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表題作愛しのニコール

一色榮,隣県から転校してきた同級生
久美浜二胡,オネエキャラを演じる高校生

その他の収録作品

  • 泣かないでニコール
  • 人生は薔薇色、ではない
  • あとがき

あらすじ

14 歳の夏、ニコはゲイゆえに田舎町で 「病気」扱いされ、自殺を決意した。けれどその夜、遠い街から遊びにきていた少年・榮の屈託のない態度に救われ、苛め回避のためオネエキャラ 「ニコール」を演じはじめる。数年後、榮は転校生としてニコの前に再び現れた。イロモノに成り果てたニコにも榮はまっすぐで優しかったが、淡い初恋を詰め込んだ告白は本気にされず、それどころかゲイの先輩として恋愛相談を受ける始末で――。

作品情報

作品名
愛しのニコール
著者
凪良ゆう 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778119737
4.2

(245)

(129)

萌々

(67)

(32)

中立

(8)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
39
得点
1017
評価数
245
平均
4.2 / 5
神率
52.7%

レビュー投稿数39

ぬるく見守りつつ、どうも釈然としない

自身のセクシャリティに悩んでオネエキャラを演じて自衛していた学生時代。
そして卒業後、上京して就職し、夢にまで見た二丁目デビューも果たした二コール。
仕事は忙しくて、ミスもするし怒られるし不満だらけだけど、投げ出さずに続けている。
初恋の彼とは思いを伝えられないまま親友を続けていて、彼には一緒に住んでいる恋人がいる。
学生時代が「泣かないで二コール」、上京後が「人生は薔薇色、ではない」、その続編、視点変えの「愛しの二コール」という3本の連作短編集です。


二コールは素直で真面目で、はっきり言いたいことを言えない性格なので「がんばれ」と思うし、どちらかというと目線は彼を応援する二丁目のマスターとか常連客と同じで、若い一生懸命な子をぬるく見守る感じで読みました。
だから二コールの恋も、当初は応援していたのですが、どうも上手く寄り添えなかったのは、初恋王子である榮の心変わりのせいかもしれないです。
このお話、なんとなくファンタジーだけど、心理描写はリアルなんです。凪良先生ですから、とても描写が丁寧です。
だから、榮が別の子を好きになって、その子と両思いになって一緒に暮らしていることも、まあそうだよな、と思えるのですが、その後、その恋が冷めて別れて二コールに猛アタックしても、どうもぴんと来ない。良かったね、と思えない。
最終話の「愛しの二コール」が榮視点なのに、榮の気持ちに寄り添えず、むしろ素直に榮の気持ちを受け入れられない二コールに共感したりして、どうも釈然としないまま本が終わった感じでした。
榮は悪い子じゃないんですけど、なんだろうな。
二丁目のバーに二コールが榮を連れて行った時に、マスターや常連客が榮を取り囲んだシーンがとても楽しかったです。やはり私は彼らと同じ気持ちなんだな、と改めて思った次第です。

0

ニコが健気で切なかった

あらすじを読んで、オネエキャラを演じるゲイの高校生のお話で切なくなったり萌えられたりするのかなぁって少し心配はありましたが、全くの杞憂でした。

前半はめっちゃ切なくて、後半にいくほど愛しい気持ちになれました。
ニコの片思いが長いので焦れますし、ニコが可哀想になって涙も出ちゃったりしますが、榮が彼氏と別れてからは軽い攻めザマァな展開もあり、ニコの長年の片思いが成就した時には胸熱でした。

初Hの攻防戦も面白かったですし、その後の濡れ場も幸せ感MAXで満足でした。

田舎でのマイノリティとしての生きづらさを描いた描写はかなり切ないですね。
お年寄りにとって固定概念を覆すってことは相当難しい事だと思いますし、保守的な世界のなかで自分だけが良ければ良いっていう問題でもないのでやはりゲイだったりすると都会に出ていくしかないのかなぁ、と。

0

健気で一途

作家買いです。
凪良ゆう先生の文章は本当にすっきりとしていて読みやすいなあと思いました。
平易な表現を使ってくださるのに繊細な感情の機微が伝わり、心に響きます。

田舎の情景、温かさ、悪気のない異質なものへの残酷な排他的言動、…ああ本当に辛い。

榮に救われたニコ、負けない気持ちをもらったニコ、どうしても優しすぎるニコ、いろんなニコが健気で一途で本当に愛おしい。

お互いの感情のピークがすれ違ってしまうという展開にうちのめされました。
凪良先生。。。泣

なんとか幸せになってほしい!
そんな願いからか一気に読み切りました。
優しく爽やかな読後感でとても満たされました。

0

愛しいニコの幸せを願う(≧▽≦)

『不朽の名作』に載っているのを見て再読です。
やはりいいものはいいですね(•‿•)


受け様のニコと、攻め様の栄。
中学生の時に初めて出会い、高校生の時に再会し、親友として過ごし。
そんな2人がやっとのこと恋人になるまで。
何度読んでもいいなぁ、としみじみしちゃってます。
ホント、普通の人たちが恋をして失恋して、また恋をして。
ドキドキしたり、地団駄踏む思いをしたり、ニコールの恋の行方をめっちや見守りました。

ニコ視点の前半は、切ないにつきました。
ゲイということでイジメにあい、傷ついて自分を偽って過ごすニコ。
大好きな栄にはカレシができて、隣で惚気けられ。
それでも、一生懸命で健気で頑張るニコを応援しつつ、栄め〜いいやつなんだけど、どこに目つけてんだ、とハラハラジレジレ(ᗒᗩᗕ)
ホント、行きつけのバーの常連さんと一緒の思いで見守りました。

後半の栄視点は、またらなく萌があふれる(*ノ・ω・)ノ♫
今まで気付かなかった分、いっぱい焦って焦るがいいさ、とにやにやが止まりませんでした。
それにしても、“賞味期限切れ”とはよく言ったもので、わかりやすく素晴らしい喩えに拍手です。
それに、チョココロネのニコ!
やだれそれ、どんだけかわいいのかしら。
初エッチ時の、ニコと栄の攻防がかわいくておかしくて、にまにましっぱなしです。


イラストはyoco先生。
どのイラストも愛しさ満載でした(◍•ᴗ•◍)

1

こんなに辛いものをみんな読んだのか…

凪良さんは「美しい彼」3冊と「流浪の月」を読んでいます。表紙が美しくずっと気になっていた今作。電子で購入して初めて、表紙の彼が泣いていることに気付きました。

凪良さんの作品の中でも人気が高い作品ですが、読んでみると「こんなに辛いものをみんな読んだのか…」と思うほど辛くて辛くて。
相手が思うよりも何百倍も大事にして、会う前には服を整え、色んなことを考えて、でも思ったように現実は転ばない。最悪なことが重なる。
片思いには珍しくない事柄であっても、作家が描くものは表現が卓越している分、時に自分の身に起きたことよりも脳に刺さるのだなと実感しました。

自分を救ってくれた一言や好きな人の物をずっと大事にもっているニコ、大事にされず本当に辛いニコ。
彼が報われるまでが長くて、でも報われて良かった。もっともっと報われてほしい。

5

親友への痛切ない片想い

↑を読みたいって言って、オススメしていただいた作品です。
結果、すっご〜く良かった〜!! 中盤までほんと辛い。でも、両思いエンドだって聞いてるから、甘痛さにギュンギュンしながら読みました。榮!知らんとはいえこの酷い奴め!と罵りながら、そしてニコ〜辛いよね偉いよすごいよがんばれ!と感情移入しながら。
そしてこの作品のすごいところは、後半は片想いのベクトルが逆転するところです。ニコの榮への気持ちが賞味期限切れになってしまったって言うのが天才的な表現だと思いますが、それが納得できるくらいニコは頑張り切った。
そんなニコに、今までニコ目線で王子だった榮が一喜一憂しながら必死に頑張る様は、良い気味っていうと意地悪だけど痛快で。
その等身大の無様なくらい一生懸命な榮の姿が可愛くて、そろそろ許す!っていう気持ちになると同時に、ニコの空っぽになった気持ちが今度は切なさじゃなくて幸せで満たされていくのが分かり、ニコが榮に陥落する瞬間はどちらの気持ちにもなって歓喜に震えました。
贅沢を言えば、初エッチはニコ目線に戻って欲しかったかな。 でも本当に素晴らしい作品です。
BLで主流のスパダリ感や攻めの一途さがないと許せない人には合わないと思います。
榮より素敵な人はいっぱいいるでしょう。けれど、ニコが2回も惚れることができるのは、やっぱり榮だけなんだろうと思います。
榮や後半に対して評価が分かれてますが、私はこうだからこそ、凪良先生にしか書けない神作品だと思います。

5

田舎で暮らす普通の男の子たちの物語 

2016年作、あとがきの作者曰く「ごくありふれた普通の男の子たちのお話」。
・・マイノリティの気苦労についての、ありふれた話ってことなのかな?

