あんなに優しくしてくれた人間をあいつ以外に知らない

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表題作COLD FEVER

高久透,失っていた記憶を取り戻した青年
藤島,透の義理の兄

その他の収録作品

  • きっと、いつかの約束
  • あとがき(麻生ミツ晃、木原音瀬)

あらすじ

事故により記憶喪失になった透は、
見守り続けてくれていた義理の兄である藤島と、
困難の末、恋人同士になった。
ようやく味わえた甘く充実した日々。
――6年後のある朝、透は突然に過去の記憶を取り戻す。
6年間の幸福な記憶と引き換えに…。
またしても引き裂かれる透と藤島は…。
人間の強さ、感情の美しさを教えてくれるビッグシリーズ、
感動の最終回!

作品情報

作品名
COLD FEVER
著者
麻生ミツ晃 
原作
木原音瀬 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックス~BE×BOYCOMICS~
シリーズ
COLD SLEEP
発売日
ISBN
9784799738252
4.6

(75)

(57)

萌々

(11)

(5)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
11
得点
346
評価数
75
平均
4.6 / 5
神率
76%

レビュー投稿数11

辛い切ないすばらしい

壮絶でした。
前作も2人の過去が過酷だったけど、今作はまた別の意味で辛かった。
その分、乗り越えて結ばれた時の喜びがキます。夜明けの腐だと再認識させられました。

そうよねぇ。記憶戻りますよねぇ。
冒頭で幸せを実感するということは、その先はそういうことになると相場は決まっているわけで。

透が記憶を失っていた間、あんなに藤島を好きになったのは本来の透の部分だと思ったんですが、透は傷つく前は本来はああいう人柄だということですよね。

子どもの頃、藤島に裏切られてひどく傷ついたのはそれだけ信じていたからで。

透の記憶が戻ってからは、藤島に裏切られて傷ついた荒れた状態で。

前作でクソババアの折檻も嫌でしたが、本作の透の暴力もきつかった。

藤島は透の記憶が戻ることを覚悟していたとは言え、あれは辛い。
でも、強くなると決めたので、言い話もせず耐えた。えらい。愛ですね。

透も本当は暴力をふるいたくてしているわけではなくて、悲鳴ですもんね。

そこから、透が周囲から状況を聞いたり、藤島との関係を知ったり、嫌悪しながらも、藤島は自分を待っていてくれるし、透もずっと藤島を求めていたと気づいていく過程もよかった。

説得力があります。超重要。
麻生先生、行動原理、動機付けをきちんと描かれる。それがお上手。好き。
(確か「偶然を描かないように気を付けている」と仰っていただけのことはある、と感心しきりです)
だって、細かいところでも疑問や違和感があると気になるし、入り込めないし、冷めますもん。
本シリーズは難しい展開なのに、それがないどころか感情移入して引き込まれるのがすばらしいです。

透が藤島に「あと…あと…何をしたら あんたは俺の傍にいるの?」のシーンは泣きそうになりました。
それまでも2人とも切なくて辛かったけれども、ここでようやくカタルシスきました。

透の言い方が子どもの時のそれですもんね(泣)
藤島の涙もわかるし。

「ふじしま」とひらがなで呼ぶのがかわいらしくも切ない。

その後、透は子ども返りみたいになって。
藤島にいっぱい甘えたらいいよ、藤島も透をいっぱいかわいがってあげたらいいよ、とすごく思いました。

描き下ろしもよかったです。
透がほしかった藤島という居場所が出来て、甘えたり少し安心できるようになったり。

欲を言えば、この後の2人がもっと見たい。
くっついてからのらぶらぶ、関係性が深まる話が大好きなので。
でも、これで完結しているのでもうないのかな(残念)

いやぁ、しかし読み応えありまくるすばらしいシリーズ全3巻でした。

1

殴ったり噛んだり狂犬のようだった

https://www.chil-chil.net/compNewsDetail/k/801authors108/no/17952/
を読んで、読みました。

「残酷な神が支配する」のダイジェスト版のような作品だった 酷すぎる。血しぶきが何度も飛ぶ、何かを打つ音がする。

キチガイに等しい弟。こういうやつは、常に他人が悪いとののしっている。自分が悪いとはちっとも思わない、弱いから認める事が出来ない。
お兄さんの愛が、弟の記憶喪失と心の歪みを癒していく物語。
お兄さんが、ボロボロになっていく様子を読むのが辛かった。
途中で放棄しない人にしか、無しえない奇跡だと思う。

