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ダークでシリアスそうなのに間に挟まれる絹川のアホさ。
暴力団相手に絹川ってば!おかげでピアノが…。
そんなに深見のことが気になったの?
どうも設定では深見は美しい男のようですが、絵を見てもそうは思えなくて…。
深見はなぜ絹川にそこまで?また絹川もなぜ深見を?
その手の男を嫌悪してる深見を愛してしまった絹川。
いきなり愛ですか!
前から作品の存在は知っていて、いつかは読みたいと思っていたのですが。話のペースがどうも合わず。
1巻〜3巻まとめて読みました。
上手いことは言えないのですが、もっと早くにこの作品に出会いたかったです。
しかし、この作品の愛は美しくてもどかしいですね……。
記憶喪失であることを望まないと幸せになれないって中々珍しいし、そうでもしないと上がれない社会で間違えて生まれてきてしまったかのように周囲から思われる深見……。
性的な目では見ているけれど、愛しさが勝ってかただそばでピアノ(下手くそ)を弾かせてくれれば、穏やかな顔でそれを聴いてくれれば良いんだと欲を隠して深見と友好的な関係を続ける祐介がまた良い。(途中でやけになったみたいにセックスをする関係になりますが……それもまたなんとも言えぬ良さがある)
ハピエン否かは読み手によって違ってくるかな、と思うので人と人との感情や巡り合わせで苦しむのが苦手な人には不向きかもしれません。
また、深見(受け)の女性とのセックスシーンが頻繁にあるのでそういったものが苦手な方にも不向きかもしれません。
西田先生の「青春の病は」という作品の中に工藤のスピンオフも載っているので、気になる方はそちらもぜひ。
◆願い叶えたまえ(表題作)
雰囲気はそう予想と変わらなかったのですが、ストーリー展開が予想の遥か斜め上をいってくれて、いろんな意味でグッときた作品でした。表紙の人物・深見はヤクザで、ピアノを弾く祐介のことをじっと見つめていた男。商業BLをそれなりの数読んできた読者なら、この時点でもう祐介に気があるんだな、と思ってしまいませんか? 私は深見が祐介に女を充てがった時ですら、性別関係なくできる人なんだ、と呑気に考えていました。
しかし、中盤でやっと、どうやら違うようだと気付く。深見は正真正銘ノンケで、男を抱きたいなどとは夢にも思っていない、むしろ、今まで男に性的な目で見られた経験が多くあり、そういう行為に本気で嫌悪や恐怖を抱いているようで。こんなに飄々として強い男の、弱み。バナ◯フィッシュの主人公を彷彿とさせるような。健気に恋い焦がれる祐介の想いは、まさかの一方通行で、行き場を失うのです。なかなか珍しい展開で、思わず引き込まれました。続く2巻で、彼らがそれぞれどのように行動するのか、非常に興味が湧きました。
◆恋は近くて遠いけど
表題作とは打って変わって、いつもの西田先生らしさが溢れる、和気藹々としたリーマンもの。予想と逆の攻め受けだったのですが、読み終わった頃にはそのカップリングで良かったと思わせてくれるテクニックはお見事でした。2人に可愛がられていた部下も気になりました。
最初、絵が好みではないかなと思ったけど全然そんなことなかった。
さくさくざくざく進んだ。
深見が学校もまともに行っていないようなヤ◯ザで、見た目は男前なのに壊れていて。
でも祐介のピアノが好きで聴きに行ってたんよね。
目を閉じて聞いていたお顔が美しい。
祐介が深見に惹かれていったのはわかる。
ただ、その思考や行動がシンプルというか悩む割にはそこまで深く考えないのかなぁと思ったw
ま、それが猪突猛進で深見に寄り添うことになるのが怖いもの知らずだからできるわけで。
辛い怖いシーン結構あり、終盤どうなるかとハラハラしたけどラストはよかった。
祐介の願いを叶えたまえかと思ったけど、工藤の願いだったのね(それがクる)
全3巻読み終わっての感想です。
一巻はヤクザの深見と二流ピアニスト絹川の出会いから絹川が深見に惹かれていく様子について描かれていました。
バーでピアノを弾く絹川をじっと見据えるヤクザの深見とその視線が気になる絹川。やがてピアノを教えるようになり、ピアノを介してヤクザと一般人の交流が始まります。
絹川のピアノを聴くときの深見の表情にたまらなく惹かれていく絹川ですが、深見は裏社会の人間の生き様を隠さないので、それを目の当たりにした絹川は恐怖を感じて逃げ出し、何であんな男をいい人だと思ったんだと絶望するのです。
深見は歪んでどこか壊れてしまったような危険な男であり、絹川も絶望と深見に惹かれていく自分の本心との間を揺れ動きながら、そばにいれたらいいんだと覚悟を決めていく様子が切ないです。
あくまで普通の優しい男である絹川が、深見の事になると後先も考えず、無鉄砲な行動を取ったりする。それは好きレベルではない無償の愛みたいな強さを感じさせます。
ヤクザものの話なので深見は女とセックスもするし、暴力行為も躊躇せず、流血沙汰も起きます。
一貫してハードでシリアスなのですが、ところどころ西田さんお馴染みの爆笑あとがきを彷彿とさせる人物描写や変な食べ物が出てきたりして、そこが良い息抜きになってます。
巻末に「恋は近くて遠いけど」という会社の同僚二人(どちらもゲイでタチ)が可愛い同僚長谷川ちゃんを狙って…というリーマンものの短編が収録されていました。
表題作「願い叶えたまえ」とは全く異なる世界なのでそれを読んでちょっとキュンとして、さらに爆笑あとがきを読んで笑うと、表題作で張りつめていた心がほぐれて日常生活に戻ることができるといった構成になっています。