取り巻く状況設定は、マイノリティが生きにくい状況の田舎。これが「普通の男の子たちのありふれた話」なら、田舎の普通って辛いんだな。
田舎風景のモデルは、映画の「リトルフォレスト」なのだそう。

前半のニコの人生は、思う様にいかない・・読んでいて、段々と辛くなってしまう。
後半は立場が逆転。賞味期限切れの恋のやり直しを一途に栄がニコに願い出る。

---
ほぼ自給自足が当たり前の田舎で、爺と婆の元で養育されているゲイの男子、ニコ。
美人の母は、幼いころに男と蒸発。
ずんぐり体形の父は、単身赴任で年数回しか戻れない。
一緒に暮らす爺婆は、ニコを責めないけれど、ゲイは治療が必要な病気だと思っている。
ニコは、中学でゲイを自覚、苛められて自殺をしようとするが、栄に止められる。
高校生活は、オネエの「ニコール」を演じて、風評や苛めから身を守る。
栄が転校してくる。栄にとってニコは初恋の人魚姫。栄は、ニコールにゲンナリ。
栄はニコにエンドとの恋愛相談をする。ニコは告白できず、栄とエンドの交際を祝福することになる。
ニコは就職しても、思う様にならない。
---
辛い辛い・・・ニコ。
人生は、妥協した者の勝ちなのかなー。人生に負けそうなマイノリティを励ます物語と、思ったら、諦めを促すような展開。
でも後半は、立場が逆転する。

---
エンドが巻き込まれた事件から栄を守るために奔走するニコ。
精一杯尽くしきったら、事件の解決と同時にニコの気持ちから栄への執着も落ちてしまう。
エンドと別れた栄は、ニコへ気持ちをシフトするけど、ニコは燃え尽きて無関心。
立場が逆転して、ニコに賞味期限切れだけど付き合ってほしいと頼み込む。
栄は就職、ニコは転職して、同居することに。二人にとって安心できる足場が出来たところで、完結。
---
・・・感想、人生は耐える力が強い人が勝利するんだなぁ。栄はどうでもいいから、ニコが幸せを掴めますように。

情交場面は1か所だけ。他はキス程度でほぼ無いです。
ニコと栄のすれ違う心理描写が主。

1

幸せになってね

ニコが可愛くて健気で一生懸命。
バーのマスターたちが口を揃えて言う、その通りだと思う。

そして、栄はイイ男です。
ニコの生きる支えになってくれて、辛い時にいつも助けてくれて。
恋による下心とかじゃなくて、これを友人としてやっていたところが本当にすごいと思う。
だから、2人が結ばれたことは素直に嬉しいです。

でも、私が一番心に響いたのは、真人にしても中学生2人組にしても、ニコが性に悩む子どもたちの拠り所になっていたところ。
皆が、勇気ある〝ニコール〟を頼っているところに一番グッときました。
栄によって救われたニコの命だけど、ニコはもっと多くの人を救ってると思う。

恋愛要素だけでなく、そういったところまで描写が至るところが素晴らしいです。
いつもながらに感動しました。

1

健気受け万歳!!

美しい彼を読んでから凪良ゆう先生にはまってしまい、「薔薇色じゃない」に続いて先生の御本を読むのは3作品目です。

本音はゲイキャラの皮の下に隠して...受けのニコールちゃんがとっても健気でした。

初恋だからこそ大切にしてしまう、攻めが好きな人がまさか男で、でも自分ではない...

田舎って閉鎖的だから、しょうがないところはありますが、大好きな人の側で他の男を思う姿を見るなんて辛い以外の何物でもないですよね。

最終的にはくっつくので、それまでの過程を楽しむのもいいかと。

また、想像していた東京での暮らしではないものの、毎日お仕事を頑張り私生活ではバーのマスターや常連さんたちにいじられながらも可愛がられている姿がリアリティありました。

1

NoTitle

本屋大賞で有名な先生、読むのは2作目。
結論からいうとあまり合わない作家さんかなと思いました。
なんか男女観が古い、20年前かなという雰囲気でそのまま男同士に置き換えるのも違和感。

あと当て馬の性格が半端無く悪くて、犯罪まがいの事に手を出してるのも苦手でした。
紆余曲折ありつつ無事カップルになるのですが割れ鍋に綴じ蓋という印象。
ただ文章は明晰でわかりやすいしキャラクターも魅力的なので悪くはないと思います。

1

辛くて切なくて、でもほんのり甘いお話

最近になってBL小説を読みだしました。
 こんなにも一つ一つの言葉が想像を膨らませるものなのかと改めて小説の良さを感じています。
 そしてこの作家さんの作品は2冊目ですが言葉のチョイスが心地よく染み入り切ない展開でもどこか客観的に主人公を見つめることができ、感情移入し過ぎてしまう自分にとってはありがたいです。
 
 この作品の前半は閉鎖的な田舎町でゲイばれしてしまったニコの厳しい状況下で榮と出会い、心の支えとなったわけですが、必然的に榮は恋愛の対象になってしまい、想いを伝えようとすると妨げる出来事が起き、諦めようとすると惹きつけられるような出来事が起き、、の繰り返し。もう辛さと切なさのMaxです。それでもニコは思いやりがあって優しくて健気、、だけど強い。辛くてもちゃんと自分の居場所を探して行動を起こし生きている。
 
 榮はちょっと鈍感なのかもしれないけど大らかで真っすぐな性格だからこそニコは好きになったんだしエンドに夢中になっている榮を責める気持ちにはなれませんでした。恋は盲目、タイミングが悪かったとしか言いようがないような。。
 
 むしろエンド、もしかしたらこの子目線で物語を追ったら一番辛いのかなと思いました。
 
 後半は榮目線でのその後の展開、やっぱり榮は素直で真っすぐで優しい。賞味期限切れであろうとニコに対して真摯に向き合う姿にほのぼのとした気分になりました。そして慎重にニコを気遣いながら距離を縮めやっと気持ちが通じ合った時は何とも言えない安堵の気持ちが湧いてきました。自然と二人の明るい未来を想像してしまいます。

 読了後はなんともいえない満足感、良い作品に出合えてよかった。

ああ、、ただニコの初体験はちゃんと下準備して欲しかったかも。だって無意識にニコの体の心配しちゃったもん(笑

3

賞味期限切れの恋の行方

間違いなく神作品。本当に素晴らしい作品でした。
小さな田舎の町で暮らしゲイである事がバレていじめられているニコは絶望して夜のプールで自殺をしようとする。そこで偶然会った同い年の榮。
ゲイである自分を気持ち悪いという事もなくただただ普通に受け入れてくれた。むしろ少し面白がっているくらいだ。今まで異質だと排除されてきたニコにとって榮との出会いがどれだけの希望だったのか計り知れない。こんなの絶対好きになってしまう。
だけどもちろん一夜限りでもう会う事はない。それでも榮からもらった言葉を胸に、何を言われてもオネエキャラで会話をし、学校内で自分の居場所を作り上げていく。そして高校生になってから榮と再会し……。

主人公であるニコが本当に健気で愛しいです。作家買いですが、凪良先生の作品の中で1、2を争うほど心に刺さる作品でした。

よく知らない誰か、世間という目がつくった「常識」「普通」の目。異端を弾く狭い世界。そこで必死に生きる姿。自分にとっては運命のような出会いでも相手にとっては違う苦しさ。ふざけて告げた好きの言葉と繰り返される冗談まじりの拒絶。日に日にすり減っていく心。いつしか賞味期限切れになってしまった恋の行方は……。

