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表題作被写界深度(上)

紺野遼平、カメラ好きな秀一郎の同級生
早川秀一郎、下半身のユルい高校生

その他の収録作品

  • カバー下:あとがき、4コマ漫画

あらすじ

…ねぇ紺ちゃん〝セックス〟しようか
何となく帰りたくない放課後、秘密の屋上で紺野と出会った。
「話しかけづらい」「威圧感があって怖い」と言う人もいるけど、カメラを被写体に向ける紺野は、いつも楽しそうな顔をしていた。
尊敬 羨望 嫉妬 劣等感──…
欲しかったすべてを持つ紺野に、複雑な感情が募っていく……

高校時代、折り重なる日常、掛け違う焦点、新鋭・苑生が描くモラトリアムラブ

作品情報

作品名
被写界深度(上)
著者
苑生 
媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
H&C Comics ihr HertZシリーズ
シリーズ
被写界深度
発売日
ISBN
9784813031611
4.2

(359)

(194)

萌々

(90)

(45)

中立

(19)

趣味じゃない

(11)

レビュー数
31
得点
1484
評価数
359
平均
4.2 / 5
神率
54%

レビュー投稿数31

キャラがハマってて読んでてすごく楽しい❤︎


上下巻まとめてのレビューです。
といっても、ひとことで言えば、
タイトル通りなんです。

先に、兎の森を読んだので
それに比べるとシンプルだなぁ
という印象はありますが、

2人の仲が深まるにつれ、
楽しくなるくらいお似合いだなぁ
と思う時は、もうそれ時点でいい話ですよね。
この話も正にそんな感じでした。

高校生の時に出会って、
その人の前でだけ、剥がされる
息が楽になる、素になる
特別な気持ちになる
性別とは関係なくかけがえなく
求めてやまないその存在になる
屋上の開放されてしまうような空の下で
交わす2人のやりとりが素敵に沁みます。

攻めのマイペースな魅力が最後まで変わらず
そこもツボでした。
人たらし。そんな彼を唯一動かした恋って
どんな恋なの?って思うほど。
その答えを、思わず笑みがこぼれそうに
なるのを我慢して言いたいなぁ。
すっごく素敵なひとなんだよ、
色々あったみたいだけど。って。

番外編も彼ららしい話でした。
ちょっと読み返すのが勿体ないくらい
読み応えがあって、この瑞々しいアオハルは
簡単には忘れられそうもないです。

おすすめです。

0

キレイな世界

表紙も含めて、キレイだなーというのが第一印象でした。主役の2人も美人。

重要な出来事も起こるのに、それでもなお淡々と静かに物語が進んでいく感じがしました。2人とも高校生にしては落ち着いてるからかな。

ストーリーも絵柄も全体にすごくいいとは思うものの、何か読むのに疲れる感じがあって評価は「萌2」にさせてもらっちゃいました。読みづらさを感じる原因は私の方にあるかも知れません。ごめんなさい。

0

どろっとした感情を描くのが上手だなー

兎の森が良すぎるので、こちらも読んでみたくなりました。
早川くんみたいな見た目の子とても好き。
サラサラストレートヘアの優等生お坊ちゃんタイプ。
って読み始めたら、お坊ちゃんではあるけどよくあるこの手のタイプとは早川くん違う?
下半身がゆるい?ん?この見た目で?
へー、そうなんだ、意外。
保健室の先生と学校でエッチな事しちゃうの?えっ、スゴイね。

屋上にエスケープしてたら出会った紺野くん。なんか、不良っぽい?
お互い干渉せず、でも居心地が良くて少しずつ仲良くなっていくものの、素直でいる事を止めた早川くんは、自分に嘘のない生き方してる紺野くんにイライラしてしまい、ついには手を縛って緊縛フェラからの兜合わせ!(何でそーなる!ちょいトンデモBL展開に思えました)

ここから、早川くんの過去パート
持てる者特有の生きづらさを感じて快楽に逃げてたのね。早川くんが見つけた処世術だったわけね。
でも、心の何処かではそうじゃないって思ってたから紺野くんが羨ましくてどうしようもない気持ちになってしまったんだな。
余りに、紺野くんのこと意識して考えちゃって恋愛感情なのか何なのかわかんなくなってしまってるけど、性欲と連動してるから、恋だわってなっちゃってる。

嫌われるかなどうかなってドキドキしてるけど、一回あんな事してるのに友達で居てくれてるからワンチャンいけるやろ?と思うけどな、私は。
って、読者目線では思うけど、当事者からしたら悩むかなー。今から下巻読みます。

0

モラトリアムって何だっけ?

前に読んだときは、想像していたのと違ったなとがっかりした記憶が……。
上下巻揃った表紙絵の雰囲気と「モラトリアムラブ」という言葉に、勝手なイメージを膨らませ過ぎたのかな?

