いやらしのポールダンサー

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表題作DANCING COLORS

航,エースダンサー
なぎさ,人気ダンサー

その他の収録作品

  • ENCORE(描き下ろし)
  • AFTERWARDS(あとがき)

あらすじ

いやらしのポールダンサー
堅物×ビッチのライバルBL

ステージが終われば
男に抱かれにいく。
人気ダンサー・なぎさは
そういう男だった。
華はあっても本気になれず、
貞操感もゆるい。
ゆえに、踊ることにすべてを賭けた
堅物のエース・航とは
犬猿の仲でだった。

そんな軽薄ななぎさを変えたのは
ある夜の、航の見せつけるような
本気のステージ。

美しさに圧倒されたなぎさは
それを認めたくないと思うと同時に、
航に惹かれている自分に
気づいてしまう――。

onBLUE育ちの逸材、初コミックス解禁!

作品情報

作品名
DANCING COLORS
著者
フルカワタスク 
媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
発売日
ISBN
9784396783716
3.6

(83)

(23)

萌々

(29)

(13)

中立

(13)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
12
得点
283
評価数
83
平均
3.6 / 5
神率
27.7%

レビュー投稿数12

無題が3枚

見た目にわかりやすく難があるってのは大変ですよね。

目や耳の障がいみたいに周りから配慮されるわけでもない、こういう境遇で生きておられる方に深く同情いたします。

ふたりがダンサーというのもいやらしポイントの一つですね、身体が柔らかいからエッチの体位も深そうでいい。

煌びやかな作品でした。

0

雰囲気が好き

あと引く読了感!!
荒さの中に妙に色気が漂ってて、雰囲気に引き込まれました。

帯に「いやらしの」とありますが、
下卑た感じではなく、美しさ、力強さを感じます。

ポールダンスを通して、ぶつかり合う二人が痛くて痛くて
読んでいるとギリギリ苦しいんだけど!!!
ケンケン突っぱねても、どうしようもなく惹かれ、
お互いの存在が無視できなくて、影響しあっちゃうところにグッときました。
重苦しさも心地よかった。じんわり後引く読了感。

1

ほとんど半裸!

ポールダンサーやステージものは初めてですし、男性のダンサーの存在さえ知りませんでした。

父の死に取りつかれて薬を飲まないと踊れない危ない状態なのに躍りはホール1の航。
華はあるけど躍りはもうひとつ、踊りへの情熱の足りないビッチなぎさ。

初対面は最悪でその後も険悪な二人。でもお互いの踊りや素質は認めている。
踊りを通して変わっていく二人と二人の関係。

お互いがお互いを認めあい必要とし高め合う存在に。
ダンサーとしても性的にもお互いの体に引かれあっていったのでしょうか。
航がなぎさを抱いたのは最初はまともじゃなかったのかな?お前どんどん上手くなってくな、なぎさの体を俺にくれよって。踊り続けることへの不安や焦り居場所を取られると思い詰めて。
2回目以降は気持ちも伴ってます。

ほとんど半裸です。衣装も際どい!
オーナーが若そうなのが気になります。父の代からなのじゃなかったのかな?

モノローグがどっちの方かたまに混乱しました。
二人とも決して明るい過去や現在を生きてないんだなあと思いました。

海辺のクラブでポールダンサー。今までにない世界観でした。

二人は海外(おそらくアメリカ?)に渡り活躍し仲睦まじく踊りを続けています。
あとがきの踊ることは生きることそんな言葉がぴったりの二人になりましたね。

スポーツでも仕事でもお互い競いあって高めあいかけがえのない存在になって一緒に上り詰めていくのはいいですね。

0

なぎさの表情が堪らない

どことなくセンスの良さを感じる作家様です。
季節は夏でしょうか。海沿いのクラブにラフな私服と全体的にオシャレ感漂う雰囲気です。

舞台が海沿いという事で物語の見せ場のシーンでは崖の上の灯台、ショーが成功した後2人きりの明け方の浜辺などロケーションが上手く生かされていて良かったと思います。

最初は生意気で「アンタみたいな男すっげぇ嫌い」と言っていたなぎさが「お前になら何されてもいい」とまで言うようになるとは···
もうなぎさが可愛くて仕方無いです(笑)

