初のCanna×はらだ。衝撃の禁断愛、ついに解禁…。

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表題作にいちゃん

にいちゃん(近所のお兄さん)
ゆい
小学生→高校生

その他の収録作品

  • ゆい(描き下ろし)
  • カバー下:相関図

あらすじ

幼い頃、よく遊んでくれた年の離れた近所のにいちゃん。優しくて、面白くて、何でもくれる名前も知らないおにいちゃん。でも、にいちゃんに触られているところをお母さんに見られて、にいちゃんどこかに行っちゃった。にいちゃん、どこに行っちゃったの…?
BL界の鬼才・はらだによる初Canna Comicsがいよいよ発売!
「…ねえ、にいちゃん。にいちゃんのこと許して理解できるのは世界で唯一、俺しかいないよ?」

作品情報

作品名
にいちゃん
著者
はらだ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Canna Comics
発売日
ISBN
9784829685907
4.1

(963)

(625)

萌々

(120)

(63)

中立

(74)

趣味じゃない

(81)

レビュー数
128
得点
3868
評価数
963
平均
4.1 / 5
神率
64.9%

レビュー投稿数128

はらだ先生の最高傑作なのでは?

まず、扱っているテーマ的に、賛否両論あるとは思う。
だけどわたしは、すごく心が動かされた。

ネタバレしない程度で書くね。

何て言えばいいのかな、単純に「エッチなお兄さんが幼い男の子に手を出しちゃいました」っていう程度の話じゃないんだよね。
レビュー読んでると、結構批判的なのがあったりして、感じ方は人それぞれだから批判するのも全然アリだと思うし、大人が子どもに手を出すって性犯罪だからさ、
批判するのは間違ってはいないんだけど、この作品の本質はそこじゃなくてさ。


誰でも絶対に持ってる「誰かに受け入れてもらいたい」っていう欲求とか、
(それは、肉体的にも、精神的にも)
子どもの為にと良かれと思って「普通の価値観」を押し付ける親ごころとか、
自分をかまってくれる人をつい好きになってしまうっていう自然な気持ちとか、
人に言えない秘密を持っているからこそ他人の秘密にも寛容になれるっていうこととか、
理解し合えないなって人種(例えば家族とか)を簡単に切り捨てられる人とそうじゃない人がいるとかさ、

そいういう人間が持ってる色んな感情がめちゃくちゃ深ぼりされてて、それがBLになってるって所がこの作品のすごいことだと私は思うんだ。

しかもさ、女キャラがまたいい味を出してるんだな(笑)
ナイスキャラなんだわ(笑)


で、最初こそ、幼児に手を出した「にいちゃん」に嫌悪感を抱いたけど、読み終わると、不思議なことに、ここに出てくる人で誰一人として嫌いな人がいなくなるんだよね。
むしろ、そのにいちゃんすら愛おしく思えてくる。
きっとそれは、登場人物に色んな感情の幅があるから、その中のどれかと自分の感情がリンクする部分があるからなんだと思う。

言ってしまえば、心の感情の幅があったり、人生で色んな経験をしてきた人ほど、心動かされる作品なんじゃないかな。
(自画自賛してるわけじゃないけど)
逆に、経験してきた感情の幅が浅い人ほど、腫れものを扱うみたいに「これは犯罪!」って嫌悪感を示す作品なんじゃないかなと思う。
どっちが偉いとダメとかそういうんじゃなくて、読み手を選ぶなあと。

そもそも、男同士の恋愛とかセックスを主食としてるわれわれ腐女子が、子ども×大人になった瞬間「それは別!犯罪!」って目くじらを立てるのもなんだかなあ、と思うわけです。
好きな人に受け入れてもらいたい、愛してるって証明したいっていう感情に、年齢はないんじゃないかなあ。

本を手に取った最初こそ、同時発売されていた「やたもも」のついでに買ったようなものだった。
あらすじ的にもちょっと性犯罪チックな雰囲気だな、試しに買ってみるか、はらだ先生好きだし、みたいな。

1冊の完結ものとしては間違いなく今まで読んだBLで1番良かった作品。
途中目頭が熱くなって本気で泣きそうになったし、最後は子育て観というか、親とは、愛とは、みたいな深いことを考えさせられた。
もちろん、BLとして萌えたしムラムラもしたんだけども、これは
BLっていう枠を軽く超えている傑作だと私は思う。

130

警鐘を鳴らされているのは誰か

蛇龍どくろさんの「エンドレスワールド」や、槇えびしさんの「みずのいろ。」を読んだ時の衝撃に近いものがありました。

まず、「やたもも」と一緒に出たことが個人的には両出版社グッジョブ!と思っています。(はらださん自身がそう希望された可能性も高そうですが)
2作品を立て続けに読んだことで、やたももの2人を祝福出来て、にいちゃんの2人を祝福出来ない自分に「なぜ?」と自然な流れで疑問を沸かせてくれたから。

