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表題作正体不明の紳士と歌姫

田之倉侑吾, 自分の職業を語らないセレブ, 31歳
二宮由希, 会社員・合唱団団員, 33歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

素人の市民合唱団の歌を、タキシード姿で聴き入る人がいる!? 夜ごと練習に訪れ、うっとりと歌を堪能する男に気付いた団員で会社員の由希。入団希望かと声をかけると、「私はあなたの歌が聴きたくて、ここにいるのです」と、その男・田之倉に口説くように告白される!! しがない素人の僕の歌が聴きたいなんて嘘だろ!? 最初は戸惑い警戒するけれど、田之倉が本気だと知り、次第に絆されて!?

作品情報

作品名
正体不明の紳士と歌姫
著者
水原とほる 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009372
3.4

(14)

(2)

萌々

(5)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
46
評価数
14
平均
3.4 / 5
神率
14.3%

レビュー投稿数5

このお話をラブコメ路線で読んでみたい

単なる合唱団員なので「歌姫」という言葉から想像される華々しさはなく、非常にこじんまりとした感じでした。
だけど、田之倉(攻め)にとっては、唯一無二の歌姫なんだろうなぁと伝わってくるところが良かったです。

田之倉が「こんな俺だけど、嫌いにならないでほしい‥‥」と言ったところは、哀愁漂うヘタレワンコっぽさが感じられて、ワンコ攻め好きとしては妙にキュキューンとさせられました。
(田之倉はワンコ攻めではないけど)

そして田野倉、覚悟して就任したとはいえ、大変だなー……。
よく鬱にならないわ……という過酷スケジュール。
そしてあの容姿で元サーファーで、バーテンだなんて、もう男女問わずに入れ食い状態だったんだろうなと容易に想像できる。(事実、秘書持参の履歴書でもそうだったし)
その時代に由希と出会ったとしても、由希の歌声に耳をとめる事もなかっただろうし、そもそも由希との接点が一切なさそう。
なんというか恋愛に発展するタイミングってあるよねと思わせるお話でした。


ーーーーーー


「真面目に恋愛キャンペーン」ということで、真面目に誠実に紡がれたお話という大前提をぶち壊すような感想で申し訳ないのですが……。




まったく同じ筋書き、キャラでラブコメ路線でもいけるなぁと思いました。
というか、ラブコメ好きとしてはこれをラブコメで読んでみたいと思ってしまった……。


というのも、あの有能な側近二人がなかなか強烈というか、もはや変な域に達してると思うんです。
田野倉の恋愛遍歴まで詳細に記された履歴書を持参したりとか、普通じゃないですよね?!

彼らみたいな切れ者の側近が登場する作品ってたまにあって、大抵攻めが恋愛でお花畑になってしまったりポンコツ化しちゃったりするのをバッサリ切り捨てたり、ゴミを見るような目で見たり、受けに直訴する際に「あれ以来、社長が落ち込んでしまって鬱陶しくてなりません」みたいなことを言っちゃうようなのが私は好きなんだけど、彼らはごく真面目に淡々と説明しているだけなので、あぁこんな美味しいキャラが二人もいるのに勿体無い……とついつい思ってしまう自分がいて……。

そしてそんな二人に、エッチした翌朝に半裸でダラダラしてるところを見られるとか、もはやラブコメって感じだけど、全然そうじゃないし。

もちろん、そうなると水原さんの「真面目に恋愛キャンペーン」ではないんですけどね……。
というか、水原さんってラブコメ書かれないですしね……。

「ピアノマンは今宵も不機嫌」とか「彼は優しい雨」のような誠実に紡がれたお話を期待して手に取ったので、それらと共通する作風に満足しておきながら、こんな感想ですみません。

0

大人の真面目なラブストーリー

イラストはyocoさんの大人同士のおしゃれな恋物語。最近の水原作品の傾向です。受けは顔は良いけど性格や趣味が地味でイマイチ女性にモテない30代の平凡な会社員。攻めは受けより2歳年下の30代だけどクォーターで容姿端麗、何だかお金持ちそうな謎めいた人です。友人付き合いが深まっていくと共に自然に恋愛感情も生まれ…さほど大きな障害もなくカップル成立。

少し前に年下の御曹司の攻め×会社員受けの話も読んだのでちょっとシンデレラストーリー的なのが先生のマイブームなのでしょうか。比較的穏やかに展開するラブストーリー。しかし水原さんといえば以前はヒヒジジイとかヤクザとか愛人とか不穏なテーマで受けが痛そうで「ひいぃっ!」となってるイメージの作品が多かったのでちょっと物足りない気もするのです。

先生のあとがきによるとひたむき恋愛キャンペーンはしばらく続くようですが、変なスイッチが入れば過激なお話になるかもしれないそうです。…スイッチ入んないかな(笑)

でも水原先生はオメガバースとかファンタジーには走らず(ホラーっぽいのはあるけど)普通の人間の男性同士の恋愛を書き続けていてくれて、その姿勢はとても嬉しいです。普通の人間のBL小説にちょっと飢えてるので。ファンタジーも良い物は良いけどそればっかりになっちゃうのはちょっとねーと思います。

2

合唱曲を聴きながら読みたい。



たまたま車を降りた場所で聴いた声に癒された仕事に疲れた攻めとアマチュア合唱団員の恋

<あらすじ>
アマチュア合唱団に所属している会社員の二宮由希(受け)は同じ団員の女性に告白できない日々を送っていました。
そんなある日、タキシード姿で練習を見学に来た不思議な男性に話がしたいと声をかけられ、入団希望説明のつもりでついていった由希は、田之倉侑吾(攻め)というその男に「由希の声が好きで癒された。友人になりたい」といわれるのです。面食らう由希ですが、思いがけず二人でいるのは心地よく、気持ちがそわそわするようなもっと一緒にいたいような不思議な気持ちになっていきます。


由希は今までの恋愛はあまりうまくいかず、合唱に情熱を注いでいます。
会社では、由希は社内一のイケメンと言われながらも性格が地味だと、「面倒見がよく優しいけど結婚したら退屈だろう」というのがもっぱらの評判です。
気を遣う関係を好まず、少数の気の合う友人で十分だと思っているのもあり交友関係も狭いです。
そんな自分に極上の部類に入る田之倉が何故自分を食事に誘うのかよくわかりません。親しくなった後でやっぱりつまらないと言われるのを恐れて深く付き合うことを躊躇しています。
それでも、自分の声が好きだと言ってくれることをうれしく多い、知識の豊富な田之倉との会話は楽しく思うのです。
田之倉は様々なことを話してくれますが、職業だけははっきりと教えてくれず、きっかけもないまま過ぎていくのですが、ある日とうとう知ることになります。


田之倉は由希視点であるため、中盤以降になるまで、どういう人物かわかりません。
運転手付きの車に乗り、高級マンションに住んでいて、高級レストランでの食事も様になっているのに、庶民的な居酒屋などにも精通している非常に不思議な人物です。
過去様々な仕事をしていたらしく、豊富な知識で由希を楽しませます。
でも、接待があるのを忘れて寝こけてたり、大人な雰囲気の時と年下らしい無邪気な雰囲気の時があって、それが違和感なく同居していて目の離せない人物でした。


田之倉の正体が分かったてからは、もともとしていた多少の覚悟を凌駕する田之倉の立場におののき、このまま恋人として付き合うか悩む由希。
この期間は田之倉にとっては裁判の結果を待つ被告の気分だったのではないでしょうか。
2人を助けるのは、田之倉を支える人達の存在(弁護士の諸住・秘書の水森)です。
田之倉を支える理由は純粋に田之倉のためではないとはいえ、結果的に田之倉のために心血を注いで支えていて、彼らが田之倉のために、とはいえ由希に不利にならないよに、でも決断を促すため、入れ代わり立ち代わり来るのが驚くとともに、力強く感じました。
彼らが支えてくれるから田之倉は立っていられるし、由希は安心できると思いました。

ただ、気の毒だったのは由希がずっと好意を抱いていながら気後れして告白できないまま合唱団の仲間としてそばにいた女性です。
彼女の存在が田之倉への想いを再認識するきっかけになったのですが、告白したいと長らく思っていたし親しくしていたので由希の好意に気付いていたんじゃないかと思うと、ちょっと気の毒になりました。
彼女はとても気立ての良さそうな人なのできっと素敵な人が見つかることを願います。



「真面目に恋愛キャンペーン」と作者さまがあとがきで書かれていましたが、こういう何気ない生活の中での出会いの中で少しづつ大きくなる恋心みたいな話、大好きです。
まぁ、社内一の美人さんとイケメンな会社社長という普通じゃない人たちですが・・・

いつまた過激な話の方へ転換されるかわかりませんが、このキャンペーンが長く続くよう願っています。

5

セレブ(名士)になりきれない男の話

これは痛い話でも奇をてらう話でもない。
職業ものとかのお仕事BLでも受けが才能を見出されてのサクセスストーリーでもないし、華やかな設定を楽しむものでもない。
じゃあ何をどう掴んで読んでいけばいいんだと言うならば、田野倉侑吾という男の境遇について穏やかに一考してみる話…なのだろうか。
彼の事を”セレブ(名士)になりきれない男の話”として淡々と読んでいけばいいのかも知れない。

母親と叔父に愛情を注いでもらって育てられた侑吾は既に容姿、頭脳、行動力全てが備わっていて周りから常に羨望の眼差しを向けられているであろうに、そこに突然亡くなった父親の後継者として多角的企業の社長に就任した事で確実な名士の座も得た。
覚悟を決めて今の地位を得たものの、生活が一変して自由が無くなった現状に心が折れそうになっていたところに主人公・由希(よしき)に出逢う事で救いと癒しを見出す。
雄吾の姿を通して、羨ましいものと実際の願望とは一線を隔てているものだというのを悟る事ができるのかも知れない。

一方、受け・由希についてはアマチュアで活動している合唱団のまとめ役としての描写に留まっていて、彼なりに30代の大人としての葛藤は抱えているものの存在感が薄く感じる。
う~ん、今回は受け側に感情移入し辛かったなぁ…
合唱コンサートに向けて周囲の反応の鈍さとか損得に関係なく、自分の好きな事にひたむきに打ち込める熱意は羨ましいと感じたけれどね。

他にも、読んでいて普段の生活の中で実感する悟りや教訓とかの含みがあって、それを説教臭いと思う所もあるかも知れない。
この話、よく言えば穏やかなのだが、恋愛要素が薄く感じるのがネックになりそうだ。

5

X'masだ

歌姫と言う言葉にひかれて購入。ふつーの会社員で合唱団員さんのお話でした。
攻めさんをヘタレわんこ系に感じたので中立よりですが萌にしました。ちょうど今の時期向けの優しいお話、「本編230P弱+あとがき」です。

仕事帰りに合唱団の練習に向かった由希(よしき)。発表会やコンクールに向けて頑張って団員みんなで絶賛練習中。ある日練習している最中に見学者らしき方が入ってきて、勧誘のためにお声かけしたのものの、なんだか疲れた様子、かつ、なぜか仕立ての良いタキシードを着ているイケメンさん。また見学に来て良いか?と聞かれて承諾したら翌週もやってきて、スコットランド民謡を歌ってくれないかと由希に頼んできて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
攻めさんの秘書、参謀、合唱団員(♀)、最後の方に攻めさん家族といったところかな。悪党不在です。

**攻め受けについて

受けさんはルックスは間違いなく社内一と言われるものの、人間関係構築が不得手な方で「暗い、退屈そう」という女子評価(笑)。それを受け入れていて、歌っている時が幸せと思っている由希。それが超イケメンに「あなたの歌声を聞けたので今夜はもう充分です」「あなたの声を聞きたい」などと言われると、ちょっとドキドキするよねーと納得です。少し時間をかけて悩むのも当然だよねとも思います。

かたや攻めさん。
自由人っぽい人生をおくってきたな、こいつ(笑)と思う方でした。それが突然の父親の死により、認知されていたとは言え、ある企業の社長の座に据えられちゃ、そりゃ大変だよ、あんた・・・・とめちゃ同情です。自分でそれを選択して頑張ってはいるものの、あっちに挨拶、こっちに接待、やれこっちとはゴルフだ食事だ、もうやってらんねーとなるわと思います。だから歌声に癒しを求める気持ちもよーく分かる。きっと由希の声、いいんだろうなあ・・

設定はちょうどクリスマスで「The first noel」という唄をお話のキーソングとして使ってます。
それを聞きながら素敵なクリスマス気分に浸ると良いのではと思ったお話でした。

4

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