長い年月をかけて恋を育み、その恋が細々と痩せ細っていく。幸せって一体なんなんだろう。様々な事を考えさせられるし、とにかくニコが健気で幸せになって!!!!!と思っていました。
後半の榮もとても可愛くて好きです。
オネエキャラがそこまで得意では無いので、買うか凄く悩んでいたのですが買って本当に良かったです。そのキャラを演じる理由が明確にあり、本来の性質はそこにありません。あくまでもニコにとっての手段でした。
ニコールを演じていたニコが卒業式の後に髪をくくっていたリボンを後輩に渡すシーンがかっこよすぎて大好きです。あと個人的に処女萌えなので初エッチもとっっっっってもよかったです。

ニコがとにかく可愛い。大事にしないと榮許しません!でも物凄く大事にするんだろうなと思わせてくれるお話でした。二人が幸せで本当によかった。大好きです。

3

現実にありそうなお話

小さな町でゲイバレをしてしまったニコは、14才の夏に学校のプールで自殺をしようとする。その時に出会った榮により生き抜くことを決意。
高校生になり、ゲイであることから自分を守るため、お姉キャラのニコールを演じながら生活していたニコ。そんなニコの前に榮が転校してきた。
ニコにとって初恋の榮だが、榮は別に好きな男がいた。。。

何て切なくてツラい青春なんだろう。
ニコが頑張れば頑張るほど、なぜか良くない方向に向かい、中盤まで読んでいて苦しくなりました。
ニコが我慢して田舎町で生活し、やっと就職で東京に出ても、夢見ていたものとは違うことばかり。榮も全くニコの気持ちに気付かず、せめてもの救いはゲイバーで出会った人達。この人達がいたから、私は読み続けられました。
中盤からは、急展開で立場が逆転した榮とニコに少し戸惑いました。榮目線を読むと、心の移り変わりが分かるのでいいのですが、ニコからしたら、ホントに信じられないはず。だから、色々と試すのですが。
クスリの勘違いも、ゲイビ出演の勘違いも2人を繋ぐ出来事として良かったです。
ただ、ちゃんと幸せな2人も描かれているのですが、私は前半のニコの辛さが心に残ってしまい、晴れやかな気分での読後になりませんでした。

3

ニコールはもっと幸せになって欲しかった。

凪良さんの話ではスタンダードな想いつづけたらかなう恋。
初恋がかなう。それがハッピーエンド的な話。

想いの強さでどうにかなるもんでもなし、ニコールはもっと別に良い男がいたんじゃないか。
榮がニコールが自分を好きなんじゃないかって気づいてから「好き」と意識するのがどうも納得いかない。

長年そばにいてもそういう好きになれないっていう方がリアルな気がする。
それにこんな風にエンドへの気持ちが無くなったからって、
すぐに好きと言われても相手の気持ちを信じることはすぐにはできないのが
普通ではないかと。

せっかく距離とってたのにエンドが浮気してるの知って連絡とったりなんてするから。
告げ口もせずに本当に健気でいい子だよ。
もっと素敵な男に想いを寄せられるぐらいのエピソードを与えてやってよ。
その方が幸せなこともあるはず。
初恋がかなうよりもずっと幸せな人生はある。

榮がエンドの時はもっと一生懸命だったのにとか思っちゃったりしないの?
(恋愛相談にまで乗ってやってたからどんだけのぼせてたか解ってるだろうし)
なんだかすぐにはスッキリとはしないのが普通じゃないの?

よくある当て馬とか三角関係とかで誰かに取られそうになって急に
「どうしよう。好き」とかって信用できない。

努力して好きになってもらうもんでもないし、相手の好きに応えてやる的な好きもなんだか純粋な好きではないと感じてしまう。
そういう好きをもらっても、それって幸せなの?

なのでなんだかこんな簡単に榮がニコールに好き好きいうのが嘘くさい。
それに俺の事好きなんでしょ?的なスタンスで付き合えると思ってるところがもうダメだわ。

畑の中の過去のニコールにごめんって?馬鹿じゃねーの?っていうね。
エピソードに時々読んでてポカーンってなるような感覚。
確かにさ、相手に自分の気持ちを伝え続けることは大切だとは思うけど、
なんつーか。ありえねーーーってなっちゃった。

ニコールがとても純粋な好きに対して榮のはなんか短絡的かつ打算的な好きな感じがする。まずは相手の気持ちありき。
まぁ、最後には長年一緒にいて幸せっぽいからいいけど。

凪良さんの三角関係はちょっと合わないみたいだわ。
男の趣味も合わないのかも。
モテる設定の男がことごとく私にはモテない(しらねーよってか?笑) 
魅力感じないわ、モテそうなイメージがない。
友達的キープってパターン本当にリアルでもそれする奴は最低だし最悪。
そういうの純愛でもなんでもないから。

モヤモヤした読後感でした。
本当はしゅみじゃない寄りの中立ってとこです。

7

ニコール……(涙)

あらすじは皆さま書いていらっしゃるので、とりとめもなく思ったことをツラツラと。

前半はとにかくニコールことニコが不憫で不憫で……。
そして田舎に対して抱きがちな悪い面がモロ描かれているので、うわぁ……と思ってしまいそこも読むのが辛かった。
私は田舎で暮らした事がないので、こういう異端や他所者を徹底的に排除するというのは本当なのか、かなり誇張しているだけなのか気になりました。
実際はどうなんだろうって。

一番印象に残ったシーンは、卒業式でニコがニコールと決別するところで、胸にズシンときました。

そして読む前に各レビューを拝見したのだけど、榮の評判が結構悪いので、どんだけ酷い男なんだろう?まさかエンドとヨリを戻しちゃったり??とハラハラしながら読んだのですが、予想より全然まともで、時折男前でなかなかイイ男だった。
ニコが惚れる理由もわかる。
確かに鈍感だけど脇に目もくれる余裕もないほどエンドにご執心だったので、仕方ないと言えば仕方ないかなと思いました。

しかしエンドと別れて、ニコへの想いに気づいてアタックをするようになってからの榮の姿を読み進めるにつれて、私のテンションはどんどん下がっていきました。
あまりにもニコが健気でいい子だからニコへの思い入れが強くなりすぎちゃって、ゲイバーの常連客じゃないけど、ついつい保護者視点で榮を品定めしちゃう自分がいまして……。

ニコに夢中になっている様子を読んでも、榮ってエンドの時もこうだったんだろうなぁ……っていうのがどうしても頭をチラついてしまう。

ニコに「めっちゃ好きだ。どうしていいかわかんない。」とか「どうしよう。めっちゃ幸せで死にそう。」とか言ってるけど、絶対コイツ、エンドにもこう言ってたんだろうなぁと思ってしまうんです。

エンドって榮にとって、遠距離の末にようやく実った初恋で、そして童貞を卒業した相手で、大好きだった相手じゃないですか。
だから過去の男扱いにするには存在感がありすぎて、かつてはかなりのご執心だった事もよーく知ってるので、下手すると全く同じ台詞吐いててもおかしくないと思ってしまうんです。

ようやく身体を重ねたときも、初めてでガチガチのニコに対して、ニコの反応を伺いながら解せる手慣れた様子に、あぁ…エンドともう数え切れないほど、それこそ猿のようにやりまくったんだろうなぁ…だからこんな手慣れた様子なんだなぁ…こうやってエンドの事も抱いてたんだろうなぁ……と思ってしまう自分がいる。

今までBL読んでて、攻めが童貞じゃないと嫌だとか、手慣れた様子だから嫌だと思ったことは一度もないんです。
たったの一度も。
そんな事気にしたこともなかった。
なのに、何故か榮に対してはそう感じてしまう自分がいて、自分でも驚きました。

いいなと思ったのは、ニコがニコールを演じたことによって、閉鎖的な村の中での性的マイノリティに悩む青年達の道しるべのような存在にいつしかなっていた事でした。
ニコールを演じた事はニコにとっては辛く苦しい日々だったけれど、決して無駄ではなかったと思わせる描き方が良かったです。