なぜにいちゃんの2人を祝福出来ないのかというと、それはもう単純に、私の目には2人の愛が「不健康」にしか見えないから。

そこにもう一度投げかけられる「なぜ?」
これはもう立ち止まって腰を据えてしっかり考えるしかなくなっちゃう。

本作品が問うているのは「まともってなに?」のその先にある
「「まとも」から外れた人間は死ぬしかないんですか?」ってとこだと思う。

この作品が児童ポルノを肯定しているものではないことは私もハッキリと書き残しておきたいです。
はらださんが作中でにいちゃん(景)の行為を肯定するようなことは一切ないし、むしろそこに愛があろうとなかろうとそれは犯罪になるのだとしっかり書かれていて、そんなことは知ってるよと断った上で、「大人と子供の愛はいけないことなのですか?なぜ?」と投げ掛けているのです。

この作品を通して警鐘を鳴らされているのは、自分の価値観を否定されることなく生きてこられた「幸運な」まともな人達の方なんじゃないかなと思うのです。

マイノリティはそのおかしな思考を「矯正」して、マジョリティに迎合するべき
(なぜならマジョリティの価値観こそが「正しい」から)
──本当に?
矯正できないのであれば、「異常」とレッテルを貼られることも致し方なし
(自分達が「正しくない」ことを目を逸らさずに受け入れなさい)
──本当に?

自分達が「正しくない」側になってしまったら、この乱暴な物言いを黙って受け入れられますか?
迎合を強要するということは「死になさい」と言っているのと同じことですが、わかっていますか?
と、物凄い殺傷力でグッサグサと刺しにかかってるセリフやモノローグの数々。
その熱量に圧倒されます。

題材がセンセーショナルであればあるほど感情的な賛否が巻き起こる裏で、ちょっと冷静に考えてみようかという人も増えると思うんですよね。
BL読者に「同性愛はいけないことですか?」と問い掛けても多分そんなに議論にはならなくて(実際「ネガ」の中でもはらださんは近しい問いを投げ掛けていると思うのだけど、良くも悪くもあちらは萌えBLとして消化されてしまっている)、「では小児性愛はどうですか?」ここまで投げ掛けられると、多くが子持ちであろう読者層的にも読み流せなくなる人がたくさん出てくる。
このご時世にわざわざこんな爆弾投げ込む意味は、そこに期待している部分もあるんじゃないかなって考えちゃう。

「マイノリティには自分らしく生きる権利はないのか」
はらださんが最後に出すアンサーが悲しいけれど、そこに寄せられる否定派の感想まで全部込み込みで、これが結局のところ現時点での「現実」なんだよな…彼等に精神安定剤(抗不安薬)を飲ませている原因の人達はその現実に気付くこともない。
せめて小さな世界で救われていられればいいけれど、現実はそんなに甘くはない。

自分の趣味嗜好は一旦捨て去って、5段階評価なら星5つ付けざるを得ない作品でした。

62

BLの壁ぶち破りすぎた気がする

めちゃめちゃ発売を楽しみにしてたはらだ先生の新作。
はらだ先生大好きなんですが、ごめんなさい今回はかなり酷評になってしまいます。
ネタバレもかなり含まれますので、見たくないかたはスルーしてください。








以下、私個人の感想です。
はらだ先生独特の異常感が好きでしたし、期待してはいましたが、ちょっと登場人物が異常すぎて読後感は「怖い・重い・異常」という印象でした。描き下ろしが・・・、あれがなければもうちょっとだけ軽く終われてたのに、描き下ろしでダーク感倍増しました。

普通のレールからはずれた彼らからして、まともってなにとか、普通の人に見えるようにしとけばいいんでしょとか、そんな感じの世界なんですけど、いくら背景にそういった思考に至るまでの経緯が描いてあったとしても、犯罪は犯罪だと思ってしまうんですよね。

少年だったゆいに手を出そうとしたにいちゃんの過去、自分が幼い頃に愛し合っていたオジサンがいて、そのオジサンが捕まって、だけど当時のその関係を自分の中で正当化する為に幼いゆいに声を掛けた、と。幼いゆいに行為寸前で逃げられゆいの母に見つかり軽蔑の目で見られ罵倒され、ゆいに憎しみを覚え、再開してから復讐の為に凌辱。ゆいは幼き頃にいちゃんにされた行為が忘れられなくて、すっかりそういった性指向に成長し、会えないにいちゃんに想いを馳せながら育ってきた為どんなことをされても受け入れる。途中で今度はにいちゃんが逃げ出して実家に戻り女をあてがわれて嫌気がさし、昔愛してくれたオジサンに会いに行くも、オジサンは自分の事なんかもうわからなくてショックを受け、結果ゆいに戻るっていう。そういう話の流れで総括すると、にいちゃんはゆいに対して、最後まで恋愛感情はないんじゃないかと思うんですよね。ゆいだけが唯一自分を受け入れてくれるから、ゆいに逃げてるようにしか思えない。最終的にはクスリで昔の明るいにいちゃんに戻って良かった、て。いや良くないっしょヤバいっしょとしか思えなかったし、最後両親には普通のリア充大学生の顔を見せたあとに帰り道でにいちゃんと同じように煙草とクスリをやるゆい。自分たちは間違っていないと言い聞かせながら。犯罪者が犯罪者を生むってことを言いたいのでしょうか。BLというカテゴリーではありますが、この本のテーマはちょっと違う方向にある気がしてなりません。何のためにBLを読むのか、BLに何を求めるのかは人それぞれだと思いますが、私が良いと思う基準は萌えるかきゅんとするか切ないか話がおもしろいか等ですが、お話自体は凝っていますが私が思っているBLの萌えとは違いました。これは性犯罪と薬物犯罪に至るまでの人間心理のストーリーだよっていう事なら素晴らしいと思いますが、実際そういうストーリーを求めて購入してなかったので自分の中でかなりショッキングでした。もちろん今作をBLとしてはらだ作品として素晴らしい!萌える!と思う方もたくさんいらっしゃると思います。否定する気はありません。あくまで一個人の意見としてこう思う人もいるんだな程度に思って頂ければ幸いです。

