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緑土なす きみ抱きて大地に還る

ryokudonasu kimi idakite daichi ni kaeru

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表題作緑土なす きみ抱きて大地に還る

今世王(レシェイヌ),異能持つ最後の王,26~27
足弱(ラフォスエヌ),今世王の庶子の兄,36~38

その他の収録作品

  • 祝詞にて若葉に命ずる
  • あとがき

あらすじ

◆誰もが認めるWEB発BLノベル屈指の傑作がついに書籍化!◆
王族に死をもたらす〝王室病〞にかかった今世王レシェイヌ。
王族命の家臣一族「灰色狼」は足弱も王室病に感染することを怖れ、無理やり隔離する。
「看病したい」と足弱がどんなに抗っても、今世王と灰色狼の意志は揺らがなかった。
だが、今世王の病を知って、ラセイヌの支配に野心を燃やす男がいた。
大臣カゴノオ家の長子アルゲは卑劣な手口で、灰色狼たちの手から足弱を拉致する。
足弱を想い病と闘う今世王、監禁された足弱、命を賭けて王族を救おうとする灰色狼の運命は!?
WEB発BLノベル屈指の傑作、ここに完結!
【書き下ろし】今世王と足弱、灰色狼たち……彼らのその後を描く「祝詞(ほぎごと)にて若葉に命ずる」を収録!

作品情報

作品名
緑土なす きみ抱きて大地に還る
著者
みやしろちうこ 
イラスト
user 
媒体
小説
出版社
リブレ
シリーズ
緑土なす 黄金の王と杖と灰色狼
発売日
ISBN
9784799732939
4.6

(152)

(119)

萌々

(19)

(7)

中立

(1)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
12
得点
693
評価数
152
平均
4.6 / 5
神率
78.3%

レビュー投稿数12

壮大なストーリーに、ページをめくる手が止まらず

ちょっと、もう…読後すぐの今、言葉が出てこない…!激動すぎる2巻の展開に、1巻以上にページをめくる手が止まらず。
今日出かける用事があったんですが、駅まで歩いてる時間すら惜しくて早く読みたいと思うほどの、内容の濃さでした。

やー…こんなすごいスケールの物語、どうやったら思いつくんだ。。

レシェイヌの発病とそれによる足弱の避難、そして家臣の裏切りと拉致、奪還ー

1巻では出てこなかった「悪役」たちが炙り出されるように出てきてハラハラしつつも、最後にはスカッと成敗されてグッと拳を握りました。

色々、感じたことはある(はず)なんですが、なんといっても自分の中では、水明ーーーー!!!!( ; ; )

もう、もう、”従者の、主への献身”大大大好きな自分にとっては神がかった存在だった……
7年。7年間、辛い辛い環境で隠れた仕事をしてきながら、思いがけない危機によって足弱の世話を一人で焼くことになったことを「僥倖」と言ってのけるなんて…もう、これは一つの「愛」だよね、と、感動で涙が溢れてきて、しばらく次のページに進めませんでした。。

最後の「完」の文字を見て切なくなりましたが、これ、続刊まだ何冊かある!ということに気付き、早速3巻もポチ。

夜を徹してシリーズを読み耽る日は、まだまだ続きそうです。。はあ、楽しみ。

0

<水明>さんと<眺望>さん熱い…!

本筋ではなくちょっとズレた所に1番の萌え(燃え)を感じている自覚があるんですが、私は灰色狼達が大好きで、実はレシェイヌラフォスエヌカップル自体にはあまり萌えていません。
もちろんこの2人の、王族という確固たる立場と異能と関係性があってこそ、周囲の人物にも相関図が成し得る訳で、土台としてとても重要で必要不可欠な物を担う2人だという事は理解できています。
ただ、個人的な趣向を言うと見た目もあまり好みとして刺さらないタイプで、性格も刺さらない(足弱の優しさや人間性を素敵だと思っていますが、ラブというよりライク)状態で手に取った作品だったりします。
ファンの方々にはなんだこいつと思われるかもしれませんね。
そんな訳で、お楽しみな筈の性行為シーンも前のめりでは読み進めておらず、寧ろ分かったよ、お腹いっぱいだよ~ってなりがち...ゴホゴホ。
なのにそれ以上の魅力があるんです。
お上手だな面白いなー!と、一作ごとにすごく滾る山場が存在しています。
それは私にとって脇キャラたちにスポットが当たっている時だったり、恋愛話ではない王族の話の時だったりします。
間違いなくBL小説なのですが、そこを目当てに読んではいません。
すごい小説だなと改めて思います。
灰色狼達の思い、その身を賭けた王族への敬愛、親心にも近しいような優しい気持ちたち、それらに胸を揺すられ読み進めています。
なんでここで涙腺にくるかな?って自分でも驚いたりしたのですが、その思いにやられて目頭が熱くなったりするんてす。

