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表題作初恋大パニック

藤原壮介,デビュー作がヒットした新人作家,23歳
小宮山旭,攻の担当になった敏腕編集者,30歳

その他の収録作品

  • 初恋ファンタジスタ
  • あとがき

あらすじ

「……いけ好かねえ」 
人気の新人作家・藤原壮介と初打ち合わせの日、
敏腕編集と評判の小宮山旭は壮介の著者近影を見ながら、思わずそう呟いた。
しかも、それを壮介に聞かれていた…… 
最悪な初対面を果たしたふたりの関係は、当然ながらうまくいくはずがなかった。
……いくはずがなかったのに!? 
月村奎先生の原作で、秋平しろ先生のマンガ『初恋ファンタジスタ』も特別収録。 

作品情報

作品名
初恋大パニック
著者
月村奎 
イラスト
秋平しろ 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
初恋大パニック
発売日
ISBN
9784813013075
4

(117)

(39)

萌々

(51)

(19)

中立

(5)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
19
得点
461
評価数
117
平均
4 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数19

すれ違い、誤解の大安売り

引きこもりニートが処女作で大ヒットを飛ばしている壮介と、小説家になれなかった編集者旭とのドタバタラブコメディ、でしょうか。

上から目線というか、編集者として部数を伸ばせている自信から、いいところの坊ちゃんが…と思っていたのに、予期せず良い小説で没頭するくらい入り込んでしまった悔しさから憎まれ口を叩く(心の中で)旭。
二人は本音で罵倒しあったところから、良い意味での二人三脚が始まります。
なのに、、、編集者と作家だけではない感情に二人ともが嵌まっていって。

一見高飛車な旭が、実はそうでもないってことに可愛さを感じました。そして百戦錬磨なはずなのにDTって言う(微笑)
壮介の方は、引きこもりニートのはずなのに、実はちゃんとしていて、真面目で、さらには過去には女性経験もちゃんとあって(爆)この凸凹が噛み合う道筋が読んでて面白かったです。
最後のエチシーンも旭のオロオロがかわいくて面白くて良かったです。次作(鈴木バージョン)もあるようなので、是非読みたいと思います。

0

ボンボンxツンツン

 攻めが精神的に病んで(鬱とかではなく)て、受けはバリバリイケてるって珍しく感じた。
 
 壮介が旭を意識し出してからが本番。
 他の作家伝に、旭がゲイだと聞いてから、抱く側抱かれる側どっちなのか、俺なら抱く側だなとか、ずっと一緒にいたいなら付き合えばいいんじゃないかとか、めっちゃ意識しはじめる。
 旭に片思いしてる鈴木が、旭の性事情についてある事ない事(ほぼない事)言うもんだから、旭を気になりかけてる壮介に遅れて思春期がやってくるのが良い。

 しかしあまりパッとしない内容だなと思った。攻めも受けもキャラが立っていないように感じた。
 あと挿絵に向いてない絵柄だと思いました。描き込みが少なすぎて気になる。
 

0

挿絵を含め最高!

3冊目の月村先生の作品でした。
あとがきによると月村作品は「包容力攻め×健気受け」が多めとの事で、私が読んだ2作品も確かにそうだったかもですが、本作の攻め受けはちょっと違う感じでした。
でもですね本作の2人、とってもとっても良かったです。

出会った時は最悪の印象だった2人だけど、実はその時からお互いに特別な何かをか感じでいて後々に気づく…っていう設定も好きでしたし、秋平しろ先生の描かれた2人のビジュも素敵で萌えました。
百戦錬磨の手練れを偽る受けと、童貞にしか思われない割と経験のある攻めのCPのドタバタした初体験も面白く、笑ってしまいました。

サクッと読める作品ですが、しっかりと人物背景も萌えも摂取できて大満足でした。
小説初心者さんにもオススメしたい一冊です。

4

年下攻めにハマりそう…

今までいくつか年下攻め作品を読んできましたが、ピンとくることはなく…。
今回もあまり深く考えずに読んだのですが、うっかり年下攻めにハマりそうな作品でした。

顔が良く、実家がお金持ちで、才能もある作家なのに自信がない攻めの壮介と、オシャレで敏腕編集者の受けの旭が、お互いの第一印象は最悪なのに、だんだん惹かれていく展開が面白かったです。
お互いに包み隠さず本音で話すシーンは笑える部分もあり、読んでいて気持ちが良かったです。
壮介も旭のアドバイスがあり、作家としていい作品をつくり、恋人としても磨きがかかって…。
最後の場面を読んで、年下攻めはいいなぁとしみじみ思いました。

