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表題作ドラッグ・チェイス(1) 還流

ラッキー,南東部薬物捜査局エージェント,35歳
ボー,新人エージェント(元海兵で薬剤師),31歳

あらすじ

薬物捜査局にスカウトされた元犯罪者のラッキーと元海兵隊で薬剤師のボー。
二人は薬物横流しの疑惑を解明するため、あるクリニックに近づくが……。

作品情報

作品名
ドラッグ・チェイス(1) 還流
著者
エデン・ウィンターズ 
イラスト
高山しのぶ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
モノクローム・ロマンス文庫
発売日
ISBN
9784403560279
4.3

(39)

(19)

萌々

(16)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
11
得点
171
評価数
39
平均
4.3 / 5
神率
48.7%

レビュー投稿数11

サブタイトルの「還流」の意味が衝撃…

めちゃくちゃ面白かった…!!
ラッキーとボーの掛け合いが最後の頁まで続いてツボに刺さりました。

芸能人や若い世代の麻薬や覚醒剤の問題は良く上がりますが、この小説では麻薬に限らない薬物のグレーマーケットの世界を知れて興味深かったです。
冒頭で迫力があったので、ラッキーの仕事はギャングか…と思ってしまった。
世の中色々な仕事があるんだな。。

近年ニュースや情報番組では、お金儲けが一番でモラルがない組織悪の会社の報道が多いので、関心が持てる内容でした。特に気にも止めていなかったサブタイトルの「還流」の意味を知った時、衝撃でした。

 私達は日常生活で商品を購入する時やサービスを受ける時は、業者の内情を調べず相手を信用して利用します。いわゆる信頼関係で成り立っています。そこが問題のある業者だった場合、特に命に関わるような場合は…??日常にも怖さが潜んでいるなーと実感しました。

ラッキーとボーがお笑い芸人のような良いコンビでまるでコントでした。
ヴィーガンの意識高い系の話も面白かった。
ギャグ、ヴィーガン、陽気な下ネタが飛び交う二人の日常。
とても笑わせてもらいましたが、笑顔の裏でだんだん明るみになる二人の壮絶な過去。今も葛藤を抱えている二人。
とても切なかった。。

シリアスとギャグのバランスが絶妙でした。重くも軽くもなりすぎず。
業界サスペンスものにしては、LOVE度が高かったです。期間限定というのはお互いの気持ちを昂ぶらせるマスト・アイテムだな。
最近続編が出たので、二人の「その後」が知れるのが楽しみです。

イラストは何と「あまつき」の高山しのぶさんでした。全く気づかなかった…。
本編に負けないパンチのある楽しい絵でした。特に登場人物画のページが良かった。

二人のコントの空気感や物語に流れるスピード感など、翻訳家の冬斗亜紀さんの翻訳が絶妙でした。モノクローム・ロマンス文庫の翻訳は、安心して読めます。AIではなし得ないでしょう。

2

続刊が翻訳されると聞いて

シリーズの続刊が翻訳されると聞いてこちらも読みました。
面白かったです。

序盤、ラッキーのモノローグに慣れず、一度挫けました(笑)
うるさめの下ネタ男で、上滑りしてる感がすごく、嫌い云々の前に引いてしまった。
慣れてしまえば結構好きです。

過去に傷がある二人の傷の舐め合いみたいな恋愛。
距離の詰め方が分かりやすくて、頭に入って来やすい。

話が進むにつれ、二人とも可愛く思えるようになりました。
期限付き恋愛ですが、途中からイチャラブしてます。

新人エージェントのボーが思いのほか優秀で良かった。

綺麗に話がまとまるので、一巻だけ試し読みしてみるのもオススメです(KindleUnlimited)

1

バディもの!さいこう!

最初に読もうとしたときは翻訳もの独特の文章構成に数ページで積読したまま。2作目の版権をモノロマ文庫さんが取得したと聞き再度挑戦したところ…すっごく面白かったです!海外ドラマやバディものが好きな方は読んでほしい!原作は6作出版されているようですね。

主人公のラッキー(攻め)は普段は受けのボーをからかったりおちゃらけていますが、仕事は出来る頼りになる男。
受けのボーは薬学部卒のザ・インテリ風でツンツンしていて。
最初は最悪の関係から変化していく関係性がたまりません。

攻め受け両方につらい過去があり現在も苦しさを抱え込みながら生きているのですが、思ったよりも湿っぽさが無くカラッとしているところが読みやすかったです。

個人的には嬉しい要素だったのですが、一回リバ描写があるため地雷な方はご注意ください。逆にお好きな方は是非読んでみてほしいです。
普段体格が小さい攻めが普段はしない受けをする描写って良くないですか!?言葉で説明は出来なくとも関係性がより一層深まる瞬間が垣間見えたというか。

小説のHシーンは、普段あまり読まないのですが、この作品は描写がとてもエロティックで、じっくりと楽しめました。
また続き物だから…と避けている方もぶつ切り続きエンドでは無く一応ハッピーエンドで終わり単体でも楽しめますのでぜひ!

3

途中からぐっと面白くなる!

最初は軽いゲイ小説のよう。性欲に忠実であからさまな表現も多く、恋愛とは程遠い。所々で挟まれる下ネタは、上手く訳したなぁと感心するものがいくつかあり、原文と読み比べたくなった。
設定が面白く、犯罪ものかと思いきや取締側で、楽しく読めた。

始まりのご挨拶程度に最初の仕事が終わると、ラッキーとボーで組み、潜入捜査パートに移る。ここからぐっと面白くなっていった。

なぜか反発し合っていたのに、一度寝た翌日から急にボーが彼氏面するのが可愛くて、そんなことを許しそうにないラッキーが絆されていくのも良かった。ここからのラッキーがずっともだもだ状態で萌える。

二人ともかなり悲惨な過去を背負っていて、一つ明かされていくたびに好きになっていく。ボーの正義感や弱さはとても魅力的だし、ラッキーがそこに惹かれないよう必死に抵抗する心理描写も面白い。
暗い胸糞エピソードが語られても、どこかカラっとしている。といっても決して軽いわけでなく、人物にちゃんとした重みを持たせてくれている。相手に打ち明ける形で語られ、そのときの心が相手に向かって開いた状態だからかなあと思った。

ラッキーの過去は小出しにされるが、全容が明かされると辛すぎだった。ラッキーとヴィクターの甘々時代の話も読んでみたい。ヴィクターが消えた理由はラッキーが考えるものとは違うんじゃないかと思ったが、そう考えないとやりきれないんだろうとも思ったり。いやヴィクターかなり好きだ。

ラストは粋な演出で締め。別れのときを匂わせ、かなり長く切ない空気をひっぱってきた後だけに、めちゃめちゃ良かった。

ストーリーは面白いし、最後にはキャラも大好きになっている。評価はかなり神に近い。
(迷って萌え×2にしたのは、面白くなるまでの助走期間が長いのと、前半のボーは性格設定が定まっていないように見えたこと、挿絵が残念だったため)

5

これぞバディ兼恋人ものの醍醐味!!

2016年刊。
海外M/M小説はほとんど読めていないのでどんなものが好みに合うか手探り状態だ。
取り敢えずモノクローム・ロマンス文庫なら”はずれ”はないだろうと買ってあった一冊だったが、いざ読んでみたら自分の好みにどストライクだった!!
いや~、ホント買っておいて良かったな~(´∀`)
翻訳された海外の文章独特の言い回しも、どうにか馴れてくると本来の物語の面白さに引き込まれていく。
この感覚をきちんと身に着ける為に、なるべく海外小説も読んでいかねば!!

ちなみにちるちるのデータベースも見ずに読み出したが、トップ(攻め)とボトム(受け)については自分の好みに合っていたので文句はない。
作中のキャラクターの魅力に嵌ると攻め<受けの体格差も全然気にならないものだね。

医薬品の過剰処方によって暴利を貪っている悪徳クリニックを取り締まるべく、潜入捜査でコンビを組まされたベテラン・ラッキーと新入りのボー。
当然、性格が合わずに反発するものの、お互いが相手を理解するコツを掴んでいくうちに気になっていき、いいコンビに成長していく過程にバディ兼恋人同士になっていく醍醐味がある。
ラッキーはやけに面倒見がいいし、ボーのお尻に魅入っての妄想には滾るものを感じるねぇ(笑)

二人とも訳有りな身の上を上司のウォルターに見出されていて、彼らが親睦を深めていく中で抱えていた過去を告白していくが、過ぎ去った事として受け入れ淡々と読めるので湿っぽくはならない。
この辺りがアメリカンな良さとでも言えるだろうか。
二人の距離が近しくなるにつれ、ボーの可愛げが増していく様子にニヤケてしまったのだった。

アメリカでは若者にもドラッグが蔓延しているせいなのか、一般人でも尿検査が身近らしいとかの豆知識も得た。
二人が親密になっていく過程でのベッドシーンも良かったし、リバシーンも何の抵抗もなく読めた。

ところでこの話、タイトルに『ドラッグチェイスシリーズ・1』と付いているが、続きが読める機会はないのだろうか?
この本が刊行された時期からしてまだチャンスは残っているはず。
新書館さん、検討宜しくっ!!

8

スパイ物?っぽい

モノクローム・ロマンス文庫は全て話が面白い。翻訳物ということで日本の作家とは表現や構成が違っててとっかかりにくい所もあるけど、話に乗ってしまうとラストまでノンストップで読み続けたくなってしまう面白さです。

薬物捜査局のエージェントということでクリニックや薬品会社の社員として潜入捜査するスパイのような仕事でバレたら怖いのでとってもスリリングです。攻めは前科者でそういう特別枠で働かせてもらっていて、人を信用できない生意気な性格ですが仕事は優秀です。身長167センチの35歳。アメリカだと女性よりも小さそうなサイズ。悪の組織のボスの愛人をやっていた頃は受けでしたが今はバリタチです。

新人エージェントの受けは183センチ31歳で薬学部の大学院まで出たインテリですが、海兵隊員の経験もあるという異色の経歴でベジタリアン。品のいいお坊ちゃん風なのに幼少時に父親から虐待を受けていたり色々なトラウマを背負っている人です。攻めも暗い過去がありますが自業自得な面もあるけど、受けの場合は本人に非はないのに不運な人生という感じで不憫。攻めじゃなくても「可愛い。守ってあげたい。」と思わせるザ・受けの性質を持っています。

最初はケンカばかりだったのに、恋に落ちていき、お互いになくてはならない存在になっていく過程がとても丁寧に描かれていて萌えました。笑うとエクボができる受けが可愛かったです。続編も是非読みたいです。

2

最後には二人が愛しくなっている

翻訳ものの小説です。
”パートナー”という関係が好きなら楽しめる作品。
それも、最初は非常に互いの印象が悪く仲が悪い、というある種のお約束な関係です。

主人行のラッキーは薬物を違法に扱う組織を調べ・摘発するという(日本で言うマトリのようなものでしょうか)お仕事をしており、潜入操作・おとり捜査なんでもありな感じです。刑事や探偵ではないですが、事件・捜査ものなのでストーリー部分もかなりドキドキ感があってよかったと思います。
恋愛部分でも、ストーリー部分でも、中だるみすることなく飽きずに読めました。

お相手のボーは新人捜査官で、最初はインテリで嫌味な若造、という感じです。
かなりのツンデレキャラですが、ツンデレになりきれてないところが他のツンデレキャラと違っているというか・・・デレる時のデレ度が120%くらいなんです。

正直、二人とも読み始めはそんなに好みじゃなくて・・・これ最後まで萌えられるだろうかとか思いました。しかし・・二人ともすごく魅力的なキャラクターです。
ボーの、厭味タラタラな性格なのに、失敗したらどうしよう?としゅんとなる姿や、潜入捜査のためにゲイカップルのふりをしてラッキーに人前でキスされてあたふたする姿は本当にかわいい。

理由があって他人と関わらないようにしていたラッキーが、深入りはしないで新人は厳しくしつけようと思っていながらボーを守ってやりたくなっていく姿に共感できました。
出会った最初はボーをわざと怒らせるようなことばかりしていたラッキーが、
「お前を危険な目にはあわせないよ」的な事を言って何言ってんだ俺・・・みたいになってる姿も面白かった。
(ホント余計なことですが、これ、漫画ならかなり面白いのでは…と思います。)

ラッキーも非常に魅力的です。あんまり日本のBLでは見かけないタイプかも・・・
かなり下品でデリカシーがなく、下ネタばっかりで、ゲイであることを隠そうともしない。
自分で自分の事を「くたびれたアメリカ産のミニマムサイズ」と言ってるのも珍しい感じがしました。(しかし実際にいたら女性受けはしなさそうな・・・)
私はこの人のずっと下ネタ連発なところが最後まで苦手だったのですが・・・
しかし、普通の人だったら折れてしまいそうな過去を持っています。

神評価にしたかったのですが4にしたのは、ラッキーの過去話がちょっと痛々しくてもやもやを感じたからです。
昔の男を引きずっている、というのとも違うのですが、過去の恋愛話がリンクして入ってくる作品(しかもその過去話のインパクトが強かった場合)
メインの二人の話だけをしっかり読みたい自分としてはなんだかもやもやが残ってしまう。

しかし、このお話の魅力の多くはボーというキャラクターの性格だと思います。
最初の厭味な印象も、ベジタリアンで添加物はとらないという気取ったところも、全て理由があります。
厄介なほど正義感が強く、お人よしで、心が綺麗。
それが良いことでなく、いつもそのせいで悪い方向に流されてしまうのです。

やりとりを読んでいるのが楽しいというか、ずっと読んでいたくなるような魅力的なカップルでした。そしてそれがBLでは一番重要な部分じゃないかと思うのです。
続きがあるという事を期待して待っています。

2

おくすりは相棒

シナリオ的なレビューはもう必要なさそうなので
いわゆるバディ物のM&MなのですがM&Mのお約束に漏れず、互いが互いの心の傷を埋め合うお話
日本の大多数のBLと比べてM&Mは主役の年齢層が高く、明確な攻め,受けというものはありません。
序盤を読んだ人は恋に臆病な年上男のラッキーの方を内面的に受けっぽいと思う人もいるのではないかと思う。
ラッキーにしてもボーにしてもそれぞれ三十路を越えている分人を好きになることに分別をわきまえてるし、それと同時に彼らそれぞれが歩んだ過去から他人を好きになることに非常に臆病
そんな二人が心ならずも上司にバディを組まされ、今だけの仕事だけの関係と言い聞かせながらも二人が恋に落ちていく様子が描かれています。
今作で思いも結ばれ、(恐らく)次作から正式にバディを組んで事件を解決していくことになるかと思いますが職場にラッキーに好意的な人はボーを含めて3人しかいないようだし、作品の性質上命の危険とは常に隣り合わせ。
過保護気味なラッキーが今後どうボーに接していくことになるか注目していきたいです

5

紙上アクション大作2時間見込み

色々読んでおりますとメンズロマンス(ゲイロマンス)にも
ある程度の傾向分岐があると言う事が読み取れます。
それは一般小説の傾向に結構寄せてあるもので…作品によっては
ロマンスの方が虫食い部分の穴埋め要素になっているのでは
ないかとお節介ながらも冷や冷やする事もございます。
じゃあこの本はどうなのかと申しますと…冒頭から読み進めて
退屈を感じたなら敢えて後ろから読み進めてみる事をお勧めします。
挿絵も後押ししているようにスリル&アクション要素の強い作品です。
そう言う映画の最初が結構淡々とした導入部分である様なものと
思い切った上で読み方を変えてみれば、結構満足出来るかも知れません。

…そう、あなたがコーヒーをお嫌いでなければ。

4

曲者揃いのSNB

自分の中で今もっともアツい海外モノ。
新しいシリーズ!と飛び付きました。

薬物の違法を取り締まる南東部薬物捜査局『SNB』に所属するラッキー。
彼、なかなかに曲者で、飽きさせてくれません。
下品だし適当だし不真面目だし。でもきめるところはきめる。