本作では<水明>と<眺望>がラフォスエヌを逃がそうと剣を振るい血の雨を降らせる戦闘シーンが躍動感満載であまりに熱くて。
面白すぎてページをめくる手が止まらなくなりました。
逆に言うと、レシェイヌとラフォスエヌのシーンに戻るとページをめくる手が遅くなるのが緑土なすの私の通例のようで、本作もそうなりましたが。
2人に全く興味がないわけではないのです、恋愛要素にあまり惹かれないだけ...書き下ろしの名付けのシーンは素敵だったなぁ。

脇キャラといえば、ワンさんもとてもよかった。
いつも穏やかで聡明で親切な人だけど、心のどこかで文系の人だから力技(暴力)には弱いのかもと思ってしまっていたのかもしれません。
ごめんねワンさん...身を捨てた決死の行動に胸が熱くなり、彼はどこまでも筋の通った人間性なのだと知らしめられました。
今回かれは痛い目にあってしまったけど、春の予感を感じる出会いがあったのでうまくいけばいいなぁと思いました。

海老にしてもオマエ草にしてもこうやって話が繋がるのかと考えてもいなかった展開で繋がっていくのも楽しかった。

このお話にハマる人は、ど真ん中の完全なBL読者というよりも一般作の小説も沢山手に取ってこられた方々なのではないかと私は思います。
こんなに脇キャラにスポットを当ててそのキャラの心情や目線に切り替わる作品は珍しい。
場面転換の時系列が行ったり来たりして読みにくい時もありますが、そんなことよりそのことを掘り下げて読ませてもらえることに価値があると思う作品です。
私は脇キャラたちが大好きです。
選べないくらいどのキャラも好き。
特に好きなのは<命>さんかな。

今頃読み出した新参者なので、こちらの作品は既に5巻まで出ていたため、まだまだ続く長いお話なのだと思っていたのですが、この巻で完結だそうです。
本編は完結で、残りの巻は番外編などのファンブックのような本なのかな?
本編よりも番外が長いというのも珍しい。
私のような脇キャラが好物な者にとってはありがたいお話が詰まっているようなので、楽しみです。

2

灰色狼たちの献身ぶりが泣ける

サブタイトルと一巻の不穏な終わりから、不安になりながら読んだ。前半に一度ピークを迎えて残り半分どうなるかと思ったら、最後に老人との決着が描かれていた。気になっていた点が綺麗に埋まり、読後の満足度はとても高い。

一巻から引き続き、灰色狼の魅力に引き込まれる。万が一に備えた全国各所への潜入とはトンデモ設定……と最初は思ったが、徐々に納得させられ、展開の面白さにどうでも良くなってくる。それどころか灰色狼たちを全力で応援し、献身ぶりに感涙するまでになっている。特に後の水明の独白が好き。

視点はいろんなサブキャラに移り、視点主が足弱を理解する過程とともに伝えられるので、主人公の様子と周囲の反応が同時に分かるのが楽しい。灰色狼視点はどれも王族に好意的な解釈がなされており、読んでいて癒やされた。
また変な感想だが、前に出て来た事柄との矛盾があっても、それぞれのキャラの推測だからと言い訳が成立していて、上手いと思った。

足弱は相変わらず頑固で、自分でできると言い張り転んで手を焼かせることを繰り返す。この行動はまさに老人といった感じで、育ての親の影響力を思わせる。
足弱を拾い育てた老人の心境は今世王の推測でしか語られなかったが、少々驚いた。こういう形の人間の浅ましさがファンタジーラノベで描かれるとは思わなかった。

洗脳が解かれたというか呪縛から逃れたというか、戸惑いながらゆっくり変わっていく足弱と忍耐強い今世王と献身的な灰色狼で迎えるエンディングはほろりと泣ける。一巻で印象的だった死の大地からの吉報があのタイミングなのも、涙腺を刺激してきて良かった。

BLとしては足弱と今世王のお話だけど、なにより灰色狼という魅力的な一族に惹かれた。二人には、王族の喜びを糧に生きる彼らのために幸せになって欲しいと願わずにはいられない。面白かった!

