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表題作世界の半分

エルヴァン,24歳,サッファビーア帝国第三皇子
カイ・スーラ,15歳,シルカシア王国第二王子

その他の収録作品

  • 王子達の楽園

あらすじ

皇子・エルヴァン率いる残虐非道な大国に攻め込まれ、カイの故郷は今まさに滅びようとしていた。
生き延びていつか必ず祖国の再興を、と父王に託されたカイは、亡くなった姉姫に扮し城を後にする。
けれどぬかりないエルヴァンの放った追っ手に捕まり、彼の女奴隷にされてしまう。
「世界の半分がある」と謳われる華やかな大国の都へ連れ去られ、
彼のハーレムに閉じ込められたカイは男であることを隠したまま、エルヴァンの閨に侍ることになるが──!?

作品情報

作品名
世界の半分
著者
かわい有美子 
イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
発売日
ISBN
9784813013020
4

(109)

(41)

萌々

(42)

(23)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
19
得点
443
評価数
109
平均
4 / 5
神率
37.6%

レビュー投稿数19

察する攻め

ハーレムもの好きじゃないのに読み耽ってしまった…。かわい先生の筆力&葛西先生の画力、ハーレムのなかで密やかに静かに愛が育まれます。衣擦れや鈴の音が聞こえてきそうなハーレムの夜の情景が繊細に丁寧に美しく描写されていて、しばし浮世を忘れるひとときでした…。

前半は戦争の描写が重くて悲しいんですよね。んでもってその後も、捉えられた美貌の皇子カイがどうやって生き抜くかのハラハラ…。しかも大国の第三皇子であるエルヴァンが手柄をたてたわりに、ぜんぜんドヤドヤしてない、むしろちょっと哀しそう、むしろなんだか無関心で、ええ?ラブ始まるかしら?って軽く不安になったのでした。つか、それくらい、攻様エルヴァンがストイックで紳士的!ハーレムなのにエロくない!ってちょっと新鮮でしたw というわけで、3分の2くらいまで受皇子と攻皇子の不憫さや人柄の描写がメインだったような印象です。でも、この前半のストイックさがあったからこそ!後半が!!えっろ!!エロ多くないんですけど、その少ないページ数にぎゅっと官能が凝縮されているんです!!もう!ふたりとも、なかなかのスケベなんですよ!!(普段はとてもスンとしてるのに)

もうね〜、なんつーか攻様、受さんがちゃんとその気になるまで”待つ”んですよ。(ハーレムなのに…)ちゃんと”その時”を”察して!”、”その時”まで待って、、ようやくその後に押せ押せで口説きまくって溺愛するってゆー…かわい先生の”察する攻め”最高。。気持ちを通じあわせた二人を待っている将来が明るいのか暗いのか曖昧な印象が残ったのですが、聡明なふたりで結託して運命を切り開いていってくれればいいな〜と、祈る気持ちで読み終えました。

1

美しく静謐なおとぎ話

私なんかがこの作品の世界観を上手く表現できるか定かではありませんが、孤独な生い立ちによって、穏やかでありながら無感動で、しっとりと波立たない水面のようひ生きてきた攻め様のエルヴァンと、攻めいられて国が滅び、孤独になったカイの美しい物語です。

個人的には前半部分がちょっと長いかなぁ〜という印象。
説明的というか、必要な部分ではあるんですけれど、もう少し攻め様と受け様のやりとりが色々見たかったのが正直な気持ちです。

けれど、そう思わせるには理由がありまして、なんと言っても攻め様がマジでスパダリなんだもの。
孤独だからこその優しさとか穏やかさ、静かな水面みたいな雰囲気を纏っていると言いますか。
攻め様の素敵さをもっと堪能したかった。
1冊ではなく2冊に分けてもっとゆっくりとネホリハホリ(笑)2人の生き様が読みたかったです。
最後らへんがページ数の都合でバタバタと回収されて終わってしまった感じだったので、そこが少し残念で萌え2評価になりました。

