど、恋愛ではなくもう少し深い友人で。。
後妻でやってきた完璧主義の母親が精神的に不安定で、暴力を受けている千紘。何でもないふりをして、由一にだけは時々本心を見せる。
割合短いページ数のお話によって、全体の大きなストーリーが流れていきます。
エロいの読みたい!幸せなのが読みたい!ヤンデレいいよね?!少年のスクールライフ裏側覗きたい!的な人は満足できる作品の1つではないかと思います。
絵はなかなかとっつきにくいですが、ショタ的癒し系あるいみ現代アニメ的な絵です。(すごく個人的にはそう見えます)
ストーリーはエロ多め・あまめです。
内容としては重たく切ないですが、ほのぼのした絵がふわっと流してくれるので胃もたれせずに読めてしまいます。
エロ重要かなって人は、ぶつは出てこなかったです。うまいこといやらしい(雰囲気いやらしい感じ?)です。それが多めです。
おすすめなところとしては、受け攻めができてからその後まで描かれていて1冊で満足できるところ。
漫画というよりあまったるい恋愛小説を読んでいるような退屈が心地いいです。
二人の掛け合いはかわいいの一言です。
心理描写が多く対に描かれているような話があり
その後のストーリーへと緩やかに繋がります。
元々もっていたお互いへの想いに気づく姿に感動します。
今書いたことが何度も読むたびに(あぁそういう意味でもあるのか)とか(なるほどだからこの話なのね)というように毎度あたらしい発見があり飽きません。
やんわり病みっぽい話からほのぼのとまではいかないけど日常っぽくなっていくストーリーです。
由一がしっかりかっこいい。
エピソード5の「共感」がとても好きです。
声我慢しなきゃいけないのに、みたいなシーンが好きで、でもあんまりハラハラしたくないって人にオススメのエピソード。
物語が進んでいくにつれ、キャラの顔つきも変化していくのが良かったです。
由一が千紘を言葉で傷つけちゃうシーンとか、容姿も含めてだんだん大人になっていく様がまるっと表題作な点をうまく生かしていていいと思います。
私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのがこちらの一冊。
試しよみでも可能ですが、24、25ページが最高に好きです。
こういう世界観。ずーっとこういう重い世界が続いていくかと思っていました。
第1話はそこの描き方も含めていいなと思ったし、すごく期待が持てました。
虐待に関するトラウマがもっとドロドロしていて共依存しちゃうくらいの重〜いのを期待していました。
病んでるんじゃない?ってくらいの共依存、あるいは依存系が大好物なので。(例えばscarlet、新妻くんと新夫くん、朝とミーチャなど)
そしたら意外とほのぼの。意外とね。
まずほのぼのに感じる理由、多分それは、虐待を受けて育ったちひろ(受け)の性格が大きいかなと。
抱えている傷をマグマのように溜め込んで覗き込めばすぐそこに見えるというというタイプではなく、受けた傷を理解しようとしまいが受け入れて処理する、或いは隠す事によって正気を保つタイプだったから一見ドロドロに見えないだけ。
それが最大に表面化したのが、私の気に入った24、25ページであり、それ以上の曝け出しはあそこだけ。
だからこそ、ずっと側にいた幼馴染の攻めでさえ
「お前がそんなだから 特別に してもらえなかったんだろう お母さんの」
と殺人級の発言を、継母に虐待され続けてきた(当然そのことも攻めも知っている)受けに対して言えちゃうんだ・・・と思ったんです。
しかもその発言後も喧嘩継続で受けを無視し続けるという仕打ちをします。
最初、読んだときはこの発言に卒倒しそうになりまして、このヤロー!なんて酷いことを言うんだ!と攻めに対して激しい憎しみと幻滅を覚えました。
でもその後ようやく攻めは、今までずっと虐待で傷ついていても怒りと哀しみを隠すのが巧妙だから手遅れになるまで気づけなかった受けの過去を思い出して、今回の仕打ちの酷さにようやく気づくんです。
ずっと一緒にいる攻めでさえ、そんな酷いことが口をついて出てしまうくらい、普段は虐待が残した傷はみえない。
そしてそんな事を言われても、流して許してしまう受けの歪みっぷりが今までの生き様を示していて哀しかったです・・・。
病み系大好き人間からするとちょい病み系くらいに感じますが、逆にほのぼの幼馴染ラブのお話だと思って読み始めた人からすると、思っていたよりも病んでた・・・って感想を抱くかも。
中学生同士で好奇心旺盛な年代でとにかく盛っている年代なんだろう・・とは思うんだけど、エチシーンが少し多めに感じました。
いきなりやっちゃう(しかも受けもしっかり感じてる)のではなく、最初はおずおず触りっこからスタートみたいな段階を踏んでの描写のほうが、全体通してエチシーンが多めだっただけに、より二人の成長ぶりを感じられた気がするのと、エロネタ以外でも病み系のエピソードが欲しかったです