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表題作ブライトライトスプラウト 上

七五三陽歩,フリーのイラストレーター
白戸蓮,ワケあり高校生

あらすじ

イラストレーターとして、めでたく独り立ちした陽歩。
念願の広~い新居兼仕事場に引っ越した翌日、
一人暮らしのお隣さん・蓮と出会う。
ファミリー物件に一人で住んでる高校生!? ――なんて豪勢!
でもやっぱりワケアリ?
人懐っこい蓮の持つ、いびつさと違和感が
どうしても気になってしまう陽歩だったけれど…!?
市川けいの描く年の差ラブストーリー!
描き下ろしも収録!!

作品情報

作品名
ブライトライトスプラウト 上
著者
市川けい 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックスDX
シリーズ
ブライトライトスプラウト
発売日
ISBN
9784799734827
3.5

(108)

(31)

萌々

(29)

(24)

中立

(16)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
12
得点
359
評価数
108
平均
3.5 / 5
神率
28.7%

レビュー投稿数12

ドシリアス。

作家買いです。
市川さんの作品はほぼほぼ読んでいると思いますが、これはガチでシリアス系です。子どもが性的な対象として扱われる、というのが地雷な方はちょっと注意が必要かも(子どもが襲われている直接的なシーンはありません)。

ネタバレ含んでいます。ご注意を。






主人公はイラストレーターとして独立したばかりの陽歩。
在宅で仕事をこなすことが多いため、独身ではあるもののファミリー向けのマンションに越してきたところから物語はスタートします。

そこで隣人として出会ったのは高校生の蓮。
蓮もまた、高校生でありながらファミリー向けのマンションに一人で住んでいる。
ちょっと興味はひかれたものの、まだ子どもの蓮に「親はどうしてるの?」と聞けるはずもなく。ある日作り過ぎた夕食を一緒にどうか、と誘ったのがきっかけでどんどん親しくなるが―。

まだあどけなさを残した、ごく普通の高校生に見える蓮ですが、家庭料理を知らず(食べたこともない、とも答える)、ありきたりの家庭の団欒も知らない様子の蓮のことが気になり始める陽歩ですが、「夕食のお礼に」と蓮からフェラされてしまい…。

そこから連が語る、彼の過酷な過去と、現在の状況。
生きていくために、「おじさん」に抱かれている日々。

市川さんて、シリアスな話も描かれますが、ここまでがっつりシリアスで過酷な過去持ちさんの話は初めてではなかろうか。

「セックス」の本当の意味も知らず、ゆえにある意味まっさらさんな蓮が、不憫で思わず泣けた。
哀しいこと、いやなこと、が分からない。分からないから、無邪気ですらある。

自分がどこまで踏み込んでいいのかわからない。
蓮を救ってあげることはできないかもしれない。
けれど、このまま蓮を放っておくことはできない。

そんな思いで蓮に関わっていく陽歩にガッツリ感情移入してしまい、切なかった。
陽歩とともに、蓮を救いたい、という思いに駆られる。

上巻は「おじさん」に蓮が抱かれているところを陽歩が見てしまうところまで。

下巻も同時発売なので、ジレジレしながら次巻を待たずに済むのが嬉しい…。

あ、そうそう。
アニメイトさんで購入するといただける特典リーフレットですが、上・下巻内容が異なるリーフレットでした。
ただし、話がつながっているので、もしアニメイトさんで購入を検討されている方がいらっしゃったら、上下巻共にアニメイトさんで購入されたほうが良いかもしれません。

6

明るさが悲しく切ない

【ありえないほど普通な好青年×足長おじさん持ちの高校生】
と、帯にはあります。

足長おじさんって対価を要求する人ではないですよね…?
モヤモヤしつつ読み始めました。



生きていくために「おじさん」に抱かれて対価を払うことに何の疑問も持たない少年と、
その事実を知ってしまい、目が離せなくなって少年と関わる青年。
2人の交流はほのぼのしているけれど、バックボーンは歪で暗いです。
そのコントラストに少々滅入りつつ、惹き込まれました。


あらすじから想像してた受けの性格が違ったのが一番ショックだったかも(;ω;)
決して明るいお話ではないだろうし、
後ろ暗いものがあり特有の仄暗さがある子だろうと覚悟してたのです。
そしたら、嘘みたいにカラッと明るい子で。
とっても素直で無垢でニコニコ笑うのです。

ニコニコと笑いながら
「してるよ、セックス」
「なにかお返ししなきゃダメだもんね」
と、ごく当たり前のように口にする。

無垢な笑顔だから余計に遣る瀬無い気持ちで締め付けられます。
ただただ悲しい。
本人が何も疑問に思ってないのが一番キツかった…。

ストーリーは攻め視点で進むので、彼の戸惑いや葛藤がよく伝わります。
常識も何も知らない子供をほっとけないと思う反面、教える責任の重さもあったのかな。
「メシ食おう」の一言が決意の現れのようで、ジンワリしました。

で。攻めと一緒にいるうちに、恋のような感情を持った受けが…(;///;)
モダモダしてるのがすごく可愛くてキュンキュンしました!!!

