電子限定描き下ろし付き
鯵坂先生2冊目なのですが、先生が描かれる絵とお話の雰囲気がどうにもすごくツボで好きです。
こちらの本は3作の短編集です。
表題作の三夜前線は営業のエリートで先輩の真塩と経理で後輩の吉野が一緒に出張に行った先ですったもんだするお話です。
最初から諦めてかかってる真塩の飄々とした態度に見え隠れする哀しげな素振りにすごく惹かれました。吉野は吉野で好きとか嫌いとかよりも男とヤること、そして本音が見えにくい真塩への好奇心から好意に気づいていくというのがとても良かった。
2作目は佐藤一×2というかなり斬新なテーマ。出会い系で出会った可愛い系の男の子2人がテンション高めに、でもやることしっかりやってて、見てて微笑ましい1作でした。
3作目は高校でやらしいことしてた同級生2人の大人になってからのお話。将来の夢は叶えても幸せにはなれていなかった圭都がずっと心残りになってた界人とこれからきっと幸せになるんだろうと希望が見えるお話でした。
どの作品もキャラの個性はそれぞれで、ホッと読めるけどちょっと切なくてでもすごく幸せそうな共通の雰囲気がすごく好きです。もっと色んな作品読みたいなぁ…
表題作は、仕事ができる営業マン(受)と、仲の良い経理の後輩(攻)の話。絵柄がすっきりしていて、ストーリー運びも淡々としています。個人的には若干盛り上がりに欠けるなと感じましたが、これは作者さんの作風でしょうから、好みの方もいると思います。
2人で行った出張の初日、接待で酔っぱらった受が、攻に介抱されながら「すき…」と告白し、翌朝酔いが覚めてから改めて「昨日言ったことは嘘じゃない」と告げるところから始まります。
好きだと言いながら両思いになることは求めていない、複雑な受のことが気になる攻。2日目の夜にはちょっとした事件も起こりつつ、3日目、何やかんやで受のことが頭から離れない攻が、受を思いながら1人でシているところに受がやってきて、そこで両思いに。
受にとって攻は、「デキる営業マン」の仮面を被らず接することのできる数少ない相手。告白したのは、自分の思いが叶うことを期待していたからではなく、自分の思いにケリをつけるため。なぜこのタイミングだったかと言うと…。
ネタバレですが、受は関西に出向が決まっていたのでした。何でもないように告白していましたが、告白するのは一大決心だったんだろうなと思います。
同時収録作1つ目は、同じ「佐藤」という名字同士の2人の話。近親相姦を感じたいからという理由で、攻に「佐藤さん」と呼ばれたいと言う受でしたが、ここにちょっと違和感。血の繋がりがあれば逆に名字では呼び合わないのでは?と思いました。ちょっと不思議な話でした。
同時収録作2つ目は、すれ違いラブ。攻がなぜいろんなところを転々としているのか、仕事は何をしているのか等、わかった方がありがたい不明な点が多くていまいちはまり込めず。
少なくともこの一作を読んだ限りでは、短編よりも長編の方が得意なタイプの作家さんかなと思いました。
「彼の教科書」がドストライクだったので、正直あれを上回ることは無いだろうな...と思いつつも、鰺坂先生の絵に惹かれて購入。
半分期待、半分諦めの状態で読み始めました。
いやぁぁっぱり好きだー!!(笑)
受けの真塩の目が好き。
どう表現したらいいのか分からないんですが...
どちらかというと可愛い系のアーモンドアイで、じっと見つめられたり、すっと細められたりすると、いちいちドキッとさせられます。
クライマックスで、足を腰に絡めて、片眉だけ下げた真塩のお顔は究極でした...///
吉野のタレ目に泣きぼくろをつけてくれたのにも感謝感激です。
もちろん絵だけでなく、お話もよかったです。
まず人物設定がいい。
受けの真塩は、表の顔はキレッキレの営業トップなのに、外階段で「おうちかえりたい...」とか言っちゃう健気な一面があります。
この危なげのある健気さと、フォローを欠かさない上司っぽさのバランスがたまらねーったら。
攻めの吉野も、よく言えば素直だけど、わりと塩対応で若干デリカシーないやつですが、気ぃ遣いな真塩の素を引き出せるいい子でした。
話の内容自体も、真塩が吉野に「おまえに好かれたい訳じゃない」というちょっぴり切ないシーンはありますが、ノンケに恋するゲイにありがちな暗い過去(トラウマ)の描写とかはありません。
絵の雰囲気にぴったりなほんのり甘い、ほんのり切ないお話です。
三夜前線というタイトルも、しっとりしていてぴったりだと思います。
レビュー(ってただのぐだぐだな感想ですが)遅くなりましたが、購入したのはもっと前で、もう何回も読み直してます。それくらい好きです。
大好きなリーマンものだったのでもっとふたりのお話が読みたかったですけど、表題作以外のCPももっと読みたいと思わせられるお話でした。
鰺坂先生、あじさかせんせー、やっと読み方覚えました♡(←あほ)
次作も楽しみにしております。一生ついていきます!
この本、2回買って、4回読んだ。
表題作は、サラリーマンの、上司が部下に片思いしてる話で、同録作品をむくめて、絵柄的にも、お話の展開としても、なかなか良かった。
ただ、絵もストーリーもスッキリしていていい話ではあるんだけど、強烈にインパクトあって記憶に残るってタイプの作品じゃないからレビューを後回しにしてたのと、このカバーイラストやタイトルと、お話の内容があまり結びつかなかったのとで、うっかり2回買って、それぞれ新鮮な気持ちで、4回読んでしまったと。
内容は良かったので、それはそれでいいんだけど、こうやってここにレビュー書いたからには、3冊目は買わずに済むといいな。
「三夜前線」
本心を隠すのが上手いやり手の営業マン真塩と
思った事が顔に出やすい後輩で経理の吉野。
ふたりの3泊4日の大阪出張での出来事。
仕事をバリバリこなして柔和な真塩は取引先の
印象もすこぶるいいが、実はズボラ気味で
面倒くさがりな一面も。
そんな真塩の素を知る吉野は思いもかけず
真塩から出張初日に告白され戸惑うことに…
真塩の態度に振り回されながらも気持ちに
気付かされた吉野は最終日にキスからその先へ…
嬉しいながらも素っ気なくコトに及ぶ真塩。
『健闘を祈る』ってなんて言い方(笑)
吉野が計算して行動していた真塩の想像の上を
行く反応を見せてくれていい意味で思い通りに
いかなくて良かったです♪
「佐藤くんと佐藤さん」
同性愛者であり同姓愛者である一風変わっていて
謎めいた佐藤さんと同性愛者であることを隠して
生きてきて新しい人生をスタートしようと
上京してきた佐藤くんのお話。
コメディタッチが新鮮で着目点が面白かったです。
「明日のこと」
高校からの同級生で海外を飛び回っていた
自由奔放な界人と自身の医師としての在り方に
疑問を抱えながらもがいていた圭都。
真逆なふたりの付かず離れずな微妙な距離感と
空気感と…距離を取り戻した後のどうしようも
ない離れがたさにはくう〜っとさせられました!
鰺坂先生の丁寧なこれもいい意味で遠回しな
心情の表現とそれが最後にパチン!とハマる
お話の流れが心地よくて好きです。