1

鼓動がつんのめるみたいに躓く

月村先生の過去作品探索中。これは2016年作。小説家さんが絡むお話は大好物で、「王道なお話なのに面白い」という月村先生好き好き発作出たので萌2にしました。年下ワンコがお好きな方にも良いのではと思う本編230P+秋平先生のコミック2P+あとがき。何回読んでも声上げて笑っちゃう(笑)

政界元重鎮の孫でクールイケメンなルックスの超大物新人を担当することになった、編集者の旭(あさひ)。自身が小説家の夢を断念した過去があるため、小説に対するクールな視点が持ち味だったのですが、初投稿作で15万部のヒットとなった壮介のデビュー作は本当にのめり込んでしまったお話。さてどんな奴だと思っていたら・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
鈴木(受けが担当していた漫画家、人類皆友達タイプ)、編集長の安村(この人好き♡あったか狸おやじ)ぐらいかな。鈴木くんがスピンオフになっているみたいなので後で読んでみよう♡

***以下好きだったところ

とても恵まれた環境に生まれたくせに、それが原因となってコミュ障ひきこもりになった攻め。彼がだんだん心を開いて、受けにトキめいていく様子がとっても良かったです。レビュータイトルはその彼の心中をつづった一文。素敵だわ、この鼓動がつんのめるって言い回し・・うっとり。

育った環境?年下だから?か、甘えるのもすぐに上手になって、ああだこうだと受けを口説き落とそうと頑張るところも「ああ可愛い・・・」。案外押しが強くって、ナイスでした!イケメンわんこに押し倒されるのって夢なんですよね(笑)

受けも、取り繕った大人な様子だったのが一転してブチ切れるところが面白かったです。そうめっちゃ王道だと思うんです。年上受けが大人なフリして年下攻めを諭すというか導こうとするんだけど、翻弄されちゃうってパターンで。今まで何作か読んでいるはずなのに、楽しい。小説家ネタだからかな?やっぱり月村先生マジック?月村先生のお話進めるペースが合うのかな?

月村先生バイアスかかっているかもしれませんが、面白かったです。スピンオフも読んでみよう。年下わんこ攻めや小説家ネタがお好きな方でしたらおススメです!

1

黒大型犬の飼い主

月村先生のお話を読み進めてきて、こちらはすごく新鮮でした。攻様が、中身が厨二な引きこもり少年なまま、社会に放り出されたコで、受の旭も最初っから壮介くんにキレてる。とてもこの二人でラブストーリーになるとは思えない感じ。しかも前情報無しで読んだので途中まで受攻逆だと思ってました。それくらい、旭さんがいじらしくはないのが面白かったです。
というか本当に、序盤あたりは旭が壮介くんに対しての感じ悪さが止められないのが滲み出ちゃってるんですよね。
交互に視点が変わるので、旭さんより壮介くんの気持ちに沿ってしまって、ツラかった。ぶつかり合う場面では、イヤイヤ、旭さんの方が傷つけてるだろ謝り方も誠意も足らないだろって思っちゃう程だったのですが、
壮介くんはそこで社会人としての自分はそんなこと言われたってしょうがない、と、悔しさのなかにも旭の言葉を受け止めようとしてるのが、成長の片鱗で。そこから猛然と変わっていきます。