けれど基本的には素晴らしく雰囲気のある作品で、かわい先生ならではの硬さを残しつつ静かに紡がれる文体が作品の内容にマッチしていてとても良かったです。

これネタバレになってしまうんですが、
カイがエルヴァンとのキスで、触れてもいないのにイッてしまうシーン。
ま〜〜〜〜〜どエロい。

こういうのが読みたかった!!と震えました。


また、葛西先生の挿絵!
葛西先生の挿絵の小説は積極的に読ませて頂いているんですけれども、本当に毎回毎回、感嘆の溜息が止まりません。

透明感のある絵柄が作品の世界観にぴっっっっったりでとっっっっっても素晴らしかったです。

2

しっとりと密やかな二人のお話

しっとりとして静かでひそひそと語られるようなお話でした。

こんなにされたらお互い好きになってしまうよ…。

冒頭はエルヴァン視点その後はずっとカイ視点で現在から過去を回想し行き来しながら語られ。

不遇の皇子エルヴァン。よくこんなに優しく真っ当に育ちました。母を殺され父や兄達に疎まれ、いつ殺されるかわからない日々を鳥籠の中で生きてきて。

悲劇の王子カイ。国を襲われ家族も民も殺され姉の振りをしてなんとか生き延び。
いつか祖国の再興を、叶わなければ語り継ぐことを父王に命じられ…。

エルヴァンがカイ達に対して誠実に向き合って接してくれて。カイを兄から下げ渡されてもカイの不遇を憐れみ、出来るだけ心を尽くしあたたかく迎えてくれて。

二人ともいつ死ぬかわからない身でありながら、またカイは男だとバレないようにしながらも寄り添いあって、慰め支え合い。

カイが男だったと知らしめるタイミングがあのときだからこそ上手くいったということなの?えらいあっさり許されむしろ自由度が上がって。

最後も完全なハッピーエンドではなく、命の猶予期間を幸せに一緒にそばで過ごしながら…。

カイが悲劇の王子でありながら、エルヴァンのおかげで幸運に幸運が重なって生き延び、二人で愛し合うようになって良かったです。
いつか故郷の地を踏めるといいですね。

1

戦勝国の王子と亡国の王子の千夜一夜物語

シチュエーションからいって男であることがバレ、民や臣下の身の安全を質にとられ黙ってて欲しかったらいうことを聞けと性奴隷のような酷い扱いをされる健気な王子様…かと思いきや始めっから甘い空気を醸し出し亡国の美姫を保護してくれた心優しい王子様、男とわかっても愛しい想いは変わらないという初恋が実る優しい話でした。

恋バナの方はそんな感じに丸く収まりました。
ただ大国が平和な小国を蹂躙していく悲惨な描写はありますし、カイの両親や皇太子である兄の最後には涙を誘われました。
大国の傲慢さや驕りがいつか身を滅ぼすことになって行くのではないのかと現実の世界情勢を見るようでした。

エルヴァンの生い立ちや王族の継承に関わる習わしなど哀しい過去があり
カイに惹かれ共に傷を抱えた者同士が互いを癒される相手として愛するようになって行くという気持ちの変化が感じられ敵国の王子を好きになって行く過程に無理がなく入り込めました。

1

月◯砂漠とかアラビアンナイト的な

他の方のレビューを読んで気になったので購入しました。葛西さんのイラストが大好きで、かわいさんの作品もわりと好きで何冊か持っているのに、この作品は存じませんでした。

まず、表紙と口絵に見惚れますね。なんとも色っぽい憂いを帯びた表情のカイと、静かにカイを愛おしむエルヴァン。

千夜一夜物語を思わせるお伽話テイストではありますが、若干血なまぐさい描写もあり、ラストも“それから二人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ”といった終わり方ではないので、甘さは控えめかもしれません。
カイは間違いなくエルヴァンを愛しているのでしょうけど、エルヴァンの方の感情がわかりにくかったので、もっと彼の情熱的な部分や、執着心が見れたらなぁ、と思いました。(まぁ、閨の中では情熱的でしたけど)
好奇心旺盛なカイと違い、エルヴァンは優しい性格なだけに、どちらかといえば受け身な印象でした。

どうか二人が無事にカフカスへたどり着けますように。

5

心地よい

葛西先生の挿し絵の美しさにうっとり。
お話もその雰囲気ぴったりの美しさでした。
男だと知っていたとなるまで長かったけれど、そこからはもう艶かしい夜伽風景たまりませんな。
受けが私個人の理想ぴったりな健気ちゃんでして可愛いし美しいで読みながら息づかいが…w
最後まで安心して(王子達の今後を考えると不安要素は残りますが…不憫で)読めたのでホッとしました。
疑問に思うことは多少なりありましたが、こちらの作品の情景が目に浮かび、おとぎ話をまるで聞いているような心地よさが何より素敵でした。

