傷だらけの心が恋の力で強くなる

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表題作さよならガラスの恋心

副島鷹行,28歳,玩具メーカー社員
近藤夏季,24歳,定食屋のアルバイト

同時収録作品幸せ色の風景

副島鷹行,28歳,玩具メーカー社員
近藤夏季,24歳,定食屋バイト

あらすじ

小さな定食屋で働く夏季は、このところ体調がすぐれず時折頭がぼんやりすることがあった。家族に恵まれず初恋相手からも傷つけられ対人恐怖症気味の夏季には、一年前から付き合っている美樹本という恋人がいる。美形で遊びなれたふうの美樹本が自分を構ってくれる理由はわからないが、嫌われないよう努力する夏季。その姿を美樹本の同僚・副島は痛ましげに見守っていた……。俯きながら生きてきた夏季を本当に救うのは?

※発売日が変更となりました。 11/15(水) → 11/30(木)

作品情報

作品名
さよならガラスの恋心
著者
伊勢原ささら 
イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344841154
3.5

(44)

(10)

萌々

(18)

(7)

中立

(3)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
9
得点
146
評価数
44
平均
3.5 / 5
神率
22.7%

レビュー投稿数9

見守る攻め様にジレジレきゅん(*^^*)

正しい攻め様の見守る姿、というか見守るしか出来ない姿にジレジレしつつもきゅんですよ(≧∇≦)


受け様は、定食屋アルバイトの夏季。
控えめで繊細でまさに薄幸。
攻め様は、定食屋の常連客の副島。

初めは、何だか不安定な雰囲気の夏季や、恋人の美樹本とのやり取りに、ん?と私も不安を覚えつつ。

そんな中でも「ありがとう」という言葉と気持ちを大事にしている夏季は気持ちのいい、いい子だな、と好感触なんです。
そして、副島の力強い「大丈夫だ」に励まされてる気持ちにもなりました。

全くもう、副島がもっと早く自分の気持ちに気づいてアピールしてくれていれば、なんて思ったりもしましたが、いつも励ましたり、夏季の気持ちを大事にしてくれたり。
根気強く見守り続けてくれた副島は、やっぱりいい男だわね~(*^^*)

きちんと自分で元カレの美樹本と対峙しようとした夏季も、前向きになってきたんだな、と嬉しくて(*^_^*)
夏季の危機にはもちろん副島が助けに来てくれたし。
最低野郎の元カレでしたが、小物だったので、拍子抜けなくらい。

これからは、副島がそばにいて、夏季が安心して甘えられるようにしておくれよ、と思ったのでした。

1

もっと読みたいシーンがたくさん

ささらさんの不憫受けと優しく包み込む頼り甲斐のある攻めは読んでいて安心感がありホッと優しい気持ちになれます。
もう少し種明かしを早めにして欲しかったです。
美樹本に<ネタバレ>れたシーンもちゃんと書いて欲しかった。自然消滅的だったのかな。付き合いだしてからの夏希の一瞬浮かれた時だったり、キスとかしたのか?とか、書いてない部分で読みたいところが多かった。

美樹本を定食屋に初めて連れてきた時の夏希の表情とそれで察する副島のシーンだったり、美樹本と付き合うことを知ってからの副島のジリジリした感情ももっと読みたかったです。自分には出来ない愛情表現を持つ美樹本に嫉妬したり、夏希に触れる美樹本を想像して苦しがったりするのを…(妄想補填笑)
そのくらい、夏希と副島の近づいていく距離感と時間のかかり方がすごく良いんですよね。
美樹本はあれで大手ゲーム会社勤務なのか?

副島がグールグルネガティヴ夏希に対して、困ったときに助けるだけでなく、趣味ややりたいことを見つけるようアドバイスするのは健やかな流れだったし、大事な事だよなぁと再確認出来ました。夏希の不安定な姿を押し付けず、やんわり声をかけて見続ける男副島、良いスパダリ。

本編後の小話「最強のライバル」が、副島の仕事がちゃんと活かされてて笑いました!早く帰ってきたのに夏希はゲーム漬け、嫉妬と腹ペコの限界でゲームの電源切ったら夏希ブチ切れ…あの儚い夏希が⁉︎あの副島さんに冷やご飯と玉子⁉︎(ご飯の準備くらいしてただろーとは思ってたのに)
そしてゲーム製作者だからこそ出来る裏ワザ情報で夏希のご機嫌取り、裏ワザ使ってゲームの復元(オプション入り)しながら夕食を待つ副島…
夏希のゲーム設定に見つけた自分への愛に気づいて「愛してる」と副島が告げれば〈ネタバレなので、自分メモとしてコメント欄にします〉と夏希から返ってくる。
こんな日常を当たり前に送るようになった夏希…!彼の心の成長と、それを献身的に支えた副島二人の変化にジーーンときた小話でした。