航に認められたい、ダンサーとして生きて行こうと決めたなぎさですが、一方踊る事に全てを掛けて来た航は様々なプレッシャーから不安定になり、薬無しでは満足に踊る事も出来ません。
唯一の居場所であるステージもなぎさに取られてしまいます。
居場所を見つけたなぎさと居場所をとられた航。。。

航のなぎさに対する嫉妬や羨望がついに形になって出てしまいます。(無理矢理なぎさを抱いてしまいます)

ですがなぎさはそんな航を受け入れ、踊る意味を見失いかけていた航に自分の為に踊って欲しいと告げます。
それぞれの踊る理由が相手にあるというのはお互い必要としている感じがして良いですね。

色々あって結ばれた2人ですが、お互い作中で一度も『好き』という気持ちを言葉で伝えていません。(一緒に踊りたいとは言っていましたが)
でもお互い共に歩んでゆく大切な存在というのは明白です。

そういった台詞が無い事でパートナーとしてのより深い繋りを感る事が出来たし、パートナーになるという事はそういった感情よりももっと深い所で繋がっているものだと思うので、この台詞が出てこなかったのは逆に良かったと思います。
(仮にこの作品の世界感で「好き」とか「付き合って」みたいな台詞が出てきたら一気に作品が薄っぺらいものになってしまったと思います。)

後日談での2人の休日では航のシャツとなぎさのパンツが···お揃い!
航がなぎさの服を借りてるのか、一緒に買ったのか、どちらにせよなぎさの趣味と思われる服を着てるのに萌えました!

個人的に絵柄はとても好きですし、ポーズや身体のラインも不自然な部分も無く決まっていたと思います。

明るく華やかなシーンもありますが全体的にどことなく薄暗い雰囲気のある感じで、久しぶりにハマった作品でした。

1

題材で期待しすぎた感

ポールダンサーという、官能的でエロティックなものなのに今まであまり無かった職業に目をつけた所は凄く魅力的でした。
が、話しの流れや内容だけに目を向けると案外良く読む青春群像劇かな、という印象です。

センスは見え隠れするのにチヤホヤされ性にダラシナい子と
過去にやや暗い影があるストイックな子が衝突し、ぶつかりあい、わかりあう。
バンドものなら二人で曲を作ろう、っていうところがこれはダンサーだから二人で踊ろうに変わっている。というような…
悪くは無いんですが、もう少しドラマチックで大きな波が欲しかった。

トラウマ持ちの航は父親もポールダンサーだったから自分もっていういうのもやや説得力がないかな。
ポールダンサーって特殊な職業だと思うし、男の子が父親がやっていたからだけで其のままあこがれるのだろうか、という疑問。(父親がほぼ裸で踊ってる、これだけ聞くとプロでも小さい頃なら少なからずからかわれたりしたんじゃないかな、とか考えてしまいました)
トラウマ設定が少し薄い気がします。

もう少し全体を掘り下げてじっくり描いてくれたら良かったなあ、と思いました。

画力は向上途中でしょうか、折角の肉体美アピールできる職業なのにふわっとした感じなので説得力が弱めかもしれません。

ただ目をつけるポイントとかは良いなあと思ったので、今後に期待です。

5

世界観と雰囲気はとてもよかった

エースポールダンサー×アイドル的なポールダンサー。

舞台が終わればマネージャーとホテルに行くような享楽的なポールダンサーの受けは、そりが合わないエースダンサー・攻めのステージを見て心を根こそぎ持って行かれる。
アイドル的な人気と華やかさはあるものの、技術的には劣る受けは、そんな攻めに「下手くそ」と言われて反発する。しかしともに練習や時間を過ごすうち、互いの存在がだんだん大きくなっていく。

ポールダンスという、BLではあまり見ない世界が舞台の作品です。
新鮮な素材だし、スポーツなのにエロティック、という独特の雰囲気がとてもよかった。でもほぼまったく知らない世界なだけに、もうちょっと世界観の説明があってもよかったかなとは思います。ポールダンスをショーとして魅せる施設が普通にたくさん存在しているのかどうかもわかりませんし、そこでショーを魅せるダンサーがどういうふうに生計を立てているのか、そもそも生計を立てられるのかどうかもわからないので…。
説明といえば、攻めの過去の事故や、父親の死、攻めの置かれた身体的状況なども、スポット的な描写しかなされていないので、結局どうなの? みたいな置いてきぼり感はありました。全部説明してほしいとは言わないけど、特に攻めの状況、こんななのに華やかに活躍の場を広げられるの? とか、かなり疑問が残りました。
絵は、味はあるのですがちょっと粗かったです。上半身はいいのですが、デッサンの下半身のバランスが悪く、端的に言えば短足でもったいなかった。