……………しかし。
皮肉にも更に苦しめる状況になってしまい、もう………アカン。
最悪のタイミングが重なるラストがとにかく痛かった。


脇にも濃いキャラがいて、優しい攻めと明るい受けで、シリアスだけど穏やかなシーン多し。
でも光が強いだけ影が濃くなるが顕著に現れていて、明るい分だけ歪さを実感する上巻でした。


(凹んだ気持ちを抱えつつ下巻へ)

4

明るくて哀しい

お店で品物を買ったらお金を払うという事と全く同じ感覚で、何かをしてもらったら身体でお礼をするという事を当然だと思っている受け。

家庭の味を知らない、湯船に浸かった事もない、テレビも見た事がない、普通の家庭を知らない。世間一般の「普通」を知らずに育ち、異常な状況を普通だと思っているから悲壮感なんてカケラもなく、あっけらかんと無邪気に笑っていられる。

「おじさん」に衣食住を世話してもらい、進学させてもらい、その「対価」として身体を差し出してきた受けなので、攻めの見返りを求めない親切に戸惑ったり、対価を求めない攻めは「特別」なんだと思ってしまうところが何とも哀しいです。
そしていよいよ諸悪の根源である「おじさん」が登場して身体で支払ってそれに攻めが気づいて…という痛い展開で下巻に進みます。

攻めの仕事先の女社長が腐女子という設定になってるんだけど、会ったこともない少年の事をあれこれ推測したり詮索するのが下卑てて好きじゃなかったです。
腐女子という事で何かとBLネタで絡めてくるんだけど、BLだから腐女子登場させておけばいいだろう…みたいなノリはいらなかったなぁ…。

3

不幸というより、、不憫

市川作品なので、もう少し軽めというか、楽しい系をイメージしての読み始めでありましたが
おぉう。のっけから設定がやたら重い(´-∀-`;)。
重いわりに、不幸設定詰め合わせているはずの受が軽いという
何ともな不可思議感。
冒頭からの展開に思わず引き込まれました。
どーなるのコレな上巻なのであります。

新しい家に引っ越してきた攻。
お隣さんにコンニチワ。
話をきけばまだ子供なのに一人暮らし。
知っていく事実はこれまた重い。
そんでもってオッサンとセックス・・・おいおいおい;
な展開。
ただ何より受がカラッと軽いという違和感ですな。
そんでどんだけ「セックス」言うのよwっていう。

市川さんらしい遊び部分あり。
重たい設定あり。
不可思議な展開と後を引く読後。
これはまとめて買わないとモヤモヤして眠れんわ。

1

手料理はエロス

社会のはみ出し者と『普通』が対峙したとき、良識ある普通を描く事が最も難しい。そのバランスが良いものは読んでいてとても魅了されます。

今作も、主人公である陽歩は仕事も収入もある程度落ち着いた自炊が得意な独身者。隣人の蓮は、引っ越して早々陽歩の常識を軽々越えて翻弄していきます。
蓮の言葉の端々に、行動のひとつひとつに、ある種の恐怖を覚えるほど彼は無垢で何も知らないのです。陽歩が蓮に興味を抱くきっかけは些細な一言に過ぎませんが、彼の壮絶な生い立ちを知ってなお関係を断つ事を選択しないのは、同情と庇護欲によるものなのでしょう。やがて陽歩自身が気付かないほどの小さな恋情は燻り続けていきます。

今作の二人の距離が急速に縮まるきっかけとして、おかずを作り過ぎたという口実で陽歩が蓮を夕食に誘うという場面から物語は動き始めていきます。
この自宅に招き手料理を振る舞うという行為は非常に特別な意味を持っていました。蓮にとってはおそらくほぼ経験のない、温かい食卓の風景。陽歩は無意識のうちに自らのパーソナルエリアに蓮を迎え入れます。見返りのない手料理という陽歩の愛情に蓮は戸惑いつつも、しっかりとそれを受けとっていきます。嗅覚や味覚から与えられるダイレクトな愛情に、陽歩を好きにならない方が無理な話です。言葉よりも何よりも、尊く幸せな時間は蓮を確実に少しずつ変化させていきます。
やがて、蓮自身は残酷な現実とのギャップに苦悩していき、そしてその残酷な現実を陽歩も目の当たりにするという所で上巻は終わっています。

蓮の十代という大人とも子供とも言えない危うさと、性的な事にのみ長けて対人関係においては赤ん坊のような脆さが、コマのひとつひとつに丁寧に描かれていて、胸に迫ります。
テーマが重めなので、読者を選ぶかもしれませんが、とても魅力的な作品となっています。

1

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