• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作甘い嘘

佐倉貴晴、理人とはセフレで親友の研修医、26
七生理人、スポーツ用品メーカー勤務、26

その他の収録作品

  • 甘い恋
  • あとがき
  • パートナー(あとがき内SS)

あらすじ

密かに想いを寄せている親友の佐倉と、もう六年、体の付き合いを続けている七生。
だがある日突然、佐倉から実家に帰ると告げられ……?

作品情報

作品名
甘い嘘
著者
安西リカ 
イラスト
三池ろむこ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403524516
3.7

(148)

(46)

萌々

(58)

(25)

中立

(4)

趣味じゃない

(15)

レビュー数
17
得点
541
評価数
148
平均
3.7 / 5
神率
31.1%

レビュー投稿数17

うーーん…

読み終わったばかりの、正直な感想を。。

今まで読んできた安西先生の作品の中で、ちょっと正直一番「萌え」とか共感できる部分の薄い作品だったかもしれません。

というのも、どうにも攻めが好きになれなくて。逆に当て馬の工藤さんに萌えてしまいました…
攻めがサークルの女の子に告白されるとすぐに次々手を出してしまうというのもそうですし、七生と関係を持つようになってからも、いまいち好意が分かりにくくて。
その分後半怒涛の両想いラブラブっぷりが描かれているのですが、なんだか波に乗り切れなかった…
当て馬の工藤さんの方がずっと大人で紳士で優しくて余裕があって…もう七生さえ良ければ工藤さんにしなよ(そうなるはずもないのですが)、そっちの話の方がきゅんとしそう、と思ってしまいました。

もちろん、ときめいた場面もあります。
初めて七生からメッセージを送られ、慌てて車で数時間かけて駆けつけてきた佐倉には「あっぱれ!」と言いたいですし、きゅんとしました。
さらにその直後、想いが通じ合った後に体を重ねるシーンも官能的で2人の感情の昂りがよくよく伝わってきましたし…

最初の攻めへの萌えなさ・共感できなさが長かっただけに、突然のラブラブモードっぷりにちょっと戸惑ってしまったというか、きゅんとするほど付いていけなかったのかなあ、という感じ。

あと後半の偽装結婚の話がですね…面白いとは思えず、早く終わらないかな…と思いながら読んでしまっている自分がいました。

全体的に「ふーん」というテンションで読み切ってしまい、なんだか、寂しい・・

好きな先生のものでも、合う合わないってやっぱりありますね;
今回は残念ながら自分にはドンピシャ!とはならなかった、と。

1

じんわりくる萌

七生と佐倉は認識としてはセフレの関係。
佐倉が会おうと誘い出し、七生がヤろうとけしかける。このいつものやり取りが終わる?

佐倉は実家の病院に戻る、と言います。そして結婚すると。ドライなセフレの関係は終わらせることになるのか…

七生は佐倉に対して、数いるセフレの一人と言ってましたが、実は佐倉一人。手慣れた風に言いつつも、それは嘘で…。好きな気持ちを、恋人になりたい気持ちを隠しながら無理してセフレを装います。
でも、佐倉が実家に帰ると聞いて、告白する決心をしますが…

二人が両思いということをわかるまでは、じれったい気持ちで読みつつ、それがわかったのに、やはり結構して、病院を継いで、と言う環境に別れる決断をする二人。切なくて、それでいいのか!と思いました。

でも、結果二人はより必要なんだという認識を持ち、離れられない、幸せになるにはお互いを大事に扱うんだと。

最後はこれからも大変だけど二人で乗り越えて行く、というハッピーエンド。安西リカさんらしい優しいストーリーでした。

1

愛と嘘と偽装がテーマ

あまり他にない展開で面白かった。
パターンが異なる幾つかの「嘘」が登場する物語。
後半はリアルに存在しそうな「偽装結婚」を扱ってる。

はなからネタバレですみません。インパクトあった所をメモ。

七生は、誰からも好かれる裏表ない性格のオープンゲイ。
合コンで知りあい、嘘で気を惹きノンケの佐倉を落とし込み、付き合いを始める。

六年、セフレの付き合いを続けたある日、医大生の佐倉は、実習の為に郷里の病院を選ぶ。 そして七生に突然、別れを告げる。

ここからドラマチックな展開になり、デカイ嘘が登場する。
相談なく佐倉が進路を選んだのは訳があって 両親が車両事故で死亡したことと関連していた。トラウマを解消できずにいた佐倉だけど、七生が傍に居ることで、徐々に癒えていく。

佐倉は、偽装結婚を従妹から持ちかけられるけど、嘘を通しきれないと諦めて ダブルゲイ同士、従妹と共闘を誓い合う。

シリアスのような、コメディのような展開だけど、葛藤する佐倉が上手く描写されていて、ただの根暗じゃなかったんだと哀れになった。
佐倉が悩み抜いて、七生が幸せになることを優先した決断をしたので、嬉しくなった。だけど、佐倉は、七生を失うと多分精神のバランスを欠いてしまうだろうから、結局は佐倉にとっての最善な判断だったんだと思う。
七生、大変になるなー。

