――一緒に帰ろう、幸成――

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表題作猫の笑う、幸せの棲家

藤代焔,受の祖父の養子
藤代幸成,アヤカシが見える大学生,21歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

人ならざるもの『アヤカシ』の姿が見えてしまう藤代幸成は、特殊な力を身に宿すゆえ出口のない絶望の中を彷徨っていた。倦んだ日々に苦しみもがき続けていたある日、幸成のもとを焔と名乗る青年が訪れる。焔は、幸成が幼い頃に離別した祖父、敬三の養子だった。初対面にも拘わらず、自分達は共に暮らすべきだと頑なに主張する焔。幸成は焔の熱情に流されるまま、かつて暮らした故郷の家に戻るが……。

作品情報

作品名
猫の笑う、幸せの棲家
著者
綾ちはる 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778120979
3.1

(18)

(1)

萌々

(4)

(10)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
53
評価数
18
平均
3.1 / 5
神率
5.6%

レビュー投稿数9

自分の読み方は間違っているとは思うのですが

電子書籍で読了。挿絵(「あれあれ?口絵がないよ」とがっかりしていたら、カラーイラストが巻末にありました。たいそう美麗)あとがきあり。

綾さんの書く不思議な話は好きです。
どこが良いかと言えば、つじつまが合わないところが好きなんです。
説明できないけれど説得力がある。どうしてそういう現象が起きるのか全く分からないけれど、結果としてこの様な状況になってしまうことに納得がいく。そんな部分に惹かれます。

今回のお話の主人公達はアヤカシということで、とんでもない不条理を見せてくれるんじゃないかと勝手に期待を高めちゃったのが悪かったのかも知れません。
なんか『すんなり』終わっちゃった感じで。

LOVE方面も、焰の一途さはとても可愛いのですけれど、ゴメン、どう読んでもうちの犬を思い出してしまって(化け猫なんですけれど)。みずかねさんの美しいイラストがあるのに、頭に浮かぶのはうちの犬の絵面なんです(あああああああ!)。結果、上手くお話に入り込めないまま読み終わることに。

それでも「面白かった」と思ってしまったのは、二人の女性(!)が異様に印象的だったからなんです。
一人は土地神の眷属の狐。
もう一人は拝み屋の小野原加奈。
『恋する者が一番でそれ以外には執着が大変薄い』という、人とは異なる愛のあり方を持つアヤカシや、人を呪うということを仕事として行い、生き死にに対する考え方が倫理とは異なる能力者の科白が、やたらハードボイルドで「なにこれ、カッコイイ……」となっちゃった訳です。

すみません。
この感想、BL読みとしては間違ってますよね。申し訳ない(反省)。

1

どうにも切なくて

幸成(受)や焔(攻)の視点だけでなく、状況が分かりやすく、本の厚さの割に読みやすい作品でした。

アヤカシというファンタジーの世界観にもすんなり入り込めましたし、悪役も出て、ピンチもあり、どういう決着に落ち着くのか気になって、あっという間に読んでしまいました。

問題は解決してハッピーエンドではあったのですが、幸成の母親が不憫で悲しすぎて…。どうにもその辛さを引きずってしまい、読後には安堵より切なさが強く残ってしまいました。終章の幸せな光景では払拭できなかったです。

登場人物たちの薄幸な内容に、みずかね先生の繊細なイラストが雰囲気にぴったり素敵でした。
小さな幸成の笑顔が可愛らしかったです。

1

健気攻めだわ、この猫わんこ

みずかね先生挿絵狙いでget。ほわわん表紙なのに、あらら妖ものだったのね。
しかも前半はかなり本格的!!!
やばい、夜トイレ行けなくなる系じゃん、どうしよう!!と思ってたら
(別先生のみずかね先生挿絵の怖い系も読めない私)
助かったー、ほんと、猫わんこが救ってくれた~最後まで読めました!
&猫わんこのおかげで 夜トイレも行けますよん、読後感よし です。
ちょっと怖い目でも大丈夫な方で 健気攻め!がお好きな方はどうぞー。
あ、受けさん、眼鏡君です!
(みずかね先生の眼鏡君 私が見つけたのは多分3人目。
 しかも最近の作品多し。偶然か)
それから、女子も少々出てきますのでご注意。

挿絵話~
カラー口絵は二人のキスシーン(着衣)問題なし!
イタしておられるところは最後の2枚。
前半眼鏡君だったけど、後半は眼鏡なしくん(だて眼鏡だったので)。
いちばん好きな絵は、小学生の眼鏡受け君 猫ちゃん撫でるの図。
やっぱ先生のちみっこは癒される・・・・