10

凪良さんに心ほぐされました。

久し振りに凪良ゆうさんの作品を読みました。
後書きに「普通の男の子のお話」ってあったけど、
それが私は好きみたい。
面白かったです。
凪良ゆうさんの作品って、あったかくて切なくて、
その人が持ってるありったけのもので好きな人を守るってのが
読んでて心がほぐれていく感じ。
ただ日頃、日々の現実にさらされてると、
心が荒むのか(いや、荒むんだな〜)
それがお伽話感いっぱいに感じて、
読んでて楽しいんだけど、心から楽しめない。
ロボットとか(いや、面白かったんですよ)
死んでなかったとか(これも面白かったんですよ)
楽しく読んだくせに読み終わると
「ファンタジーだわー」ってのが残る。
なんかそれが嫌で。
なので今回のは「普通の男の子」のお話だったので、
ニコの心配をしながら、
榮いい奴やなぁ〜と思いながら
ニコの行きつけのお店のお客さんの1人のような気分で楽しく読みました。
いいなぁ〜、ずっとこのまま幸せに歳を重ねていって欲しいなぁ〜と荒んだ心がほぐれました。
最後のエピソード、いいですね。
「普通の男の子」のお話だけど、普通じゃない。
だけど普通で別になんら変わらない。
世界にひとつだけの花を共感しながら歌っても
他人と比べる自分がいて、他人を自分達と比べる自分もいて。
人間ってややこしいな。
でもそれがあるからパートナーがいるんだよな。
なんかそんな事を思いました。
直行も頑張るんだぞ!

3

よかったね、ニコ

表紙の男の子(ニコ)が、女子みたいに髪飾りをして悲しそうに泣いていて…。ものすごく可哀そうに見えて、なかなか手が出せなかったのですが、読んでよかったです!
ニコの切ない描写が多いですが、ニコも含めた登場人物たちへの作者の眼差しは優しく、読後は温かい気持ちで満たされます。自分も周りの人たちに優しく接したくなる、そんな作品です。

田舎の家庭菜園の野菜、味が濃くて美味しいんですよね。私も田舎育ちなのでよくわかります。
でも、田舎は人が少ない分、良くも悪くも人間関係が濃くて、誰がどうしたとか何年もうわさされたりして…(あくまで私の経験上ですが)。ニコはよく耐えたなあと。オネエキャラで武装したって、辛いものは辛い。
さらに片思いの榮から恋の相談をされるという二重の苦しみ。
「ニコじゃ駄目なんだ」のセリフに私の心もズキリと痛みました…。気づかないというのは、残酷なものですね。

ニコ、榮、エンドが東京に出てきて2年目くらい、エンドがらみの事件がきっかけで三人の関係が大きく変化します。
榮の気持ちがニコへ傾いていく中、すがるエンドの振る舞いの中に榮が自分の身勝手さを重ねて見る描写がうまいなあ、と。「人は自分のことは見えない」、本当にその通りだと思いました。自分の気持ちが第一で、人の痛みには鈍感で。
榮は若いのに、こんな大事なことに気付けるのだから、やっぱりいい奴じゃないかな(笑)。ニコがあまりに思いやりがあるから見劣りしてしまうけれど。

三人とも、たかが二十歳前後の若者だから、思いきれなかったり失敗したりして後から悩んだり気づいたりするのは仕方ない気がします。
エンドだって、少し心が弱かっただけ。ニコへの嫉妬心から、手にしていた幸せを自分でつぶしてしまって。
若いって、未熟で不器用で初々しくていいなあって思いました。

長い長いニコの片思いが報われて、本当によかった。
榮がニコに好きだと告げてからニコが応えるまでのやり取りを、「やっといい感じになってきた!」とドキドキしながら読みました。それまでは片思い中のニコがあまりに可哀そうだったので、本当に二人はくっつくのか心配でした。

二人が初めて結ばれるシーンもとてもよかったのですが、それよりも私が好きなシーンは、物語の最後の最後、郷里で悩める中学生のゲイカップルにニコと榮がエールを送るところ。
自分は中学生の頃自殺を考えるほど辛かったけど、そのおかげで好きな人に出会えて、今はすごく楽しいのだと。
辛かった経験は、同じ辛さを抱える誰かを励ますことができたとき、初めて報われるんじゃないだろうか。
「がんばれ。がんばれ」とニコが心の中でつぶやく励ましに、とてもあたたかい気持ちになりました。
よかったね、ニコ。

6

初恋は思い出のままで…

 大好きな凪良先生の作品の中では珍しく、もう一度読み返したいと思える話ではなかったので、申し訳ないけど萌え1つです。
 何よりも、最期まで攻めの榮を好きになれなかった。前半で、丁寧に大切に、ニコの初恋とそこから卒業するまでが書かれていただけに、後半の榮の変わりぶりが薄っぺらく思えてしまいました。鈍感だし無神経だし、彼氏いるのにニコ似のAV買うとことか、エンドに対しても不誠実だし、二丁目バーの常連客じゃないですが、ニコに榮はもったいないと思ってしまいました。
 切なくて優しい凪良先生の文章は健在なので、読めて良かったとは思っています。

6

不可解に見えてしまった。

あとがきで「普通に揺れ動く2人の恋」とありましが、
受けにも攻めにも、良い面もあればいたらない面もあるという意味で「人間らしさ」も書かれていたように思います。

ただ私はそこに共感することができす、片恋の切なさを味わうこともできませんでした。
というより根本的に合わなかった気がします。
なので、若さ故のいたらなさや暴走が不可解な行動に見えたし、
相手に遠慮する所と自分の気持ちを押し通す所がかけ違っているように見えて正直イライラしてしまいました。
相手の気持ちを勝手に推し量って暴走したり、疲れてる相手を見ず自分の気持ちだけで突っ走ったり、突然音信不通になったり…ムカついたりしないのかな。

もう一つ個人的に思うことは、ニコ(受け)が6年もの片想いを自分で終わりにすることができた点です。
ニコが吹っ切れた時点で私の中で完全に完了形になってしまいました。
なぜなら、今まで何度も諦めようと思って諦められなかった恋だからです。
それを吹っ切れたというのだから、それはもう本当に終わったんだろうなと思いました。
なので”賞味期限が切れた恋”をもう一度試そうとしているニコが心底凄いと思ったし、攻めが頑張るほど逆にシラけてしまいました。
この2人がくっ付く以外ないんだろうとは思いましたが、
恋愛関係を構築していく2人についていけなくて読むのがきつかったです。

ただ、彼らが人間的に嫌いというわけではなく2人ともとても優しく誠実だし素晴らしい青年です。

何だか、「こういうカップルがいるんだけどどう思う?」っていろんな人といろんな恋愛観を語りたい気分になりました。
そういった意味ではとても堪能できたし、メインカプの誠実性もあって中立になりました。

10

ニコが愛しい

受けのニコは、優しくて一途ですごく好感の持てる攻め。幸せになってくれることを願いながら、ページをめくる手が止まらなかった。

話はすごく面白いんだけど…ただ私は、攻めの榮があんまり好きじゃないです。
ニコのことを庇ってあげたりするやさしさにはグッとくるんだけど、読んでてどんどんイライラしてきた。長年想い続けたエンドと付き合いながらも、ニコ似の男優が出てるAVを持ってるとか、どうなの…。

でもニコは愛しい、ほんと!
どうか幸せになってね、って思った。ラストシーンはすごくジーンときます☆

2

恋は賞味期限切れでも食べられる、、、かもしれない

メインカップル攻めの顔がなかなか出てきませんでした。
カバーはニコールだけだし、表紙を開いた扉絵は口元は辛うじて見えてあとは水に映ったぼんやりした顔だし挿絵も小さい。
むしろ当て馬役のエンドの方がはっきりしてるくらい。
そんなせいかニコの王子さまはどんな方なの?と想像しつつ、でも鈍感な榮が憎たらしきてぶちのめしたくなったし、あざといエンドをぶん殴りたくなったら、ステキな王子様がイメージできずにやけたイケメンの顔しか浮かんできませんでした。

二丁目バーの常連客が言っていた嫌なことがあったときに救われる魔法の呪文がステキ!
それで解決しないけれど、クスっとわらって気持ちが浮かんできそうな気がする。
他にもオニイサン、オネエサンたちの実感こもったありがたいお話勉強になりました。
”男は狩人、癒してくれるカモーンなお母さん”とか…