とにかく面白かったとしか書けない変な書評。だけど、偽装結婚は実際にある話なので興味深かった。

2

嘘というか隠してたモノが切な痛くて…。

心を痛めて傷つきながら片想いしている描写がとても萌えるので、そういった面を沢山見られてめちゃくちゃ萌えたしもらい泣きしました。

本編は受け視点で、当然ながら攻めがどこでなにをしているかわからない。そんなことをする事情も分からない。受けを通して見える人物像では想像だにしなかった"コト"が2回ほど出てきたときは裏切られたようなショックをうけました。

悪人ではないけど意外と曲者な攻めです。
けれどその度に受けが傷つくから、傷つき萌え属性持ちには切なキュンキュンが痛くて痛くてもうッッッ(;///;)萌えがシンドイ状態で読みました。

個人的には恋人になる瞬間がMAXだったかな。
上手くまとまった後の攻め視点のお話は……うん。複雑な気持ちで悶々としながら読んで、萌え的にはそんなに刺さらなかったです。(モヤッとボール(懐)が手元にあったらひたすらぶん投げてたわ)

評価は
本編が+゚。*神*。゚+
書き下ろし(攻め視点)が萌~中立
間を取って萌え×2評価であげます。

沢山レビューがあがってますので個人的に萌えたポイントを。
ネタバレなしのほうが楽しめる気がするので以下ご注意下さい。


攻め:佐倉はノンケ。イケメンで運動神経抜群で医者(過去シーンでは医大生)。素っ気なくてテンションが上がることがなければ下がることもないようなタイプ。ノンケだけど女性に興味なし。それよりも七生と遊んでいるほうが楽しいという感じで、その点は萌え↗↗でした。

受け:七生はゲイでずっと佐倉に片想い中。ノンケ相手に告白するつもりもなく、出会ってから仲良くなっていく中でコッソリと横顔をのぞき見て片想いしているのが可愛くてキュンとしました。

最初はごく普通の友人だったのが、セフレにかわるキッカケが起こるのですね。

これは佐倉の女性関係が起因となるんですが私はとてもショックでした。七生視点だから余計に佐倉を美化してたのかな…。そんなクソだと思わなかったよ…。

けれどめちゃくちゃ萌えたのはその後!
佐倉がしたこと・佐倉の言葉がショックでブチキレた七生が完全に連絡をシャットダウンして佐倉との友人関係を断とうとするのですね。その後の佐倉が捨てられた子犬みたいだし、七生の帰りをジッと待ってるとこはめっちゃ萌えるし、キュンキュンしまくりでした…!

去る者追わずな佐倉が追う。
もう七生が特別だと証明してますよね(∩´///`∩)

それがキッカケで七生は片想いを燻らせながら佐倉とセフレ関係になります。深く立ち入ることなく表面上は上手く付き合っていくのですが、佐倉が突然地元に帰ると言い出して七生が今までの気持ちにケリをつけようと動き出すのですね。

ここまでの展開で両片想いっぷりは読者に散々見せつけてきてるので、ほうほう、これで上手くまとまるのね、とすんなり幸せになって甘々蜜月期ルートを想定して読み進めたら………。

。゚(゚´Д`゚)゚。
。゚(゚´Д`゚)゚。
。゚(゚´Д`゚)゚。

両想いが離れる合図ってなんですか。
両想いが叶って別れを告げるってなんですか。
両想いなのに相手の幸せを願って去るってなんですか。

新幹線のホーム。最後のメール。めちゃくちゃ泣きました。両想いが必ずしも幸せになるとは限らない痛さがツラかった。このシーンはレビュー書きながら思い出すだけで涙ジワジワしてくる。(そんで同時にめっちゃ萌えてしまうの。ゴメンね七生…佐倉…。)

両想いのまま1度は別れる選択をした2人がもう一度出会うシーンもとてもグッときました。七生の言葉はすごいな。真っ直ぐで力強くて。作中では100%解決には至らなかったけれど、七生がいたら大丈夫な気がする!

モヤッとボールは…偽装結婚とか跡継ぎ問題とか。私もド田舎なので言い分はわからんでもないし一瞬何が正しいのかわからなくなってしまった。佐倉視点だとなんかイマイチ頼りなさを感じてしまったかな。七生の頼もしさと反比例してるな…。ガンバレ佐倉。

2

やっぱりいい…

個人的な話で大変申し訳ありませんが。
電子書籍派で本は細かくフォルダ分けしております。そしてこれが既読フォルダに入っているのに気付き。
あれ?もう読んだっけこれ?でも安西さんでタイトルと表紙で内容思い出せないなんてあるかな~?まあ、既読なら少し読めば思い出すか?とつい「確認」のつもりで見始め。しかし一向に思い出さず、おかしいなと3ページぐらい進み、やっぱりこれ読んでないよね?何かの拍子に未読フォルダから間違えて移動しちゃったのか、と思った時にはもう遅かったですね。

