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表題作THE DARK BLUE

ロキシー・アルカード
オリヴィエ・シェリダン

同時収録作品THE DARK SHADOW

ロキシー・アルカード
オリヴィエ・シェリダン

あらすじ

すべてに絶望し夜の街を彷徨っていたオリヴィエの前に現われた一人の男。
ロキシー・アルカード―太陽も十字架も恐れない黄金の吸血鬼だった。
その日から、彼の餌食となったオリヴィエ。
しかし、彼には恋人の医師のヘーゼルがいた。
愛すれば愛するほど、破滅していく愛もある。
魔性の男たちが織りなす愛のものがたり。

作品情報

作品名
THE DARK BLUE
著者
山藍紫姫子 
イラスト
舞方ミラ 
媒体
小説
出版社
角川書店
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
ISBN
9784044356019
3.7

(14)

(4)

萌々

(7)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
3
得点
51
評価数
14
平均
3.7 / 5
神率
28.6%

レビュー投稿数3

ラストの大どんでん返しがお見事でした

THE DARK BLUE(ロスが舞台)とTHE DARK SHADOW(ロンドンが舞台)の2編が入っています。
通して読んで、その収束の付け方に唸りました。
THE DARK SHADOWの方には、陵辱強姦とは異なった『非常に暴力的な』と言いますかグロいシーンがあります(さらっと書かれているのですが)ので、苦手な方は避けた方が良いかもしれません。

日の光や十字架など、吸血鬼の弱点と呼ばれるもの全てを恐れないロキシー・アルカードはオリヴィエ・シェルダンの血に固執しています。快楽や恐怖を感じた時に血の味は格別になるため、ロキシーは自分の獲物としてオリヴィエを束縛しています。
オリヴィエはロキシーとの関係を憎んでおり、どうにかしてロキシーから逃げようとしています。住む場所を知らせずつましい生活をする中で、宝石店での仕事を通じて漢方医師として成功しているヘーゼルと知り合い互いに想い合う関係になるのですが、ロキシーとの因縁を彼に話せないままでいます。
ヘーゼルの愛を確信したオリヴィエは何とかしてロキシーから逃げようとするのですが……というのがTHE DARK BLUE。

ロスからロンドンに移ったロキシーとオリヴィエでしたが、まだ教会への信仰心が厚いロンドンでならロキシーを倒せるのではないかとオリヴィエは思い『神の降りる教会』と感じた教会に通い告解を繰り返しています。教会の牧師であるブライアンの姉がロキシーに血を吸われたことでロキシーの正体がばれ、オリヴィエが撃たれそうになるのですが……というのがTHE DARK SHADOW。

執着攻めという点では、ロキシーはBL紙上でも上位を争うと思います。
ただ「それは愛なのか?」と言えば一概にそうも言えないような気がします。
ロキシーにはとても激しい執着がありますが、オリヴィエの方から見ればそれは厄災でしかないからなんです。

その構図が物語の最終盤でガラリと反転する様は「お見事!」としか言いようがありませんでした。

なんとすごいことに、その後もう一回反転するんですよ。
これをどう感じるかはそれぞれの好みなんだろうと思うのですが、個人的にはこの反転がなくて『風と共に去りぬ』的な終わり方の方が好きかも。「ロキシー、オリヴィエのことを愛してたんじゃん(涙)」となったと思うんですよね。
でも、このラストの方が「山藍さんらしい」とも思うのですよねぇ。

4

山藍さんの吸血鬼もの

全体に流れる隠微で暗い雰囲気。でも読後感は悪くありません。

あらすじは書いてしまうとネタバレになるくらいストーリーが出来ているので省略します。
登場人物は、美しい青年オリヴィエ。舞台は外国です。そして、オリヴィエを犯す吸血鬼、ロキシー。強く、絶倫なスーパー攻め様です。異形のものだからか精力は衰え知らず、繊細なイメージながら淫らでもあるオリヴィエを陵辱の日々。しかしオリヴィエには優しい恋人がいます。
二人の関係はどうなっていくのか、オリヴィエはどう変わっていくのか。。

雰囲気やストーリーの作り込みを無視した構図としては陵辱されながらも体は反応し、やがて。。という王道もの。しかし物語として読ませます。

恋人とロキシーとの関係に苦悩しながらも、最後には自分をみつめるオリヴィエ。真実の愛はどこにあったのか。それが明かされる形でお話しは終わり、わりとすっきりしました。

3

吸血鬼モノです

う~~~ん、萌×2にするか萌にするかで少々悩ましい作品。
吸血鬼のロキシーと彼に執着されている美しい青年、オリヴィエのおはなし。

ロキシーは吸血鬼のステロタイプとは程遠い。
光り輝くロサンジェルスの高級ホテルに住み、豪奢な生活をしている金髪の美男
彼は日光浴もすればニンニクも十字架もきかない。
吸血鬼というより、あたかもロックスターか人気俳優のようです。
オリヴィエは反対に漆黒の髪と青い双眸を持つ美青年ですが、
ロスで漢方医をしているヘーゼルと恋仲にあります。
このヘーゼルとの仲が山藍先生には珍しめの「まともな恋人」同士です。

ですが、ロキシーがことごとくその仲を邪魔しにかかり、
オリヴィエも結局は肉体で服従させられています。

表題作はそんなオリヴィエの悲しい絆の物語。
問題は後半の THE DARK SHADOWで、舞台はロンドンへとかわる。
ここからが予想外の展開。あえてネタバレはしません。

前半の切なさと後半作品で描かれるロンドンの空気感がいいです。

通して読むと、オリヴィエがロキシーとの関係性に気付くには
ちょっと伏線の張り方が甘いかなぁとは思うけど、
エロティックでありながら純愛めいている。ア、でも90年代はこういうのって
お約束だったかなーって気もしなくはありません。

ついでに言うと、珍しく異物混入やら変態プレイはございません(笑)
3Pもございませんよ!割に切ない系の純愛・執着愛で進行します。

これもそろそろリライトかかるんじゃないかと予想。
舞方ミラさんのイラストレーションがいかにも90年風なので、
新装版になって加筆入ればまた違った楽しみ方ができそうです。

4

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