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表題作エス

宗近奎吾,32歳,ヤクザで椎葉のエス
椎葉昌紀,28歳,組対の刑事

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

警視庁組織犯罪対策第五課、通称「組対5課」の刑事である椎葉は、拳銃の密売情報を得る、言わば拳銃押収のスペシャリストだ。
その捜査方法はエス(スパイ)と呼ばれる協力者を使った情報収集活動に重点がおかれている。
椎葉は新宿の武闘派暴力団・松倉組に籍をおく男を情報提供者として工作している。
ある日、寝起きの椎葉に一本の不明な電話がかかってくる。
おまえのエスに気をつけろ、と。
劣情と矜持、孤独が交錯する男たちの物語。

作品情報

作品名
エス
著者
英田サキ 
イラスト
奈良千春 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
エス
発売日
ISBN
9784813010432
4.2

(163)

(96)

萌々

(32)

(23)

中立

(5)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
22
得点
682
評価数
163
平均
4.2 / 5
神率
58.9%

レビュー投稿数22

とても楽しめました

数年前にこの作品のドラマCDを聴いて大ファンになり、今更に小説を読み出しました。英田先生のハードボイルドの魅力満載の逸品、”エス”シリーズ~先生の作品は本当に面白いです。

宗近(実業家、ヤクザ)×椎葉(刑事)、この相容れない二人が”エス工作”という特殊な任務を遂行しながら、互いを確立し、互いに成長し、関係性を深め、本物の愛を知る。

感想はCDのレビュー欄で述べているので割愛しますが、ほぼ原作に添った内容になっており、この尺をあそこまで上手く構成、演出されていて感心しました。ただ、どうしてもCDだけでは細かい描写、二人の感情までは読み取れなかったり、こういう流れだったのだと気付かされたりで、小説を購入して大満足です。

CDで知り得なかった宗近と椎葉のちょっとしたモノローグ、叙情的な感情が浮き彫りになったりして、とても楽しめました。英田先生の世界観、表現、思考、言葉、すべて好きだなぁ。

ベテラン刑事さんの”エスは自分の女と一緒だ”の深いお言葉には、宗近の言動を振り返って重ね合わせてみたりで、なるほどなと頷いてしまいました。(笑)そして、椎葉は早い段階で宗近という男に飢えていた上に、宗近を強く求めていたんだということに気付きました。(うすうすはわかっていましたが、活字で読むと更に信憑性が増しました)

私が最もテンションが上がったのが、英田先生も触れておられた奈良先生が描かれたイラストの宗近のお尻!お尻の形、太腿の肉付きといい、背中、スタイルが想像通りで素敵すぎました!さらに宗近のかっこよさに惚れ惚れした次第です。すべてにおいておまけ感たっぷりの小説になっておりました。

2

椎葉視点の感情表現と行動のギャップに萌

この物語は全体を通して椎葉視点です。そのため当然そこには彼の心情が描かれています。
椎葉はとても素直じゃない男で、さらに実は宗近奎吾への愛情をおそらくかなり早い段階から既に持っていることを全くもって自覚していないという……。
自覚がないため、彼の宗近への愛情を椎葉視点の文章の中で表現されることはとても少ない。最初の頃は、ほぼ皆無。だって本人自覚ないんだもの。でも読者にはわかります。代わりにそれらは椎葉の行動によって表現されているんです。
彼の行動と感情表現のギャップがなかなか見どころです。
その矛盾が、紛れもなく読者に椎葉は宗近が好きだと訴えかけてくる。巻を追う毎に、それはそれはとても強烈に。切ないほどに。
こんな面倒な性格の椎葉を表現するのは難しい。もっと素直な主人公ならと思うけど、素直じゃない&宗近好きの自覚なしの椎葉がとっても魅力的!すっかり虜になりました。それに心配ないです。英田サキ先生の筆力と、椎葉自身の行動でちゃんと描かれてますから。

例えばです。
エレベーターでの初対面。後々これが初対面ではないと宗近から語られますが、椎葉にとってはまさに初対面。椎葉は一目見て、既に宗近は他の人とは何か違うという不思議な感覚に襲われています。自覚なしですが。
宗近はこの時既に椎葉に好意を抱いており、あわよくばと考えていたと思われます。ただし友人である安東の恋人と思ってますので表立って手出しはできず、電話の声という荒技※1を使っています。

二度目の接触。宗近が謎の声の正体だと明かすように椎葉の腕を掴んで囁いたシーンです。宗近、俺のこと気づいてアピールです。一方の椎葉は宗近に特別感は抱いており、安東にあいつは誰だと名前を確認します。そして「あの男は好きじゃない」と言う。椎葉は普段人の好き嫌いの評価はしないとのこと。それと椎葉の性格を踏まえて翻訳すると「あの男なんか気になる」でしょうか。