4

エルヴァンも不憫だ

かわい先生2冊目です。こちらもファンタジーですが、生きるために姉姫に扮した敗戦国の王子と、生きるために攻め入った大国の王子のお話。

女奴隷としてエルヴァンの元に差し出されたカイは、夜枷の時に男だとバレないように毎回自国の話をします。
最初は自国を攻め入ったエルヴァンを良くは思っていなかったのですが、その人柄や、彼の苦悩を知るにつれ、カイはエルヴァンを好きになります。
女奴隷として、夜伽についてたくさん学び、エルヴァンへの想いが募った時、学んだことを発揮させたのですが、それがまあ、エロかったです。それまで綺麗な静かな文章だったので、余計に…!最後までいってないのに、こんなにエロいってどうなの!?

カイも不憫で頑張り屋なのですが、エルヴァンも不憫でした。だから余計にエルヴァンは達観してるし、優しいのかもしれないですね。最初から、カイのことを大事にしてます。従者からも、慕われてます。

どうか、二人で、末長く幸せに暮らせる未来であれば良い。少しでも長く。

今回電子書籍で読んだのですが、美しい挿絵付きで、大満足でした。

3

エルヴァン(攻さん)の我慢!に神評価

皆さまおっしゃっておられる通り、葛西先生の挿絵のあまりの美しさに脱帽。
私も口絵が最も好き!たまらん・・・
攻めさん、受けさんの着衣姿。
大きめのディヴァン?に二人して座ってるところ。
受けさんの衣装が薄いライラック色で、美しすぎる背中がvネックで見えてて斜め後ろにいる攻めさんを振り返っておられ、麗しい金髪がはんなり・・・(ああなんて拙い私の言葉。先生の美しい挿絵を汚してる気がする(泣)でも書かずには おれん!)
ほんま男子か!といいたい!いや小説が成り立たなくなるんやから男子でいいんですが。

で、男子なんだけど、その美しさと優しさ?お互いの持って生まれた運命?で、エルヴァンをノックアウトしちゃった時の、エルヴァンの我慢の仕方が 悶絶死級。(エルヴァンは我慢しようとするんだよ!すげー)
その時のエルヴァンの言葉にこっちがノックアウトされました。

エチシーンが少なくてもOK!という方で、トルコ好きな方はぜひご一読あれ。
先生の挿絵と、攻めさんのセリフにご注目です!

最後どんでん返しするところが、ちょっとご都合よろしすぎではと気になったりしますが、それはさておき。
側仕えとなってからのカイが、これまた可愛らしい。
ちょっと言葉で逆襲してみたりして。
二人でなんとか末永く生きながらえてほしいと、しみじみ思います。

最後まで読んで、やっとこのタイトルの意味が何となく分かりました。
本当に切ないタイトルです。
世界の半分があってもなあと、つい感じ入る次第でした。

11

あーちゃん2016

はるぽんさま、コメントありがとうございました!
じんわりせつないお話で、余韻がありますね、このお話。
勝手に幸せになった二人を想像して、萌え~としときます(笑)
きっと私もしばらくしたら、読み返します!残念なのは初版本?についていたというミニペーパー?が読めなかったこと。なんか可愛らしいお話が書いてあったそうではないですか。しゅん。頑張って好みそうな本は発売当初から手に入れられるようにしっかりチェックしよう。。。

はるぽん

あーちゃん2016さま。
お読みいただけて、気に入っていただけてうれしいです\(^o^)/
ほんと口絵は神ですよね〜。アラビアンナイトとか、そういう感じで。エッチシーンじゃないのにうっとりです。
私もまた読み返したくなってきました。(笑)

金の鳥籠

葛西先生の美しくも繊細な絵に彩られた歴史ファンタジー。
キーワードは、大国に攻め滅ぼされた「亡国の王子」。
父王の、生き延びて国の再興を果たせという命のもと、シルカシア王国第二王子のカイは、前年に亡くなった姉姫に扮して城を脱出するのだが…。

もうこれ、カバーイラストが圧勝!
美貌で謳われた姉姫に扮しても、王子と見破られない美少年。
取り替え花嫁のお話には挿絵の力がどれだけ味方するか、その理想型を見るようです。

ストーリーの展開も、攻めのエルヴァンの設定が秀逸で、ぜひこの二人には、幸せになって欲しいわ。

6

攻めの方が不憫なのか?

