• 紙書籍【PR】

表題作銀の不死鳥

松宮真士、他複数
廻音(カイネ)

あらすじ

滅びゆく世界、襲いくる絶望と恐怖。
それでも、巡りあう“奇跡"を手にするまで諦めない――

ラブ&サバイバルの極限BL
WEB連載で熱烈なファンを生み出した問題作がついに書籍化!!
ドラマティックで濃密で衝撃のラブストーリー!

作品情報

作品名
銀の不死鳥
著者
綺月陣 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
桜雲社
発売日
ISBN
9784908290176
4.2

(20)

(14)

萌々

(3)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
6
得点
82
評価数
20
平均
4.2 / 5
神率
70%

レビュー投稿数6

都合悪い人がいるから「問題作」なんじゃないの?

ウェブ連載で話題になった作品の再刊。
綺月陣さんは、最近ギャグコメが多いけれど、
昔の作品は社会性濃くて「背徳のマリア」も、この作品も強く何かを訴えてます。
グロいキモイと言ったって、生きるって綺麗ごとばかりじゃない。
人知れず生まれて消える存在の哀切を取り上げる執筆姿勢は、尊いです。
デザインベビーなどの実験で、生まれて潰される存在を連想しました。
名前すらない、物以下の扱いを受ける命が存在するのは事実です。

▶人体の冷凍保存研究機関『フェニックス』で、試験管ベビーで生まれた廻音。
恋人・研修医の真士に真実を告げず、冷凍保存の実験体となる義務を履行する。
核戦争で絶滅寸前の人類が、生き残りを賭けた計画。
そのために生まれた廻音のよすがは、恋人の言葉「氷が溶けたら、春になる」。
実験用のハツカネズミと同じ、試験管ベビーは物扱い。
廻音には感情があるのに。

▶背徳のマリアと同じSF系BL。
陵辱・暴力・カニバリズムの描写有り、と書いたら、読む人が減る? 
医学と科学のタブーを題材に、それで幸せになれるのか?と問いかけてます。
だから、問題作、といわれるんじゃないのかな?
人が踏み込んじゃいけないタブー、生命にかかわる「神の領域」に、今世の科学は踏み込んでいますよね。

★著者ブログを読んで、続編は期待しないほうがいいと思った。でも、続編を出してほしい。今、本作時代設定の21世紀になったから。
https://bit.ly/3vsDHWU
「シリアスハードなBL?小説は、もう需要がないし、プロットが受理されない。」
「似たような話なんて、二度と書けない。 一生に一度の作品です。」

4

「問題作」に相応しい1冊

「銀の不死鳥」 綺月陣先生 読了

あまりオススメできないのですが、こういう救いのない作品は大の好物でございます。衝撃すぎて感想が出てこないですが、もう、神!としか言えないです。オススメしてくださったフォロワーさん、本当にありがとうございました。こんな作品探してました!(涙)

展開の読めない作品が大好きだし、何よりBLのハッピーエンドという「お約束」が保証されてないのもすごくお気に入りでした。

元々WEB発だったし、問題作として電子しか出されていない時期もあったので、どんな結末が迎えるのだろうと、ヒヤヒヤしながら読み終えた。

作品全体的に絶望感が溢れているのに、最後だけ少し希望が見えてきたという展開に戸惑ったけど、あとがき読んで納得しました(汗)。

それでも紙で出していただいた桜雲社さまに感謝しております。こういう作品を出版するのって、やっぱりなかなか勇気いりますね…。本当に、ありがとうございました。

作品に関係ない話ですが、
こういうSF風のBL作品はいくつかも読んだことありますが、結末はどうであれ完璧なハッピーエンドはやはりないと思う。

「500年の営み」だったり、「WELL」だったり、「パラスティック〜」だったり、「ショートケーキ〜」だったり、ずっと一緒にいることはできたとしても、それが幸せというにも限らないし、未来に何があるかも保証されない。

人間は限られた人生の中で生きているこそ、愛する人と過ごした時間が大切であると思っています。
昔から人類は廻る命を望むけれど、医療技術が進んでる今こそそれが本当に意味あるのかを、もう一回考えるべきではないでしょうか。

いろいろ考えさせられる一冊でした。綺月先生作品の初読みがこの作品でよかったです。これからも他の作品探して読んでみたいと思います。

6

序盤からの落差がすごい(ネタバレ)

「胸糞悪いBLが読みたい」という質問に対しておすすめしていただいた小説です。

とにかく主人公の廻音(受)がひたすら健気ですね。前半攻めの真士も照れ隠しはありながらも廻音のことが大切なのだと見ていて恥ずかしくなるほどに伝わってきます。
序盤はひたすらに廻音と真士の愛し合うさまが描かれているのですが、これが生きてくるのが他の方も書かれている廻音がコールドスリープにより眠りにつき、目覚めたあとです。
甘くいじらしい日常から一気に世紀末の荒廃した世界に変わります。
真士に再び会うためにどんなに辱められても生きる廻音。序盤でしっかりと廻音の真士への愛情が示されているため、廻音の葛藤に説得感があります。

NTR、カニバ、3Pと胸糞ものエロの押さえるところはきっちり押さえている印象です。
個人的には真士の前でリョウキに凌辱される展開が欲しいなぁと思いました。

最後の脳みその入っていない空っぽの頭蓋の真士を引きずって雪原を歩く廻音のイメージが大好きです。
HP公開版は救いのある部分がなかったとのことなのでそちらも読んでみたいと思いました。

【追記】
見返したら開頭手術のくだり、すごい興奮しました…
愛する人間の脳みそが手の中に(!)あって自分のせいで壊してしまうというある種の人間にはクリーンヒットしそうな描写です…評価を萌→萌2にさせてもらいます

3

衝撃的、でも引き込まれる

初めて綺月陣先生の作品を読みました。

最初は、「不死」というテーマを軸にした、 廻音と真士甘くせつないお話だと思って読み進めました。
愛する真士に被験者としての運命を告げることなく未来への眠りにつく廻音がせつなくて胸が締め付けられました。

しかし、廻音が眠りについてから35年後の未来は、想像を超える世界でBLではなくSF小説を読んでいるかのような展開でした。
先の展開気になって、気づいたら一気に読み終えていました。

とにかく壮大で重いお話しでしたが、そこには真士を愛し続ける廻音の一途で純粋な思いがあり救われた気がします。
二人の氷が解けた後に春が訪れてくれたことを願います。

4

近未来的な?

これから近い将来に起こっても当たり前のような…。 人間の希望や欲、醜さや愚かさいろいろと考えさせられてしまう。実験の為に眠りにつき、目覚めた時の喜びから絶望。凄く胸が痛いです。すぐに2人の甘い時間がとは思っていませんでしたが、こんな展開が待っているとは…。生きている人間も地球上に6人のみでそれもあとわずかな時間。いったいなんのための実験だったのか。そのわずかな時間に起こる出来事読むと本当に救いのないお話なのかと思ってましたが、最後の数ページで…。真士と廻音が再び眠りにつくシーンのすぐ後なので余計にやられちゃいました。

4

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP