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花嫁とは名ばかりの“生贄”として捧げられ……。
きょう先生おっかけで購入。シリアスせつない、どファンタジーで、攻め受けともキュんとするポイントが無かったので申し訳ないです、中立です。お菓子、パン等の表現は通常通りめっちゃ美味しそうなんですけど。本編230pほど+あとがき。
10歳の時に両親が亡くなり祖母も亡くなって、借金返済のためにアイルランドの港町で娼館の下働きをしている紫生(しお)。ある日借金を肩代わりするから獣王の嫁として妖精の島へ行ってほしいと頼まれ・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
コナー(執事)、ミアン(妖精猫)、悪党少々ぐらい。
++以下、よりネタバレ
衣装、花々、居住空間を始めとする周りの風景描写が細かくってとっても素敵。そして何よりえれな先生のお菓子、パンに関する記載って天才的だと思うんです。今作も塩バターパンだの各種タルト、ケーキ類の豊富な事。食べたいよう。
そして設定が超ファンタジー。無敵スペイン艦隊の時代のスペイン人さんの亡霊が100年に1度目を覚まして、楽しい想いをさせてあげないと人間界に悪い事しちゃう!なんて、もうびっくりさんです。冥界の王となって彼らを見守る役目を負わされている攻めさんも、ちょっとお人よしが過ぎるというかなんというか・・・
そんな訳でひたすら健気な攻めさん。彼を、これまた純粋無垢、まっすぐ生きてきた健気受けが助けるという感じのお話でした。エロさありのお伽話といったところでしょうか。せつなさまっしぐらなお話が大好きな方はいいのではないかと思った一冊でした。
華藤先生といえば!といった感じの、外国をモチーフに描かれた作品。
沢山取材をされているのかなと思うほど、ヨーロッパの風景を描くのが本当にお上手だなと。
今作は史実も織り交ぜた現代ものとの事ですが、どちらかというとファンタジー寄りのおとぎ話です。
個人的になのですけれど、華藤先生のお話はひとつひとつの設定がとても魅力的なものが多いように思います。
なのですが、魅力ある設定が混雑してしまい後半失速してしまうパターンと、すっきりと良い塩梅で収まっている良作パターンの両極端な気がするのですよね。
これがまた途中までは本当に面白いので、読み終えるまではどちらに向かうのかが分からないので読んでしまうんです。
しかしながら、今作はやや混雑してしまっているパターンかなと感じました。
健気で他者を思いやる気持ちを忘れない心根の優しい主人公には好感が持てますし、恐怖の対象として恐れられていた獣王は、実際は悲しくも優しく健気な人物…と、好感度の高い2人なのです。
一貫して紳士的な態度のキリアンが素敵。
紫生の不遇な日々とキリアンの悲しく不憫な呪いの部分もあいまって、2人が出会ってからの甘さ漂う優しくて穏やかな幸せな日々に心癒されます。
お菓子作りが上手な紫生が作る作中に登場するケーキの数々はどれも美味しそうですし、城に入るまでの7日間にケーキを作って供えては、そのお礼に翌日置かれた果物を使ってまたケーキを作るシーンが好きでした。
幼い頃に湖で溺れかけていたのを助けてくれた妖精に届きますようにと、ケーキをバスケットにのせて湖に流すシーンも、その裏側の種明かしも展開は読めてしまうものの良いエピソードなのです。
400年もの間を孤独に生きて来たキリアンが諦めかけていた感情。
そんな彼に希望を抱かせてくれた紫生という存在。
実は一途な攻めが待ち望んだ再会ものだったという、もうとてつもなく素敵な設定だというのに、終盤のかなりの駆け足さと設定の詰め込みに埋れてしまっているのが本当に惜しいのです。
残りのこのページ数でどうするんだ…?と思っていると、最後はおとぎ話らしいハッピーエンドでした。
本当に素敵なエピソードや設定が多かっただけに、お話がの良さがあちこちに分散してしまって残念に思いました。
アイルランドを舞台にした、謎の多い獅子の化身と、健気で薄幸な少年の恋のお話。
モフモフの王様と薄幸な少年の取り合わせ、海外の各地の色々な伝承風味は、近年の華藤えれな作品の定番パターン。
今度はどこの国の、どんな伝承がモチーフになっているのかって所を楽しみにして新刊を買う訳だが、実のところ、つい後回しにしちゃうと、どれが未読で、どれが既読か、、、ま、そんなこんなで、発行から1年以上経ってしまった。
今作の攻めの獅子の化身のキリアンは、とっても健気で一途なスパダリだし、今作の受けの生贄の花嫁の紫生は、愛された子ども時代を持っているので、人にも惜しみなく愛を与えられるしで、作品全体の雰囲気はいつもに増して甘々です。
この手のファンタジー系の作品って、やっぱり好きだわ。
妖精島に住むという獣王に嫁ぐことになった紫生。恐ろしいとされる獣王に生贄として捧げられるとわかりながらも、天涯孤独であと数ヶ月で娼館で身を売らないといけないといけなかった紫生は、頷くしかありませんでした。けれど、そこにいた獣王は、噂に聞くような恐ろしい人ではなく、優しく健気な人だったんです。紫生を大事にしてくれる獣王キリアンに心を惹かれるけど、キリアンは紫生が本当に期待しているようには触れてくれない。そこには理由があったんですが…。
キリアンも、紫生も、一生懸命相手を想って、健気で切ないです。キリアンがようやく解放されて良かった。終盤が切なすぎて、これは…と心配していたのですが、無事ハッピーエンドで、心底安心しました。可愛くて切ないおとぎ話。健気な2人の時間が、少しずつ、静かに進むお話でした。
久しぶりにアホの子萌え、健気萌えを楽しみました。
受けの子が、とにかくバカ正直だし、健気だし、あわれなほど。
正しく健気だったようなきがします。
いちおう現代ものらしいんですが、アイルランドが舞台のせいか、中世っぽいふんいきまんさいだし、おとぎばなしBLとはこういうものかもしれません。さいごに攻めがもどってくるところも、まさしくおとぎばなしチックだったような。
怖れられている呪いの原因だと思われていた攻めが、実は最大の犠牲者であり、生贄であるというラストの謎がとけるあたりもカタルシスがありました。
そんなわけで、やっぱり華藤えれな先生ってうまいな、と久しぶりに思わせてもらいました。ときどき、こういうヒットが出るので、どうしても手に取ってしまうんですよね。