今回久々に読み返してみると、案外悪くない。

早川くんは黒髪受け(この段階では推測)にしてはおちゃらけてるし、クールに見える紺ちゃんは世話焼きオッチャンみたいに口調が荒くて、違和感を感じたんだっけ。

でもある意味、わかりやすく単純にデフォルメされたキャラではなく、人物として多面的な現実味ある存在感を感じる。

早川くんはアスペルガーとか共感覚とかみたいな特殊な才能の持ち主なのかな?
音楽が歌が降りて来るのか湧いて来るのか止め処ない。
日常生活にも支障が出るほど。
で、ボイスレコーダーに吹き込むことで世界と折り合いをつけて生きている。

子どもの頃お母さんに「そのクセ含めて好きになってくれる人は必ずいるよ」と言われて希望を持ったのに、それからも人には嫌われてばかり。

カバー裏のチビッコ早川と紺ちゃん。
紺ちゃんが、ほれ大切なもんだろ、お前はお前のものだろ、とボイスレコーダー&歌を早川に手渡そうとしている?

いや、早川が、このクセ含めて僕を好きになってくれますか?と頬を赤らめて差し出したボイスレコーダー&歌を、紺ちゃんが受け取っているようにも見える。

でも、上巻は「バタン」と扉が閉まって終わるのだ!
そしてこの後の台詞……!

3

嫌われたくない

好きなものを好きと言って、精一杯努力して、その結果、大切な人に嫌われる。たしかに恵まれていて、無自覚であったことは罪かもしれないけれど、それによって、たくさんのものを失う

自分で選択したもの、選択し得なかったもの。いろんな条件が重なって、幼い日の早川は穴に落ちていった。絡まった糸を、解くことはできなかった

そして、紺ちゃんに出逢う。真っ直ぐで、飾らない人。かつての自分のように、好きなものを好きと言える人。真っ直ぐに努力できる環境

尊敬、羨望、嫉妬、欲。さまざまなものが混ざり合って、ドロッと溢れ出した。止められなかった。受け止めてくれたのか、仕方なかったのか、真意がわからない

嫌われたくない。だから、さよなら
(そして2巻へ!)

1

保健室の先生って

◾️紺野遼平×早川秀一郎 同級生
いかにもヤンチャ系たらしはBL漫画によく出てきますが、このゆるふわ今時系たらしがホント今時。この髪型といい。
攻めである紺ちゃんが襲われて、きっちりグーパンで抵抗するところが好きです。しかしそのあとどうやって縛られたのか知りたい。紺ちゃんの方が力強そうなのに。初緊縛プレイおめでとうございます。

恵まれた才能や家庭環境を持つ人間は疎まれることもあるかもしれないけれど、それだって別に選んだりズルをしたわけでもなく。付き合う人間は選べるので、自分の精神に悪影響なら一緒にいなければいいだけの話である。と、学生の間は割り切れなかったりする。それもまた若さ特有の良さ。

このあと早川がぐーるぐる恋愛に悩むところが大変好きです。学生のうちに好きな人がいて、その人のことばっか考えてしまうシチュエーションが好き。

上巻が絶妙なところで終わります。まさに"パタン"と閉じる扉。

2

淡々と、燃え上がる前の序章

だいぶ前に読んだ作品ですが、再読しレビューを書いています。

高校生の早川と紺野が屋上で出会い、やがて恋になってゆくであろう物語の上巻です。

音楽一家に生まれ、音楽とともに育った早川が音楽を好きであればあるほど周りに疎まれてしまう。
中学時代のトラウマから音楽と決別するのですが、母からもらったボイスレコーダーは捨てられず、無意識に歌ったりする程音楽が大好きなんですよね…。

そんな中で出会った紺野はカメラという、自分の好きな事にまっすぐ向き合っている。
紺野に対する羨望、嫉妬でイライラする一方で別の感情にも気付きます。

「誰かのために捨てるんじゃなくて、自分のために選べ」
と紺野に背中を押され、また音楽と向き合うことに。
自分の気持ちを紺野に伝えますが、拒絶される怖さを知っている早川は誤魔化してしまい…と下巻に続きます。

上巻で描かれていた、自分の持ち得ない環境や人間性に嫉妬する気持ちは共感できましたが、まだ物語としては序章で萌えという点では薄いかもしれません。
表紙や作画はとても美しくて、キャラクターもとても魅力的なのでお話が動き出して早く萌え萌えしたい!という気持ちにさせられます。
下巻では萌え萌えが待っているので、上下巻一気読みがオススメな作品です。

評価は上下巻合わせて萌2で。

4

キレイで切ない

早川のへらっとした笑顔の裏にある根深いトラウマにも似たツラい過去。
紺ちゃんの前ではいつも鼻歌をうたっていて、音楽が好きなのは明らかなのに周りにはそれを隠していて。
音楽に情熱をむけられなくなったから下半身ゆる男になって(笑)
でもこのタイミングで紺ちゃんと出会えたことが大きな転機となって、未来を変えることは間違いない。
しかし!現在の早川にとっての問題は紺ちゃんに対する「怪しい感情」のほう。
恋だと気付いてぶつかっていっても、過去の記憶がチラついて結局曖昧に誤魔化してしまう、という…。

早川は諦め癖があるんだろうなと思います。そうしてやり過ごすしかなかったし、それは彼自身の優しさでもあると思うし。
どんな風に展開するか楽しみです。

1

今更だけど出会えてよかった

苑生先生の他の作品(兎の森)を読みこの作品にたどり着きました。なんでもっと早くに出会っていなかったんだろう。絵もストーリーもキャラも私の好みドンピシャでいうことなしでした。圧倒的神!「話しかけづらい」「威圧感があって怖い」と言う人もいるけど、カメラを被写体に向ける紺野は、いつも楽しそうな表情をしている紺ちゃん。尊敬 羨望 嫉妬 劣等感など様々な複雑感情が募っていく。コマの運びや表現が工夫されていてみていて飽きなかったです。えろはあまりなかったけどとてもとても満足しました。ありがとうございます。

