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溺愛陛下と身代わり王子の初恋

dekiai heika to migawari ouji no hatsukoi

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表題作溺愛陛下と身代わり王子の初恋

アリソン・レイヴァース,32歳,レイヴァース王国国王
桑原大和,18歳天涯孤独の役者志望の青年

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

18歳で俳優志望、天涯孤独の桑原大和は、希望のない日々に鬱屈としていたところ、突然異世界に召喚されてしまう。夜になると空中にふたつの月が輝く世界――そこで出会ったのは、西の大国レイヴァース王国の王アリソン・レイヴァース。二年前、父王の死去にともない30歳で王位を継いだという優しそうな彼に、大和は国の危機を救うため、行方不明の「王子」の身代わりになってくれと頼まれる。夢である俳優になるため、王子という役になりきってみるという形で協力することになった大和。アリソンにすぐそばで守ってもらいながら、共に過ごすうち、二人の距離は徐々に縮まり――? 召喚された青年と、王様、癒しの小動物が織りなす、異世界トリップファンタジー!

作品情報

作品名
溺愛陛下と身代わり王子の初恋
著者
名倉和希 
イラスト
北沢きょう 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
王と恋するふたつの月の夜
発売日
ISBN
9784344843646
3.5

(33)

(7)

萌々

(14)

(7)

中立

(1)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
4
得点
113
評価数
33
平均
3.5 / 5
神率
21.2%

レビュー投稿数4

攻めが飛ばしてます

「王と恋するふたつの月の夜」と同じ異世界に召喚されちゃうお話で世界は繋がってるのだけど。前作のキャラは全く登場しないので前作未読でもOKです。
天涯孤独で役者志望なんだけど役にも恵まれず鬱々としている青年が、異世界に勇者として召喚されて……というお話なんだけど、前作の「王と恋する〜」のほうが好みでした。
前作は勇者として召喚された青年がモフモフ獣を救う旅に出るという冒険譚だったので未知の世界を切り拓いていく勇者感があったし、モフモフの登場も断然多かったんですね。

だけどこちらは勇者といっても消えてしまった人質の王子の替え玉になるというやつなので、なんかワクワク感が低いというか地味というか。
そしてモフモフに関しては、ちょびっとだけ。

だけどいかにも名倉さんらしい攻めが初っ端からフルスロットルで飛ばしてる様子は面白くてひたすらニヤニヤしまくりでした。

ヤマト(受け)を初めて見たときから鼻の下のばしまくりのアリソン(攻め)。
すぐに「ヤマトはしばらく私と寝起きをともにする」と宣言し家臣たちを唖然させるところから始まり、高い寝台に上るのに苦労してるので手助けしたら真っ赤になったヤマトを見て「かわいいから踏み台を用意するのはやめておこう」と密かに決意するとか。
聞きたいこと聞けずにためらってるだけのヤマトに「あまり可愛らしくもじもじされると、手を繋いで散歩したくなってしまうじゃないか」と言ってみたりとか。

ヤマトにメロメロなのに、それが恋だとは気づいていない無自覚なアリソン。
そんな彼が恋に気づくまでの紆余曲折が描かれているんだけど、まぁやることなすこと裏目に出てしまいどーするよ?みたいな拗れ方。

人質の王子がモフモフ化した理由に、アリソンの身から出た錆みたいなところが関係してて微妙にモヤっとしました。
自分が両刀だと思われても構わないというのは別にいいんだけど、ウィルからすると勘弁してくれよ…!!なわけで、そこをそのままにしていたアリソンの株が微妙に下がりました。

そしてヤマト。
「心から慈しんで愛でたい」とアリソンから言われるんだけど、それって好きってこと?もっとストレートに表現してくれないとわからないよ!と思ってしまうヤマトにええっ!?と。
これを理解できないって言われたらどうすりゃいいの?みたいな。
おまけにヤマトというのは元は役者志望で、つまり台詞の上っ面だけではなくその真意を読み取って表現したり、色々解釈する力が必要なわけですよね。
こんなストレートな言葉の意味すら理解できないから、役者としても芽が出なかったんだよと思ってしまいました。(我ながら酷い)

孤独を知るもの同士が愛を知り……というところは悪くはないのだけど、攻め受けのキャラどちらにも微妙に、え?と思ってしまうところがあって、何となく乗り切れないまま終わってしまいました。

