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5話収録の短編集でした。
どの作品も表面上に表すことが出来ない部分をうまく切り取ってお話にしているように感じて、その独特な世界観にひきこまれました。
登場人物たちの恋愛だけを描いているわけではないのだけど、でもその関係の延長線上には友情以上のモノが存在するのだろうなと想像するのも楽しかったです。
「オーダーメイド」は唯一ガッツリBLなのかな?というお話でしたが
それでも八尋と孔史が義兄弟の関係をこえて親しくなっていく、という部分だけではなく
その背景にある感情の絡まりや人との関わり方などを織り交ぜて描かれているのが面白いなと思いました。
過去のブログで商業BLをやめたと書かれていたのを読んで少なからずショックを受けていたので、この新刊は(発売からだいぶ経ったけど)本当に嬉しかったです。
ご本人の思い描くBLと世間で求められるBLとの差、そして「ガチじゃなくても、恋だ愛だエロだ言わなくてもなんか微妙なものがある!!」という作家さんの心の声に、そーだ!そーだ!!そのとーりだっ!!!と激しく頷いたものです。
男二人の間に何かがある。
多分、腐センサーがない人は見逃しちゃうくらい微妙な何か。
だけど、その「名前をつけられないくらい微妙な何か」を嗅ぎ取ってそこに萌える事ができる、そういう人向けの一冊です。
ですので「エロがないので評価下げます」みたいな方はどうかご遠慮ください。
なにこれ、エロどころかチューもしてねーじゃん…みたいな作品がありますので。
あ、余談ですけどTASTUKIさんの8月18日のツイッター見てください!!
クッソ萌えること間違いなしです。
この本は2012年cab掲載の二作品と、商業未発表の三作品が収録されています。
私が一番好きなのは【柿と豆腐】cab掲載作品
当主とそれに仕えてきた家臣という世が世なら主従関係の二人。
明治維新を経た今も、先祖代々に習って鮫島家の跡取り・将之介を守る!!という使命に燃えている幼馴染の虎ちゃん。
ほのぼの&コミカルなお話です。
この虎ちゃんがめーっっちゃいい味出してます。
将之介のほうが早熟というか年相応というか、虎への恋心に目覚めているのだけど、虎ちゃんは絶望的に鈍チンなヤローなんで、鼻息荒く「豆腐(将之介のこと)を守る!!」理由が何なのか気づくにはあと、数年はかかりそう笑
そして「僕こそ虎のことを守らなきゃ!」と使命感に目覚めるおぼっちゃま・将之介。
きっとそのうちに将之介がもっとぐいぐい迫ると思うのだけど、鈍チン虎ちゃん相手に将之介、がんばれ………としか言いようがないです。
以下掲載順
【 Mr.Jellyfish】
主人公の行き場がなく鬱々と彷徨う気持ちや、主人公を故郷に残したまま世界を気ままに放浪する幼馴染の姿。
そのどちらも行き先決めずに漂うクラゲに重なりますし、ストーリーのとりとめのなさも含めてクラゲっぽいかも。
【オーダーメイド】cab掲載作品
これたまらんです。
テーラーである義兄に頼んでスーツをオーダーするオープンゲイな主人公のお話。
姉の夫という背徳感もさることながら、スーツのオーダーメイドってエロいなぁと改めて感じました。
口には出さないけど心に秘めたる何かを抱えた二人が、スーツを完成させるために普段よりも近づいたり、採寸で触れたりするとか、めっっちゃエロス。萌える。
【ひなどりレンジャー部隊】
これも好き。
看護士さんから見た病院の先生はいたいけなピヨピヨのフクロウのヒナそのもので、周りの肉食獣(女性同僚達)から守ってやらないといけないと思っていたのだけど……。
先生の天然っぷり、そして「愛はすべてを超えるわ」の師長といい登場するキャラが何ともいい。
【Blue to blue】
これはBLではないけど、でも好き。
両親を亡くし孤児となった上、いじめにもあう主人公。
喪失感があまりにも大きすぎて、呆然としている主人公が、ヒカルとスバルという幼なじみの双子に出会って超強引に二人に巻き込まれていくうちに少しずつ悲しみと向き合って癒されていくというお話。