1

表紙も美しい

絵も話も繊細で丁寧に描かれた作品でした。
恋に友情に将来に悩んで葛藤しながら過ごしている青春時代をリアルに、切なく描写されています。

受けの早川は最初思ってた印象と違う一面がコロコロ出てきたので面白くもあり、ちょっとキャラが安定してない気もしました。
攻めの紺ちゃんは最後までぶれずにかっこよかったです。何より見た目が好きなので贔屓目ですみません。笑

早川の過去は置かれた環境が原因の部分が大きいのでもうどうしようもないというか、理不尽に裏切られた感じがすごく不憫でした。
でも山下の気持ちも分からなくもないのでこれがまた複雑で。
持ち合わせた才能の差を環境のせいにして僻んでしまうのはしょうがないと思います。
全部環境のせいにしてそのイライラを本人にぶつけるのは良くないと思いますが…
どうしたら正解だったのかは分かりませんが、二人が喧嘩別れしたままで山下がその後どうなったかも分からないのでちょっとモヤモヤ。
まあBLなのでそこ深く掘り下げても…って感じなのかもしれませんが。

それにしても紺ちゃんの懐の深さがすごい!
何でも許してくれそうな包容力とクールだけど意外とよく笑うギャップが最高!
近づいたり離れたりする二人の関係性にも萌えました。

0

上下まとめての感想です

攻めの紺ちゃん最高か(最高や)
まずお顔がいい。完璧ちゃいます?!
長身でスタイルいい。
高校生の長髪気味もいいけど大学生の短かめが超タイプ!
性格もいい裏表がない余計なことをしない言わない(好き)
前半しんどかった分、後半からラストがキた〜(エロ長めも)

前半、早川の闇がしんどくて
思春期うだうだ。
「下半身ゆる男」保健室の先生のでドン引き(おとなしそうな見た目でそんな雰囲気感じられず唐突に思えた為) 

で、疑問が、紺ちゃんを襲って殴られた後なんで紺ちゃんを縛ってるのか?早川より紺ちゃんの方が体格よく力あるだろうにどうやったのか謎。 

早川の幼少期からのトラウマエピソードが続き。
紺ちゃんがあんなことをされたのに早川に理由をちゃんと聞こうとして(この姿勢も好き)早川がやっとぶちまけながらうだうだ言うのを紺ちゃんのまっすぐさで吹っ切れさせたのかっちょよよ。
ここから私的には俄然読みやすくなったw(本格BL展開)

0

NoTitle

ジャケ買いで成功した珍しい作品、『ニコニコ王子』の早川とカメラ好きの紺野との出会い編。
硬質な絵なので最初は少し読みにくいかなと思ったのですが、一話を読み終わる頃には気にならなくなりました。

ある事をきっかけに音楽から離れるけどボイスレコーダーに歌を吹き込む癖だけは抜けない早川、自他共に認めるカメラ馬鹿の紺野に複雑な気持ちを抱くものの惹かれていくのも止められない。音楽から逃げたから紺野に出会えた矛盾。

0

圧倒的リアリティ

淡々とした描写なんだけれど、とってもリアリティあふれる作品でした。高校時代がいかに単調でありながら輝いていたか思い出せます。
1日で3回読み返しました。同性に恋していた人にはほんとにオススメいたします。

あ…
クールでいつも気にかけてお世話してくれる同級生の女の子に、すごい恋してた自分に重ね合わせて読みました。笑

いや、本当に泣けました。ありがとうございます。

1

好きなものは何ですか

上巻。何やら屈折した感情で傷つく姿の描写でこの巻は幕を開けます。
高校生男子がふたり、出入り禁止の屋上で出逢う清々しいスタート、なんですが。
真っ直ぐに写真という好きなものを貫く紺ちゃんと音楽の才能が突出しすぎて周囲や大切なひとを傷つけたことで傷つき潜降する早川のふたりがお互いへのリスペクトやそれ以上の気持ちをぶつけ、すれ違う辛い展開のページが続きます。それでも私達読者を惹きつけていく二人の透明感と年頃ならではの危うさと真っ直ぐさ。良い作品です。
ワンカット撮影の映画のような臨場感が素晴らしいです。

0

萌えではない

ほんわかとはまた違うけどすごいほわほわっとあたたかい感じの雰囲気の作品です。エモいというかなんというかわからないですが、そういう独特の雰囲気があって素敵な作品だと思います。

絵もお話の運びも全部全部お上手です。あっという間に世界観に入り込めました。レビューで別の方も言ってましたが、上巻は長いプロローグで、話が主に動くのは下巻からなのですが、それでも楽しめました。それは作者様の巧さゆえだなと思います。