1

攻めの自業自得から始まった話


前作「王と恋するふたつの月の夜」と同じ世界に召喚されるお話です。
前作の脇役のスピンオフではなく、国交のない隣国のお話なので、今作だけでも大丈夫です。
ただ、受けが召喚される魔道に関しては、今作では魔道が衰退しかけている国の話なので詳しい話はあまり語られておらず、その辺を詳しく知りたければ前作を読んだ方が分かりやすいのではないかと思います、

<あらすじ>
なかなか芽の出ない俳優志望の桑原大和(受け)は、ある日劇団主催者にスポンサーの女性と食事に行け言われます。誘われればその後も付き合うようにと言われ、拒否した大和は主催者を我をさせてしまいます。恵まれない毎日の唯一の夢もうまくいかない現実に嫌気がさし、誰も知らないところへ行きたいと願った直後、誰かに手を取られ気が付いたら知らない場所に立っていました。
その場にいた一団の中の一人・レイヴァース王国国王だと名乗るアリソンに、ここは異世界で大和は様々な条件を満たして召喚した勇者だと言われます。
召喚理由は、行方不明の王子の代役をしてほしいというものでした。ドッキリかと警戒する大和でしたが、初めて役者として自分を必要とされることに役者魂を刺激され、その依頼をうけることにするのです。
それ以来、お披露目会のために王子の代役としての勉強に励みます。
が、極秘事項だからといってアリソンと部屋もベッドも同じという歓待ぶりに戸惑うのです。

大和は父親もわからない、男性関係にだらしない母親に育てられました。
誰からも愛情を貰うことなく成長し、年頃になると母親似の美貌なため、母親の友人や恋人たち男女問わず誘いをうけるようになります。
そのため、性行為に嫌悪感を覚えるようになり特に女性は苦手になります。
母親が急死したため、高校を中退しバイトをしながら俳優を目指すのですが、全く芽が出ません。やっと声を掛けられたとおもったら、スポンサーに気に入られたため食事にいくようにという(誘われたらベッドも込みで)依頼でした。
やりたい仕事は全く声を掛けられないのに、やりたくない仕事ばかりが舞い込んでくる。そんな現実が嫌になり、ここではないどこかへ行きたいと願ってしまいます。そんな時、召喚されるのです。
初めて役者の仕事を依頼され、初めは不信感でいっぱいだった大和も王子の代役という仕事にやりがいを感じ、挑戦することにするのです。

アリソンはレイヴァース王国32代国王ですが、自身の出生のため王太子が成人して王位を継ぐまでの繋ぎの王として王国を維持しようとしている少しひねくれてしまった王です。
大国レイヴァース王国は自治領からの忠誠の印として人質をとっているのですが、次の人質・メリル王子が到着しないという事態が発生します。
従順の証である王子の行方不明は両国にとって重大事態なため、王子が見つかるまでの間の代役として異世界から勇者を召喚することになるのです。
自分の血を残さないため、妾妃を数人持っていますが、正妃を置くことなく自身の子供は作らない主義です。

今作でも前作と同じく白い毛玉が登場します。毛玉は相変わらずふっわふわでかわいいです。前作の毛玉とは違うのですが、呪いであることは同じです。
今回は前作と違って毛玉の登場が少なくちょっと残念です。
登場するだけで癒されるのですが・・・

大和が懸命に王子としての立ち居振る舞いを勉強しお披露目会が無事終わったころ、執務以外はずっとそばにいてくれたアリソンがもう一人の人質・ウィル王子との会食のため全く傍にいてくれなくなるのです。

アリソンは生まれながらの王子なため自身の行動が周りにどう影響を与え、どう思うかといったことには無頓着なため、様々な憶測をよびます。
それが今回の騒動の発端になるのです。
初めから大和を自室に連れていき同じベッドで寝かせたり食事を一緒に取ったりと構いまくりますが、愛玩動物と同じつもりなんですね。
人から愛情をもって接してもらったことのない大和はどんどんアリソンに懐き惹かれていきます。
相手を人間として扱っていないこの無責任なアリソンの行動はどうだかなーと思ってしまいます。
召喚した責任はとるといってはいても、具体的な案を示すわけでもなく不安になる大和が気の毒でした。
恋をしたことのないアリソンは大和への気持ちを自覚できず、大和のことを考えると変な気持ちになるといって大和が異世界から病気を持ってきたのではないかと真剣に考え侍従長に訴える姿には笑いました。
大和に拒絶されて、もっとザマアな展開になってもよかったと思ったくらいです。
生い立ちに同情すべき点はあるとはいえ、人一人の人生を変えたにしては軽すぎた今までの言動をもっと反省してもらいたかったです。