0

ひみた

「えっ、な、何?急に。あ、はいはい、わかった。お腹減ってるんでしょ?おだてなくてもすぐできますから。」
と笑いを含んだ声が返ってきた。

表紙の雰囲気通りの作品

電子書籍で挿絵なし。
電子だと表紙の絵しかないので、攻の副島の顔がわからないのは残念。麻々原先生の素敵な絵柄を頭に思い浮かべながら読みました。

見た目は怖いけど懐が深いサラリーマン×あまりにも不憫な人生を送っている定食屋のバイトです。

シリアスで重たい作品。受の夏季の、「体調がすぐれず時折頭がぼんやりする」ことの真相がとても辛いです。夏季の場合は、精神的に受けたダメージがあまりにも致命的でした。

夏季は、島育ちで純朴すぎるだけでなく、8人兄弟の末っ子で家族にまともに相手をしてもらえず、漁師の息子なのに見た目も弱々しくいじめられっ子だったため、自己肯定感が欠片もありません。あまりの自信のなさに、読んでいて本当に可哀想な気持ちになります。この夏季のつらすぎる生い立ちのリアルさが良かったです。酔った父親が夏季に言ったことはものすごく酷いことなのですが、きっと言った本人は覚えていないのでしょう。
島にいた頃に夏季に手を出した男は、夏季が疎ましくなると夏季の根も葉もない噂を流して自分から遠ざけ、そのせいで夏季は島中から侮蔑の目で見られ、ついに家族にも捨てられてしまいます。島という特殊な空間で、何をしてもすぐに知れ渡ってしまう狭すぎる異常な世界で、夏季を捨てた家族に、同情の余地が全くないとは思いません。でもやっぱり酷すぎる…。

東京に出てきて定食屋のバイトに落ち着いた夏季は、ある日、常連である副島に着いてきた、同僚の美樹本という男と知り合い、付き合うことになるのですが…。
この美樹本についての描写に、たまに感じる違和感。「あれ?ここおかしくない?」と思う点は、物語の真相が明らかになると、そういうことだったのかと納得がいきました。

夏季のことをずっと見守り、支えてきた副島の一途さ、健気さ、男らしさの全てに胸を打たれます。夏季の過去は何をもってしても帳消しにはできないけれど、副島という素晴らしすぎる男に愛されて、どうか今後の人生は、光に満ちたものであってほしいです。

2

薄幸すぎる……

辛いことの連続で、パニック障害まで起こすようになってしまっている不憫薄幸健気受けが主人公です。
まさにガラスのような脆い心を抱いて終始俯きぎみな受けが、言葉は少ないけれど誠実な攻めに出会って救われるというお話なので、不憫受けがお好きな方は、はまるんじゃないでしょうか。

ただ不憫・薄幸受けに仕立てるために用意した過去のエピソードのあれこれが不憫というか理不尽すぎて、自分の中で消化できないまま終わってしまいました……。

特に、家族とは名ばかりの受け一家。
末っ子である受けは放置して親の歓心を得ようと競争しあう兄弟達とか……どんだけ途上国で弱肉強食の世界なの?と。
それなのに終わりのほうで、当時について謝りたい……と登場する姉とか、今更どのツラ下げて……としか思えず、もやあっと。

そんな家族のせいで自尊心が育たぬまま大きくなってしまい、甘い言葉を吐く口先だけの男に引っかかってしまう受け……
しかも二度も……。

つらい……

貧乏子沢山でも愛情いっぱいの家庭で育っていたら、あんなクズ野郎たちに易々引っかかることはなかったと思うんですよね。絶対に。
あんなに健気でいい子なのに。
受けは「ありがとう」と言うたびに心のノートに記録していて、今日は3回もありがとうって言えることがあったと密かに喜んでるとか、どんだけいい子なの!と思わず肩入れしたくなる。


良かったね!と思える終わり方なんだけど、電子限定の書き下ろしSS「最強のライバル」を読んだら、時代錯誤もはなはだしい発言を攻めがしてて、うわー……と思ってしまいました。

攻めが開発した育成シュミレーションゲーム「ふんわりベアの農園づくり」にすっかりはまってしまった受け。
攻めがお腹すいて帰宅しても、「ちょっと待ってて、今カルボナーラを作ってみんなに振る舞うから」とゲームに夢中で、攻めをほったらかし。
しばらく待っても拉致があかない様子に堪忍袋の緒が切れた攻めは、電源引っこ抜いて「俺の方がずっと腹が減ってる!遊んでないで早く作れ!」と一喝。