この双子は「まさに嵐のよう」で、奴らが登場すると悲しみにも浸っていられない感じなのだけど、それがかえって救いなんでしょうね。
初読み作家さん。
なんとなく表紙に惹かれて購入。
素敵な短編集でした。
5編あるけど、「オーダーメイド」以外は恋の芽生えや友情、友情以上だけど・・・なほんのり香る感じでした。
どの作品も静かな余韻があってそれぞれ魅力的な作品でした。
個人的には「柿と豆腐」が好き。
「Mr.Jellyfish」は自分というものや存在意義についてモヤモヤしてるのが、友人の存在におぼろげながら気付いていく感じで、思春期特有のモヤモヤ感がいい感じで出てて好きでした。
「柿と豆腐」は世が世なら主従だけど、小さいころから守り守られな友人関係がとっても可愛くて、虎雄の鈍さというか真っ直ぐなところがお話に一本芯が通ってる感じで楽しめました。
「オーダーメイド」は切ないけど優しい物語でした。
「ひなどりレンジャー部隊」は天然な安斎先生がツボでした。
「Blue to blue」双子がすごく魅力的で。いい子達で、丹青くんの境遇は悲しいけど、ほんわかあたたかな気持ちになりました。
カバー下に後書きと作者さんのざっくりw作品解説が~!8年ぶりのコミックスだったのですね~。
他の作品も気になりました~。
仄かな恋心。もしくは恋愛未満のお話が詰まった短編集。
全編通して漂う空気感が良い意味で日常的。
人を好きになるって創作物ではドラマチックに描かれがちだけど、実際は日常のひとこまにある「普通のこと」なんだよなぁ、と読了後にしみじみ思いました。
それが同性間であっても異性間であっても、好きな気持ちは普通すぎず特別すぎず、ただそこにうまれて在るものだと。
『八月の杜』が大好きで、次の作品が発売されるのを心待ちにしていました。
それが8年という時を経て新刊発売!
5つの物語を集めた短編集。
個人的に最も心惹かれたのは『Blue to blue』
作者ご自身が仰ってる通り、BLではありません。
でも、男子高校生(幼馴染み)の関係性がとっても良い!
こうした物語を読むにつけ、私が読みたいのは(欲しているのは)人との関係性の機微であると。
人の持つ普遍的な“誰かを大切に想う”、という最も心の優しい場所を見せてくれる物語が詰まっていました。
あと、
主要人物ではないのだけど、TATSUKIさんは小さな子どもを描くのが上手だなぁ、と。
いるいる!こういう子!とそのリアルな生態に顔が緩みます(笑)
サードコミックス発売、誠におめでとうございます!!!
『八月の杜』から8年が経つんですね…。
もしかしたらもうTASTUKIさんの新刊は読めないのでは!?と
既刊を読み返す度考えてしまったのですが
良かった……本当に良かった……(涙)
TATSUKIさんの作品は、絵柄は勿論の事、
シリアスベースにも関わらず
絶妙な間のギャグが心地よくて大好きです!!!
なんとなくちょっと自分の人生を振り返させられるようなシーンがあったりで
深みも感じられるし
全力なバカが出て来てもTATSUKIさんのキャラだと何故か疲れないwww
思いやりと優しさがちゃんとわかるからかもしれません。
まさにいとしのバカ共という感じです。
大切なひとを守ってあげたい、悲しい想いをしてほしくない、
どのお話からもそんな気持ちが伝わってきて
彼等がいつも笑っていてくれたらいいなと願ってしまいます。
ラブというにはちょっと遠い作品でも、
お互いに心の中に住み続けている関係なので
個人的には充分萌えられます。
TATSUKIさんだから贔屓目ではありますがww
激しいHがあるわけでも、
大きな事件が起こるわけでもありません。
でもTATSUKIさんにしかお描きになれない世界がここにあります!!
4冊目が何年後になってもまた待ち続けます。
いえ、どうか待たせて下さい!!
なんだかもう胸がいっぱいで
言いたい事の1/3も言い表せられないよ……。