だんだんいいオトコになっていく攻様というお話でした。

このお話以上に、後の『初恋アミューズメント』の方でより分かってきますが、壮介は大型犬タイプの攻様で、それも新鮮でした。
鷹揚な育ちの良さも見せつつ、旭に対してだけ獰猛だったり飛びついたり。耳を下げて「だめ?」て待ってる様子が目に浮かびます。これはやられる。
作家として基盤を作ったあとも、「ちゃんとした社会人」コンプレックスな壮介がこの後の『初恋アミューズメント』で名刺やスーツに異様に憧れる様子がわかって可愛すぎてジタバタします。萌えすぎて面白すぎてあちらの作中結構大事な場面だったのに壮介くんが愛しくて笑ってしまいました。この二作は両方読まないと面白さが半減というか、もったいないですね。
旭さんがあちらでのほうがずっと敏腕編集してていい人なんですよね〜!今作は旭さんを丸裸にする壮介くんの力てことでしょうか。

お仕事ものとして、作家さんの気持ち、編集さんへの気持ちなど、これを書く作家さんのこともやっぱり思い浮かべながら読むところもありました。
表紙の黒魔術師な壮介くんがサッパリ爽やかなハスキー系ワンコに変わる挿絵もとっても素敵でした。

1

スピン元

スピンオフを先に読んでいます。
というのはわたしが、メガネのツンデレ系受けが好きではなく、こちらの作品はあらすじや表紙などでそこにドンピシャキャラ設定だったからでして。
ただあまりにスピンオフが好みだったので、手を出してみました。
や、これ、なんで読まないでいたんだろう。
すごく面白かったです。

受けの旭は30歳の、担当した作家は必ず売れるという有能編集者。
そして攻めはその旭が新しく担当することになった、期待の新人作家 壮介。

受け攻め交互の三人称(月村作品は受け視点三人称が多いから珍しい)のためにお互いのことを良く思っていないことはこちらにもわかっていましたが、それでも本音の暴露シーンはひじょうに面白く、そこで引き込まれました。
旭が普段と違う「俺」という一人称が飛び出してしまうところも、すごく良い!(他作品では誤字と迷ったけど今回はすごく自然)
そういう笑っちゃう箇所もあるので、ご自宅での読書をお勧めします。
スピンオフの攻め、漫画家の鈴木がお気に入りのため彼が嫌味なく良い存在に書かれていて大変満足でした。

3

可愛らしくて楽しいラブコメディ

コミュ障な攻に振り回される歳上受の、可愛らしいコメディでした。 恐らくその分攻も振り回されていた気が…笑


期待の新人作家(コミュ障で厨二病こじらせてる)藤原×有能な編集者(コンプレックス持ち)小宮山
出会いは最悪。2人ともお互いのコンプレックスを無意識に刺激し合って、思わず本音で喧嘩してしまう。けれど、それでかえって打ち解けて印象最悪だった相手を意識し始めて…?

コミュ障な歳下の藤原さんの一挙一動に振り回されまくるしっかり者な小宮山さんが楽しくて可愛かった!藤原さんも、小宮山さんの為に!と頑張るワンコな感じなので、歳上の小宮山さんが色々擽られてほだされちゃう過程が楽しかったです。


スピンオフが出たので、再読しましたが、初見と同じく楽しくて癒されました。
何も考えずに楽しみたい、癒されたいときに、オススメです。

0

楽しいラブコメディ

さらりと読める楽しいラブコメディ。違う方向にこじらせまくった2人が勘違いを重ねつつも、どうしようもなく惹かれあっていく様子にニヤニヤさせられました。

周りから「出来る男」と思われているので、プライベートも充実した百戦錬磨の男を演じている編集者の小宮山さんが、歳下で「童貞のはず」の藤原さんに翻弄されて、取り繕えなくなっていく様子のかわいいこと。2人とも色々めんどくさい性格なのですが、基本的に素直な性質なので終始明るい気分で読めました。
引っ掻き回し役の漫画家先生もツッコミどころはありますが、憎めないキャラ。

表紙イラスト、デザイン、挿絵……程よくポップでかわいく素敵でした。この表紙、ほんと好きです。

明るく楽しい一冊でした。

電子書籍版で読みましたが、他にも書いている方がいらっしゃるように、カバー折り返し部分まで収録されていたり、奥付にもロゴを使用していたり、紙版に近づける努力が好感度高かったです。今後、特にこういったエンタメ系作品では電子書籍の需要はますます高まると思いますので、電子書籍にもきちんと力を入れてくださるのは嬉しいです。…あとはやはり紙版と同時発刊が当然…なんてことになると嬉しいですね。

5

お、変化球投げましたね

電子書籍で読了。挿絵&おまけマンガあり。カバー折り返し(初めの方には著者さまと絵師さまの近況が、終わりの方には「月村奎の本」というものが書いてあるあの部分です)まで収録されております。
タイトルが書いてある初めのページにSHY NOVELSのロゴが入っているんですが、SHYとNOVELSの間にハートが2つ重なったイラストを入れるために「文字」ではなく「画像」でロゴを入れているんですよ。そこだけ「画像を貼りました」風に地色が違っているのも、紙の本をほぼ忠実に再現しようとした努力が見えます。「もう本棚がヤバイので電子で読みたい派」の私としては、太陽図書さんにとても好感を持ちました(もう少し早く出してくださったなら100点満点です)。

さて、お話ですが今回は「しっとりした月村節」ではなく「ポップな月村さん」の方です。
「能力があるのにコンプレックスを抱えている登場人物が頑張る話」という点では、ご本人があとがきで書いているように「金太郎飴」なのだと思います。
でも、それが読みたいのです、私は。
そして、頑張ったものには幸せが来るよね、と思いたいのです。

今回は二人ともコンプレックス野郎でした。
おまけに、一人はそれ故偽装していますし、一人はそれ故真逆に誤解されています。その辺のひねりがいつもとちょっと違った雰囲気を醸し出しているのかなー、と。
ラブが最高潮に達した時、この偽装と誤解が剥がれてホントの彼らがむき出しになるわけなのですが、もうそれが可愛いのなんの!

小説家×編集者なので、月村さんの仕事に対する姿勢も垣間見える様な気がしました。
B(ボーイズ)の部分も、L(ラブ)の部分も、ずーっとこの分野で書き続けてきた月村さんの誠実さも、三つ巴で堪能させていただきました。

7

肉じゃがを頼んだら、グラタンが出された感じ

 あれれ?いつもの月村先生の作品と全然違うっ。期待していたものじゃないっという感じでしたが、これはこれでおもしろかったです。マイナスから始まる恋って、何だかいいですね。二人とも最初の頃の印象と、読み終わった後の印象が変わってまたページをめくりたくなりました。会話のやり取りは楽しく、くすりと笑えるシーンもありました。両方の心理描写を読めることで、お互いのことも理解できました。
 もうちょっと切ないシーンや、心が揺さぶられるシーンが欲しかったです。

2

楽しめた一冊

月村先生の作品は作者買いしています。

今作は割とライトな印象の作品でしたが、それでも月村先生ならではの表現や言葉の使い方が素敵で、楽しく読む事ができました。
今回は受け様と攻め様視点が交互に登場しています。そして今回は受け様攻め様共にネガティブキャラです。でも、深刻さや重さはないです。どちらかというとコメディ路線な印象です。
それに、ネガティブキャラとはいえ、攻め様は基本ハイスペックで、ちょいちょい包容力みたいのも垣間見せてくれていますし、受け様もやり手編集者ということで、そこそこしっかりしている部分もあり・・・で、割と安定感を感じるカップルでした。

攻め様も受け様も見た目や行動とのギャップが・・・というのもこの作品の楽しみどころかなと思います。(百戦錬磨のテクニシャンに見える受け様が実は清い体なのだけれども、それをこじらせていて・・・というパターンも月村先生ならではのパターンで、個人的にはとても好きな設定でした。)

6

百戦錬磨のハードル

敏腕編集者の旭が新しく担当することになった話題の新人壮介。
初顔合わせの打ち合わせ直前に旭と編集長の会話を小耳にはさんでしまった壮介は、旭の表と裏の顔に疑心暗鬼。
旭に何を言われても裏をかいてネガティブにとらえてしまう最悪の展開。

一方の旭も、才能あふれる壮介への嫉妬から素直になれず、こじれる二人。
勘違いが勘違いを呼ぶ展開に何度も笑ってしまいました。

しかも旭は童貞にも関わらず、ベットでは百戦錬磨との噂が先行してしまうというハードルの高い展開(笑)
取材がてらに入ったラブホでの旭の動揺っぷりが可愛すぎました。
そしてネガティブな割に、旭への思いに対しては強気な壮介のギャップもよかったです。

面白くてさらっと読める作品でした

4

最初と最後で立場逆転

百戦錬磨と名高いが実は未経験のイケメン編集旭(受)×ニートという以外は家柄も顔面偏差値も才能もハイスペックな壮介(攻)の不器用な恋のお話

私が読んだことのある月村先生のお話では大体受は繊細で過去に傷付いてる子が多いですが、今回は小説家になれなかったという挫折はあるにしても仕事先では優秀でしっかりした受でした。恋愛にうつつを抜かして仕事に身が入らない話は読んでいて腹がたつので、2人ともきちんと仕事している姿は好感が持てました。

ただ、旭が恋愛感情を意識したのが唐突で、気になるという話はあったと思うのに、キスされた途端に好きな相手にされて高揚云々となっていて、あれ?好きになったって言ってたっけ?と前に戻って確認してしまいました。

又、他の方も書いてますが、最初の引きニートな壮介の成長が著しく、え?同一人物?と思いました、成長すれば引く手数多な壮介を捕まえるのを理性で諦めようとする旭にはこれくらい成長しないとくっついてくれそうになかったから急成長させたのでしょうか。
旭も百戦錬磨じゃなくても多少経験があった方が最後の方のものなれなさ全開のやはり同一人物?って感じにならなくて良かったのではないかと‥途中で違う話を読んでるのかと思いました。

編集長さんはのんびりした感じでしたが、見てるところは見てる人でした。編集長の一言で旭は救われましたね。
反対に漫画家先生は当て馬のような登場だったのに、壮介に旭の情報を渡すためだけに出てきた人に成り下がって、フェードアウトしてるし、あれ?って感じでした。

イラストに関しては、ファンの方には申し訳ないんですが、あまり私の好みではなかったです。最後のショート漫画は味があって良いのですが、表紙及び裏表紙はどちらもとてもイケメンには見えないというか、特に裏表紙は何だこの気持ち悪い顔はと思ってしまいました。


2

楽しくって、ニヤニヤしちゃう。

後書きで作者がご自分のことを「金太郎飴作家」とおっしゃっているが
この作品も、いつもと雰囲気は違うけれど月村さんらしさは健在で
いつも安心して食べられる金太郎飴、
こういう切り口の違う作品は、テイストが変わってなかなか美味しい。

御曹司だけれどヒッキーの作家・壮介と、その担当編集者・旭。
このえらく有能な編集者の旭くん、恋愛でも百戦錬磨なのかと思ったら
いやいや、これがなかなか(笑)


最悪な出会いに始まって、気になる存在になっていくが
それぞれ屈折した思いや誤解を抱えているのがある日爆発、
罵りあいのに発展。
普段はそつなく優秀な旭が、コミュ障の壮介に対しては
自分の嫉妬や羨望を持て余して、つい感情的になるのが
なんとも面白くて可愛らしいし、
実はハイスペックなくせに中二病をこじらせている壮介が
一途な思いを抱いても、ぐるぐる思いを打ち明けられないのも可愛い。

最後は急に進化した壮介が結構男前ででもワンコな攻めになって終わり、
そこはもっとダメでも良かったかなぁ……と思わなくはないですが、
交互視点のコメディタッチで描かれたそれぞれの思いも
やりとりも面白く、ゲラゲラ笑いながら読み終わりました。


何度も登場する「領収書下さい」にまつわる悲喜こもごもが
またなんとも上手い!


巻末には、秋平しろさんの作画による後日談の漫画が。
これがまた楽しくて最後にまたクスッとして読了だった。
秋平さんの絵は割に好みだし、この漫画も良かったのだけれど
全体のイラストの印象としては、微妙に違うかな、という気分も……

10

作家×編集者

文芸部編集者の旭(受け)は、大型新人作家の壮介(攻め)の担当になった。壮介は素晴らしい才能の持ち主なのに、妙に卑屈で扱いにくく、コミュニケーションが取りづらい。そんな中、ついにアクシデントが発生して…。


大型新人作家×有能編集者、23歳×30歳の年下攻め歳の差ものです。
コミカルなのかシリアスなのか、テンションが統一されていなくて読みづらかったです。あと受け攻めの視点入れ替わり方式で、それぞれの感情が理解しやすいはずなのにもかかわらず、ええっと思うところがいくつかありました。
まず受けが、攻めに対する好きだという気持ちをまだ自覚していないはずなのに、攻めに告白されてちょっと手を出され、「初めての両想い」とかいってぐるぐるしているところ。いや、攻めの予想外にかっこいいとこ見てうっとりしたり、他の人と攻めが交流するのが嫌だったり、そういう気持ちはあったけど、まだそれが恋愛感情だとは自覚していなかったはず。なのに急に「両想い!」と言ってるんでいつの間にだよ、と思いました。
攻めも、コミュ障コミュ障言ってて、最初と後とで全然性格が違う。人格すら違う。あとあんまり金持ちの息子だってことに必然性がなかったような。
あと、受けに言い寄ってた漫画家の鈴木くん。どこ行っちゃったの? 攻めに対して「旭さんに手を出さないでね」とまで言ってるのに、これが途中で消えちゃったらご都合キャラでしかないです。付き合うことになりましたと報告するとか、そこまでしなくても「鈴木くんにどう伝えたらいいかな…」と攻めに悩ませるくらいはしてくれないと、出てきて説明して、都合よく姿を消しただけのキャラでしかないし。

可愛い話ではありましたけど、詰めが甘いというか、いろいろ足りてないところが多かったです。

4

上っ面じゃない貴方が好き

印象が悪いもの同士の恋愛って
惹かれあっていく過程がとても好きなので
読ませていただきました!

自分の担当する作家の性格を見抜き、
うまい具合に持ち上げたり
女性作家には恋愛としての好意を持たれないよう
一線を引ける敏腕編集者の小宮山旭。
小宮山が担当すればヒット作が出ると言われるほどですが
担当を任されることになったのは
初投稿作が文学賞の大賞受賞、両親共に著名人、
恵まれた環境の中で育ったニート藤原壮介。
彼の文才に嫉妬しつつ編集者としての顔を崩さず接するつもりが…。

やっぱりイヤーな初対面で、大丈夫かなって多少心配になりましたww
対人スキルがほぼ無い壮介にとっては
見た目もあきらかにデキる風の旭が自分と正反対で
コンプレックスを刺激され、
作家を目指した過去のある旭にとっては
惹きこまれる壮介の文才に嫉妬して
お互いがお互いの無いものに苛立ちを覚えてしまうのが
第三者からすると楽しかったです。

どうせいいとこのボンボンだから贅沢な生活かと思いきや
自立して当面の生活費以外は親に返したとか
壮介なりにちゃんとしてるところが良かった。
旭は大人の余裕を見せていたのに(内心腹を立ててましたけどw)
思ってる事をぶつけ合った後の遠慮の無さが丁度よくて
でも後に明かされる事実のギャップがあって
どちらも“こういうところ知ったらそりゃ気になってきちゃうな”という
無理のないエピソードが◎!

ただ、旭がまだしっかり自覚していなかったはずだと思っていたら
『好きな男にキスされているという、めくるめく高揚感』となっていて
このシーンの前に『なぜか複雑な気持ちになった』とは書いていたけど
好きだから、壮介がTV出演してもっと売れる事に対して
焦りのような感情が生まれたと言い切ってなかったので
ちょっと驚きました。
気になったのは私だけかもしれませんが…。
スカイタワーで男前な対応されたこともあったし
惹かれているのは充分伝わっていたのでいいのかも。

荘介は、いけすかないリア充め!と思っていたのに
それだけじゃない一面を知り
自分には旭の為にも良い小説を書くだけ、なんて健気でした。
小説が手につかないくらい旭のことを考えてしまうって可愛い!
しかも以前の壮介では考えられないくらい口説いてくる必死な様子は
恋ってここまで人を変えてしまうんだなぁと微笑ましかったです。

旭がまさかの誰とも……っていうのは
さすがに無理ないかな??
漫画家の鈴木くんの勘違いを真に受けていた為
旭の初々しさに感激出来て良かったけども…。
ツライ恋のひとつやふたつ、経験していそうだったので。

個人的に気になるところは少しありましたが楽しかったです!