40

神レベル

このレビューに書く話かどうかはわかりませんが、少しだけ自分の実体験の話を書きます。実体験と作品を織り交ぜて欲しくないという方は読まずにスルーをして欲しいです。丁度この漫画が連載している時期に会社の上務に呼び出されて普通を求められたということがありました。私自体確かに性格的にちょっと変わり者として会社に認知されていて、それでもこの会社に受け入れていると思っていたのですが、指導が入り、何故か指導の場にいかにも女性社員らしい社員が同席して、その後病院に行く事を強制されたという事がありました。(女性社員の事は慕っているし、上務は良かれと思って進めたので悪くは無いです)ああそうか、成る程、と思っていた時に、この作品に出会い、一言一言が胸に突き刺さり泣いてしまった事を覚えています。よほど悔しかったんだなぁと笑

この作品は性犯罪は良いか悪いかに焦点を当ててるわけではなく、世間からズレたマイノリティを可哀想な目で見るわけでもなく、誰にでもある一般的な世間の普通に対するズレを固定する方が良いのかどうなのかという部分だと思います。わかりやすい性犯罪をただアウトサイダーの一例として使っただけなんだと思っています。ゆいの高校生という年齢だからこそなんでも出来るんじゃないかと思う事ができているその力、書き下ろしで付け足された少しだけ大人になってしまったゆいの現実に抗うことのブレが少しずつ出てきているシーンなど、はらだ先生の現実における抗いや突きつけは私の中では勇気になる作品でした。そしてはらだ先生らしい主観性を与えてくれるマイという人物は現実の中でキーを与えてくれていると思っています。

レビューを全て読んで賛否どちらもなるほど!と思うところがあり、とても興味深かったです。景の母親の顔が無いのは私から見たら世間の目という主観でした。あと、ゆいは薬を飲んでいたという人が多いのですが、私は完全に薬は飲まないで路駐に捨てていると思っていたのですが、どっちなんでしょう?カバー裏にある相関図が考えさせられてとても面白かったです。この作品た是非はらだ先生にどうしてこの作品を作ったのかを聞きたいなぁとも思いました。

37

「普通」であることの難しさ

初レビューです。これはかなり好みが分かれる作品だと思いました。

扱ってる題材が特殊なので、人によっては嫌悪感を抱くと思います。そのような意見も分かります。何故ならその「嫌悪感」「まともじゃない」という、いわゆる世間の一般的な感覚に疑問を投げかける漫画だから。個人的には傑作だと思っています。

禁断の愛、と俗に言われる恋をしたそれぞれ本人たちが「これって禁断なの?僕たちにとっては普通の愛だよ?」という認識を必死に訴えかけてきます。特に、にいちゃんが母親に対して「ふつう」とは何なのか問いかけるシーンでは、思わず自分自信の認識を改めて考え直しました。

また書き下ろしのラストのシーンも衝撃的でした。いざとなったら割り切れると自分に思い込ませてるゆいが、この先も「普通であること」を演じながらしか生きていけないんだろうなぁと思いました。漫画は終わっても彼等のストーリーは今後も困難が多いだろうと思わせる何ともスッキリしないラストでした。そこがまた読者にあえてモヤモヤを残して作品について考えさせようとしているような気がしました。

絵は文句なしに綺麗です。キャラも魅力的だし、気持ち悪い部分をほんとに気持ち悪く描くので流石だなと思いました(笑)

はらださんの作品は全て読んでいますが、その中でも群を抜いて異常で、且つ傑作だと個人的にですが、高く評価しています。本当に天才だと思いました。

BLに萌や癒しを求めている方や、ハッピーエンドが好きな方におすすめできる作品ではありません。しかし、一読して自分なりの感想を持ってもらいたいなぁと思った作品なので、ぜひ多くの人に読んでほしいです。特に、「普通」に生きようと努力している人には。

29

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