ただ、これを「萌え」という基準で評価しろと言われると、頑張っても「萌」止まりだなと思います。萌えではないです。

2

好き

これは、、すごく好きなやつです、、
まず誰も知らない2人だけの空間が高校生活の日常の一角にあると言うのが良いですね、、。

早川くんは美しいし紺野くんはかっこいい、、、
これはエロがなくても全然満足できます。
素晴らしすぎる、、、、

2

続ける人と捨てる人

ずっと読んでいなかったのですが、
ようやく手に取りました。
予備知識なしで読んだのですが、
表紙の印象通り透明感があって切ないお話でした。

二人の高校生、紺野と早川。
〝写真〟という好きなことに対して真っ直ぐ向き合う紺野と、
好きな〝音楽〟から逃げてしまった早川。
やめない紺野と捨ててきた早川は対照的ですが、
好きな事に対する気持ちは対称的だと思います。

紺野に対してモヤモヤイライラする気持ちを、
性欲としてぶつけてしまったのはBL特有の事でしょう。
だけど、私は無理やりというのは好きではないので、
ここはちょっと否定的です。

でも、早川を見捨てず側で見守ってくれる紺野は懐が深く、
そんな紺野に惹かれる気持ちはよく分かります。
私もきっと、早川の方を好きになると思うので……

恋心を自覚した早川と友情しか持っていない紺野(多分)が、
この後どうなっていくのか……
今更ながら、早く下巻を読まなくては!
という気持ちになりました^^

1

綺麗すぎて怖い

絵がとてもうまくて狂いもなく、画力が凄まじいと感じました。
ただ線が綺麗すぎて単調に見えてしまい、どこか怖い印象を受けてしまいました。
漫画よりもイラスト向けなのでは...と思ってしまいます。好みの問題かもしれませんが。

心が成長途中の子供っぽい攻めと、達観しているように見える受けの組み合わせは相性が良いな~と思いました。
青春と言葉で表せるほど青臭いものではなく、若い頃のどこにもやりようのない気持ちをぶつけていく感じ。
良いところまで来たと思った時に、スパッと下巻へ続ける潔さも気に入りました。

カバー下の絵が可愛くてお気に入りです。

1

大好きな世界

紺ちゃんの近く、居心地良かったんだね! と最後に分かるラスト最高。めっちゃ萌える!

1

自分は自分のもの。ありのままの自分は、受け入れ難いものだけど。

清々しい青と白の、表紙はいつみても美しい。
秀一郎の唄う、インストルメンタルは、さっぱり聴こえて来ないけれど。
この表紙を見ていると、必ず思い出す歌がある。
ミスチルの「潜水」。
水の中にいるような、秀一郎のその、表情に。
『あぁ、生きてるって感じ。あぁ、生きてるって感じ。』
と、繰り返す歌詞を思い出す。

秀一郎は、初めて「音楽」を通して出来た友人の山下に対して、BL的な愛情を寄せてたんじゃ
無いのかなぁ。と、私は実は思ってもいる。
ストーリー的には、現時点で、真っ直ぐな紺ちゃんに憧れと、好意と、欲情をないまぜにぶつけているけども。
家庭環境や、元々の天才的なひらめきに嫉妬して、苦しみ、山下は秀一郎から離れてしまう。
否、秀一郎が、山下を傷つけてしまった事に気付き、悔やんで音楽に対する情熱そのものを捨てようともがいていたのだ。
天才の考える事なんて分からないけども。それは孤独なのだろう。
才能や能力に対しての、激しい嫉妬。そういうのは容易く想像出来る。
私自身もそちら側に長らくいるからだ。嫉妬しても、悔しがったところで、それは決して手に入らない。
なので、私は山下の苦しみに涙を流す。
先輩の音楽を聴きたい、という杏ちゃんの健気さに涙を流す。

自分は、自分のもの。それを受け入れて成長していく物語なのだと思う。
この胸のキリキリとした痛みは、BLがどうとかはあんまり関係無くて、
青春の苦い通過儀礼と、非凡な人間の成長譚なのだと思う。

0

嫉妬にえぐられる。それだけじゃないけど

屋上もの?屋上が舞台BLは多いですよね。高校生=屋上みたいな。きっと屋上には青春がつまってるんですね。

早川が持っている故に妬まれ嫉妬され嫌われていくのが辛かったです。
悪いことしてないのに持ってない子には理解されず嫌われて。全部捨てて。姉の言葉に共感しますが早川がとにかく可哀想で。

それでヘラヘラヤりチンキャラに変身したんですね。

紺ちゃんは自分ができなかったことを自然体にしてそれでも友達がいて、正論でぶつかってきてくれて。
早川はずっとイライラしてましたがなんのスイッチかが入って紺ちゃんを性の対象に思ってしまって。

紺ちゃんへの憧れ尊敬嫉妬劣等感、でも離れない見捨てない自分を肯定して受け入れてくれる。色んな感情からの好きに早川ははじけちゃいますが過去のトラウマを思い出して、そして早川は屋上へ行くのを止めたところまでです。

自分も子供の頃持ってはなかったけど出来たことで早川と似たような経験をしたり、今でも妬まれたりすることがあって、どうしたらいい?同じところにいけばいいの?そしたら許してくれる?と葛藤があったので早川が読んでいて本当に辛かったです。