過去罪を犯したラッキーは、交換条件つきでSNBに所属していた。
過去の罪をキレイサッパリ白にして、新たな人生を歩むこと。
あと少しで組織から抜け自由になれる。そのことを渇望し続けていたラッキーの前に現れた新入り、ボー。
堅物すぎるボーをラッキーは毛嫌いしていたはずなのに、なんとまぁそそる尻に意識は奪われ…。

ボーもまた曲者で、堅物、モラルの塊、神経質。
けれどラッキーと張り合う舌戦は見事なもので、二人の掛け合いが素敵。

ラッキーもボーもドラッグ関連で傷を持っていて、その事で一歩踏み出すことを怖がっているように感じ切なくなりました。
ラッキーが何度も『誰にも心を許さない』と言うその意味。最初は裏切られ捨てられた痛みからだと思っていたけど、徐々にまさか…と思い、そして真実を知ったとき、鳥肌がたちました。
裏切られたのではなく、ラッキーが裏切ってしまったのか、と。

ヴィクターの真意を知ったラッキーの絶望を考えると、胸が潰れそう。
悪徳でろくでなしだとしても、ヴィクターをかっこいいと思ってしまう。

だからこそ、ラッキーは頑なに心を許さないと律していたのでしょうか。
裏切った自分が、誰かをまた愛する資格なんかない、と。

主役二人の他、出てくる登場人物がみんな曲者揃いで、突き抜けた人物設定がまた海外モノの面白いところ。
オブラートに包む日本人文化とは違い、明け透けに語るとこが読んでいて飽きない。

最後はまとまってコンビ復活!
まだシリーズはあるようで、楽しみです。

5

製薬業界の裏を描くシリーズ第1巻

モノクローム文庫からまたまた面白そうなシリーズ邦訳が刊行されました。
本書の原題は"Diversion"で、シリーズとしては"Diversion Book"というシリーズ名で現在5巻まで出ているようです。

舞台は米国フロリダ州。
南東部薬物捜査局(SNB)のエージェント・ラッキー(攻め:35歳、167cm)は、新人エージェント・ボー(受け:31歳、183cm)の面倒を見ることに。
堅物エリート風のボーが気に食わなかったラッキーですが、彼の見事なケツ(!)にノックアウトされ、彼を口説くことに。
更に、相棒として生活を共にするうち彼の辛い過去や内面の優しさを知り、本気で恋に落ちていく…というような展開。

ラッキーは、小柄な体格に似合わず武闘派でタチ(リバありますが)だったり、
仕事では切れ者なのにモノローグでは下ネタやジョークばかり吹かしていたり…と、なかなか愉快な人物。
若い頃はドラッグ組織のボスの愛人(受け)をやっており、彼を裏切り生き延びた過去や、周囲に前科者扱いされる現状に人知れず苦しんでいる繊細な面も。

ボーは、元海兵隊員で薬剤師の資格を持つ男。
戦地でのトラウマから抗不安薬依存となった過去があり、今も薬の誘惑と戦っています。
少年期に虐待を受けていたトラウマも抱えていますが、そうした過去に負けないタフで優しい心の持ち主です。

辛い過去を持つ二人が互いに支え合い、心を通わせていく…という展開自体は非常に王道ですが、二人のテンポの良い掛け合いが面白く飽きさせません。
ボーの食の好みや運動習慣等が後々明かされる彼のバックグラウンドの伏線となっている点も上手いと思いました。

二人とも薬物関係で後ろ暗い過去があり、強さと弱さを併せ持つ人物として描かれているため、ワンシーンだけあるリバの場面も自然に感じられました。
ちなみにベッドシーンは(一つ一つは短いものの)それなりに多く、ラブ度高めです。

ストーリーとしては、製薬業界の裏側を暴くような描写が興味深く、今までにあまり読んだことのないテーマの作品として楽しめました。
製薬会社への査察、悪徳クリニックへの潜入捜査など、一つ一つの任務の過程が丁寧に描かれており、激撮!密着SNB24時とでも命名したくなるようなリアル感があります。

楽しく読めたものの、この1巻でラッキーとボーはラブラブになり、ラッキーの心配事もあらかた片付いてしまったので、続編がすごく待ち遠しい!という感じではないかも。
しかし、面白いテーマの作品であることは間違いないので、2巻以降の邦訳も楽しみです。

12

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