「残虐非道な大国に攻め込まれ」「彼の女奴隷にされてしまう」というあらすじで勝手にエルヴァンの悪いイメージを作ってしまってたのですが、読んでみると全く別で逆に超紳士? 国を攻められ両親など殺されたカイも可哀想なのですが、エルヴィンの方が不憫という感じがしてしまいます。全てにおいてイメージ通りでなかったかも。敵国に連れてこられた時も美貌からして兄のお手付きになるかと思いきやすぐにエルヴィンに破瓜する権利をくれたり、その後も兄のものになるでもなく。男だとバレても何の咎めもなく最後まで2人の良いように進んでいった感じ。自分が思ってた以上にサラッと読み終えてしまいました。

1

情景が目にうかぶ美しいはなし

大国のエルヴァン皇子の軍に攻めこまれた、小国の第二王子カイは父王からの「生きて祖国の再興を」との命を守るために、亡き姉のアイラになりすまし女性として敵国につかまり命をつなぎとめることに成功します。

その後、カイは祖国を滅ぼしたエルヴァンの元に女奴隷として使えることになります。
最初は憎い相手だと嫌悪感を頂いていたカイでしたが、他の兄弟と違い紳士的でもあり、孤独な雰囲気のあるエルヴァン皇子に徐々に惹かれていきます。

あまり中東系のお話しを読まないので、どうかなーと思っていたのですが、細やかな描写で美しい宮殿の世界観に引き込まれました。
揺れ動くカイの心理状況もすごく伝わってきて、一気に読んでしまいました。

BL要素は強くないですが、読み物として面白かったです。

3

洋物・貴族・身分差・ファンタジー好きにおすすめ

 あらすじを読み、受のカイが女奴隷にされるということで、いかように手ひどく扱われるのか楽しみにしていましたがいい意味で裏切られました。なんといっても攻のエルヴァンが紳士っぷりがまぶしいのなんの。

 敵国の奴隷だからといって人権を無視するのでなく、きちんと人間として尊重してくれることにカイも読者の自分も戸惑いっぱなしでした。どういう意図なのか?何か裏があるのではないのか?あとでとんでもない仕打ちが待っているのではないのか?……などと考えてしまいました。

 エルヴァン側にもいろいろワケアリなので、その辺りのストーリー性もしっかりと楽しめます。聡明な二人が少しずつ心を許していくさまは読んでいてたいへん微笑ましかったです。

 とはいえ正体が明らかになった以上、二人が幸せになる道は駆け落ちのほかないのでは?と思いましたが上手く落とし込んでくださっているので納得できる締め方だったのではないかと思います。

2

両親と兄の仇に惹かれるまで

小国の第二王子だったカイ(受け)は、母国が大国に攻め滅ぼされる時に父王たちから女性の格好をさせられ逃がされた。しかし敵国の皇子エルヴァンに捕らえられ、女装していたため亡き姉姫アイラとしてエルヴァンの後宮へ入ることに。両親や兄を殺した憎き相手。しかし伽を強要せず、穏やかにカイを気遣うエルヴァンに徐々に惹かれていくカイだったが…。


まず相手は両親と兄を殺した人物で、自分は女だと思われているというハードルの高い状態。ここからどうやってBL展開になるのか、そこにちゃんと説得力があるのかが気になりましたが、全然問題なかったです。それどころか家族を殺した相手なのに惹かれる、という想いの強さに萌えました。
手は出さない、と誓っている攻めが、自分が男とバレてないと思っている受けと初めて結ばれるシーンは圧巻でした。これは誘い受けになるのかな。バレたの? バレてるの? とオロオロパニックになりながら、身体は気持ちよくってメロメロな受けが可愛くてエロくて、きゅんきゅんしました。
葛西リカコさんのイラストもよかった。表紙も挿絵もいいのですが、口絵カラーが個人的には神だと思いました。葛西さんはファンタジックなヒラヒラ衣装を描かせたら絶品ですね。

ただ攻めの置かれた、命に危険のある状況が、ほぼ改善されないまま終わってしまったので、それに対する心配があって神評価とまではいきませんでした。あと受けが男であるということを対外的に知らしめたあと、美貌の受けを堂々と連れ歩いているので、男色の趣味もある第二皇子とかに「俺に受けを供出しろ」とか言われたらどうするんだろう、とも思いました。

4

あーちゃん2016

はるぽんさま、こんばんは。
やっと読みましたーっ
うっとりさんです~いい本紹介していただいてありがとうございました!
エルヴァンたちの未来が保証されないまま終わってしまったのは
ほんと残念です。。。もうちょっとだけ何とかならなかったものか・・・くー。

はるぽん

あーちゃん2016さま。
葛西さんのふりふりひらひらがお好きならハマると思います!
ぜひぜひチェックしてみてくださいねー。

あーちゃん2016

はるぽんさま、こんばんは。
葛西さんはファンタジックなヒラヒラ衣装を描かせたら絶品 というくだりに1票です!これも読んでみますーっああ今読みたい!  