7

キャラブレが気になりました。

この作品のコンセプトは、童貞の大型新人作家と見せかけて実は童貞ではない攻と、百戦錬磨のテクニシャンと見せかけて実は童貞処女の受、というのを理解しても、ちょっと萌えられなかったです。すみません。

なんだかんだで童貞同士の話かと、ワクワクしながらページをめくってたら、結構序盤で壮介が14歳ですでに経験済であることが明かされ「あ、なーんだ」となりました。
一方の小宮山も、人当たりが良く器用なフリしてるだけで本当は腹黒で口が悪いところが可愛いと思ってたのですが、後半部分はただの恋するネコになってて「あれ?」となりました。二人とも、物語の序盤と後半で性格が変わってて、違和感を拭えませんでした。特に壮介はコミュ障でオタクな童貞を貫いて欲しかったのに、実はただのパーフェクトヒューマンでした。
経験の有無もそうですが、基本的な性格までブレてしまっていたのでこの評価です。

7

誤解が誤解を呼ぶ勘違いラブコメ

月村さんの作品と言えば男前攻め×ウジウジ受けというようなイメージでしたが、本書はそうした月村さんの持ち味を残しつつ新しいカップリングに挑戦された、大変意欲的な一冊だと思います。

敏腕編集者の旭(受け・30歳)は、文学賞の大賞をとった新人作家・壮介(攻め・23歳)の担当に。
お互い第一印象は最悪。
しかし相手のことを知れば知るほど惹かれ合っていき…というような話。

攻め受け両視点あり。
お互いのお互いに対する様々な誤解が笑いを誘うテンポの良いコメディです。

旭は、学生時代に小説家を目指すも挫折し、編集者になった人物。
仕事では非常にスマートですが、内心は壮介の才能に嫉妬しており、彼のコミュ障故の生意気な言動や無駄に整った容姿等にもイライラしています。

壮介は、政治家や芸能人を輩出するセレブ一家に生まれるも、コミュ障でずっと引きこもっていたニート。
何気なく応募した小説で文学賞を穫れる程の才能の持ち主なのに、本人はまるで自分に自信なし。
オシャレでイケメンな担当編集者に怯え、彼が自分の作品を褒める言葉も嘘くさいと身構えてしまいます(旭は壮介の才能を妬んでいるので、これは遠からずなのですがw)。

そんな二人が、ある日ついにお互いの言動にブチ切れ、腹を割って話し合った(罵り合った)ことで仲良くなっていくのですが、このあたりのテンポの良い応酬が最高。
特に、素(?)の毒舌を顕にした旭が、壮介のことを「おまえ」「中二病」「コミュ障」「黒魔術師」等、ボロカスにけなし始める一連のシーンには爆笑でした。
いつもはスマートな大人の態度を崩さないのに、地雷(作家になれなかったこと)に触れられるとガチ切れする旭は大変面白いキャラですv

旭に惹かれていく壮介ですが、旭が百戦錬磨のゲイであるとの噂を聞き、自分のようなコミュ障は相手にされる訳がないと及び腰。
担当作家とは寝ない、と旭に宣言されていることもあり、なかなか想いを打ち明けられません。

旭は旭で、どうしても壮介にアプローチできないある理由があって……
個人的には、仕事のできるカッコいい年上受けにこういう余計な乙女要素は不要と感じましたが、お互いに誤解し合ったまま展開していく勘違い系ラブコメとしては面白い設定だと思います。

ラストではその秘密も壮介に打ち明け、晴れてラブラブに。
月村さんお得意の男前攻め×乙女受けに落ち着いてしまったのはちょっと残念ですが、仕事面では、旭はこれからも優秀な編集として壮介を支えていくことでしょう。

巻末には、月村さん原作・秋平しろさん作画の2Pマンガが。
初体験の感想をメールにして送られ、職場でムラッとしてしまう旭&そんな旭にベタ惚れの壮介のほのぼの後日談でした。

ラストはいつもの月村さん作品っぽいですが、それまでの展開は一味違っていて大変楽しく読める一冊でした☆

15

この作品が収納されている本棚

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