2

あぁ、これは面白い

ストイックさと、エロスと、ギリギリ感。
そして紙面から伝わってくる躍動感と熱量に、頭でどうこう思うよりまず感覚的に引き込まれ、興奮させられます。
自分の嗜好にどれだけマッチしたかの満足度で言えば、今年読んだコミック(BLに限らず)の中ではかなり上位!
なおかつ、この作家様の肉体描写が好みドンピシャで、ポールダンスという題材柄、エロ以外のシーンでも惜しげなく晒される美しい裸体に眼福でした。
【BL×ポールダンス】という掛け合わせに興味を引かれつつも、掛け合わせ方によっては嫌悪感を抱きかねない題材でもあったので心配半分で手に取りましたが、如何にもonBLUE育ちの作家様らしい題材の扱い方とストーリーで、そんな心配なんぞは全くもって無用でしたね。
次作以降も追いかけたくなるデビュー作です。
今年(2015年)の新人作家さんはなんだかやけにヒットする\(^^)/

ストーリーとしては、硬派なポールダンサー(航/表紙左)と軟派なポールダンサー(なぎさ/表紙右)という正反対な二人が出会ったことで、お互いに刺激し合い、足らなかったところを補い合い、表現者として成長していくさまを描いた、芸術モノの漫画によくあるもの。
帯の煽り文に反して、中身はかなりストイックです。
高みを目指す表現者なら誰しも持つであろう孤独や空虚、満たされなさ、焦燥と言った心の闇に踏み込んでおり、結構暗いというか、ヘビーというか、onBLUEの作品が好きな人はそういうものを面白く感じて読んでる方が大半だとは思いますが、中々抉られます。
単巻の限られたページ数ですので全体的に詩的かつ扇情的な表現になっており、これはこれで読み手によって如何様にも解釈できる良さがあるのですが、その一方で、複数巻構成でもっとガッツリと描かれたものを読んでみたい欲求にも駆られます。
BLじゃなくとも自分が好んで読む類いのお話でした。
けれどこういう漫画をBLで読める醍醐味はやっぱり、二人がただのパートナーではなく公私を超えて唯一無二のパートナーになり得るところ。
パートナーになるのなら他の入り込む隙なんてないくらいに心も身体もしっかりと繋がってほしいし、そういう特別な関係に嫉妬したい。
最後の2ページ、ベタだけどやっぱりこういうラストシーンが私は大好きだとしみじみ思いました。
航の腰に入れられたタトゥーの意味にあれこれ想像を巡らせてしまいます。
直接的なエロシーンよりも、ポールを挟んで絡み合う二人の視線や姿の方にドキドキしました。

ポールダンス自体は実際に何度か見たことがあるんですが、想像よりも遥かにアクロバティックなんですよね!
なのにしっかりとエロティック。
迫力と視覚的な美しさに魅せられます。
女性ソロ、男性ソロ、女性ペア、男女ペアは見たことあるんですが、男性ペアというのは見たことがないので、実際にあるのなら是非とも見てみたいなぁ。

4

魅力的な素材

ポールダンスという新鮮さと、on blueのセンスに対する信頼感で購入。
結果はなかなか魅力的な作品だった。

ポールダンスは、シルクドゥソレイユや7Fingersのショーで見たことがあり
どちらかというと女性のイメージだったが
アクロバティックで独特の色気のある世界だと思っていた。

その雰囲気が漫画の中でよく表現されていたと思う。
体の描き方が綺麗で躍動感もあり、踊りのシーンがいい。
「いやらしの」なんてキャッチコピーがつけられているが
話はダンスを通じて心を通い合わせていく対照的な二人という、
ある意味典型的で真摯な芸術系の話。

シリアスなストーリーの中のオーナーの茶目っ気や
仲間達の描き方の軽さといった、緩急も悪くない。
ただ、全体としては消化不良気味の印象も。

航の過去の傷や現状に関しては雰囲気どまりで説明不足、
絵も繊細で魅力的なのだが、
絵もストーリーももう少し整理されてメリハリがあると
さらに魅力が増すと思う。

絵の印象が全体に自然光で淡くて黒でもカラフルでもなく、
夜のシーンと昼間のシーンコントラストなども控えめ。
黒の世界から色が飛び出す……というコンセプトが
絵だけでインパクトを持って伝えられたら
ノックダウンだったかな……と思う。