そのまま最後まで一気読みでした。うん、今日の予定変わっちゃったな。
確認するためだったから、「読むぞ」って構えがない状態だったからさー、やー、やられたやられた。

実はいつも安西さんの本を読む時に感じるものがある。それを改めて強く感じた本でした。
それは川面にキラキラ光が反射するさまだったり、木漏れ日がゆらゆらするさまだったり、埃に光が遊ぶさまだったり、花が風に馨るさまだったり…。そんな描写ないんですけど。
やべえ、ポエム趣味で申し訳ないけど、実際安西さんの本読むとこれらを味わったような気持になるんだよねえ。日常の中で綺麗で大切なものは沢山あるよなあって改めて感動するのにすごく似ている。

ところで主人公に結構な性癖があるんですけど、その描写は最初だけなの?
その後はしなくていいの?気持ちが埋まるかどうかと、それを必要とするかしないかを掛けてるのかなあ。
いやーでもその性癖は残してくれていいんですけど!描画してくれて全く問題ないんですけど!wそれだけ残念だわあ。

2

前半が好き

ちっとも「甘い」嘘なんかではなかったな……というのが第一印象です。

好きな人に抱かれたくて、処女なのに経験豊富フリをする健気受けは好きなので、切ないながらも絶対、これ両片思いで間違いないだろうと思いながら読んでたら、攻めが郷里に帰る&従姉妹と結婚すると言いだして急展開。
ようやく気持ちが通じあったと同時にさよならのシーンがウルウルします。

自分のことを好きでいてくれたと判ったから、諦められる。
だから「この6年は無駄じゃなかった」と思うここが作中の中で一番好き。
胸にぐぐっっときました。

前半はすごく好きだったんだけど、後半の「甘い恋」が百合カプが登場し偽装結婚を持ちかけるあたりから、このお話はどこに行くんだろう??みたいな戸惑いを感じつつの読書となりました。
ゲイカプと百合カプの相方同士がくっついて偽装結婚すればwin-winで最高よね!と言ってのける百合カプたちの話が、割り切りすぎてて現実的すぎるような気もするし、でもあまりにも非現実的すぎてありえない…みたいな自分でもよくわからない戸惑いが私自身に生まれてしまい、前半部分の「気持ちを隠しつつ好きな人に抱かれる受け」とか「別離の切なさ」とかが吹っ飛んでしまって、前半と後半でなんだか別物の話を読んだような気分。
攻めのトラウマとか、偽装結婚とかも、一つ一つ取り出して読めば面白いのだけど、一冊の中で続けて読むと唐突というか付いていくのが大変というか……

でも、受け宅訪問描写がとっても良かった。
ご家族の気取らない暖かさもさることながら、室内の描写がリアルで決してお洒落な家ではないんだけど、でもそこが攻めには好印象に繋がっているところがよしよしと。

1

地雷というほどではないけれど

セフレものが読みたくなって、読んだお話。

どうしてもセフレ関係の二人って、受けが陰鬱だったり愚痴愚痴したりする傾向になりがちだと思うのですが、本作の受けは明るくカラッとしていてよかったです。
そして、攻めが受けとセフレ関係な理由も、攻めの背景を知るとなるほどなぁと思えました。
そんなこんなで、二部構成の第一部は非常に楽しく読めた……のですが。

ただ、第二部の方になると百合カップルが出てきて、それがモヤッとしてしまった……。
まあそもそもが、百合カップルが地雷というほどではないけれど特に読みたくもない、という個人的な趣味嗜好の問題もあるのですが。
また主人公たちがその百合カップルに引きずられて悩むのがなんとも……。
その悩みの内容は「偽装結婚に同意してほしい」というもので。(「偽装結婚しよう」ではなく「同意してほしい」なのは、攻めが受けと別れるつもりだったときに偽装結婚に同意していたから。なのに付き合えることになって、「やっぱり偽装結婚はできない」と言い出したので「同意してほしい」なのです)
主人公たちは、最初は断ろうって思っていたのに、相手の話を聞いてグラグラになって、そちらに傾きかけるのも、うーん、読んでいてあまり楽しくはなかった。
しかしこれは完全に好みの問題だと思うので、逆にとても楽しめる、または共感できる方もいるかなと思います。

あ、でも、主人公たちが受けの実家にご飯を食べに行ったときのシーンはとても可愛くて癒やされました。
受けの家族も可愛いし、このシーンはみんな可愛い。
なので、他カップルに惑わされずに幸せになって欲しいなぁと思いました。

百合カップルには申し訳ないことに全く心を動かされなかった私ですが、一方で、当て馬キャラの工藤さんはいてくれてよかったと思います。
最初のうちは、攻めが落ち着いた大人の男という感じで描かれるのですが、段々と可愛げのある面を見せてくる。その過程でイケメン不在となりがちなところを彼が補完してくれていた気がしました。

2

最後まで読み応えあり

両片思いのお話なのかなと軽い気持ちで手に取ったのですが、登場人物たちの様々な紆余曲折に感情がジェットコースターのようになりました。
思ったよりヘビーな部分もあり、とにかく考えさせられます。

人格的にひと癖ある佐倉(攻め)と、そんな佐倉を好きになってしまった七生(受け)の葛藤や虚勢、弱さなどにまず引き付けられました。
特に佐倉は過去のトラウマと複雑な自分の立場に自ら雁字搦めになってしまっています。
七生との出会いで変わっていく姿は見ものですが、自らの生き方をそう簡単に曲げられない事情も理解できました。