1

もう助からないかと思った

全4巻のストーリーかと思ってましたが、2冊で完結作品でしたね。
この本の前半が辛い展開だったので、この先も厄災が降りかかるのかと思い不安でした。

レシェはもう助からないと思いました。ハピエンの筈だから病気は治るはず!と信じながらも、読み進めました。
遺書を遺し、そして灰色狼に対しての言葉を遺した時、王と灰色狼の繋がりの深さに涙が出そうになりました。
なんて素晴らしい尊い関係なんだろう。
それからこの実り多いこの国にも悪いことを考える奴って居るんですね。この作品には良い人ばかりが出てくるので、アルゲが憎くて吐き気が出そうでした。他の作品ではこの程度の悪人はよく見かけるはずなのに、この本の世界は優しい人で溢れてたので本当に衝撃的な憎らしさです。
コクも可哀想だけど、自分の心を殺してアルゲの悪事に加担したりしたヤクが可哀想。でも足弱を支えることが出来て良かった。
今までの辛さを帳消しに出来る幸せであったら良いなと思います。
足弱の心情もわかりますが。
レシェが死にそうな時は会いたいと言い、会えないとわかると怒るくせに、山に戻ったら都に帰りたくないなんて。
足弱の気持ちはわかります。王族でもないのに王族として扱われる事への不安。老人を裏切る事を行っていることの背徳感などは分かるけど、レシェや灰色狼が可哀想。
山の家でのほぼ強姦のレシェの行為。レシェの気持ちが辛くて辛くて。
あと、老人は足弱がラフォスだと知っていて隠していたのか。見つからないわけだね。
知っていて王族を悪しきものとして教えていた。有り得るかも、と思いつつ、衝撃的な事実でしたね。子供の時の服が大切に隠されていたと知り老人の迷いも伝わった気がしました。
小屋が壊れてこそ見つかった王族の証。
苦労して山に行ってよかったね、レシェ。
まだまだ書きたいことはありますが、長くなってしまいました。
とにかく灰色狼素敵です。
彼らが幸せになるためには王族が幸せでないと!
あとワンさんにも幸あれ!

2

創りこまれた世界観は魅力的

三冊目まで読了しました。

一巻のレビューにも書きましたが、主役二人(今世王と足弱)にはあまり共感出来ませんでした。こちらの常識から外れた存在なので、なんと言うか、そういうものだと理解するしかないというか・・・・・・描写は丁寧なので、二人の心の動きは納得できます。
共感できるのは、王族に仕える<灰色狼>と呼ばれる一族、王族が心煩わされずに幸せに暮らせるように日々心を砕く者たちです。読んでいくうちに彼らに共感し、彼らの目線で王族の幸せを願いながら読んでいました。

正直なことを言うなら、そこまでハマりませんでした。
ただ物語は読み応えがありました。世界観がしっかり出来上がっていてブレません。小説が好きなら一読の価値はあると思います。

王族二人が幸せにその寿命を全うして欲しいと願うと共に、王族が全て絶えてしまった後の世界が気になります。残された<灰色狼>たちはどうするのか・・・ここまで世界が創りこまれているのなら、おそらく作者様の頭の中には後の世界も存在するでしょう。幸せな物語として終わるために書かれるつもりはないのだと思いますが、王族たちの記憶が歴史となった世界も覗いてみたいです。

1

緑土続け!

ファンタジーは苦手だけど、サンプルを読んでみたところすっと物語に入って行けたので、3冊購入し一気読み。
異国の時代物を読んでるようで楽しめた。
近親婚も地雷だけど、この一族の場合、寿命が150年あり異能で近親者がいないと衰弱していくという、もう違う種類の人間で、常識と本能が違うんだろうと理解できた。
主役2人以外の様々な視点で物語が進むので、登場人物それぞれに愛着が湧いた。
灰色狼は全員好感持てるけど、特に水明が気に入った。
この水明が長官になるのかと、2人の結婚式が気になるので続きが読みたい。
近世王がオマエ草を飲むシーンは、自分は死にかけているのに足弱への愛のために飲むというシリアスなシチュエーションなのに笑えた。
今世王は、足弱が汚い言葉をなにひとつ知らず使わないことをかわいいと思ってるけど、それは確かにそうだろうと思うし、自分の言葉遣いを改めようと心に誓った。
それにしても「木漏れ日」は素敵な名前。響きが温かくて優しい。