今後に非常に期待です。

6

ポールダンスに無限の可能性を感じました(BL的に)

ともすれば下世話なタイトルになってしまいましたが、
純粋に、これは結構な新境地では!?と思いました。

お話の展開については、ストーリーとともにその場面その場面の感情が繊細に動いていくお話なので、なんというか2〜3巻ぐらいかけてじっくり読みたかった…!という印象があります。同時に、逆によく一冊にまとまったなぁ…と感じるくらい、個人的には濃いお話だと思いました。

タイプの全く異なる二人が惹かれあって、同時にお互いの足りない部分を無意識に補完してゆく過程は意外にも純粋さに溢れていて…そこがなんとも言えず良かったです。

そして何よりポールダンスにおける動きや肉体の美しさが余すところなく描かれていて…想像以上のクオリティでした。
本番の空気感も(これもシーンごとに少しずつ違っているのですが)こちらにも伝わってくるような迫力があって、読んでいて興奮させられました。
本当に回転が見えるよう…!作者様の熱意を感じます。

男性の肉体の美しさをここまで最大限に表現できる競技があることにどうして今まで気づかなかったんだろう…

余談ですが、「ここここんなにエロ美しいものだったのかポールダンス!!!」と感動して読んだ後に早速動画を探しに行ったら男性ペアのものが全然なかったのが非常に残念でありました…増えないのかな…







4

ステージから溢れる色、波の音、朝のひかり。

男たちの舞うステージ、ポールダンス!
実際にポールダンスも、見てみたくなりました。
艶めいた夜のお話かと思いきや、意外に硬派で自然の光あふれる、さらりとした感触のお話です。(エロ度は高くないと思います。)

普段からダンスを見るワタクシなのですが、確かにメディアで見るダンサーというひとたちは、つねに「表現の真髄」を求めストイック。
自分のカラダが商売道具ですから鍛錬や節制はあるのでしょうが、ステージ裏で男も女も裸に近い状態でウロウロしていても、そこに性の匂いがしないくらいですし、自分とは違う生き物のような気がしています。
本作の彼らも、ガンガン上半身さらしてますし、そこに羞恥心がないのがリアルですね。
(もちろん、本作はBLなので欲情するようなシーンはありますよ〜。)

ポールダンスに向きあうふたりも、やはりストイック。
とくに航。ダンサーであった亡き父親が建てたクラブを守るエースとして、踊ります。
かたや、クラブに新しく来た売れっ子ダンサーなぎさ。人気ダンサーではあっても、実力はまだまだ。
航に触発され、なぎさもダンサーとしての実力を開花させていきます。

正直言って、ふたりの掛け合いとなるセリフは"どストレートすぎ"ですし、"踊れなくなるのでは?"という焦燥感や、"何のために踊るのか?"という問いと答えなどの、描き方に目新しさはありません。

それよりは、ステージやスタジオで見せるふたりのポールダンスのシーンで十分、満足でした。
セリフで読む必要がない、ダンスシーンを見るべしです。
(私はエッチシーンよりも、ダンスシーンとふたりのパートナー性に萌えでした。)
ステージのまばゆい光のなか、男ふたりので踊るのシーンはダイナミックで躍動感もあり、清廉で美しいです。胸が高鳴りました。
もっともっと踊るシーンを見たかったなぁ。できれば、カラーで。

ラストの何年後か、舞台裏の彼らの背中を見せるシーンも素敵。
(『リトルダンサー』のマシュー・ボーンが出てくるシーンのようです!)