割愛なし

花嫁もの?と思いながらも、女奴隷ものでした
葛西リカコさんの綺麗な画に誘われて手に取りました

奴隷と言われてもどっちみち痛い目にあいながらも
ラブラブハッピーエンドと思いきや、そうにはいきませんでした!

受け様は生き延びるために死んだ姉に化けて
逃げのびようとしますが攻め様に見つかります
愛や恋の場面場面ではなく、国を滅ぼされる怖さや
家族や知人を目の前で殺されて葬られていく悲しさが
むごいほどに書かれていて
これはBLか!??と話の内容にどっぷりとつかってしまいます

攻め様の城に変えても甘い場面はあるものの
命の危険におびえる日々を過ごさなくてはいけないという
受け様が危ないという事もありますが
今回、攻め様も兄からも命を奪われる運命という事で

話の中ではいちようのハッピーエンドですが
今後の2人の運命がきになります、攻め様殺されませんように

1

シリアスな話でありながら、それでいて美しいストーリーでした

あらすじと葛西さんの美しい表紙につられ購入。

サッファビーア帝国に攻められ、陥没寸前のシルカシア王国。
国の敗北を悟ったシルカシア王国の国王は、まだ16歳の息子・カイを助けるため城から脱出させます。サッファビーア帝国の兵士に捕まったらすぐに殺されてしまうと危惧した女王である母親の策により、女として逃げるカイですがあっさり捕まってしまい、カイの亡くなった姉であるアイラとしてサッファビーア帝国の第三皇子であるエルヴァンにサッファビーア帝国まで連れていかれることになるのですが…。

というお話でした。

なんというか、よくある設定というか、既視感のあるお話なのですが、前半の話の作り込みが素晴らしいため、何とも話に引き込まれます。

国王と女王、カイの兄である王子の三人が国とともに戦うことを選択し、そしてまだ子どもであるカイを何とか助けたいという親としての願いがしっかり書かれている。
そして国がおちたあとの、カイの悲しみも。
ここまでで本の半分くらい費やしていますし、戦いの場のため人が殺められたとわかる表記もあります。そのため読み手によってはラブ度が低いと感じる方もいらっしゃるかも。
でも、個人的にはここがきちんと描き込まれているため筋の通ったしっかりとしたストーリーになっていると感じました。

サッファビーア帝国に連れていかれた後、男と気づかれないよういろいろな策略を講じるカイですが、カイが女性であるよう周りを謀っていることに無理がないストーリー展開なのですんなり読めました。

それと、なんといってもエルヴァンがカッコいい…!
王子であるといっても常に次期国王の座をかけて命を狙われたり母親が殺されていたり、彼自身過酷な人生を送ってきたこともあって人にやさしく懐の大きいナイスガイでした。
カイが男であることは早々に気づかれてしまっているのですが、それに対するエルヴァンの対応もよかった。

二人の気持ちが通じるまでが長く、エチシーンも少ないのですが、何ともエロエロしい。ヌックリという擬音とか。喘ぎ声とか、二人の会話の間とか。お互い、相手を欲してることがわかる書き方で非常に萌えました。

内容は水に沈められるとか、下半身がなくなっているとか、ちょっとグロイ表現もあるのですが、カイががっつり国を取り戻そうとするシーンがないため全体としてはゆったりと進んでいくのもよかった。
亡きカイの父親の最後の言葉の通りに、シルカシア王国を再建させる、という終わり方ではない。でもそれがこの話の終わりとしてはぴったりだな、と。

そして特筆すべきは葛西さんの挿絵。
美少女と見まごう美貌を持つカイに、誠実な性格でイケメンのエルヴァン。このストーリーにぴったり合っていて萌え度は確実に上がりました。