4

いろんな人の地雷を踏み抜きそうな設定ではあるけれど…

WEB小説を巡り巡って辿り着いたのがこの作品でした。BLはどちらかと言えば苦手で、でも時間があるし評価も高いし…と軽い気持ちで読み始めました。
主人公たち以外の言動や思考も事細かに描写されているので苦手に感じる方がいるかもしれませんが、私はライトノベルのテンポのいいお話より、深く掘り下げてくれる作品のほうがより好きなので(ライトノベルも好きですが)気づけば寝る暇惜しんで最後まで一気に読んでしまいました。

足弱の倫理観は現在日本の価値観に似通っており、その複雑な心境は理解でき感情移入しやすいなあと思いつつ、私は灰色狼と同じ気持ちで今世王と兄上様を見守るタイプでしたが。それに、兄弟もの、無理やり表現あり、中年受(しかも平凡)などなどいろんな人の地雷になりがちな設定(かくいう私も近親〇姦ものは苦手です…)ではありましたが、足弱がそれに葛藤し、最後までその倫理観を覆すことはなかったのがよかったです。ノンケ受けは数多く読んできましたが、足弱以上のノンケ受けはもう出会う事がない気がします。

WEB版ではあまり気になりませんでしたが、ほかの方が仰るように、確かに上巻は動きが少なく飽きてしまうのも理解できます。何人かの友人に勧めて見ましたが、文章が固くて…とか、ライトノベルのテンポのいいお話になれてる方にはとっつきにくいのかなと思います。たぶんめちゃくしゃ好き!はまる!が、途中で読むのを諦めるかのどちらかに分かれやすい作品なのかな?とも思います。ですが、WEB時代も二次創作(公認)されるほどの人気作が満を持しての商業に登場だったので、うれしくて上下巻とも三冊ずつ購入するくらいうれしかったです。
特に下巻に収録されている番外編は、WEB版からのファンからしたら、それがけで買う価値ありです!!!!!!!上下巻のお話すべてがあのお話へたどり着くための伏線!!!

この作品に出会って私は腐落ちしてしまいましたが、後悔はありません(笑)

7

どっぷり。

1冊目を受けて、よりドラマティックに展開する続編。ボリュームのある作品ですので、(特に前作では)ちょっと冗長かな?と感じるところも正直あったのですが、今回は伏線を回収したりしつつお話的に盛り上がりました。

ただ、時折顔を出す軽めの表現(文体)は、笑ってしまいはするのですが、個人的にはせっかくこの物語世界に浸っているのに現実に戻されてしまうような感覚もありました。終始かための文体できっちり描写してくれる方が好きかな。(これは、あくまでも個人的な好みです)

「WEB発か〜」と期待しないような気持ちも最初はあったのですが、読んでみてよかったです。時間的なゆとりのある時にどっぷり読むのに適した物語でしたよ。

4

ピュア兄上が良い

面白かった!何と言ってもこのボリュームが神です。読みでたっぷりで夏休み読書にピッタリ。では腐った読書感想文書きます。

とは言ってもこの分厚さで二段書きの量なので上巻の後半には「このエビアレルギーの話必要?」とかちょっと思ってしまったのですが、下巻で納得。結構重要エピソードでした。他にも後から色々伏線がきいてきて、読みながらワクワクさせてもらえます。文芸作品並みにストーリーが壮大で、BLのお楽しみもたっぷりつまってて何ていうか・・・映画化してほしい。エロいので一般上映絶対無理なんだけどそれくらいドラマティックです。

キャラクターは受けが文明から遠い山奥で育った(でも教育は受けている)36歳ピュア兄上(童貞)。攻めは金髪碧眼美丈夫の25歳弟君。異能の力を持つ王族で近親相姦でしか性交できない(でも同性間はあり)という変態・・いや特殊な一族です。

そんな二人のでこぼこカップルなんですが、兄上がとにかくピュアで可愛い。素朴で人を罵るような言葉を知らない。見た目は地味で年相応というか山奥で苦労して育ったので年上にすら見えるんですが人としての品格があり、出会った人々を魅了します。エッチの声が相当色っぽいらしいです。