評価 中立。流血は苦手です。

1

違和感なく入り込めました

原作読了。大好きなシリーズです。

コミカライズもずっと気にはなっていたんですけど…原作から感じたイメージが塗りかわる可能性が怖くてじっとしていました…。
が、それから日も経った今回。おもいきって一番好きな最終巻を読んでみました。

原作を読んだ時と同じ胸の痛み、ズキズキを感じることができました。
この夢中にさせてくれる痛みが付き物であり魅力であるよCOLDシリーズ。

原作にも負けない雰囲気が絵から滲み出ていて…違和感なく世界に浸ることができました。

コミカライズならではの目からダイレクトに伝わる描写…
例えば記憶喪失中の透の最大の幸福を抱えた最後の安らかな寝顔とか
お揃いのカップだとか
ソファーを独占する記憶が戻った透の前に正座する藤島さんとか
食べるお弁当のサイズの違いとか

各所で唸りました。

そしてまるで別人だが同じ人間(透)の幸せと不幸の対比が凄まじく胸にきました…。


楠田くんはこの絵でお馴染みなので、見ているととても安心しました…。
が、
彼の未来を想うと代わりに泣きたくなる自分もいる…(頭抱え)
HEARTの方もコミカライズしましょ!?


ラストは自分が原作で感じたものよりもあたたかった。
原作では透目線だから藤島さんに関しては自分なりの想像が強かった。
でも私の中の彼よりもずっとずっと笑っていて…思っていたものとは違うというガッカリ感とかはまるでなく…あぁ、良かったな…とすんなり胸に入ってきたりもしました。

これはコミカライズも最初からきちんと読むべきですね。
この世界がとても丁寧に描かれていて…漫画という形でも触れられて嬉しかったです。


欲を言えば藤島さんはノベルス版挿絵の髪型で見たかった!!!!
そして黒のロングコート姿が良かった!!!!!
こっちに惚れていた私のただの我が儘です…(涙)

1

ようやくスタートライン

神以外の評価かみつかりません。
とても辛く苦しいシリーズ最終章でした。

記憶が戻った透が余りにも自分勝手で乱暴で……
そうなってしまったのは壮絶な過去があったからであって、
決して透が悪かったわけではないと思います。
だけど、藤島への憎悪と恐怖と依存が恐ろしかった……
虐待は繰り返すと言いますが、
まさにそんな感じでした。

そして、あんなに大切にしていた透に怯える藤島が切なかった……
でも、結局は共依存なんですよね。
お互いがなくてはならない存在になっている。

藤島に捨てられる事に異常なまでに怯える透と、
透を2度と見捨てられない藤島と……
思いは少し違うかもしれません。
でも、離れたくないという結論は同じなのです。

おかえり、ただいま、いただきます、ごちそうさま……
繰り返されるあたり前の言葉たちが、
いつか透にとって本当に当たり前になってほしい。
そして、そこに新しい言葉が加わるとしたら…?

過去を捨ててようやくスタートラインに立った2人……
これからも2人がずっと一緒にいる事を願ってやみません。

1

人生はたらればの連続。それでも前を向く大切さ。

透の記憶が戻り、透の過去も判り、ここまで蓋をしていられたものも出来なくなり、今まで貯めてきた水が栓を抜いて一気に流れ出てしまったような、オアシスが砂漠になってしまったような。本当にとんでもない絶望感を感じました。

幸せだったあの6年間を透が忘れてしまった。
でも記憶を取り戻した過去の透も、本来守ってあげたかったはずの透であり…。

好きだけではどうにもならない。
暴力とはやはり恐怖で、怯えたり震えたりしている藤島を見る度に辛い気持ちになりました。
(ここの描写は本当にすごいと思います。)

小さい頃から理不尽な扱いを受け続け、自分で自分を守るために他人を傷つけるようになり、それもまた決して他人には受け入れられることのない透。
それでも救いを求めてしまうのは藤島なんだと気づいたとき、藤島の笑顔を見れていた自分が存在したのだ、必要とされていた自分がいたのだと、それを渇望する自分を直視した時。

藤島の気持ちもまた、今まで通りとはいかないけれども
二人が前を向けた時
言葉には表せないような気持ちになりました。
(感想にならなくてごめんなさい。)

しばらくはまた読み返せないかもしれないけど、
ずっと手元に置いておきたい作品です。

3

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