夜のクラブのステージは夢のようにまばゆく、その一瞬のために昼間の海辺を走るようなチーム男子たちが清々しい作品です。
フルカワ先生が、次はなにをテーマにするのか?とっても楽しみです。

5

息を詰めて読んだ

独特の空気感でした。時々onBLUEで見かけて、気にはなっていたのです。こうしてまとめて読めて、よかったです。

ポールダンサーの話ということで、エロ目的で買いました! ですが主題はそこではなかった。エロよりラブより、ダンス。(ただし技術的なことは描かれていませんので、スポーツマンガを楽しむような読み方はできません)踊ることが生きることのすべてというストイックな航(攻)と、才能はあるんだろうけどポールダンスをなめてるなぎさ(受)とのお話です。

芸術を極める、二人で高みを目指していく、ということの前においては恋もエロも霞んで見えました。

舞台の空気感。二人が踊っているところは、読んでて背中の辺りがざわざわしました。

萌えとは違ったけれど、すごく気持ちのいい読後感です。

5

黒から溢れる色彩ーonBLUE発、新たな才能

特集目当てで購入したonBLUEで
はじめてフルカワタスクさんの今作を読んだとき、
皮膚の内側に入り込んで語りかけてくるような熱を感じました。

画が秀でて巧いわけでも、魅せ方が超一級というわけでもない。
それなのになぜ、静かに心を揺さぶられたまま
離れることを許さないみたいに惹きつけられるのか。
フルカワさんは読み手を虜にする繊細な熱量と才能の持ち主なのだと、
コミックス化した今作を読んで改めて思いました。

なぎさはマネージャー付の人気のポールダンサー。
他人の踊りには興味を持たず、自分のステージが終わりさえすれば
男に抱かれることを楽しむ、そんなダンサーだった。
新しいステージのひとつ、クラブグランドブルーで
エースダンサー・航の踊りの美しさに魅せられるまでは―

ポールダンサーというのが目新しくて良いですね。
男たちがポールと共に、美しく妖艶に踊る世界。
そんな世界でふたりの異質な者同士が出会い、
反発し、魅かれ合い、踊り続けてゆく物語です。

なぎさは航に出会うまでは、
確固たる熱意を持って踊っているわけではなかったのだけど
航の、表現の神髄のような本物のダンスを見て
彼の実力を認めた上で、今度は彼に認められたいと思うようになります。

一方、慕われることはあっても人との距離を一定に保ち続ける航が
なぎさの才能に早くも気づき、ダンスを指導し絆を深めていく様子は
密やかに熱く、又、色気を感じさせるものでした。

けれど、航には顔の火傷と同じように、もしくはそれ以上に
深く黒く抱え込んでいる闇があって。
追い詰められた彼がきこえるのは波の音と漆黒の音だけ。

誰にも頼ることなく、たった一人で戦い
亡き父親(彼もまたダンサーだった)が遺した
グランドブルーを守り続け、ボロボロになった航の
豊かな才能・なぎさの成長を目の当たりにしたときの焦燥感、
居場所を失くすこと、踊れなくなることへの闇...
想像しただけでも苦しくなります。

ふたりがぶつかり合い、本音を曝け出し合った上で
踊り続けていくことを決めたシーンに、涙が止まりませんでした。
『踊ることは生きること』
あとがきでそう書かれているフルカワさんがふたりに託した想いが
読み手にぎゅっと伝わってくる、素晴らしいシーンでした。

そしてクライマックス、
ふたりのペアのダンスシーンで再び熱いものが込み上げてきます。
モノローグも、台詞も、ダンスの描写も、すべてが輝いている。
まさに黒の世界から、カラフルな色彩が溢れ出すかのような
そんな彼らのダンスに、観客と共に
スタンディングオベーションを捧げたい気持ちでいっぱいでした。

新しいステージへ羽ばたくふたりを、
フルカワさんの物語への愛情と
キャラへの信頼たっぷりのあとがきを含めて、
どうか最後の最後まで見逃さないでください。
(脇役のオーナーの愛しいキャラも必見!)

個人的にどうしようもなく魅かれた、文句なしの神評価作品です。
最後に、onBLUE発の新しい才能に、
センシティブに語りかけてくるその熱量に、もういちど拍手を...!

13

冬草

詩雪さん

ううー、お褒め頂いて恐縮です!ありがとうございますっ。
わたし、本について、読んでいる時の感動とか、心の熱さとか、そういうものを伝えることができたら良いなあって思いながらレビューを書かせて頂いているので、詩雪さんがそれを感じ取ってくださってすごく嬉しいです。

もし今作を読まれたならば、是非、詩雪さんのレビューも読んでみたいな。どんな感想を持たれるか、個人的にすごく楽しみ☆

onBLUEさん、レーベルとしても、輩出される作家さん作品も本当に素敵ですよね。向かっている方向性にとても好感が持てるし、益々ファンになってしまいました♡

冬草

この作品が収納されている本棚

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