彼の、生い立ちからくる義務感と罪悪感や社会的立場がある故のプレッシャーもよく分かるし、都会よりも保守的な地方で自分を曲げずに生きることの大変さもよく分かります。
打算的な偽装結婚などを悪だとぶった切るのではなく、みんな様々な手段を使ってなんとか社会に適応しようとしているんだなと理解でき切なくなりました。

だからこそ2人が最後にとった選択は凄く感動しました。
何を大事にするべきなのか、社会的な体裁よりも自分達の基準で幸せを選ぶことができたのですよね。
その力強い選択が大きなカタルシスになったのと、七生という太陽のような存在が佐倉の傷を癒した感動がとても大きかったです。

お互いに誤解が解けて両想いになるのはなんとなく予想はついていたけど、読み終わってみるとむしろそこからが本番だったような気がしてます。

4

甘いどころか

読み始めてすぐ甘いどころかめちゃくちゃ苦い嘘じゃないか…と
切ないというより苦しさに近い感情で
好きなのに本当のことを言えない七生が可哀想でしょうがなかったです。
普段明るくて人間関係もそつなくこなせるからこそ尚更。
気の合う友人で、体を重ねる間柄になっても
いつでも穏やかな佐倉の本心が掴めないしんどさ、
傍から見ると「いや絶対佐倉も好きだってそれは!」って思えるけど
当事者ってそうでもないですよね、確信出来る言葉が無いと不安で。
佐倉の人でなしっぷり(女たらし??)に私もつい胸を痛めてしまいましたが
七生だけは同じ括りじゃないに決まってると信じていてよかった。

七生を口説いてきた工藤さんの大人の余裕&優しさに
好きなタイプの当て馬だー!!と安心させてもらいましたww
もう少し強引に口説いてもいいんですよ…??と
つい贔屓目に見ちゃって佐倉には申し訳ないですが。
ツライ時に優しくしてくれる人がいるってとても頼もしいと思います。
ただ、やっぱり七生は佐倉でなくちゃダメなんですけどね。

工藤さんに緩和してもらいながらもやっぱり途中までキッツイ!!;;
こんなに好きなのに、とぎゅいぎゅいしながら
想いがようやく通じたシーンでは思わず天を仰ぎました。
おお、神よ…くらいの気持ちでww

アフターストーリー的なものもあって満足感は高めですが
1冊まるっとで想いを成就するのかと勝手に予想してたので
あれっ、思ってたより早く結ばれた!となってしまってすみません。
幸せそうな二人が読めて良かったですけども。

あと、そりゃ事情があるのは仕方ないかもですが
いくらお互いを信じていても、カタチにはこだわらないとは言っても
偽装は考えるまでもなく却下して欲しかったなぁ。勿論大丈夫でしたが。
多少のモヤりはありましたが
序盤の苦しさが嘘のように優しい気持ちで読み終える事ができました。
幸せな二人を微笑ましく思えるのは
やっぱり工藤さんのように年をとる醍醐味かもしれませんww

5

安心して読める作品

好きですこういう話。凄くすれ違いになる訳でも、どうにも出来ない程に高い障害がある訳でもなく。いや、攻の佐倉的にはあるんだろうど。でも、時代的にこう言う跡継ぎ問題的な設定は難しくなって来てますよね。自分から地位とか財産目当ての跡継ぎなりたいとかの欲があるとか、物語の時代的にひと昔前でないと。いくら地方都市の総合病院とて親族経営では難しいですから。地方住みの実感です。だから変に登場人物達がこだわったり、ごねなかったのも良かった。七生の実家に挨拶に行ったときの、七生の妹の「やばい。くそカッコいい」にはクスっと笑ってしまった。あんなに家族から歓待されたらそりゃあ、偽装結婚なんて出来ない。

7

自分を守るための嘘



ここ最近の安西さんの御本は地雷要素があるのがわかっていたため避けていたのですが、今回はイラストが三池さんだったので思い切って購入しました。
買ってよかったです。


表題作+「甘い恋」+SS「パートナー」

表題作は受け視点。
出会って6年、セフレになって5年。スポーツ用品メーカー勤務の七生(受け)は研修医の佐倉(攻め)が好きなことをひた隠しにし、複数いるセフレ1人の振りをして、付き合いを続けています。
七生は誰とも恋愛しないと言っている佐倉が自分を特別扱いしてくれる今の状況が自分から離れない限りずっと続くと思っていました。ただ、自分を偽っていることが苦しくてそろそろ離れようかと思っていた矢先、突然佐倉から地元に帰ると言われるのです。


