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二巻を読んで、どの様な形に納まるのかな、と色々想像したのですが、
やっぱりこうなったのか、と納得。この形しかないと思う。
人の寿命は短くて、鬼は何もしなければ不死。
鴇守が息を引き取った後、夜刀はまた独りぼっちになってしまう。
初代夫婦が鬼化して人を食い散らかしている件で、鬼化をどうするのかと思ったのですが、鴇守が囮になることで、事件を終結する決意をする場面は、感動しました。
一番気の毒で、割りの悪い役は、主を失った右恭さんではないかと思います。
あの取り残され方は、気の毒すぎるし、後始末を全部任されて可哀そう。
やっと主と再会したのは、三途の川の手前だったというのも、設定むご過ぎ。
右恭さんのような支えてくれる存在が無かったら、鴇守の無茶な選択は出来なかったと思う。
右恭さんは、偉い!
面白かった。
2016年刊。
鬼の王と契れ、最終巻。
実は2巻で夜刀(やと)の鬱陶しさにうんざりしてしまったのだが、今では最後まできちんと読んで良かったと思う。
人間として生涯を全うしたい鴇守(ときもり)と、鴇守を愛しすぎるが故に彼に黙って鬼に変えようと企んでいた夜刀。
1巻=萌、2巻=中立とガタガタな印象だっただけに、信頼関係が崩れた二人の行く末が気になった次第だ。
夜刀が鴇守に受け入れられる為にどれだけ努力しても、狡猾で自分さえ良ければいいとも言い切れる身勝手さを隠す気はない。
人を殺める、人を喰う禁忌は越えずとも、この鬼の本性こそ鴇守が忌み嫌い受け入れられないものではないのだろうか。
そんな中で、復活してしまった最強レベルの怨霊を再び封印する為に、鴇守は確実に成長した姿を見せてくれた。
特に矢背一族の祖先となる秀守と芙蓉の相要れなかった晩年から、鬼の業と向き合うといった葛藤がきちんと書かれていて、そこが2巻までの腑に落ちなかった部分だけに充分満足できた。
まさに物語のラストに相応しい展開だった。
最後の鴇守の決断は、大抵の異形者×人間もののカップルだとハッピーエンド、めでたしめでたしで終わってしまうものだが、ラスト7ページのエピローグには自分も泣いてしまった。
元々この話、夜刀に関しては手放しで推せないものの、脇役達はしっかりしていて魅力的だった。
僅かな描写で矢背一族の終焉を知り、それを見届けた右恭の生き様は何度読んでも泣けてくる。
右恭にとって鴇守を主をして生涯を捧げたかったという叶わなかった想いが伝わったラストシーンは、人の儚さとしても切ないものの象徴のような逢瀬だった。
3冊続けて読んだ。
1巻が一番面白かったけど、レビューを書くなら3巻。
2巻に登場したカッパにまた会えて嬉しかった。
「カッパ」という名前と電子書籍でイラストがなかったせいで、私の脳内では鬼ではなく河童の姿に変換されてた。
間延びした話し方と、大好きな鴇守に近づきたくて右往左往している様子がかわいかった。
あとがきに「右恭より高い人気を感じた」とあったけど、私にとっては圧倒的にカッパの方が印象的。
鴇守と夜刀がいつまで六道の辻を見張るつもりなのか分からないけど、マスコットかペットのようにカッパも側に置いてあげて欲しい。
鬼封珠まで連れ戻しに来た鴇守へ夜刀が「とりあえず、お前一人で戻って、眼鏡野郎にどうやったら出られるか訊いてくれ。方法が分かったら、もう一回来てくれるか」と言ったシーンに感動した。
鴇守にあんなに執着してたのに、自分から手放そうとするなんてなんとも男前な鬼だった。
鬼の王シリーズ、表紙のインパクトが強すぎて避けてましたが、ちるちるの評価が高いので読んでみました。
正直、1巻も2巻も面白いのですが、いまいちノれず。
たぶん裸に腰巻、地黒という夜刀のルックスが好みじゃないからです。
それでも3巻だけはレビューしたくなったのは、右恭さんが好きだからです。
(以下ネタバレ)
(本文を読んでからの方がいいです)
エピローグが右恭さん視点なのですが、何これ、切なすぎるーーーT^T
鴇守と離れたあとの右恭さんのことがサラッと書いてあるのですが、たった数ページなのに泣いてしまいました。。。
正直このシリーズで泣くとは思わなかったのですが、このエピローグが話にかなりの奥行きを出してくれました。
鴇守が人間の理から外れたのって、本人が本心から希望したことじゃないし、周りも(夜刀以外)知ってたら反対しただろうし、一人で全部背おい込んでしまって、読んでるこっちも切なかったです。
でも何より右恭さんが一番悔しくて、ツラかっただろうなぁ。
一人で残されて、六道の辻の綻びをひたすら修復して、天寿を全うする。
その最後に2人が会いに来てくれて本当に救われました。
鴇守と夜刀がずっと幸せで楽しく過ごせたらいいなーと願っています。
本編も面白くさらっと一気に読めたのですが
エピローグで泣いてしまいました。
多くの作品は人生の中の一部を切り取ったものが多いですが
このシリーズでは誕生から老いるまで一般的な人間の寿命分追えるのがいいなと思いました。さらりとでも描いてくれるのとくれないとでは大分違います。
本編のカップルに当て馬キャラ(この言葉がぴったりとは思いませんが)でた場合
番外編などで新キャラと新たなカップルができることは多々ありますが
今作ではそういうこともなく
右恭プラトニックな愛が辛かったです。
死ぬまでに会うことが叶わなかった描写をしっかり書かれてしまうと他の想像の余地がなくなりますし
右恭が私の好きなインテリア眼鏡ですので贔屓目もありますが
右恭がもう少し別の方向で幸せにしてあげて欲しかったと思いました。辛い。
しかしこのエピローグがあるのとないのではシリーズ全体の印象の残り方が全く違うと思います。
このエピローグがなかったら読み物の1つとして終わってしまったことでしょう。
こんなに感情が揺さぶられることはなかったとおもいます。
報われなさも含めて紳士な右恭がすきです。