13

シリアス9割、エロ度控えめ。

あらすじを読んだ印象とはだいぶ違う、描写が美しい物静かなファンタジー作品でした。
攻めの王子の諦観ぶりが切なく、受けと出会って生きることにまた前向きになれて良かったなと思いました。
ただ、2人の関係性よりそれ以外のお話が多くて、物足りなさを感じました。
エロもかなり後半に来て少しだけという程度。
男だとバレてもアッサリと周りに受け入れられていて、拍子抜けでした。
かわい有美子さんは作者買いしていたのですが、ここのところ穏やかすぎる作品が続いているようで、もう少し激しい激情のようなものが読みたいです。

1

美しい

表紙が素敵過ぎて、葛西リカコ先生のイラストが素敵過ぎて手に取らずにはいられなかったです。

ため息が出るほど美しいと思います。
こんなに美しくて16才だそうで…。

カイがエルヴァンに恋するまではゆっくり進行です。
男だとバレないように頑張ってるけど、プロローグでバレてしまってる。

プロローグはカイがアイラと偽りエルヴァンの後宮にやってきて何日かたったあとの話。
エルヴァンが疑いを持っていてカイを眠らせて、確かめてバレてしまいます。
でも、エルヴァンは咎めたりしません。

カイの国がエルヴァンの手によって落とされ、カイがアイラとしてエルヴァンの妾として捧げられて、過去編からプロローグの後の話に戻ります。

エルヴァンも第三皇子として幽閉のような生活を送っていて、どこか寂しげなところがありました。
冷たい感じもあるけどカイのことを常に心配してくれている。

妾として捧げられたから閨の作法も学ばなきゃいけないんですが、初めてエルヴァンのモノを口にするカイが可愛いのです。
葛西リカコ先生の描く上目使いで頬を染めてるカイが可愛いすぎます。
16才だけどカイの国では17才で成人だそうです。

エルヴァンの口付けだけで、下肢には一切触れてないのにカイは達してます。
(首を撫でたりとかの愛撫はある)

拙くてみっともなくてごめんなさいと謝りながらもエルヴァンに抱かれたいという気持ちを抑えられないカイが可愛いです。
体の熱を持て余してる初恋したての少年みたいで良いです。

ちょっと物足りない感じもあったかな。
エルヴァンとカイというキャラ二人は好きなんだけど、男だとバレたら即処刑されると言われてるわりには酷いことにならないし(だから、カイは女装して逃げた。けど、捕まった)…エルヴァンとカイが話し合ってカイを男と発表するのに一波乱くらいあっても良かったと思いました。

芝居の為、エルヴァンがこいつは男だと叫んで髪を引っ張って引き摺りカイを乱暴には扱うけど…皇帝やら権力を持った暗殺者やらからは、ほとんどお咎めなしでした。

残虐非道って言われてるわりにはそうでもなかったです。
王位継承争いとかで妾の妊娠した女を袋に詰めて川に落とすということがあるみたいだけど…女のほうが酷い扱いうけてるなと。

葛西リカコ先生のイラストは文句なしに美しい。

3

遠い日の夢のような味わい

魅力的な世界観、麗しく好みの主人公たち、
うっとりするような挿絵、と三拍子揃っていて
読みやすくてとても面白かったんだけれど、全体にはさらりと淡く、
どこかベールの向こうのような、遠い日のおとぎ話のような味わい。
それが魅力な反面、個人的には若干物足りなさも……。

大オスマントルコ帝国と思しき大国に攻め込まれた東の小国。
まだ成人前の第二王子カイは、生き延びて祖国の再興を……と
両親の意向で、亡き姉姫に扮して城を出される。
逃げる途中敵の手に落ち、帝国の第三皇子エルヴァンの奴隷として
「世界の半分がある」と言われる栄華を誇る都に連れてこられる。

男であることを隠したまま、夜な夜な物語をすることで
閨での時間を過ごすこととなり……


筆者もあとがきで触れているが、
架空の国名や地名と、実際の国名や地名、風物が両方使われ
オスマントルコやイスタンブールをモデルにした舞台のイメージが
最初から鮮やかに目に浮かぶ。
(『ワタクシ的アラブ』とおっしゃっておいでだが、
トルコはアラブではない……とは思いますが。)