0

丁寧で繊細で綺麗な作品。

こちらのサイトの紹介で知り、手に取りました。
上下まとめて購入し、悩みましたが、下巻を読む前に上巻のみの感想を書きます。

第一印象は、絵がとても綺麗なこと。個人的にも好きな絵柄でした。そして、繊細で丁寧な物語だと思います。早川くん目線でストーリーが進み、読み進めるうちに、幼少期を含め『早川くん』という男子高校生の人物像が明らかになっていきます。
早川くんは音楽を生業とする両親の元、裕福と言える育ち方をしています。良くも悪くも子供らしい真っ直ぐさで、早川くんなりに友人を思いやり、音楽への情熱を持ち、成長していくのですが、上手く行かず『嫌われたくない』と、本当の自分を出せなくなっています。そんな折に紺野くんと出会い、少しずつ変わっていく、とい所で下巻に続きます。
今の早川くんは、ヤッてる時は何も考えなくて良い、と節操がなくなっていますが、どこかで人とのつながりを求めていたり、傷ついた自分を忘れたい、とセックスに逃げている様に思いました。
ここから下巻でどの様に変化していくのか、とても楽しみです。

そして、早川くんは受け、なのですね。。。紺野くんのほうがガタイがいいけど、縛っていたから、てっきり攻めは早川くんなのかと思っていました。その辺りも下巻で分かりますね、早速読みたいと思います。

6

読んだ後ぞわぞわする

ふう。

この作品にはレビューが書けないと思っていました。
好きすぎて。
好き過ぎると言葉にならなくなりますよね。
「うおー、好きだー!」だけになってしまう。
無理にその気持ちを言葉にしようとすると、今度は堅苦しくなりすぎて全く伝わらない文章になってしまう。歯痒い。伝えたい。でも伝わらない。恋か。

個人的に短期間で500冊レビューチャレンジをしているのですが、もう終わりにさしかかっているので大好きな作品にも自分の爪痕を残しておきたくて書いてみます。
本当はずるして上下巻まとめてレビューに逃げようと思ったけど、この作品はそれを許してくれない。上巻と下巻で全く違う作品と言っていいくらいの違いがあるので、まず上巻から。
お時間のある方、お付き合いください。

高2のときに屋上で出会った早川と紺ちゃん。
「下半身ゆる男」という不名誉なあだ名を持つ早川は、深く傷ついた過去のせいで取り繕った自分しか人に見せないようにしています。好きなものを「苦手」と言い、「好き」と言ってくれる女の子とは誰でも寝るし、何を言われても笑っている。本当に好きなものを手放した日から、早川にとっては何もかもがどうでも良くて、無難に過ごせるなら流されていた方が楽という毎日。
そこに現れた紺ちゃん。カメラマンの父を持って、自分も同じ道に進もうとしている。「迷いはある」とは言うものの、紺ちゃんの中では「やりたいか、やりたくないか」の2択しかないように思える強い意志を持った子です。ひとと接するときも相手によって態度を変えない。裏表がないから全部を見せ合える友人たちがいる。早川とは正反対の存在。

2人とも生まれ育った環境は似ているんですよね。音楽一家に生まれて、早いうちから才能を覗かせていた早川と、カメラマンの父のもとで育って写真に触れてきた紺ちゃん。
ただピアノや音楽は子供のうちから差がつきやすいし、それこそフィギュアスケートのように環境やコーチが良ければ良いほど才能のある子は伸びる。でも才能のある子全員がそういう環境で学べるわけじゃない。羨望はやっかみに変わりやすく、才能のある子と自分を比べるときに「才能のあるなし」を認めるには幼過ぎる年齢。「恵まれているから」「贔屓されてる」という言葉で才能を少しでも抉り取ってやりたい。才能のない自分たちが無邪気に傷つけられた分、傷つけ返してやりたい。
プリマドンナのトゥシューズに画鋲の心境ですね。
だけど芸術関係の世界ってしんどいなあと思うのは、親も親じゃなくなってしまうというか、フォローがないんですね。山下の親は追い立てるだけ、早川の親は「先生の子だから」と言われないように線引きすることで子供がどんどん孤立してしまう。言えなくなった思いは切り捨てることでしか逃げられないと思ってしまう。
そうして曲を作ることを隠すようになって、果てには音楽を捨てる選択をしなければいけなくなる。一緒に楽しんで音楽をやってきたと思っていた友達も「友達」ですらなかったことを突き付けられて、じゃあ何が本当?自分はどうしていたらみんなが幸せになれたの?という状況にまでなってしまう。
自分が好きなものをしたらみんなが嫌な気持ちになる。みんなのためにやらない。すごく不幸な話です。

一方、好きなことを好きと言えて、自分の人生なんだからやりたいようにやったらいいだけと言える紺ちゃん。才能への嫉妬という他人の汚い感情に潰された経験がないから言えることなんですよね。
早川が紺ちゃんに感じた思いは、それこそ山下が早川に感じたものに近かったんだと思います。
ただ自分が持っていない「真っ直ぐな気持ち」を持っている紺ちゃんへの苛立ちや羨望が、やっかみにならなかったのはジャンルが違ったからかもしれません。別のものに向かっている真っ直ぐな気持ちを自分にも向けてほしい。自分のものに出来たら自分も何かが変えられる。

早川が自分の過去をもっと違う形で話せていたら、もっと違う関わりができたかもしれないと思う。だけど早川自身、自分に才能があるという自覚はないし、才能をベースに考えないと説明がつかない周囲の反応をきちんと伝えることはできなかったんだろうな。
弱い自分を見せて対等じゃなくなるのも怖かったと思うのです。真っ直ぐな紺ちゃんだからこそ、一番見せられなかったのか…。