受けは専業主婦でもないんだから、たまには俺が作ろうかなみたいな発想にはなんないのか?と。
もしくは、ご飯は炊いてあるんだから適当に食っとけ!!みたいな。
まぁ受けのご飯が日々の活力の元&楽しみなのはわかるんだけど。
(その後、攻めも時代錯誤で亭主関白丸出しな発言をしてしまった……と後悔してるんだけど。)

読まないほうが良かったなぁ……と思ってしまった電子限定SSです。

6

薄幸な青年の恋


定食屋で働く近藤夏季(受け)は最近めまいがしたりぼんやりしたりと体調がよくありません。何か忘れているような気がするのですが記憶に霧がかかったような感じがしているのです。そんな夏季を店の常連の副島(攻め)が気にかけてくれます。夏季は寡黙で強面で仏頂面な副島のことが実は苦手でした。が、体調が悪い時いつも「大丈夫か」と声をかけてくれるのです。

夏季は小さな島の出身で貧乏な大家族の末っ子でひ弱な夏季は家族からもないがしろにされ、学校では虐められ、身の置き所のない少年時代を過ごしてきました。
中学卒業後の就職先で初めて自分を見てくれる人が現れ、裏切られ故郷の島にもいられなくなり、上京することになります。
故郷での出来事のせいで、対人恐怖症でパニック発作も起こすようになってしまった夏季ですが、カウンセリングも受け、今の定食屋に就職してからは主人夫婦にやさしくされ、一年前からは美樹本という恋人もでき幸せを感じるようになりました。
美樹本は相変わらず優しくしてくれるのですが、なぜか抱きしめられても寒くて不安を感じるのです。

副島は玩具メーカーのゲームクリエイターです。格ゲーを作っているような印象の強面な人ですが、実際は癒し系ゲームを数多く手がけていて部下からの信頼も厚い人です。
夏季のことをずっと想っていたのですが、それが恋愛感情と気が付かず美樹本に先を越されてしまいます。それでも夏季が幸せならとずっと見守っていました。
最近の夏季の体調がよくないことを気にかけ、何かと気遣っています。
副島は本当にできた人で、体調が悪い夏季に何度も「大丈夫か」と声をかけ、家まで送ったり気分転換に連れだしたりと心の弱い夏季を気遣います。


本編を読み終わったときは幸せになった夏季のことが喜ばしくて泣いていしまいました。

夏季に恋人がいる状態だったのでどんな嫌な奴が恋人なのかと思ったのですが、はじめは普通に優しい恋人のように見えたので拍子抜けでした。が、読み進めるうちにうすら寒い感じがして、美樹本がいったいどういうつもりなのかが見えなくて、夏季の不安な心が移ったように不安な気持ちで読みました。
副島の行動も含めて、読んでいて不自然なことや違和感が何度もあって、これが不安感を煽ります。
真相がわかってからは夏季の心情を想って泣けました。
再読すると、副島の表情や言動が初見の時とは全く違って見えるのでとても切なくなります。

夏季の過去の話は読んでいてとても辛いです。
彼の過去の話を読んでいるといつの時代のことなんだろうと思うくらいでした。
いくらうっかりできたからといっても普通は年の離れた末っ子なんて一番かわいがられるはずのポジションだと思うのですが、一番弱いからとないがしろにされるなんて、血のつながった家族ではなく、様々な年齢が集まる子供の集団のようでした。両親の態度に問題があったとしか思えません。

最後、夏季が出て行ってから家族が心配していたと聞いても、どうも釈然としませんでした。直接会いに来たすぐ上の姉にしても自分に子供が生まれるからその子供に後ろめたい自分でいたくないから、そして自分は結婚して幸せで余裕ができたからという勝手な理由のように感じました。
いくら人の好い夏季が全く家族のことを悪く思っていなくても(逆に家族にとっ
て自分は幽霊じゃなかったとうれしく思うくらい)家族には何か因果応報があってもよいんじゃないかと思いました。

ただ、夏季にひどいことをした過去の男二人はちゃんと報いを受けたのでちょっと胸がすきました。

今まで、人に存在を肯定されることなく生きてきて、副島や定食屋夫婦や副島の同僚など優しくしてくれる人に囲まれ、やっとこれから人並みに幸せにな
れると思うと本当に良かったと思いました。
恋人とは尽くすばかりで気を遣う関係ではなく、お互いが相手を想いあいわがま
まを言える関係であると副島のおかげでやっと理解できて本当に良かった。

どんなに辛いことでもちゃんと向き合ってから副島に自分の気持ちを言えた夏季
に泣き、過去の夏季がかわいそうで悲しくなり、真相がわかってからは副島の心情を想って泣き、読むのはちょっとしんどかったです。でも、最後は泣き笑いで読み終えることができ、とてもいい話だったと思います。

11

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