「黄金の鳥かご」「大砲」などの記述からみて、時代は16〜17世紀?
エルヴァンの容姿や身の上から、彼の抱える鬱屈は見当がつく。

二人にとっては幸いながら、なぜカイは兄達から下げ渡されたのか?
カイが男だと明らかになってからの経緯も、
ちょっとご都合主義かな?と思わなくもない。
なんとなく明るい雰囲気のハッピーエンドになっているのだが
よく考えるとこの二人の将来の希望は、儚い。
そこにリアリティを求めても仕方ないし、
だからこそ静かな夢のような物語になっているとも言えるのだが。

理性的で優しい美丈夫であるエルヴァンの甘いセリフも
目の覚めるような美貌の少年・カイの凜とした健気さも
どちらもうっとりとするが、
個人的にはもう一癖、もう一波乱欲しかったところか。

12

美しく静寂な物語

挿絵とあらすじに惹かれ購入。
これが大正解でした。
かわいさんのファンタジーは時々痛いので苦手なこともあるのですが、読んで良かったと思わされる美しいお話でした。
そして、葛西リカコさんのイラストがこの作品の空気感にとてもマッチしています。
特に美しいのは口絵なのですが、葛西さんの熱量の感じない水の中いるような絵柄に合わせて書かれたかのような、二人の美しく薄幸な王子たちの静かな物語でした。

**********************
受けはサッファビーア帝国に攻め落とされたシルカシア王国の第二王子、カイ・スーラ。
国の再建を託され、金髪碧眼で女性のごとき麗しい容姿によって亡くなった姉姫に扮しサッファビーアの皇子の宮殿で暮らす10代の少年。

攻めのエルヴァンは、サッファビーア帝国第三皇子で24歳。
母は今は亡き国の娘であり皇子という地位にあるものの驕らず思慮深く、そしてつねに皇帝直属の暗殺部隊に監視されるため用心深くもあります。
**********************

カイを女奴隷として兄より下げ渡されたエルヴァン自身、父王や兄たちから命を狙われ疎まれた存在。
金の鳥籠(王位継承権のある皇子を幽閉する場所)と呼ばれる宮殿の最奥に暮らし、己の地位や暮らしに安息などないと自覚しています。
カイ自身も国の再建を託されたものの、父王らの本心はただ彼が生き抜いてくれれば良いという親心であるので、国を再興しなければ!というガツガツ感は皆無ですし、エルヴァンはエルヴァンで兄が皇帝になった暁には己も己の身の周りの者たちも屠られることを知っているので、どこか二人共がこの世のものではない雰囲気を醸し出し、儚い夢の中にいるようなとにかく静かな作品となっています。
身代わり物は多々あれど、ここまで熱量が低い作品は珍しいのでは。
かわいさんの書かれる淡々とした文章がひじょうにあっていて、じわじわと体の中から毒に侵されるような気持ちになりました。

年の差(年上攻め)や男前の優しい攻めが好きな方には、特にお勧めしたい作品です。
カイのはっきりとした当時の年齢は多分読み逃しでなければ明記されていないのですが、一つ上の姉に扮しその姉が16ということから、それと同様かその下くらいの年齢が察せられます。(先の方には17歳になるシーンがあるので)
彼は成人前であったことも一因で攻められた城から逃がされたのでそのくらいの設定でないと説得力がかけますが、今のご時世的に年齢をはっきり書くのは難しかったのかなと想像します。
ただ年若い受けでありながらカイは一国の王子だった矜持を失わず、共に囚われた侍女たちを守る為には身を投げ出すことを厭いません。
とめられない恋心に翻弄される辺りは初心で可愛らしく懸命ですが、己のために命乞いをするようなことがない潔い少年でした。
そして、ただただ愛する者のために生きたい生き抜きたい。
そして初めて知った恋心を許して欲しいと、束の間でも愛されたいと泣く健気な子でもありました。

あとがきには『ワタクシ的アラブ』とあります。
確かに普通のBLアラブとは違いますね。
時代はかなり過去でしょうし創作に近い部分が多そうなので、アラブちっくな背景のファンタジーと言えるのではないかと思います。
これはドラマCD化されたら萌え死んでしまいそうな何気ない即死レベルのエルヴァンの台詞が多く、カイが胸を震わせたようにこちらも乙女のように赤面させられます。
ラスト自体は別にエルヴァンが兄や皇帝と戦って真の意味でカイを手に入れたとか、そういうスペクタクルなものはありません。
ある意味ラストまでもたゆたう小舟のようです。
ただそれでも、不自由な未来のない世界しか知らなかったエルヴァンと、国を民を家族を亡くしたカイには、幸福で愛に溢れた小舟なのだろうと思います。

22

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