セフレとして安定していたところに爆弾を投下されるところから話は始まります。
過去回想で二人の出会いからセフレに至るま語られています。
佐倉は貞操観念が薄く、時折誰かを抱きしめたくなるという理由で誘われたら誰とでも寝る屑な男であり、誰も大事にしない代わりに自分も大事にしない男だということがわかります。そのことを知りショックを受けた七生が離れようとした際、初めて執着のようなものを見せ、恋愛的な意味じゃないけどとても大事だと言われ、慣れた風を装ってセフレになるのです。友人が多い七生から他の男の存在を感じるたびに不機嫌になるなど、もしかして好かれてるのかなと思っていたところの爆弾だったので七生は動揺します。佐倉の実家は車で‪5時‬間くらい。七生は遠いとは思わないけど、佐倉が遠いと思ったら続けられない。
悩む七生は、ゲイバーで知り合ったばかりの設計士の工藤にちゃんと話をして区切りをつけないと引きずるとアドバイスされ、佐倉に話そうと決意するのです。

のちに、佐倉視点の話で七生の魅力がが書かれており、七生視点での話も読んだ後なので佐倉が七生を好きになるのは納得できるのですが、七生が佐倉を好きになった経緯はあまりよくわりませんでした。始めは容姿だったけど、一緒にいてしっくりくるとか安心するとかそういった感じだったのでしょうか。

佐倉の生い立ちには驚きました。笑うことを自戒する気持ちもよくわかりますが、幸せになってもいいんだと佐倉に思わせてあげることができたのが七生だったのでしょう。
佐倉の生い立ちや立場を聞き、一度は別れを決意した二人でしたが、他に意識を向けようとする七生も七生の幸せを祈っていた佐
倉も結局辛抱できずに戻ってきたときはホッとしました。
ここで重要な役割を果たしたのは、当て馬として登場した工藤だったと思います。
大人の包容力で七生の話を聞きアドバイスし、二人が別れを選んでからもゆっくり七生がその気になるのを待ち、強引でない程度に口説いてきたからこそ、そこそこ早い段階で七生は佐倉以外無理だと自覚することができたと思います。
二人が両想いになってからも、ちょこちょこ出てきては邪魔をするというよりは、佐倉を煽ってからかってる感じでスパイスになっています。
今まで、感情をあらわにすることのなかった佐倉の新しい表情を見せてくれる貴重な人材でした。



「甘い恋」佐倉視点。

本編直後、実家の病院の後継者問題への対策として計画された政略結婚への二人の決意と田舎でマイノリティとして暮らすことの難しさの話。
表題作で結婚は断ると約束した佐倉は早々にまどかに結婚できない旨を告げるのですが、同じく結婚できない恋人がいるまどかに、逆に丁度いいから偽装結婚しようと言われてしまって・・・

その提案をあり得ないと思う二人でしたが、まどかとそのパートナーに下出に出られ説得され流されるように納得しそうになる彼らにはらはらしました。
感情的な部分より実利を取ろうとするまどかたちの気持ちもわからないでもないですが、
「正式なパートナーとして他の人が隣に立つのは耐えられない」という主人公の話を読んだことがあり、そのほうが私の感覚には近いので、二人がどのような結論を出すのか心配でした。
その中で、七生の家族との邂逅にはとてもほっこりさせられました。
七生はパートナーができた時にゲイだと告白するつもりで、家族はきっと祝福してくれると信じて疑っていなかったところから家族の絆や仲の良さがうかがい知れましたが、実際すごく感じのいい家族で、七生の性格のよさはこの家族の中で育ったからだと実感できました。
学会の帰りだった都合で、スーツに手土産を持ってきた佐倉を軽い気持ちで待っていた家族は大慌て。焼肉から急遽座敷で寿司という事態に七生も佐倉もびっくり。佐倉を目いっぱい歓待しようとする七生の家族にいままで七生のことを心配しながらもそっと見守っていたとわかる家族に、佐倉は決意を新たにするのです。
この七生の家族の慌てっぷりやそれを照れ臭く思う七生や七生と真剣に付き合うことの決意を新たにした佐倉ににやにやしたり照れたりほのぼのしたりとこの話の中で一番楽しいシーンでした。

最終的にこの邂逅が二人の決意の後押しをしてくれ、出した結論をまどかたちも賛同し協力体制をとろうと結託したことに、これからの困難さがうかがえましたが、自分たちの幸せのために頑張ってほしいと思いました。

最初が切なかったり、後半ははらはらしたりしましたが、読了感がとてもよくて、にこにこと読み終えられたと思います。

そして。イラストもとっても良かったです。
二人の男らしい首とか背中とか手の甲とか二の腕とか丁寧に書かれてあって、でも柔らかい感じのする、いつまでも眺めたくなるイラストでした。
欲を言えば徹夜明けのよれよれの工藤さんではなくパリッとしたかっこいい工藤さんも見たかったです。

11

実らぬ恋だと思ったからの嘘でしたが

今回は誰にも執着しないイケメン研修医と
明るく素直でまっすぐな会社員のお話です。

受視点で出会いから恋を実らせるまでと
攻視点で2人でいられる未来を選択すると
攻視点話の後日談SSを収録。

受様には大学時代に知り合って以来
大好きな人がいます。

受様は大学2年の冬、
数合わせに駆り出された合コンで
同じく連れられてやってきた
他大学の医学部に通う攻様と知り会います。

攻様が受様の紹介したチームに入ったことから
攻様と急速に親しくなっていく中
受様は彼への恋心を募らせていきますが

攻様は女の子達と来る者拒まずの
付き合いを繰り返していて
サークル内でも複数の女性と
関係を持っていた事が発覚した事から
2人の関係が変わっていきます。

「誘われたからこたえただけ」という
攻様に受様が「俺もお前とやりたい」と
言ったことからセフレになるのです!!