三度目の接触。宗近、椎葉がフリーになった途端の猛アピールです。椎葉は、前から気になっている宗近に「お前をよこせ」と情熱的な宗近の告白を受けます。椎葉は「その気になんて、なるわけがない」と怒ることで自分自身の感情に必死で蓋をしてますが、蓋をする=中身の感情は隠さなければならないもの、のようです。でも無理もないです。優男・安東とは正反対の宗近の強引な愛情表現。すっかり惹かれちゃうのわかります。椎葉が宗近を好きになった瞬間、多分ここかなぁ。いや、もっと前かなぁ。

四度目の接触。椎葉、六本木ヒルズの宗近のマンションへ。宗近にすっかり抱かれてみたくなっております。結局抱いてもらえなかったけど。バージンは抱かないと言われた時の椎葉の反応が見ものです!可愛いすぎる。そして宗近に対する気持ちを認めたくない椎葉のプライドや素直じゃないところはやっぱり良いなぁ。

五度目。初めてのキス。本気で嫌なら逃げられたよね。……椎葉、逃げない笑
椎葉の感情表現と行動のギャップに萌えます。

そして六度目の接触。自室のベッドで眠れずにふと宗近に電話をかけるシーンです。ここで初めて椎葉から宗近にモーションかけました!渇いた心を満たすもの——それは宗近だったという事ですよね。椎葉、宗近のことが好きだと自他共に確定です。

以上、勝手な考察です。ちょっと面白おかしく書きましたが実際のところ椎葉は揺れ動く心の狭間で苦しんでいたように思います。読んでるこっちも苦しくて辛い……。だからこそ宗近と椎葉の幸せを願ってやまない。


※1 宗近「安東に気をつけろ」じゃなくて「安東に気をつけてやれ」って何で最初から言わなかったんだろうと考察。結果。宗近、お前は策士だ。わざと椎葉が勘違いするように仕向けたようです。そして椎葉が安東の裏切りを疑ってそれに安東が気づき、二人の仲を破滅させようとしたのでしょうか?! ……安東、本当に報われない男です。

2

痒いところに手が届かない

ここのレビューとAmazonのレビューの両方に目を通し、賛否両論であることを承知の上でシリーズ全巻購入しました。
読んでみた結果はやはり、……うーん「萌」かな……という感じでした。

よかった点は、皆さんおっしゃってる通り、ハードな世界観がきちんと描かれている点。
マイナス点は、受け・攻め双方がなぜ相手に惹かれたのか、恋に落ちたのかが明確でない点。なのでいまいちメイン二人の心情にのめり込みきれない。
加えて、攻め視点がシリーズ一冊目のこの本にしかないのも残念な点でした。攻め視点がもう少しあったら、メイン二人にハマれたかなぁ、と。

とはいえ、このハードな世界観やキャラクターたちはとても魅力的で、色々妄想して楽しむことができました。
先が気になって、あっという間に読んでしまったし。
もう少し痒いところに手が届いていたら「神」評価なのにな、と感じました。

1

自分の嗜好と合うか合わないかですよ

で、でた~頭が良い設定のハズなのに何故か全く生かせずフラグ通りにエロピンチにはまるヒロイン&メリット薄なのに何故か助けに来てくれちゃうヒーローパターン奴ゥ~!!

この一文につきます。はい。BLっていうよりアメコミヒーローものと構造が一緒ですね。ヤクザですけど。これなら交渉人シリーズ読んだ方がいいです。両方未読で迷っている方はそちらをお薦めします。

挿絵も同じ奈良さんですけど、このころはまだイマイチですね。絵柄や線は割と繊細なのに、かなり体厚めに描いてるんですよね。華奢設定でも、野球選手並みに厚みがあるんす。ちょっと萎えます。絵柄変わってからの交渉人シリーズの方がそういった意味でもお薦めですね(まあこっちのシリーズもどんどんデフォルメ強調されてったりするので嘆き入る方もいるでしょうけど)。

ただ時代ってものがありますのでね、当時読んでいたらコロっとハマっていた可能性はありますよね。なのでおまけで萌評価です。
当時読んでハマった方や、今だってこういうヒーロー構造大好きな人は楽しめるハズです。自分の嗜好を考慮してお試しください(ハート)。

2

本当かっこいい作品!!

かっこよくないシーンが全くない隙のない作品です。
だからおもしろくないんじゃないかと思われるかもしれませんが、おもしろいです!!
吹き出したり、笑うようなおもしろさじゃないですが。
かっこよくてテンションが上がるし、エキサイティングでおもしろいみたいな。

英田先生の作品は世界観が本当にきちんと作られてます。
この作品は特に丁寧です。
文章の表現の仕方は、難しすぎず易しくしすぎてかえって読みにくくなってることもない、まさしく的確です。
英田先生の文章はきれいです!

4

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