早川の行動は間違っていたし、土壇場で紺ちゃんを信じきることができなかったけれど、この出会いには大きな意味があったと思える上巻でした。

紺ちゃんがかっこよすぎて…。

17

等身大で年齢相応

登場人物がみんな等身大の年齢相応って感じで可愛いです。

早川は特に小学生時代から中学生、高校生と描かれていますが、それぞれの時代の感情が分かる気がします。
純粋に音楽を好きで入られた小学生時代。
衝突した中学生時代。
捨てたいのに捨てられない高校生。
好きなものを好きなだけでいられないことに気がつくのって確かに中学生くらいだなぁって思います。
どうしてこんなに子供と大人の間の感情を捉えるのが上手なんでしょう……。
苑生先生すごいなぁ……。

紺野は高校生にしては達観しているなぁと思います。
それでも高校生らしいですけど……大人ぽいのはお兄ちゃんだからかな?
こういう一匹狼系で好きなことを好きなままやり、自分を偽らずに生きてるのになぜか周りに人がいるって人、時々いますよね。
早川の立場なら羨ましくて羨ましくて、同時に少し憎らしくて、こっち側に連れてきてやりたい。
そんな気持ちになるのがわかるような気がします。

そして山下……。
君の気持ちも分かる、分かってしまう。
きっと心から早川のことが嫌いだったわけじゃないと思うのですが、彼の持つ環境と才能を羨ましく思い、嫉妬してしまう。
そしてそれに対して本人にあんな態度を取ってしまう。
中学生らしい成熟していない精神が生み出す悲しい過去、と思いますが、山下も悪人じゃない…。
そこがまた辛いですね……。

二人とも幸せになって〜〜。

5

絶妙に惜しい

 絵が物凄く好みで特に目の描き方が素晴らしく、キャラ設定や全体の雰囲気も良かっただけに、微妙に脈絡の繋がりを感じない所が本当に惜しい作品でした。受けの早川はいつでもどこでも人をイメージして作曲してしまう癖を持っていて、更にピアノの先生である母親、金持ちの父親がいるという恵まれた環境の家庭で育ってきたが故に、気持ち悪がられたり嫉妬を受けやすかったりするため本当の意味での友達ができないというキャラ。受けが同情されるような境遇の作品はたくさん読みましたが、逆の境遇なのに友達がいないという背景が新しく、でも孤独になってしまうのもよく理解できるように過去が描かれていました。唯一友達だと思っていた人も相手はそうでなかったことが分かり、音楽に関するものは全て捨てようと決めた早川。そこで出会うのが自分の好きなカメラに熱を注いでいる紺野です。早川は屋上で紺野といる時は無意識に歌ってしまうくらい気が緩み居心地が良いと感じる反面、音楽を捨てた自分と好きなカメラをやれている紺野を比べて卑屈な気持ちにもなってしまいます。それでも紺野の真っ直ぐな言葉に背中を押され、もう一度音楽をやってみようと思い直すと共に、彼を恋愛的意味で好きになるという話でした。

 この流れは凄く良かったと思うのですが、早川が音楽を辞めてから性に対して節操がない人物になってしまう理由がよく分かりませんでした。紺野を早い段階で襲ったりもしますし、いくら大好きだった音楽を辞めたからと言って、そっちに走るか?と疑問を抱いてしまいました。音楽の代わりを埋めるのに別の方向に流れても良かったのではと思うし、どうしても性にオープンな性格にしたいのならもう少しその過程を彼の感情と共にしっかり描いて欲しかったですね。確かに三大欲求ですからヤっている間音楽を忘れられるというのも分からなくはないんですが、どうも回想の早川とはギャップが大き過ぎるように感じました。あれだけ気持ち悪がられるのに敏感なら、紺野に手を出すまでにはもっと葛藤するものなんじゃないかなとも思ったり。そういった細かい所がもっと理解できるように描かれていれば、かなり評価の高い作品になったと思います。

2

上巻は長い長いプロローグ。

カメラ馬鹿な紺ちゃんと、ニコニコ王子・下半身ゆる男こと早川の物語。
上巻は二人の高校生編と早川の過去編、下巻は3年後の大学生編です。

二人は気が向いた時に屋上に来て、会えば話す、ベタベタしたところがない屋上友達。
紺ちゃんは裏表がないから、カメラマンの父の影響で写真に夢中な自分を隠さないし、周りも受け入れてくれてる。
でも早川は違う。音楽一家に生まれ、才能もあったから、当然のように音楽をやってきたけど、自分が恵まれていることに気付かず、周りを傷つけてきた。そして音楽をやめて、ニコニコして周りに合わせ、寂しさは性欲で埋めてきた。
境遇は似てるのに、好きなことを許されてる紺ちゃんと、好きなことを捨てなければならなかった自分…
早川は紺ちゃんに嫉妬・憧れ・劣等感、いろんな感情が渦巻いて、紺ちゃんの表情を崩してやりたくて、「セックスしようか」と誘う。

水中で息の泡を吐く綺麗な表紙に見惚れました。
でもこれは息じゃなかった。やめようと思ったのに、音を紡いでしまう、音楽を捨てきれない早川の気持ち。
目を閉じているのは、それに気付きたくない早川の“逃げ”に感じます。