榮ホントに鈍感過ぎ。
自分の感情もわからないしニコの哀しみの欠片も気づかないんですから。
でもようやく榮が自覚したときにやっと榮の顔が大きな挿絵で見ることができ、もやもやしていた榮の感情がはっきりしたと同時にと榮の顔が見えたっていうのはそういうことなのかなあと勝手に思えてしまいました。
けど、自覚した途端にニコが可愛く見えてくるとか今更かよと憎らしい気持ちになった。
だから榮が受け入れられる気満々でニコに告白したとき予想と違う答えが返えされて、意地悪くもザマーミロという気持ちになりました。
だって能天気な榮も少しくらい悩め苦しめって思いますもん。

最終章では、榮のイメージは『にやけた顔だけはいい鈍感オトコ』から『やたらと吠えて走りまわる駄犬』になりました。

7

ネタバレ注意

後書きにもあったように榮は普通の男の子で
ニコだって片思いする普通の男の子で、。
榮がニコのことを好きになって、でもニコはもう榮のことを好きでなくなっててっていうのが切なかったです。私はニコ推しで読んでたので、後半は榮目線になって、少し物足りなかったかなぁ。
ニコの気持ちの動きが分からないのにパッパッとくっついちゃったように感じました。
けど、、前半はほんとに神でした。
高校でニコールを演じるニコがなんだか哀しくて、。
だけど本心を隠してキャラを演じてるっていうのがわたしのタイプど真ん中なので美味しかったです。
キャラだと知っててニコールもニコも受け入れてくれる榮も友人としてはすごくいい人だった。

高校卒業のときにニコールからニコに戻るところが1番素敵でした!


高校卒業と共にニコも榮も上京するんだけど、上京あるあると田舎あるあるを喋ってるシーンがあって、上京した私もわかる〜って共感しました(笑)

8

ニコールの田舎暮らし


あらすじに惹かれて購入しました。
田舎のまちでニコールを演じているニコがすごく可愛かったです。胸が痛くて、これを求めてた~~~って思いながら読んでいたのですが、

後半はごく普通の恋愛モノという感じで
ちょっと物足りなかったです

ただ作者さんがあとがきで普通の恋愛とおっしゃっていたので、なるほど書きたいことは書いているのだな、という感じです

個人的にはもっと痛く苦しい田舎暮らしが続いて欲しかった(それを望んで購入したので)評価低めですが、
そこまで重くない方がいい人にはオススメです

2

さすがです!

ニコの高校卒業までが書かれた「泣かないで二コール」が、もう読んでいて辛くて辛くて・・・数日を置いてから再度読み始めました。
自分の恋心は相手に冗談扱いされ、さらに恋愛相談までされるなんて・・・ニコの中学高校時代が本当に悲しくて切ないです。
冗談と受け取った榮もあの雰囲気じゃ仕方ないですよね。冗談にしなきゃハブられてたと思うし、ニコたちがあの場所で生きていくのは、やっぱり無理なんでしょう。
でも、ニコールを演じるニコは悲しく見えたし、自分らしく生きていくためにどうすれば良かったのかとか考えても答えは出ないし、もう読んでいて心が痛かったです。
とにかく切ない。
さすが凪良さん!!切なさ表現が秀逸でした。

ニコが上京してからの「人生は薔薇色、ではない」、榮視点の「愛しの二コール」は比べてさくさく読めました・・・が、読みながら、ニコは榮と上手くいくんだろうな・・・と思って少し残念な気持ちになってしまいました。
ニコの感情や思考、生活感なんかがすごくリアルだったので、初恋相手の榮と恋人になる、というのが逆に現実感が無くて違和感を覚えてしまいました。
日々の生活に追われて会えないうちに、気付けば過去の恋になって、馴染みの店で癒されるうちに新しい恋の予感・・・という展開でも良かったのでは?と思ったり・・・でも、物語としてはニコが初恋を実らせる、という方がピュアでハッピーですね。
ニコが榮と幸せになれて、これで良かったんだとは思えるんですけど、少しだけモヤッとしてしまいました。

この物語はニコや榮だけじゃなく、エンドや二丁目のバーの人々、それから田舎でニコを差別した人たちも含めた全ての登場人物が普通の人です。
そして語られるのも、普通の日常に限りなく近いです。
ある意味ありきたりな、そんな普通の人の普通の恋物語をここまで綺麗に纏め上げて読ませるのは、さすが凪良さんだと改めて思いました。

5

凪良さんの作品にハズレなし!

yocoさんのイラストすっごく合ってた!

泣けてしょうがないお話も好きだけど、読むと幸せな気持ちになるこういうお話もいいですなー。

鈍感すぎる榮にいらいらしながら、いいことなんかなんもないニコの幸せを願うあまり、もうマスターにしとけ!とまで思ったけど、榮視点になってからは俄然榮を応援したくなってしまった。

人口が少なそうな街なのに、ゲイの男の子が5人はいたけど、20人に1人はLGBTと聞くもんね。閉鎖的で偏見に満ちた小さな町だとなおさら生きにくいだろうな。
ニコがニコールというキャラを演じたことで、3人の男の子が勇気をもらえたという救いがあったのもよかった。

7

榮の鈍感…

恋する子たちの気持ちはどれも「あるある」。片想いしてた相手に好きな子ができて付き合い始めた。告白さえできず自分の気持ちはしまって友達付き合い(でもまだ好き)。恋愛相談してる相手を好きになる。自分の恋人が友達(恋人に気がある、あったのを知ってる)と会ってるのを咎める。恋してると自分の事しか見えてこない。と、あげだしたらきりがないけど、みんなそれぞれ恋愛してるんだよね。エンドのことも最初は嫌なキャラだと思ったけども、榮の事が好きだから自分をちゃんと見て欲しかったんだよね。榮の鈍感さがニコールの気持ちに気付けず、エンドの思いも解らず、ん?私の中では榮が一番腹の立つキャラに変わってきたぞ(笑)二丁目バーの客じゃないけど、この先ニコールを泣かせたら許さないからね! あと最後に出てきた田舎の子たちも頑張ってその恋を貫いてほしい。

3

初恋が報われる時

長い長い初恋を実らせるお話。
人間、生きてさえいれば、いつか報われる時が来る。かも。

広い空、おいしい空気の下、じいちゃんばあちゃんが丹精した自家製野菜やみそ汁で、例え祖父母の認識がゲイは病気だとしても、それを責められることもなく、無条件に愛されて育ったニコ。
中学生の時、死んでしまおうとした夜に一度であっただけの榮の言葉と、家族の愛を支えに、オネエキャラのニコールの鎧で身を守り、何とか高校性生活を乗り切って、心機一転、東京での生活を始めるのですが、、、。

ニコは健気でかわいいけど、榮の鈍感さにちょっと減点。
それも、これも、若さ故?
決定的な悪者も登場しないし、酷いことも起こらない。
初恋のジタバタをじっくり楽しめて、オススメです。

4

賞味期限ぎりぎりの恋

中学時代にゲイであることがバレ、いじめにあったニコ。
閉鎖的な田舎で自分の居場所を見失い自殺をしようとしたニコでしたが、通りかかった榮に助けられ恋をします。

そんなニコの前に転校生として再び現れた榮は、なんと別の男の子に恋をしていました。「好き」と伝えてもオネエキャラが邪魔して冗談としか受け取ってくれない榮、彼にとってニコは良き友達であり恋の相談相手でした。
本当は恋の相談になんて乗りたくないのに自分の思いを抑えて榮に接するニコが切なかったです。

上京後も片思いを続けるニコの気持ちに全く気づかずエンドとの関係をノロケる榮が鈍感すぎてモヤモヤします。
そんなエンドとの関係がギクシャクして、ようやくニコへの思いに気づいた榮でしたが、ニコの心は空っぽ寸前。
榮のことはまだ好きだけど、以前ほど好きじゃないというニコの気持ちががリアルで切なくて胸が締め付けられました。

最後は一途で純粋なニコの片思いが実を結んでくれて本当によかったです!!