私としては、前作と今作であれば前作の方が好みでした。
それぞれの受け様は、仕事内容は違うとはいえ、与えられた使命を果たそうと一生懸命なところは一緒ですが、こちらの攻めはいい年して子供だと思ってしまって。

前作では、昼間毛玉になっていましたが、今作では夜になると毛玉になります。
それぞれ理由がありましたが、今作の話は完全にアリソンの自業自得なのがなん
だかなーと思ってしまう原因だと思います。
彼の生い立ちには同情すべき点もあるとはいえ、自分の立場をもっと理解した上で行動してほしかったと思いました。
そして、前作と違って大和のことをなかなかちゃんと周りに公表しないのもちょっとマイナス。大臣が許してくれるなら公表しようかみたいな態度なので、前作くらい根回しを頑張ってなんとしても自分の后にするという気概が欲しかったです。
全体的にあまあまではありますが、最後の方に自分の気持ちに気づくまで、人間に対するのではなく愛玩動物としての甘々な態度なのが残念でした。

1

名倉先生大好き♡

名倉先生好きなんです、切ない系も好きですが、笑う方大好き。この本もあまりに面白過ぎて、めったに読み返しってしないんですが、これはやってしまう。「顔面が崩壊してる」だの「陛下、頭は大丈夫?」だの、もうツボ百発百中www 紳士なんだけどどっか変とか執着してるとか大好き。まさかの二段組本編250P弱+あとがき。関連作登録ありますが、あちらの登場人物は出てこず隣国という設定だけなので、未読でも全然大丈夫です!すんごく好きなのですが神!たらしめる圧倒的な何かがあるかと言われると?なので神より萌2にしました。

16歳の時に母を亡くした大和。高校を中退しコンビニでアルバイトしながらギリギリの生活を送っています。顔以外何の取り柄もなく、裕福な生活に憧れる大和はバイト仲間に紹介してもらって劇団に入団していますが1年たっても役はもらえず裏方。それが、ある日主宰者に呼ばれスポンサーである女性と飯を食いに行けと命じられます。母の影響で色恋沙汰には嫌悪感しかない大和。もめているうちに主宰者を階段から突き落としてしまい、途方にくれて「もういやだ、もう頑張れない」と考えていたら、急に空間から出てきた手に引っ張られ・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
ウィル(ウォード自治領からの人質、イケメン)、メリル(スタイン自治領からの人質、行方不明中)、フロリオ(攻めの侍従長、ツッコミ役w)、ガッティ(メリルの側仕え)、アマベル(攻めの妹)、クレイトン(内務大臣、アマベルの舅)、イーガン(外務大臣)、ダート(魔導士)等々そこそこいます。

**大好きだった攻めについて

攻めさんはイケメンなんですが訳あって自分の子供は作らないと決めていて、二十歳ぐらいからずっと一人で食事をとっていて、淡々と王の務めを果たしている方。恋するにしても口説くもなにも色々あてがわれてしまうし、要は恋に堕ちたことがない。今回大和と出会って「どうしてもヤマトのことが頭から離れない、病気だ!」と侍従長に相談してしまうような方で、受けのことを可愛い可愛い言ってますが、あんたの方がくっそ可愛いんだよ!!!と萌え転げ。

見た目めちゃイケメンで、初恋でちょっと頭がおかしくなっているところが最高に面白かったです♡そして頑張り屋さんな受けさんを間違いなく幸せにしてくれそうな終わり方でしたので、満足度高でした~
ああ面白かった。ちょっとイカれた人楽しい。

3

本当の愛を知る物語です

こちら「王と恋するふたつの月の夜」と世界観を同じくする作品になります。
が、完全に独立したお話なので、今作だけで問題なく読めます。
表紙の白い毛玉も別人になります。

元々名倉先生の作品が大好きで、毎回楽しみに読ませていただいてますが、今回は特に好みの作品でして。
いつもの如く激甘なのはもちろんですが、見所なのが、めちゃくちゃこんがらがっちゃう「二人の仲」と言いますか。
何だろう・・・。
こう、恋に浮かれた攻めの暴走行動により、どんどんズレが起こっちゃうみたいな。
誤解が誤解を呼んでしまうみたいな。
もう、やる事なす事裏目に出ちゃう攻めが、気の毒になってくるんですけど。

また、並行して書かれる、攻めの真実が泣かせるのです。
これ、本当の意味で愛を知らなかった男が、初めて本物の愛を得る物語でもあるんですよね。
出逢うハズの無かった二人なんですけど、そんな彼等が出会い、孤独から解放されるー。
なんか目頭が熱くなっちゃうのです。
とても素敵な作品なのです。


内容ですが、異世界のレイヴァース王国を治める若き王・アリソン×天涯孤独の青年・大和による、異世界トリップもので二人のズレや誤解が見所の両片想いものになります。

天涯孤独でアルバイトで生計を立てる不遇な青年・大和。
俳優志望の彼は、ある日突然、天空に2つの月が浮かぶ異世界・レイヴァースにトリップしてしまいます。
実は、行方不明になってしまった人質王子の代役として、この世界では珍しい黒髪・黒瞳で背格好の似た大和が召喚されたと言う事実を告げられ、演じる事に強い意欲を持つ彼は協力する事になりますがー・・・と言うものです。


まずこちら、名倉作品と言うと溺愛がお約束になりますが、今回も最初からかなり飛ばしています。
召喚した勇者の強い瞳の輝きに、何故か惹き付けられるアリソン。
側近の反対を押しきり、自身の居室で寝泊まりさせ面倒見てと言った具合で。
王様と一緒の部屋なんてと戸惑う大和にですね、「急な事だったから部屋が無いんだ」だの「二人寝ても十分な広さがあるから大丈夫だ」だのもっともらしい事を言って、ウキウキと一緒のベッドで眠るのです。
自力でベッドに上がれない小柄な大和を抱き上げて乗せてあげ、赤くなってるのが可愛いとわざと踏み台を用意させないのです。
そして寝顔を「可愛い」とうっとり見つめるのです!!
もう飛ばしまくりですよ。

が、この時点のアリソンですが、実は大和を愛玩物のように可愛がってるだけなんですよね。
「自分に気を許しているなら、可愛がるのはやぶさかではない」みたいな。
彼はですね、その出生の秘密から、これまで本当の意味で人を好きになった事が無いのです。
何だろう・・・。
心の奥底に溶けない氷みたいなのを持ってると言いますか。
孤独なんですよね。

で、ここからが更に萌える展開なのですが、そんな彼が初めて落ちる恋。
とある出来事をキッカケに、稲妻の如く激しい「愛しさ」に気付くアリソンー。
そう、初恋です!!
ここからがですね、名倉先生の本領発揮。
好きすぎるあまり、おかしな方向に暴走しはじめる攻めでございます!!

で、秀逸なのが、そんなアリソンの暴走による行動が、こんがらがった事態を呼んじゃう事なのです。
後宮を解散し、王子の行方不明事件を解決するために遅くまで奔走する。
そして、襲ってしまわないように大和を避ける。
これ、全て大和の為に行動を起こしてるのですが、それがことごとく裏目に出ちゃうんですよね~。
大和に抱きたいと告げれば、後宮を解散しちゃったから性欲を解消したいんだと思われ、事件解決の為に離宮に通いつめれば、離宮の主と恋仲だと思われる・・・。
もう気の毒になっちゃうほどの裏目っぷりですよ。

そんな中で明らかになる、大臣・イーガンの裏切りー。
ここ、結構ハラハラドキドキではございますが、名倉作品なのである程度は安心感を持って読める感じでしょうか。
名倉作品では、必ず攻めが間に合いますからね!!

で、ここまでもとても面白かったのですが、実はここからが胸アツの展開になってます。
誤解が解け、本当の気持ちを確かめ合う二人ー。
先にも書いた通り、本当の意味で愛を知らなかった攻めが、初めて本物の愛を得るお話なんですよね。
そして、孤独から解放されるー。
実はアリソンだけでは無く、大和もまた同じなのです。
二人は出会った事により、互いにかけがえのないものを手に入れたー。
このラストにすごく心を打たれて。
甘いだけではない、とても深い作品なんですよ。
いや本当、これからは二人で幸せなっていただきたい!!

と、めちゃくちゃ素敵な作品でした。

22

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