紺ちゃんに「誰かのために捨てるんじゃなくて自分のために選べ」と言われ、「俺のものだよ、俺は」と、早川は変わっていく。
でも切ないあることをキッカケに早川は屋上に来なくなって、二人は屋上友達でなくなってしまう…
物語は3年後の下巻に続きます。

上巻は下巻を語るための長い長いプロローグです。
正直言って、上巻を読んだ時は、萌えはほとんど感じませんでした。
上巻3分の1ページを使って語られる早川の過去の話、素直な子供のこととはいえ、残酷で傲慢で、自業自得に思えてしまったから。
そして捌け口が性欲というのも…早川の良さがわかりませんでした。
でも、下巻を読むと変わります。早川の過去は変わらなくても、現在が変われば見え方が違ってきて、上巻のこの長いプロローグがあってこその下巻だと思えました。

そして、苑生先生の新人ともデビュー作とも思えないマンガの見せ方の上手さに驚きます!
絵が上手いことはもちろんだけど、白と黒のコントラストの使い分けが印象的で、抜くべき背景は描かずに人物を際立たせる、マイナスさえもプラスに作用させる視線の集め方が秀逸すぎる!
努力だけではどうにもならない、”才能”を感じました。脱帽です。

3

上、下、うまく配分されています

上下巻、まとめて読ませていただきました。
絵もお話もとても素晴らしく、楽しませていただきました。

この作品は上巻でいったんお話が区切られていて、下巻はその3年後となっています。
続きではあるのですが、上巻、下巻とお話がまとまっているところが興味深かったです。

上巻では、早川と紺野の出会いと、早川の過去、早川が紺野を好きになり告白するまで、が描かれています。
この巻では、早川の心境がメインで、紺野の早川に対する気持ちはあまり描かれていません。というか、この時点での紺野が早川に特別な思いを抱いていなかったのだろうと思うと当然なのかもしれません。
仰々しくもなく、ごく自然に早川に接し、救う紺野がとても飄々としています。
早川目線だった上巻、下巻は紺野目線になります。

6

待ってました!

苑生さんの個人サイトで読んでいたものの、こうして紙でまとまって読めて本当に嬉しい作品です。
多分どんな作品よりも心待ちにしていました。
上下巻同時発売してくれた大洋図書さん、ありがとうございます。

紺野×早川という高校生カプ。
紺野はカメラ、早川は音楽という、自分の世界を持ち、それを偶然知ったことが二人を近づけた要因となったのだと感じます。
特に早川。
彼は普段軽い人間関係を築き己をさらけ出すことをしないので、見た目こそチャラいけれど真摯な紺野とは本当は中身が逆。
軽く女の子や教師と関係を持ち、現在下半身ゆる男などと噂される早川。
そんな彼には、自分の音楽に対する姿勢によって友人関係が崩壊した過去があり、その後頑なに音楽を披露することを厭い捨て続けることを義務のように生きています。
そんな早川には、好きなものを好きと言え己にも周囲にも装わない紺野が眩しく、そして同時に妬ましく愛しいという複雑な感情を抱え、それから目を背けたまま高校を卒業していくまでが上巻となっています。
上巻はどちらかと言えば早川視点が中心で、彼の苦悩が描かれています。

絵の線はウェブ用に描かれたものなので太め。
わたし自身は漫画は細い線よりも太めが好きなので問題ないですが、もしかしたら線に違和感を持たれる方もおられるかもしれません。
ただ下巻の描き下ろしは単行本を意識されてか、細めになっています。
ですので、これからも読めるかもしれない苑生さんの作品はそちらのようになるのかなと予想してます。

2

設定はもろ好みなのですが。

ちるちるさんの作家インタビューを拝見して購入。表紙がとにかく麗しいです。内容はすでに書いてくださっているので感想を。





上巻は早川くん視点。
「下半身ゆる男」と呼ばれてしまうくらい、節操ナシの早川くん。
誘ってくれるなら、だれでもいい。
そんな早川くんが3か月前に友達になったのが紺野くん。
紺野くんも他人に興味がなく、変わり者という評価を得ている高校生。

誰とでも関係を持ってしまう早川くんと、他人に興味がない紺野くん。
接点がない二人…、に見えて、なぜか仲良し。

そんな描写に混ざって、早川くんの「過去」が少しずつ見えてくる。

恵まれた家庭環境。
「音楽」において天才的な能力を持っていること。
けれど、それらが彼を孤独にさせたこと。

自分の存在が、他人を不愉快にさせるのなら、「音楽はいらない」と最も愛していた「音楽」を捨てたことー。

早川くんの孤独と、捨てようと思っても捨てきれない音楽への情熱が胸に刺さる。

そんな早川くんの目の前に現れたのが、カメラを、そして写真撮影を心から楽しんでいる紺野くん。

好きなものを「好き」と言える。
カメラを楽しんでいる。

自分が捨てたモノを持つ紺野くんに、羨望と嫉妬心を抱くようになるけれど…。


何しろ絵柄がとても綺麗。コマ割りとか表情の描き方とかもとてもお上手で画力が半端ない作家さん、という感じ。
ストーリーも、設定も切なさもあり、複雑に絡む心理描写もお上手。

ゆえに、細かいところが気になって仕方なかった。
なぜ、あの流れで、早川くんが紺野くんを襲ったのか、という点。
そして、「音楽を捨てる」=誰とでも関係を持ってしまう節操ナシさん、になってしまった点。

明るい髪色に、自由奔放な性格を持つ紺野くんは、実は真面目で、家族思いの好青年である。
反対に、見た目は真面目そうで家庭環境に全く問題のない早川くんが、実は精力旺盛な節操ナシさん。
というギャップを狙ったのかな、と思ったりもしたのですが、個人的にはそれがちょっとギャップがあり過ぎてついていけなかった。
早川くんの孤独な過去が、節操ナシの行動によって帳消しになってしまった感がありました。

上巻の最後の早川くんの告白のシーンとか、超絶に切なくて、もろ好みなんですが。

カバー下も秀逸。
特に表紙の下の、紺野くんがちび早川くんにボイスレコーダーを手渡しているイラストにぐっと胸が締め付けられました。

評価で悩みましたが、神よりの萌え×2で。

3

シリアスだけでない。

綺麗な表紙…!と内容も分からずに衝動買いです。
ちるちるでインタビューあったんですね…見逃してた(笑)
思いっきり表紙買いですが、中の絵もお上手だし内容も良くて買って悔い無しでした^ ^

歌う事や音楽が好きだが人前で歌う事はせず、飄々とした態度を見せながら下半身が無節操な早川。
カメラが好きで、無愛想ながら真っ直ぐで人付き合いの良い紺野。
そんな紺野の事が気になりながらイライラも募って…。

紺野の言葉でイライラ爆発した早川がとった言葉・行動で「えっ!そっち!?」となりましたが、挿入はありません(^^;;
そんな行動を起こすくらいトラウマとなってる早川の過去が切ないです。
ただ本当に音楽が好きなだけだったんですよね…。
山下達の気持ちも分かるだけに悲しい。

とんだ目にあった紺野だけど、早川とちゃんと向き合うんです。男前!!
早川も紺野の言葉で変わり、紺野への気持ちが恋へと変わります。
紺野にムラムラし、それを我慢する早川が可笑しいやら可愛いやら。
下半身無節操だったあの早川が…恋の力って凄いわ。

ベースはシリアスなんですが所々コメディタッチなところがあり、それが良い塩梅です。
絵柄も、スッキリと見やすく綺麗だと思います。
これから購入検討されてる方は、是非上下巻揃えて読まれる事を推奨したいです。

1

切ないよー!(´;ω;`)

インタビューで気になって購入しました。
全体的に見ると背景が白っぽいのですが、それが手抜きというよりオシャレに感じます。そう、イラストがとても美しいのです。これを個人サイトでって、すごいですね・・・。

そして内容ですが、高校生の繊細な心理が、とても丁寧に描かれてます。どちらかというと温度の低い印象。なのに切ない・・・。
音楽がただ好きで、無邪気だった早川の過去-。
現在の早川の、人当たりはいいのにどこか投げやりで、時折見せる暗い苛立ち。
早川の過去編がしっかりページをとって描かれてますが、その部分を読むと痛くて仕方ないです。誰が悪いじゃない、巡り合わせが悪かったとしか言いようが無いのだけど。

そんな早川の心を開いて、彼に必要な「言葉」をくれた紺野。
主に早川視点で進むので、イマイチ紺野の気持ちはつかめないです。
しかし、彼にとっても早川が特別枠だと言う事だけは疑いようがない感じでしょうか。

ここから早川が自分の気持ちを伝えてしまった事で、すれ違いが生じます。紺野が思わずしてしまった反応に、冗談にして誤魔化すしかなかった早川の笑顔が痛々しい( ノω-、)紺野に悪気は無くとも、早川のトラウマを抉る「言葉」だったのですよ・・・!

ここから以下次巻です。
下巻が同時発売で本当に良かった!と言いたくなる切なすぎるラストでした。


*補足です。

屋上でたまたま出会った同級生二人の恋愛模様ですが、主人公の再生ものでもあります。
時系列では、高校生の現在→早川の過去編→また現在と進み、過去編を読むと、早川が何故こんなに昏い表情を時折見せるのかが分かります。自分に嘘をつかず生きている紺野に対して、羨望と共にひどく苛立ちを見せる理由も。

特筆すべきはコマの見せ方。どちらかというと温度が低いと言うか、モノトーンの印象で淡々と進むのに、読ませたいシーンになると一気に大ゴマで人物のアップを持ってきます。その時の人物の表情に、すごく引き込まれます。唇を噛みしめて泣くのをこらえている顔だったり、凄みのある昏いアルカイックスマイルだったり。第一印象から絵がキレイだとは思いましたが、こういう見せゴマでの表情はもう神!強く共感を覚えちゃうのですね。こちらもホロリときたり、切なくてやり切れない気持ちになったりと忙しい・・・。

そして過去編から再び現在に戻った所で、本格的な二人の恋愛パートに突入です。紺野のシンプルで嘘のない考え方が、早川にとって救いになります。

といった感じでしょうか。

レビューを書いたときはかなり興奮していたので、冷静になってチェックしてみたら意味が分からないレビューかもと・・・。とりあえず、補足してみました。

7

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