受様にとっては何もかも初めてでしたが
さも経験があるかのように振舞います。

そんな関係は受様が就職して
攻様が研修医となっても続いていますが
攻様に後期実習を実家の病院で受けるために
地元に帰ると告げられた事から
受様は攻様との別れを確信します。

そして攻様に誘われた旅行先で
受様は攻様の悲しい過去と婚約者の存在を知り
受様には不可解だった攻様の言動が
何に由来していたのかを知ります。

そして2人は
それぞれの道を行く事を決意しますが…

雑誌掲載作のタイトル作に
攻視点の続編を書き下ろして文庫化です。

雑誌で表題作を読んだ際に
攻様が人との付き合いに重きを置かない理由も
そんな攻様が受様に惹かれた理由も
判りはしましたが

2人が一度は別れることになった
攻様の婚約問題は宙ぶらりんで
ちょっとモヤモヤな終わりだったので

文庫化の書き下ろしにて
そのあたりが全てクリアになって
やっとスッキリ「楽しかった」と言える
お話になったと思います。

受視点の掲載作では
セフレ関係から抜け出せないのは
受様の最初の嘘が原因かと思わせて
受様と一緒にモヤモヤを引きづりつつ
攻様の言動にヤキモキして読みました。

続く攻視点の書き下ろしでは
攻様よりで攻様の置かれた状況を壊さずに
攻様の婚約者とその恋人との絡むので
それぞれの考えや思いに揺れながら
ワクワクで読みました。

実際、同性の2人が共にいるために
2人が思い合うだけでは
どうにもならないのかもしれません。

しかし
周りの人々を傷つけないためだとしても
自分の思いを偽った生活はやがて
どこかで破綻していくように思います。

これからの2人には
まだまだ山も谷もあると思いますが
2人だからこそ乗り超えていけると
思わせてくれる決着点になり

たとえ綺麗ごとだと言われても
攻様が婚約者の提案にのらず
受様と2人で歩く選択をしての
エンドマークとなって良かったです♪

楽しみで開く小説世界でまで
バッドエンドは見たくないので。

今回は受様の嘘から始まるお話で
野原滋さん『愛されたがりの嘘つき』を
ご紹介作とします。
こちらもセフレからのハピエンです♪

12

慣れたふりする遊び人を装う受けに萌えました

安西先生の切ない想いが溢れるお話が大好きです。

ゲイの七生は頼まれて参加した合コンで知り合った医大生 佐倉と仲良くなるが、相手はノンケだと自分で牽制してみても好きになっていく気持ちにブレーキはかけられない。
そんな時発覚したのが『佐倉ヤリ捨て疑惑』
振られた女の腹いせかと思いましたが、なんと佐倉くん誘われたら誰とでも寝ちゃう子だったらしいんですね。事情はあるんですけど。
好きとも付き合うとも言ってないし合意の上で寝るのになんの問題もない、という言い分に想いを打ち明けてくれた女の子に対して誠意がない、と本気で怒る七生。
自分の想いもそんな風に軽く扱われるのかと思ったらいたたまれなくなる思うと同時に、こういう悪気なく酷いことしてしまう人ってどんな育ちをしているのか気になりました。

第1の転機が、誰でもいいんだったら俺でもいいのかよというやけっぱちな一言から始まったセフレ関係。『慣れたふりして本当は初めて』なシチュエーションに萌えを感じるという作者の好みと同じく萌えました。
その上本気だとバレたら引かれるとか関係が壊れると思って遊び相手の一人という嘘を重ねる苦しさに悶えました。

そして第2の転機は、なんの前振りもなく佐倉の「地元に戻る」の一言。
セフレ相手に相談する必要もないってことかと思ったら悲しみと怒りが同時に浮かびます。
打ち明けられない想いを抱えて一人で思い悩む月日を重ねていく七生の気持ちにどっぷりと浸り、別れを決意した時には本当にぎゅぎゅーっと胸が締め付けられました。
それでも、終わりにできなくて再起していく七生の晴れ晴れとした想いが伝わりました。

そしてお互い想いを口にして片思いも終わるのかと思ったところに佐倉の結婚相手の登場に、え!?
両親亡き後育ててくれた叔父夫婦への恩と結ばれない恋人がいる従姉妹との結婚話。
ゲイのカモフラージュに都合がいいしお互い利用したらいいという悪魔の囁きに、そういう結末もありなのかと複雑な気持ちになりました。
周りを騙して波風立てずに嘘の上塗りをしていくのかと。
作者の用意してくれた結末はホッとしましたが、それがいいのか悪いのかはこれからの生き方によるのでしょうし、いくつもの苦労を乗り越えていく覚悟を持って二人で生きていって欲しいと思いました。

11

嘘だと言って…

悔やまれるのは、何故受けの性癖が一度のみの描写なんですかーーーー泣


血が出そうな位噛まれるのが好きって!!!結構なMじゃないですかっ!
それを放置するなんてっっ


初めのエッチシーンでのM展開にウキウキしてしまったのに、その後何度もチャンスありましたよね??致してますよね??