弟は見た目も王としての資質も完璧ですが、兄上の前ではただの獣です。待てのできない犬です。二人のエッチは終始兄弟で「ここではやめろぉ!」「兄上えええ!ハアハア・・・」って感じで微笑ましいです。下巻では弟が不治の病にかかり、兄にうつさないために二人が会うのを我慢して手紙での交流をするのです。その内容が泣けて感動するのですが、奇跡的に病が治り、どんな感動の再会をするのかと思いきや・・弟は嫌がる兄をいきなり畑で犯し、馬車で犯し、寝室で犯し・・・と精力絶倫です。本当に残念な性格のイケメンなんだけど・・嫌いじゃないです。王族と一般人のハーフのお兄ちゃんは体が持たなくて大変そうです。

他にも王族を侮辱されるとブチ切れる灰色狼という種族がいたりしてとっても面白いお話です。時間がたっぷりある時にぜひ読んでみてほしい作品です。

7

大いに涙

王室病…この病気のせいで多くの王族が亡くなり1人残されたレシェ。 まさかその病気にかかってしまうとは?! そのせいで2人が離れ離れになってしまうシーンとか、その間に起こる謀反で傷つけられる足弱に涙。 その後本当に2人が抱き合えるまでの期間もつらかったな。 レシェの気持ちに応えようとするも、やはりどこかで引っかかる足弱が自分を王族と認められてよかった。 もっともっとレシェに甘えればいいのにそれができないところが読んでて切ない。 こればかりは足弱の人柄もあるから、すぐにとはいかないだろうけど、今までの分すごく幸せになって欲しい!

2

愛の奇跡

前作に比べるとこちらの方が波乱な展開です。

死の病が発症したレシェイヌ。
自分亡きあと兄が最後の王族として利用されずに暮らしていけるよう整えようとするレシェイヌの心情や、感染予防のため看病することもできない足弱の慟哭が伝わってきます。
会いたくても会えない二人の書簡やどんどん悪化していく病に涙涙です。

それでも足弱が泣いてばかりじゃなくて、藁をもつかむ思いで提案した方法が面白かったです。
レシェイヌや側近たちの受け取り方や『喉がやったーやったー、舌がきゃっほー』に笑いました。

その後の王座を奪おうと画策する大臣との戦いを乗り越え再会を果たした二人に拍手を送りたくなりました。

幼い王族の庶子が行方不明になった事情やその後の推測が明かされます。
育ての親の残したものが偶然発見されたのには驚きました。
発見のいきさつはレシェイヌの愛の暴走の結果というのがらしいという感じです。

足弱が自分は本当に王族なのかという疑問や居所の定まらない想いに結論が出ます。
いろいろなことを乗り越えて心から結ばれ、これから二人寄り添って生きていこうという想いが重なって行くというのがよかったです。

10

前作が面白かった方は!

前作の「黄金の王と杖と灰色狼」では、どうも好き嫌いがハッキリ分かれたみたいです。
私の勝手な印象ですが、キャラクターにのめり込んで、些細なエピソードだったり、ちょっとした言動に至るまで楽しみたい方にはたまらない作品だと思うのです。しかし、しっかりとした構成で、ストーリーの完成度が高い作品を求める方には物足りないんじゃないかと・・・。今作も同じ雰囲気なので、前作で合わなかった方は止めておかれた方が無難だと思います。

しかし、前作で萌えた方にはとってもお勧め!前作の平和さはどこに行っちゃったの!?と言いたくなる程、次々と波乱の展開です。
レシェイヌは「王室病」に倒れ、ラフォスエヌは王位を狙う野心家(でも小者)に攫われと、ハラハラドキドキさせてくれます。
もう、離れ離れになりながらも、互いを想う二人が切なくて切なくて(T-T) ここに来て、一気に話が動きました。
そして波乱を乗り越え、やっと本当の意味で結ばれた二人。ラストの幸せな二人の姿にはホロリときました。よくぞここまでたどり着いた…!

「こう来たか!」と驚くネタバレなんかもあり、とても面白かった2冊目です。二人の寿命の違いを思うと、またちょっと切ないですが。
前作が面白かった方は、間違いなく楽しめると思います。

8

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