登場人物 結構いろいろ出てきます
受け:妖見えちゃう大学生。「黒いの」に夢の中で襲われ続け、限界間近。
受け母:いじめられる受けを見かねて爺さん元から転居。3年前に自死。
    同じように黒いものに飲み込まれて自殺したと受けさんは思ってる。
受け爺さん:半年前に死亡。資産家だった模様。
      どうしても住んでたところから離れたくなかった。
日笠:力ある政治家。受けさんに仕事を依頼する代わりに金銭面全てを負担。
攻め:受けさんの爺さんの養子。浮世離れした美青年。
   爺さん家に受けさんと住むべく、受けさんを迎えに行く。
   一緒にいたいと強く願う。
ヒボエ:受けさんが小学生時代に可愛がっていた野良猫。真っ白猫。
家鳴:やなり。小さいヒト型で 家、家具なんかをみしみし鳴らしちゃう妖。
   めっちゃ人間くさくなってるが顔は爬虫類系らしい。
   ブロッコリなんかも食べる(爆)イグアナを連想しちゃうよう。
   お話の突っ込み役、進め役 担当。
鴉:土地神の眷属。なんだかんだいいながら 見守ってくれてる。
  人型になったら黒スーツ イケメン。

中盤で 受けさんに大事件発生し、攻めさん行方不明に。もうどきどき。
ちゃんと二人して家に帰れるのですが、読んでるこっちはハラハラでした。
こういう息詰まるお話って久しぶりに手にした気がする。。。。
私は受けさんの追い込まれ感にシンクロしちゃったのと、
女子が出てきてもへーきなので、評価は神寄りに近い萌2です。

強ーい「一緒に居たい」って気持ちって、恋っていうより
愛情という言葉が似合う。
家っていうワードに、改めて いいわと思った作品でした。

0

登場人物の行動が上滑るかな

綾さんの新刊は妖物。
ただ申し訳なくも中立にさせて頂いています。

**********************
受けの幸成は21歳の大学三年生。
亡くなった母から受け継いだアヤカシを見ることのできる目を使い、人を殺めることで生活しています。

攻めは、幸成の祖父の養子だと言って現れた焔。
幸成が子供の頃世話していた野良猫で、実はバケネコ。
**********************

うーん、今までの作品の中で一番ハテナが多かったかなぁ。
焔が幸成に執着したり好きになるのはまあわかるんです。
孤独で人間に対して夢も希望も持ってなかったところに現れたのが、純粋な子供だった幸成だから。
でも幸成の方がわからない。
というか、こちらに納得させてくれないまま進んでしまいます。
え?いつ焔のこと好きになったの?という感じで、完全に置いてけぼりされた気分になりました。
そして脇役の鴉もわかりづらい。
格が上で種族も違う焔へ執着する辺りも書かれていないので、台詞だけでそれを察することになります。
もちろん視点が鴉ではないので、ある程度は仕方ないのかなとは思うのですが。

厚みもある作品なのに、心の移り変わりにページを割いてもらえないのがひじょうに残念…
話の内容がというよりも、話の進め方や登場人物のえがかれ方が綾さんの作品らしくないなあと感じてしまいました。
綾さんは日常に不思議な出来事を織り交ぜるのがとてもお上手なのですが、殺し屋(まずこの単語がひじょうに浮いてます)稼業についてもさらりと触れられるだけでその場面は書かれていませんし、序盤に出てくる女性の再登場の仕方にしてもメインの困難を解決する方法にしても、モヤモヤさせられることがあまりに多かった。
楽しみにしていただけに残念です。

3

アヤカシと人間が家族になるまで

小さい頃からアヤカシを見ることができ、そのため辛い目に遭ってきた受け。母を亡くし、1人で暮らしているアパートに、ある日絶世の美青年が訪ねてくる。彼は受けの祖父の養子だといい、家族として一緒に暮らそうと言い出すが…。


訪ねてきた美青年が攻めなのですが、最初受けがシモのゆるい生活をしているし、訪ねてきたのが美青年だったもので受け攻め逆だと思っていて、それを脳内で修正するのに時間がかかりました。攻めならいいというわけでもないですが、受けが女性と一夜限りの付き合いを繰り返しているタイプだというのにはあまり萌えられませんでした。
そのことを含め、受けが割と考えが足りないというか浅はかというか、もうちょっとどうにかなったでしょうよ、と諭したくなるようなおバカさでした。言ってしまえば受けの祖父や母親も、言葉と考えが足りないせいで大事なものを失う人たちで、家系かな? という気も。
攻めのほうは、正体は読者には割と早くに明かされるのですが、猫のアヤカシなのですね。なのに性格はワンコ。超ワンコ。健気で、受けが大好きなのですが、これ家族として受けを好きなだけじゃないの…? という感が否めませんでした。唐突に「これが恋…⁉︎」とビビッときていましたが、家族としての執着がどのように恋愛感情に変わったのかがいまいちよくわからずじまいでした。

最後の方の展開には泣かされてしまったし、とってもいいお話だったのですが、BLとしての評価は萌です。普通のファンタジーノベルとか、友情少年マンガの原作とか、そういう作品だった方が自然な気がしました。

2

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