………ラブラブエッチで二人の愛を確かめるのに必死なんでしょうかね??残念過ぎてハンカチキーッです。




さて、内容なのですが、
二人の設定や性格がよく織り込まれていて、あぁなるほど、と思う場面が何度もあり練られているなぁと感心してしまいました。


相手の習性で傷ついたシーンなんかも後で回収したり、心理描写が細かく流石だなぁと思いっぱなしです。


萌2にしたいところなんですが……

わたしが二人より年上だからなのか、偽装結婚で悩む辺りに何故悩む!!!と喝を入れたくなってしまって……これも流れが素晴らしいから思うことなのでしょうが…

偽装結婚なんかでいいことないよ!と二人に言ってあげたくなるお節介心がピョコピョコ顔を出してしまい……結果、好きな展開ではない!!との結論に^_^;


そして、冒頭でも申し上げましたが……どうして、噛まないのっっっ!!!泣


以上の2点から萌にさせていただきます。

8

切なさと優しさのバランスが絶妙。

作家買い。





主人公は七生。

大学生の時に出会い、それ以降、6年間、親友であり、そしてセフレでもある佐倉にひそかに恋をしている。
何事においてもローテンションな佐倉に、重く思われないように、本当の気持ちを知られて引かれないようにと遊び人風を装ってはいるものの、実は佐倉が初めての男であり、そして26になる今でも彼としかセックスの経験がない。

恋人になれなくてもいい、自分の想いを正直に伝えよう…、と思っていた時に、佐倉から「実家に帰る」と告げられて―。

正直、七生の目を通して見えてくる佐倉という男の魅力がいまいちわからず。
イケメンで医者というハイスペック男子ではあるものの、誘われれば誰とでも関係を持ってしまうし、人の感情の機微というものに非常に疎い。基本的に人との関わり合いが苦手なんですね。

が、そこから少しずつ見えてくる佐倉の過酷な過去とか七生に向ける愛情の深さとか、そういったものに胸が締め付けられました。

佐倉が地元に帰るといった理由。
そして、二人両想いだったという事実。
けれど、相手を心から想っているからこそ、別れを決めた二人。

切なさと優しさのバランスが絶妙で、すごくよかった。

前半は七生視点であるのに対し、後半は佐倉視点。

体温が低く、何事にも執着することのなかった「佐倉」という男を形成したのであろう家庭環境。
そういったものが細やかに描かれている。

そして後半は結婚、がテーマになっている。

二人悩み、もがき、そして彼らが選択した道は―。

さらりさらりと進むストーリーですが、要所要所に泣かせポイントがある。けれど、切ないだけではなく気持ちがほっこりするところもきちんとある。彼らが、人生の分岐点に立った時に選択する道が、非常に男前でした。

安西さんらしい、というのか、嫌な人って出てこないんですよね。
誰もが、大切なもののために心を砕く。そんな温かい人間関係が、この作品の大きな魅力の一つかなと思いました。当て馬・工藤さんも、佐倉の婚約者のまどかも、そして七生の家族もナイスでした。

序盤、あまり魅力を感じなかった佐倉ですが、両想いだと知った後の佐倉のわんこぶりが非常においしかったです。

ストーリー展開の仕方が非常にお上手で、萌えがたぎって仕方ありませんでした。

11

泣いてびっくりして先生に感謝

キャラ達をとても近くに感じて、怒ったり泣いたり笑ったり。シンクロ率が高く、安西先生のこれまでの作品の中でTOP3に入るぐらい好きです。小説DEAR+2017年掲載分の本編150P弱+本編終わりからの続き話80P弱+先生のあとがき+あとがき代わりのSS 7Pです。大きく二つに分かれてますが、連続性高く、中編2編という印象ではないです。ポイントは女子でてくることと、当て馬あり でしょうか。

大学2年の時に合コンの数合わせで知り合いになり丸6年。端整な顔立ちだが、身なりに無頓着、何考えてんだかわからないままベッドインする関係にある佐倉。今日も会おうと呼び出され、七生は積もり積もった自分の気持ちを伝えようかと思っていたのに、突然「来月、地元に帰る」と言われるところから始まります。ここ、怒りポイント1。

そもそも体を重ねることになった経緯がまた酷い。「誰とも恋愛するつもりはない」のに「誰かをハグしたくなる」という理由から、言い寄ってきた女の子とベッドインしちゃう佐倉。(←怒りポイント2)
俺とだったらそういう事情込みでベッドインOKだよという七生。(←イタいポイント1)
そういう気持ちもわかるけど結局泥沼になるじゃんよーとまあ、あっちもこっちも大変です。これ序盤戦なんで。