4

愛しすぎます

オネエキャラというのがあまり…と思いつつ読みはじめたら、さすが凪良さん!何度も涙ぐみながらしっかり作品にはまってました。

4

ニコが愛しいよ!ほんとに!

表紙を一目見た瞬間、引き寄せられました。 田舎の壮大な自然の中に儚げに笑いながら立つ少年...頭にはリボン、制鞄にも可愛いキーホルダー。そしてよく見ると涙を溜めている... 迷わず購入しました。凪良ゆう先生の作品は何冊か読みましたが、『美しい人』と並ぶくらい好きな表紙です。yoco先生、ありがとうございます。
表紙だけ見ると、オネエ系の少年のお話に見えなくも無いですが、違います。田舎の生真面目で可愛いニコという青年の長い片思いのお話でした。ニコは、田舎でいじめられないようにオネエキャラを演じていただけで、実際にそういう話し方をしているシーンは殆どありません。
彼が中学の時から片思いしている相手は、エンドという恋人のいる榮。ニコといい、榮といい、今時の名前っぽくて現代感が溢れ出ていました。笑 ニコは榮のことが好きで、ずっと恋していて、でもそんな片鱗も見せず榮と友達として付き合います。高校時代のニコは、本当に救いがなくて可哀想で、涙が出そうでした。榮も鈍感すぎますが、友達想いでいい奴なので憎めませんでした。
高校を卒業して、上京した後もニコは榮に片思いし続けます。渡せなかったプレゼントと、思い出のTシャツを部屋に飾るニコが不憫でした。涙
そんなニコは、ある事件をきっかけにその想いに区切りをつけようと決心します。好きな人、好きな物でも、ある瞬間から好きな気持ちが薄くなり、今も好きだけど前ほど好きじゃなくなる。そんな気持ち、すごく理解できます。そしてそんな段階まで来てしまったニコの片思いに悲しくなりました。
そしてついに榮はニコのことを好きな自分の気持ちに気づきます。タイミングが悪い奴ですね...そこからは逆転劇で、榮の片思いが始まります。ここからは、榮の視点になるので、ニコの可愛らしい姿や素振りの表現が増えます。笑
そんな二人が同じベッドで寝るシーンは萌えました。榮はニコにキスしたい欲求と戦いますが、必死で堪えます。ニコが何年も想ってくれていた気持ちを蔑ろにして、ケダモノになってしまうところだった、と反省する榮にニコを大切にしてるという想いが伝わってきました。
そんなこんなで至れり尽くせりの榮に、ついにニコが彼の想いを受け入れます。長かった片思い!やっと成就した時には涙が出ました。そしてその後の初エッチ。ヴァージンのニコに興奮してしまいました。笑 それまでの切ない雰囲気から一転、コミカルに逃げたような濡れ場でした。それも彼ららしくていいんじゃないかと思います。笑

9

オネエキャラは前半まで

発売前にあらすじを読んで、「オネエキャラ!?どんな話だ?」と興味を引かれて楽しみにしていました。
設定が設定なのでコメディかシリアスかどちらに転ぶかなと思っていたら、早々にシリアス展開に突入。
ゲイであることでいじめられ、学校に居場所を確保するためにオネエキャラを偽っていることだけでもきついのに、片思いしている榮(攻)には惚気話を聞かされ…と気の毒でしょうがなかったです。

攻も実はゲイで、別の人に恋しているという設定は『散る散る、満ちる』と被っていますが、今回は榮と当て馬・エンドが付き合うところまでいっちゃっている上に6年越しの片思いなのでより重傷かな。

榮の魅力が今ひとつというレビューも少なからずありますが、ニコを守るために大人やクラスの大勢を相手に戦うのはなかなか出来ることではないし、逆に恋愛に関して鈍いところが人間くさくていいなと感じました。

スマートな大人のやり取りや気の利いたセリフは出てきませんが、メールの返信を待つドキドキ感や好きな人に振り向いて欲しくて焦る感覚など、等身大の駆け引きが表現されているのも良かったです。

後半、スニーカーを捨てた故郷の思い出の草むらの中で2人が抱き合うシーン。
"草の隙間から、高校生のニコが今の自分たちを見ていたらいいのにと思った。" という一文が切ないです。
実現することのない願いですが、ラストで榮とニコが中学生の直行に「楽しいこともあったし、楽しくないこともあった」けれども、「今はめっちゃ楽しい」と伝えた時に、別の形で願いは叶ったんだと思いました。
辛いことを経験してきたニコだからこそ直行への言葉は説得力がありますし、今のニコたちを見て救われる人間がいるのはニコにとっての救いにも繋がっている気がしたからです。
なにはともあれ、ハッピーエンドで良かった。

11

報われない長く苦しい恋の結末

「救われない片想いは、こんなにも苦しい」ということが、
存分に描かれた作品でした。
主人公である受けを見ているのが、辛く、悲しく、
でも、一縷の望みをかけて前を読み進めて……。
しかし、読み進めても読み進めても、
どんどん苦しさは深みにはまるばかりでした。
報われない長く苦しい恋。
表紙の受けの表情は、まさしく苦しさの叫びだと思いました。

◆◆◆

≪CP≫
明るく一直線な学生・榮 × 片想いを続ける少年~青年・ニコ

田舎で閉鎖的な環境の中、ゲイだということが周囲にバレて
自殺を決意した中学生のニコ。
それを救ってくれたのが榮でした。
そこから始まったニコの榮への恋。
ニコは「ニコール」とあだ名を自分でつけ、ゲイであることを隠さず、
榮に言われたように前向きに生きようとします。
しかし、榮にはすでに想い人がいて、
悲しそうに、時には嬉しそうに、その恋の相談をします。
ニコは高校卒業時に、榮へ玉砕覚悟で告白をするつもりでしたが
それすらもできず、消化不良のまま、東京に住居を移します。
既にエンドという恋人がいる榮を諦めることができないニコは…?


中盤までの流れは、とにかく「苦しい」「悲しい」の連続です。
これでもか、これでもか、と言うほど、追い詰められ、
ニコの恋は救われず、ただ涙と慟哭に姿を変えるばかり。
読んでいるこちらも同調して、苦しくてたまりませんでした。
どうにかして、ニコを救いたい。 救われて欲しい。
どうか、この苦しい片想いが報われて欲しい。
しかし、長く長く、この恋が実ることはありません。
ただ、ニコの悲しい恋心に終止符が打たれることを
祈ってやみませんでした。

この物語は最初、ニコ視点で話が進みますが、
転機となる「愛しのニコール」という章で、榮視点と変わります。
高校卒業後、東京でゲイ仲間を求め、2丁目へと頻繁に足を運ぶニコ。
そこで気の置けない友と出会い、ニコの心は幾分安らいでいきます。
しかし、大学生となった榮もまた恋人・エンドと同棲をしながら
東京に住んでいました。
東京に移り住んでからも、友情を更に深めていったニコと榮。
ニコは苦しさを堪え、榮の前で笑顔を作りつづけます。
そして、榮はエンドの浮気がもとで上手くいかなくなり、決定打として
浮気相手がクスリの売人だということで別れることになります。

そんなとき、榮の心を救ってくれたのは、いつでもニコでした。
どんなつらいときも、相談に乗ってくれたにニコ。
最後は、自分の人生を棒に振ってまで榮を救おうとしてくれたニコ。
ニコは、自分の事が好きなのかもしれないと、榮は思い始めます。
そしてその予想は当たり、
ニコは榮の事がずっと好きだったことを告白します。

でも、ここのシーンはいささか拍子抜け。
あれだけ、中学・高校・成人になってから……ずっと隠し続け、
苦しんだ恋を、こんなにもあっさり指摘されたからと言って、
認めていいのか。
あれだけ、なにがあっても隠し続けてきたのに。
サラリと流すように榮への恋心を認めたニコに
かなり呆気にとられました。
こんなにあっさりと、恋心を告白して欲しくなかったなあ……。
前半・中盤と、あれだけ同調してニコと一緒に苦しみ続けた
私としては。

しかし、榮がニコへの恋を自覚し、それをニコに告白するも、
あまりにも長い間、榮へ苦しい恋をしていたために、
心が疲弊してしまったニコ。
すぐに榮の想いを受け入れません。
すでに「賞味期限切れの恋」だと悟った榮は哀しみます。
しかし!
それも当然だ!と思うのは、私だけでしょうか。
こんなにもニコを苦ませ続けた張本人である榮。
榮に罪はないです。
しかし、エンドと別れたばかりの榮に、またすぐ調子よく
ニコに乗り換えてほしくなかったし、
その恋も実って欲しくなかったです。
それ故、ニコがすぐに榮の想いを受け入れなかったのは、
「ザマア!」と思ってしまったのです。
ちょっと意地悪かな……?(汗)
でも、榮ばかり次から次…と恋が実り、いい思いをするのは、
やっぱり気に食わなかったのです。


ラスト、ついにニコは榮の想いを受け入れ、
自分も好きだということを能動的に榮へ伝えます。
そして、ニコにとって初めてのエッチへ…。
「部屋を暗くして」「いや、明るくしたい」との攻防戦は、
エッチの最中でも面白く読めました。


その後、4年後の2人が描かれていたのは良かったと思います。
榮の一時的な思い込みかも……と、危惧していた私としては、
幸せに過ごし続けているニコを見てみたかったのです。
そして、榮が本当に一途にニコを好きだったのかも
見届けたかったというのも理由にありました。

◆◆◆

6年間と言う長い間、苦しい片想いに悲しみ続けたニコ。
幸せになったという事実は、本当に嬉しく、
恋を見守り続けた私としては、万歳!の状態でした。

可愛いニコ。
一途で健気なニコ。
長い物語の中では、色々な表情のニコが見てとれます。

どうか、今からもニコが皆に愛される、「愛しの」存在であることを
願ってやみません。

13

ニコール

結果だけ見ればよかった・・・良かったんだけども。
なんだろうな、この攻に乗り切れなかったといいますか
むしろニコ視点で最後まで読んでいたならば
間違ないく「神」評価だったんだがな・・といいますか。

ド田舎での村、閉鎖的な環境下ではセクシャルマイノリティーなんてものはなく・・・ゲイだと知られてしまえば針の筵。
こんなの耐えられない。ばあちゃんの漬物石を抱いて学校のプールへ
入水自殺未遂ww
首に巻いて沈むんかと思えば足に巻くのかよ。
全然大丈夫そう・・・と思ったのは私だけだろうか。
そんなさなかに現れたのが榮。
彼の言葉に救われて、彼のおかげで今の自分を作ることができた
感謝、尊敬、それから愛に変わるのに時間はかからない。
思いがけず再会した高校。
まさか好きなこの相談が同性かよ( ゚Д゚)と叫びつつ。
健気で一途でひたすらなニコがとても可愛い。
見守り追いかけるほどに切なく。
心を砕かれても、押しつぶされてもやっぱり諦めきれなくて
何度も捨てようと思った気持ちをやっぱり拾ってしまうニコが
とにかく愛おしい。
ゆえに、ゲイバーで愛されちゃってる姿が癒でした。

後半戦。攻視点にシフトしてしまったのが
冒頭の通り少々残念。
ニコ視点での榮がわりとイイ感じに映っていただけに・・というのが
大きいかもしれない。
なんだろうなーいい意味でも悪い意味でも普通の"男”というか
紳士的ではないといいますか、、二次元的ではないといいますか。
あんまり好きになれなかったのが残念。

自分がエンドにぶつけた言葉がそのままニコからぶつけられ
ニコが好きだと自覚して、さぁこれから!となってからの展開は
少々アイタタな部分ありつつ。
ちょっとザマァな部分ありつつ。
とはいえ、ホントは・・性根はいい子なのだと信じて
ニコが幸せならそれでいいのです。
ニコのハジメテは一回きりなんだぞ!
見せてくれたっていいだろ!私もそう思いました。
そこだけはナイス☆榮!
こうして思いかえせば「神」でもいいのかなと思ってみたり。
かわいいニコ。いとしいニコ。笑ってニコール

6

ニコが可愛すぎる

作家買いです。凪良さんの新刊ということで楽しみに待っていました。内容はすでに皆さま書いてくださっているので感想を。

さすが凪良さんというべきかストーリー展開がお上手で、そして「ニコ」に心を鷲掴みにされ、初っ端から一気に感情がピークまで持っていかれました。

いじめを苦に、自殺まで考えたまだ中学生だったニコ。
そんな彼が、精神的に榮に助けられ、そして『ニコール』という鎧を身にまとい切り抜けた学生時代。
榮だけを一途に思い続けたニコ。
ゲイであるというだけで差別され、心無いことを言われ続けたニコ。
可哀想で、健気で。でも、実は誰よりも優しく懐の広いニコが非常に男らしくカッコよかった。

高校を卒業するときに『ニコール』の鎧を脱ぎ捨てた彼だけれど、でも、ゲイバーでは『ニコール』の愛称を使っている。
自分を守るための鎧だったけれど、その『ニコール』をも愛し、自分の一部として認めているということなのかな、と思うのと同時に、そんなニコがなんだかとても素敵でした。

ニコはもちろん可愛いのだけれど、彼を取り巻く周囲の人たちもとても良かった。
彼を愛し、すべてを受け止めてくれている家族。
そして、ニコが、ゲイであることを引け目なく過ごせる2丁目のゲイバーのマスターや常連さんたち。
切ない片想いと、そしてゲイであることの葛藤を抱えるニコを優しく包んでくれる彼らの存在のおかげで、悲しいだけではなく心温まるストーリーになっていたのが凪良さんらしいと思いました。

一方の攻めの榮もとても好きです。
確かにニコに対してニブチンなところはあれど、ニコに心無いセリフを浴びせる周囲の人に対してびしっと言えるところとか、恋人に対して誠実なところとか、とても好感が持てました。

そして榮の恋人のエンドも。
榮から愛されすぎて自分の『幸せ』を見失ったり。
榮の、ニコへの想いを敏感に感じ取って嫉妬したり。
どうしてもニコサイドから彼を見てしまうのでいやな奴と思ってしまいがちだけれど、とても人間臭いキャラで、ある意味一番共感できたような気がします。

そして、終盤の『After four yeaes』がとても良かった。
本当にいろいろあってやっと結ばれた二人のその後のお話。
4年たった今でも、幸せな二人を見ることができて、こちらまで幸せな気持ちになれました。
『4年後』っていうのがまた何ともリアルでいい。
1年後でも、10年後、でもなく4年後。長いようで、短い時間。
これからもずっと二人幸せでいられますようにと願ってやみません。

個人的に、ゲイバーのマスターと、イケメンのオネエ口調のリーマンさんが気になって気になって…。どちらも男らしくてとってもカッコよかった。
彼らのスピンオフ作品を描いてほしいなと思ったりしました。

凪良さんはとても好きな作家さまですが、この作品は中でもとても好き。とにもかくにも、文句なく神評価です。



14

苦くて甘い

大好きな凪良さんの最新刊ということで、楽しみにしてました!

こちらのレビューを読んだ後、本を読んだので大まかな内容は把握していたもののやっぱり切なかったです。
ニコが片思いの苦しみや、田舎暮らしならではの周囲の目、様々な苦難を笑いながら過ごした少年時代を思うと、こっちまで辛い。
榮のことなんか、さっさと諦めてしまえば楽になれたのに。上京した後も忘れられず、田舎から持ち出して来てしまったスニーカーとTシャツと恋する気持ち。一生懸命で健気なニコは、私から見ても愛しくて仕方なかったです。
一方の榮は、良くも悪くもフツーの人でした。ただ恋愛の対象が同性ってだけで。ヒーローではあるけど、ニコの想いに気付かず、意図せずしてニコを傷つけ続けてた彼が恋人と別れた後すぐ告白するのに、少し違和感が。
榮を好きだった十代の頃は、楽しいことよりも圧倒的に辛いことの方が多かったはずなのに、ニコはよそ見する事なく、貞操も守り続けてきたわけで。榮はエンドのときといい、ニコのときといい、拍子抜けするくらいアッサリものにしちゃってるし。

でも、ニコが幸せになれたならそれが一番ですね。

ちなみに私は、『たけのこの里』派ですが『大人のきのこ(の山)』は美味しかったです。お菓子の話です。

10

切なかったです

一部と二部は、とても素晴らしかった。
ただ三部だけは、個人的に少し物足りない感じがした。
片思いの切なさ、失恋、マイナスの感情、痛み、さまざまな想いがつまっている小説だと思いました。

1

泣かないで、泣かないでニコール

久々に小説を読んで泣いてしまいました。
私、こういう片想い物に本当に弱くて。。
ニコがとにかく可愛く、切なく、健気で、それでいて強い。
ニコが泣く度に一緒に泣いてる私、チョロ過ぎる…(笑)


とにかく言わせて欲しい!

榮の鈍感野郎!!!

閉鎖的な田舎町でゲイであることでいじめられ、自殺を決意したニコ。
そんなニコの自殺を踏み止まらせたのも、いじめ回避の秘策『ニコール』を生み出すキッカケを作ったのも榮だし、裏がなく本当に榮はイイ男なんですけど、本当に鈍感!!
ニコの気持ちに全く気付かず、挙句の果てに自分の恋愛相談までしちゃうなんて、勘弁してやってよ榮くん!
しかも相手は男。
話を聞いてる感じだと、その男の方も榮に気がある様子。

自分の気持ちを押し殺して健気に榮の恋愛相談に乗るニコの気持ちを考えると、本当に切なくて切なくてたまりませんでした。
笑いの絶えない毎日を過ごしながらも、孤独に仮面を被り続けるニコ。
そんな健気で頑張り屋さんのニコだから、高校の卒業式で偽り仮面を脱ぎ捨てたシーンは爽快そのもの!
他の方も書かれていますが、このシーンはかなり印象に残りました。

高校卒業後、東京に出て来てからも片想い継続中のニコ。
相手がいる人への片想いは本当に辛い。。
ある事件をキッカケに、ニコは長かった榮への片想いに区切りをつけようと決心するんですが、そのタイミングで今度は榮がニコへの気持ちに気付いてしまうんです。
本当にタイミングの悪い男!
逆に一旦気持ちに区切りをつけたニコは、榮のことを簡単には受け入れません。
ここからは立場が逆転!
なかなか気持ちを受け入れてくれないニコにあたふたする榮がちょっと面白い(笑)
最終的にはだいぶ暴走しちゃいますからね☆
なりふり構わず暴走してしまうところは、ニコも同じだったりするんですけどね(笑)

とにかく、榮の鈍感っぷりにやきもきしながらも、長かった片想いが成就するのはやっぱり嬉しい♪
初体験のニコが初々しく可愛過ぎたので、お姉さん大満足です☆


同性が相手であっても、恋する気持ちは同じ。
好きな人と結ばれるのってある意味奇跡なんだなぁって思います。
そんな喜びや切なさをたっぷり味わうことができました♪

12

マイノリティ男子の普通の恋愛

ゲイ男子二人の高校時代から成人するまでを描いた青春ラブストーリー。

高校生編、大学生編…と複数部構成になっている点は『初恋の嵐』と似ていますが、本作は受け→攻めの片想いモノで、攻めが他の相手(男)と数年付き合っているため、より切ない展開となっています。

田舎の村で暮らす二胡(ニコ・受け)は、ゲイの高校生。
いじめを回避するため、学校では「ニコール」というオネエキャラを演じています。

そんなニコの初恋の相手は、中学2年のとき出会った隣県の同級生・榮(攻め)。
中学時代ホモをネタにいじめられ自殺しようとしていたニコは、榮に会い励まされたことで自殺を思い止まる。
そして、マイノリティに厳しい田舎で生き抜くため「ニコール」という偽りの自分を演じ始めたのでした。

そして高校2年次、転校してきた榮と運命の再会を果たすものの、彼は前の学校の同級生(男)に恋心を抱いており…。
友人として、ゲイの先輩として彼を励ますニコの健気さに胸が締め付けられる展開です。
やがて榮はその同級生と付き合い始め、告白する機会もなく高校卒業の日を迎えるニコ。
東京に就職を決めた彼が「ニコール」の仮面を剥ぎ取り、素顔で後輩たちに別れを告げるシーンが切なくも爽快です。


続く東京編では、夢を抱いて上京したニコのその後が描かれます。
ブランドショップの内装を請け負う会社で、雑用係として激務をこなす日々。
2丁目で行きつけのバーを見つけゲイ仲間はできたものの、初恋の王子様(榮)は相変わらず同級生の男と付き合っていて…

そんなある日、その同級生の男がドラッグの受け渡しに関わっている場面を目撃してしまいます。
彼の浮気と犯罪行為を榮に知らせるべきか悩むニコ。
やがて警察が榮を訪ねてきて、シリアスな展開になるのか…と思わせてのオチが絶妙です。

この事件でようやくニコの気持ちと、自身のニコへの想いに気づく榮。
しかし時はすでに遅く?
色々あって燃え尽きたニコは、すぐには榮の気持ちに応えることができず、今度は榮がニコを追いかけるという逆転劇に。
シリアスからラブコメ展開への転換が見事で、後半の二人のやり取りと初Hシーンにはひたすらニヤニヤし通しでした。


社会的にはマイノリティでも、中身はそのへんの若者と何も変わらない。そんな等身大男子の等身大の恋と成長を構成の緩急でテンポよく魅せる、大変上手くまとまった青春物語。
複数部構成や、切なさを演出する小道具(ニコの職場での境遇や、田舎の祖父母ネタ)に若干の既視感はあるものの、笑いあり涙ありで読後は大変爽やかな気持ちに包まれる一冊です。

15

ニコ(表紙のリボンをつけた少年)がとても愛おしい。

何もない田舎で、ゲイ故に苛められていた中学生のニコ。
死のうと思った夏の夜、出会った榮に心を救われ
以来ずっと彼を思い続ける。
高校2年で再会し二人は親友になるが、榮には想い人がおり……

高校卒業までの『泣かないでニコール』、
東京に出てからの日々、『人生は薔薇色、ではない』
そして最後は榮目線の『愛しのニコール』の
三部構成になっている。

  *     *     *     *

閉鎖的で偏見の強い田舎で生き延びる為に、
泣きたい思いを笑いで隠し、髪にリボンをつけて
ニコールというオネエキャラを演じ、笑いを取って暮らすニコ。
二人の恋愛の行方よりも、高校の卒業式の日彼が
髪の赤いリボンを外して後輩の女の子に「やるよ」と渡し、
「俺より、きみの方が似合うよ」と
ありのままの自分に戻るシーンが好きだった。

その後東京での彼ら。
大学生になり恋人もいる榮、
仕事に疲弊しながら、時々二丁目に通い
そしてやはり榮を思い続けるニコ。
彼を助ける為に、捨て身の行動を取るニコだが
その時に、苦しい片恋に区切りをつける決心をする。

一方の榮は、その事件をきっかけにやっと自分の想いに気づく。
今までの自分のニコへの態度のあれこれを振り返り反省し、
そして改めてニコとの関係を作ろうとするのだが……
タイミングのずれというか、期待に反して素っ気ないニコ。
さて、二人の恋の行方は……?

  *     *     *     *

田舎の様子や、ゲイの葛藤、上京してからの生活や変化、
それぞれの想い……、そのどれもが自然に描かれている。

ニコの素直で実は芯が強くて健気、
でもちゃんと今時の男の子な感じがとても魅力的。
また、yaccoさんの挿絵がその魅力をよく表現していて素敵。

一方の榮は、男前……なんだろうけれど、
個人的には「ニコ、こんな奴よりいい男はきっといるよ!」と
言いたくなってしまった。
気持ちはすっかり二丁目のバーに集うゲイの先輩諸氏と一緒。
まぁ20歳前後の男の子なんてこんなものかな?と
逆にリアリティがあるともいえるのだけれど。

辛い思いを乗り越えた長い片恋の果ての幸せ。
ニコが非常に愛おしく、挿絵も神な一冊。
自分の真ん中に響く話ではなかったが、
よくまとまって、キュッと捕まれるシーンや台詞も散りばめられた
気持ちよい読後感の読みやすい一冊だったと思う。

17

snowblack

※yocoさんのお名前を間違えて表記しております。
 もう修正出来ません為、こちらで申し添えますと共に、
 お目汚しをお詫び申し上げます。


この作品が収納されている本棚

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