この男に、責められたい──。

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表題作ご主人様とマゾヒスト

佐々木史郎、後輩
宮下睦月、先輩

あらすじ

営業マンの睦月は自分を苛めてくれるパートナーを求めるM。新年度、経理に年下の史郎が異動してきた。外見は格好いいが無愛想で、周囲から快く思われない彼を睦月は気にかけるが、その冷たい視線にノンケでありながら興奮してしまう。ある日、着替え中に背中の鞭跡を史郎に見られた睦月。Mだと知られるも、態度を変えず自分はSだと言い出した彼に、睦月は「苛めてほしい」とお願いするが…。

作品情報

作品名
ご主人様とマゾヒスト
著者
さくら芽留 
イラスト
亜樹良のりかず 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778123277
3.1

(6)

(0)

萌々

(3)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
1
得点
18
評価数
6
平均
3.1 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

恋に落ちる理由ってなんなんでしょうね?

うーむ……考え込んでしまったんですよ。
人を好きになるのってなんなんだろう?って。

睦月は自分のことをMだと自覚しています。
以前の恋人達にもそのことを話し、合意してもらえればそういうプレイも『してもらって』来ました。
睦月の支店に人事異動で来た史郎は、そのイケメンぶりで最初こそは女性社員に騒がれるものの、付き合いは悪いし、素っ気ないしで、輪の中からは外れ気味。でも睦月としては、その素っ気なさやクールな感じが好みなんです。
仕事先でいきなりの大雨に濡れて更衣室で着替えた睦月は、前の恋人に鞭打たれて出来た痣を史郎に見られてしまいます。その後「マゾなんですか?」と聞かれ、自分はサディストだと告げられます。
史郎に責められたい気持ちを持っていた睦月はSMのパートナーになってもらうよう史郎に頼み、2人の(ノンケ同士の)SM関係が始まるのですが……

人を好きになる前に、その性癖を聞いたりしませんよね?
でも、それって結構大切なことだと思うのです。
「多数に属さない(と思われる)性癖を持つ人って、実際は我慢しているんだろうか?」なんてことを考えちゃったんです。言い出せなかったらそうするしかないですよね?

じゃあ、一旦好きになってしまった人がマイナーな性癖だったからって嫌いになるかと言えば、必ずしもそうでないような気がします。
また、所謂『体の相性』が良い人が最良の相手かと言えば、やっぱりそうも言い切れない様な気が……

じゃあ、好きになるっていう理由はなんなんだろう?と。
このお話の中でも、睦月がそのことを色々と挙げるシーンがあるのですが、そこを読んでも「でも、それが全てではないよね?」と言いたくなる。

SMのお話なんですけれど、淫靡な感じがしません。むしろ甘い。
変な言い方ですけれど『健全なSM』だと思いました。行為にキュンキュンする睦月は可愛らしくもある。
そのくせ『恋について考え込む』という、不思議なテイストが魅力的な1冊でした。

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