読んでる側は巻き込まれて感情が大変なんですが、七生がすごく前向きで強く、気持ちのいい人間に感じられて、とても読後感が良いです。佐倉も、てめ(怒)と感じていたのが、進化してとても嬉しいです。
途中、泣いて笑って怒って忙しいですが、若いお姐様も、人生経験値高いお姐様も、好きになるんじゃないかなあ、この作品。いいお話だなあ と思いました。


**************** 以下はより内容に触れる感想

本編はその後、かなりイタく切なく涙してしまうシーンがあり(←イタいポイント2)、このまま終わったらどうしようーと恐れていたら、へたれワンコ化した佐倉が「七生がいなくて俺は医者になれるのか」という爆笑セリフと共に現れて、あー良かった♡♡♡です。さあ、続きはあまあまお気楽後日談か?と思いきや。

佐倉視点のお話に切り替わります。
佐倉の従姉妹や病院関係者で、斜め上!と感じてしまう発想の方々がご登場されて、えーーーーーーーーどうなるの でした。佐倉の実家が地方の大きな病院ゆえに起こるお話なんですが、私が斜め上!と感じてしまうこと自体が、LGBTの方々の生きにくさ なのかもしれません。現実的にまだまだこんなもんだろうかと悲しく思います。こんな事しなくていいようになるといいのに。

二人で悩んで、最後の結論は王道、現実を見てないという話もあるかもしれませんが。
最後の方にある、七生の家でのエピソードは本当に本当に心に染み入って嬉しくて涙しちゃいます。へたれワンコだったのに、佐倉は躾のいいジャーマンシェパードぐらいカッコ良くなり、良くできました というハンコあげたいぐらいです。

個人的に残念だったのは当て馬の挿絵。徹夜明けのよたってる姿しかなくて、渋いスーツ姿などを見てみたかったーーくーーーーおっさんいい味だしてるのに。

長々申し訳ありません。あまりに色々ありすぎて、書ききれないぐらい好きな箇所がありました。
先生、本当に素敵なお話、有難うございました。いつでもいいので、また素敵なお話を私たちに届けていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。

14

ほろ苦い部分もありますが

毎回繊細な心理描写や、キュンとさせられるエピソードなんかが秀逸なのですが、今作でもそれが存分に生かされてました。
ほろ苦く現実味のあるストーリー運びでありながら、しっかりトキメキも感じさせてくれる・・・。
多分、ある程度人生経験を積まれた方なんかは特に、グッとくる作品じゃ無いでしょうか。


内容です。
大学で出会ってから7年-。
密かに片思いしている親友・佐倉と、身体の関係を続けている七生。
セフレと言いつつも優しい佐倉に、自分だけは特別なのではないかと期待を抱くも、ある日突然「地元に帰る」と告げられ-・・・と言うものです。

まずこちら、素直で人懐っこい七生と、どこかつかみ所のない佐倉と言うカップリングです。
ちょっとした言い争いから身体の関係を持ってしまった二人。
実は七生は経験が無く初めてのセックスだったのに、なりゆきで経験豊富で他にもセフレがいるフリをしてしまい、そのままズルズルと身体の関係が続き・・・といった所です。

で、こちら、言うまでもなく超拗らせた両片思いものです。
受けである七生視点で進みますが、序盤は佐倉にかなりイラつきました。
元々、女の子とも付き合うつもりもなく簡単に寝るクズ男なのですよ。佐倉は。そんなだから、咄嗟に七生は遊んでいるフリをしちゃったんですね。
そして初っぱなからの「地元に帰る」発言。おいおい!!てなもんで。

ところがですね、実は彼には彼の誰にも言えなかった過去があってと分かってきます。そこでやっと彼の本心が分かるのですが、これがホント心を打たれる。こんなに切ない愛の告白があるでしょうか・・・。
また、二人は別れる事を選ぶのですが、もうこの部分が切なくて切なくて・・・( ノω-、)
口絵カラーにもなってる新幹線のホームでのシーンになるのですが、もう涙腺崩壊ですよ。互いを想うからこそ、この道を選ぶしか無いんだよな~と。
この年になると現実も分かってきちゃうから余計に切ない。

しかし、ここから胸キュンエピソードで怒濤の萌えを与えてくれるのが安西先生。
ちゃんとハッピーエンドで、二人は結ばれます!!
二人の再会シーン、そこからのエッチシーンにはとても萌えました!とてもとても萌えました!!

実はここまでが雑誌での掲載作で、この後の書き下ろしがあります。
掲載作のみだと若干の腑に落ちない部分がございますが、書き下ろしでそれもしっかり決着が付きます。
書き下ろしの方は佐倉視点になりますが、やっぱりこちらでも当たり前の現実がのし掛かってきます。
ただ、二人の気持ちがもう揺るぎない事が分かってる分、安心して読めました。
あと、佐倉が七生にメロメロなのも良く分かり、それにはニヤニヤと。攻めが受けを溺愛してるのって、何故こんなに萌えるのでしょう・・・。


安西先生ですが、ホントにエピソードが秀逸なんですよね。それと共に小道具使いが巧み。今回はスマホがとても上手に使われてました。スマホでやりとりしたメッセージには泣けた。
と、ストーリーのみならず、心に残るエピソードにもやられました。
ホント深みのある素敵な作品でした。




21

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP