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やっぱり好きだ…。
何とか上巻のレビューを書き終わって下巻。
3回も読み直してしまいました。
上巻は胸が痛いだけなのでほとんど読み返さないのですが、下巻だけはもう何回読んだか分かりません。
もうちょっとで「同級生」シリーズばりに台詞を完全記憶できる勢いです。
終始シリアス方向だった上巻と違って、下巻はわりと軽い感じで進みます。
このテンションの違いがすごいなあと思うのです。高校生くらいの鬱屈した気持ち、閉塞感、言いたいことがうまく言葉にできない焦燥感が溢れた上巻とくっきり切り離して、3年の月日を挟んで描かれる下巻は、子供と大人の間みたいな、ある程度自分の足で世界を見て回れるし、自分の責任でやりたいこともある程度できるという年頃。でも完全に大人じゃない、というこの「ある程度」感がすごく良いのです。
酔って他のグループに入り込める紺ちゃんを誰が想像したでしょうか。早川のドングリ化現象が完成しているのも予想外でした。
早川の一人暮らしのアパートが「別宅」になっているというバンドメンバーに、「も、もしや今の彼氏では!?それともセ、セ、セッ、フレンド!?」と慌てたのはわたしだけではないはず。
いろいろな意味で「あの頃」とは違う。
再会してからのぎこちない早川の態度と、変わらない紺ちゃんもいいんだなあ。紺ちゃんは本当にブレない。だからこそ早川の気持ちがあっという間に戻ってしまうのにも説得力が増すんですよね。
ところどころに入る回想シーンで描かれる屋上に来なくなったあとの早川を見つめる紺ちゃんの姿や、「早川の3年間、ちゃんと見ときゃよかった」という短い言葉に込められた紺ちゃんの想いも、「好き」という言葉以上に訴えてくるものがあるのです。
基本的にえろすなシーンはあまり得意ではないのですが、この作品だけはあのシーンが見たくて読み返している節があります。もう本当に何でしょうね。この瞬間のために上巻があって、下巻のここまでもすべてがえろすへのプレリュード。All for Eros. Eros for all. ラグビーかっていう。
告白のやり直しで泣けます。もういろいろな場面が走馬灯のように蘇ってきて、「わたし、死ぬのかな。死ぬ前に見る走馬灯って自分の思い出じゃないんだ…」と思いながら視界がぼやけていく。
そこから始まるえろすシーンが、笑いと胸きゅんの玉手箱ですよ。彼シャツの早川の可愛さったら!一瞬イスラム教徒かなと思ってしまう。タオルを出したあとに横たわる早川のムスコさん的存在にもご注目を。可愛い!ムスコさん的存在萌えです。
とにかく愛が溢れています。呼吸も荒く貪り合わなくていい。2人で並んで観る動画。早川の回想が入るのもいい。最後まで出来るか出来ないかの会話もいい。その後のふざけた会話を交えながらのシーンもすごくいい。紺ちゃんはいちいちカッコよく、髪の乱れた早川に「いつもそうしてればいいのに」と思いつつも、屋上の2人に想いを馳せる。
ああ、きっと3年のときを超えて、今やっとあの場所に戻ってこられたんだなと感じるのです。
とても、いい。
その他にもよそよそしくなった早川に「その呼び方やめろ。腹立つ」と言うシーンは卒倒しそうになるので、背後にクッションや座布団必須です。
2人だけの鍋パーティで「酔ったら誰とでもキスする人?」と聞かれた紺ちゃんの返事のページ用に、酸素吸入器も用意しておいた方がいいかもしれません。
早川もいちいち可愛くて。こんな子だったかなあ、と思うほど、何というかピュアなんです。ビールの回し飲みにときめいてしまうような子になっていて感無量でした。
まとまりません。
書き始める前からそんな予感はしていましたが、語りつくせぬ魅力を語り始めてしまったので止まりませんが、いい加減にしないとだめですね。
苑生さん、この作品が初コミックスなのでしょうか。
信じられないクオリティです。絵もストーリーも何もかも。
今後にも期待しつつ、もう一回読んできます。
飽きない!
すれ違いからの下巻です。
時系列ではいきなり三年後。
紺野は写真を学ぶ大学生、早川はインディーズバンドのギターという立場での再会です。
紺野との出会いで本来の自分を取り戻し、前に進む早川。対照的に、写真を学びスタジオでバイトと順調に見えながら、「あの日」の早川の笑顔に囚われている紺野。勉強の為にインディーズバンドの写真を撮ることになった紺野がライヴ会場を訪れると、そこには早川の姿がー・・・という再会編です。
上巻では、どちらかというと思春期の繊細さだったりモラトリアムだったりが前面に押し出されてましたが、下巻では一気に等身大の若者感が出てます。
再会後の「期待をしてはいけない」と自分に言い聞かせる、早川の臆病さが切ないのですが、ここからのジレジレ感がもう神!!早くくっつけ~ともどかしい気持ちを味わわせてくれる分、互いの気持ちを確かめ合うシーンには胸が熱くなります。
そして甘いです!気持ちを確かめ合い、くっついた二人のやりとりが可愛すぎて悶えます!!
素直になり、本来の自分を取り戻した早川は、こんな可愛い子だったのね、とニマニマしちゃいます。なんて言えばいいんでしょうかね・・・。ワンコなんだけど、ご主人様が大好きで構って欲しくて仕方ない子犬系。そして欲望に素直なのも萌えます。そう言えば、もともとは下半身ユル男設定だったと思い出したりして。
それにしても、なんでもよく分かってるみたいな顔をしてるクセに、紺野は相当鈍いんじゃないでしょうか。自分の気持ちくらい早く気付けよー!!と、どつきたくなりましたよ。
上巻のレビューでも書きましたが、全体を通して温度が低い印象を受ける作品です。一気に盛り上がって引き込まれるというよりは、ジワリジワリと胸に来る作品だと思うのですよね。実は最初に読んだ時はここまで惹かれなかったのですが、読み返すと「あれ、すごく萌える・・・」て感じで。読み返す毎に味が出る作品とでも言えばいいでしょうか。
人によっては盛り上がりに欠ける印象を受けるかもしれませんが、じっくり丁寧に読んでもらいたいと思える作品です。素敵な作品でした。
下巻は上巻から三年後、紺野と早川が別々の道を歩み大学生となっています。
上巻のラストに起こした行動から早川はひたすら在学中紺野を避け、しかし紺野との出会いがもとで自分の世界を広げていく努力をしました。
その辺りは紺野視点で語られており、下巻は紺野視点中心で進みます。
上巻に比べると、そちらでたっぷりと苦悩を描いたせいかそれとも大人になったせいか、話の進みは速くなります。
が、商業誌で連載されている作品の数々はそんな駆け足感や物足りなさ感はつきものなので、こちらだけの話ではないかなと。
わたしの感想は上下巻共に『あー!紺野カッコイイ!!!』というものでした(苦笑
これに尽きた…
下巻の方がかなり線は細く強弱がついていますので、上巻とはちょっとイメージ違うかもしれません。
これはやはり、ウェブで長くお時間かけて続けられていたせいかもしれませんね。
そして挿入自体は無しです。
でも紺野×早川ですよ。
これ最初の頃紺野攻め希望であったもののハッキリとはせず、ドキドキさせられた思い出が(笑
上巻のラストから3年が過ぎて、紺野の環境も周囲の人も少しずつ変化していっている中で、紺野の心境にもまた変化が起きてきているのが徐々に読み取れます。
そんな中での早川と再会し、好きな音楽を努力して続けていることを知って、早川に対しての気持ちもまた、動きだしたのがわかりました。
早川を写真のモデルにしたいという女友達のお願いを紺野が「気乗りしない」と言う時点で、早川に対する特別な感情があったように感じます。
早川の2度目の告白を紺野が受け入れ、どっちが受けるか攻めるか相談しているところや、最中の自然なやり取りが高校の時の屋上での二人を思い出させ、微笑ましかったです。
劇的ではないけれど、少しずつの変化が変えるものもある、と思えた下巻でした。
紺野は表情があまり変わらないのでわかりづらいですが、そういう人だからこそのこの空気感のように感じられます。
細かいですが、早川はもともとノンケなのに、あれからずっと紺野一筋・・?と思うと少しその辺りの描写も欲しかったかな、と思います。杏ちゃんのくだりはありましたが・・。
素直になった早川は子供みたいで、なかなか可愛いです。
全体を通して、独自の雰囲気を持っていて、絵もお話も丁寧に描かれていると思います。個人的にはとても好きな作品です。
スタイリッシュすぎる表紙と背表紙の漢字の多さに臆して、気になっていたけど敬遠していた作品、やっと読めました。辿りついてよかったです。
要所要所での余白の使い方が好きだなーと思いました。少ないモノローグや、言葉を絞って的確に表現された台詞、キャラクターの表情の微妙な変化で丁寧に描かれる心理描写が素晴らしいです。噛み締めれば噛み締めるほど、、というスルメ系作品というか、じっくりコトコトと煮込まれた3年越しの2人の関係を存分に堪能させていただきました。
もし紺野と再会できてなかったら、どうなってたんだよ~ってくらい紺野のことを好きな早川の一途さがたまらんかったです。再会後の乙女な感じが可愛い…。そして、それ以上に紺野がすっと早川のことを気にしていた、区分しづらい感情をかかえていたという意味では、3年間別れていてよかったね、と思えます。たぶん、3年前の紺野に早川を受け止めきれてた感じがしないから!3年熟成された紺野は、好意をダダ漏らしてくる早川へのリアクションに余裕があって、いちいちいい男なんですよ。もう紺ちゃん、ますます惚れるに決まってる!
あと、個人的な趣味なのですが、”どっちがどっちする?”を話し合うシチュエーションが好きなんですよ。結果、私好みの攻受でしたが、きっとこれどうであっても、早川の希望に沿うように、紺ちゃんなりに努力してくれそうな愛を感じました。行為中の馬鹿馬鹿しいような会話に表現される幸福感が後を引きます。